こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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3日目深夜。
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3日目 深夜 小雨
毛足の長い絨毯の中に埋もれている赤毛の長身を見ながら、ベルナルドは用意してもらった冷水を一気に喉に流し込んだ。アルコールによってもたらされた体の熱が、内側から少しずつ溶けていくが、心に残るしこりは中々溶けてはくれない。
「すまなかったなジュリオ」
「いえ……」
いつもと変わらぬ冷めた目でこちらを見つめるジュリオの足元に落ちている赤毛は、起きる気配すら見られなかった。さすがにベルナルド一人では運びきれないのでジュリオに運搬を頼んだのだが、段差があろうとエレベーターに挟まろうとお構いなしで首根っこを掴んで引きずる事を選択したジュリオの思い切りの良さには、ある意味感服させられた。
ベルナルドがその都度止めていなかったら、多分今頃ルキーノの体の一部はなくなっていただろう。
踏んでも起きなさそうな程気持ちよさそうな顔をして眠っているのが苛々を誘うが、彼が暴飲の限りを尽くしてくれなければ、今頃こうなっていたのは自分だということをベルナルドはよく理解していた。こちらに向けられた酒瓶をうまく自分の方へ誘導し、思考の邪魔となるアルコールを近づけないようにしてくれていた、それは感謝する。そのおかげでわかったことも多く、今後の展望を立てることもできた。
純粋に感謝すべきなのかは、まだ決められない。
「明日も早い、今日はもう休んでくれ。こいつは……そうだな、起きてこなかったらここにでも寝かせておくさ」
「わかった」
やるべき事が済んだのなら、ここにはもういる必要がない。
いつもそんな態度でこの部屋からすぐでていったいたジュリオ、そんな彼が今日は中々動かない。こちらと目を合わせてくることはない、だができるだけこちらを見ようと目線を彷徨わせながら、何かを言おうと時折口を開いては、唇をきゅっと引き結んでいる。
その様子が怒られた子供のように頼りなげだったので、
「何か言いたいことでもあるのか?」
と声をかけると、しばらくの逡巡の後ジュリオの口から小さな、だがしっかりとした言葉がためらいつつも出てきた。
「…………すいません、俺のために……」
「お前の為じゃない、俺たちの今後のためだ。お前は俺たちを裏切っていない、それがわかってるのにむざむざ奴らに処罰なんてさせてたまるか」
「………………………………………………」
「気にするのなら、今後の働きで返せ。お前の、いや俺たちの未来のカポのためにな」
「言われなくても……わかってる」
「俺とお前の改めての確認だ。俺は俺のできることでジャンを最高のカポにする、お前はその最高のカポを守ればいい。お前がいなきゃ、ジャンはカポにはなれんさ」
ジャンが未来を共に歩く相手として選んだのはジュリオ、自分ではない。
その生き様に、人としての輝きに。全てにおいてベルナルドを引きつけた、人生において最高の思い人。ただ見守っていこうと決めた自分と、怯えもがきながらも彼の側にいようと戦い続けたジュリオ。ジャンがどちらを選ぶかは明白過ぎるほど明白だった、物事の本質だけを見る彼が、怯え混じりの自分の感情を受け入れるわけがない。
ジュリオを恨むのがこういう時は普通なのだろうが、ただ一つの思いだけで自分の世界の全てを埋めてしまうことができる彼に勝てるわけがない。素直な祝福と、そしてこれからはジャンだけでなく彼も守っていかなければならない、そんな思いがベルナルドに素直な気持ちを口に出させる。
「ジャンを、頼んだ」
あらゆる思いを込めた、万感の言葉。
だがそれをジュリオに気がつかせたくない故に、他にあるコップの水の残りを全て飲み干し、わざと大きな音を立てて電話の山の合間に置いてみた。その音にわずかに瞼を動かしたことで反応したジュリオだったが、特に何も言うことはなかったらしい。
ジャン以外には今まで決して向けられなかった暖かみのある目線をこちらに向け頭を下げた彼は、そのまま部屋から無言で出て行った。
「どうせジャンの部屋に寄っていくんだろう? 怪我人を夜中に起こすなよ」
最後に投げかけたベルナルドの声も聞こえたのかどうなのか。
小さく頷いたような気もしたが、それを確認することはできなかった。未だに床に放置されたままのルキーノに聞いてみたい気もするが、生憎まだ沈没したままで目覚めそうにない。
「なあルキーノ……お前ならどうした?」
今の自分は、かなり疲れている。
眠りたくても眠れないし、食事は喉を通らないし、なにより正常な思考が働かない。周囲に痩せたので休息を取れ、少しは周囲に仕事を振り分けろと言われてもそれを素直に聞くことができないし、逆にそれを悪意に取ることしかできなかった。
ジャンのために今の自分ができる事なんてそれしかないのに、それすら奪おうというのか。
そんな思いで凝り固まっていた自分を突き崩しにきたルキーノのこともかなり恨んでいた、いや今でも恨んでいると言ってもいい。自由奔放なくせに人のことばかり心配して、わがままなようで気遣いができて。
自分の内側に無理矢理入り込んできて、勝手に好意をぶつけてくる。
それを嫌悪すべきなのか、受け入れるべきなのか、今の疲れきった自分では上手にその答えを出すことすらできない。ルキーノ自身だって、自分の感情が何に基づいているのか、それが何を意味しているのか、それすらわかっていないのに、自分が先にそれを理解できるわけがない。
ただこの酔っぱらいと違って、一つだけわかっていることがあるとすれば。
「ま、感謝はしているよ……やり方は間違っているけどな」
ルキーノが触れてきた髪、それに自分でも触れてみる。
幼子のように胸の中に招き入れられ、心と体に入った疲労という名の罅を埋めるように与えてくれた好意。愛情なのか、それとも友情なのか、互いにわからない中で、少しだけ近づくことができた瞬間にルキーノは果たして何を考えていたのだろう。
笑い声が思わず漏れるほど、くすぐったさと歓びを感じていた自分。
だがそれと同時に、奇妙な罪悪感を覚えているのも事実だ。ジャンへ向けられていた自分の思いは、ジュリオの存在によって意味を失いつつある。心にできつつある思いの空洞の中に、無理にルキーノを入れて埋めようとしているだけではないのか。
だからこそ表向きはルキーノの好意を拒絶する。
他者好意と己へ向けられた嫌悪、その二つが綯い交ぜになって動くことができなくなっているベルナルドにとって、軽やかに自分の思いのままに動くルキーノは、とてつもなくまぶしく見えた。
「それにしても……ジュリオを帰すんじゃなかったな」
足元に横たわっている元凶は、未だに踏んでも起きなさそうな程気持ちよさそうな寝息を立てている。このままここに朝まで寝かせておいて、自分はベッドで眠るというのはさすがに悪い気がするわけだが。
さてこの大きな体を、どうやって運ぶべきか。
「一番近いのは俺のベッドか……」
心底困ったようなベルナルドの声が、広すぎる室内に静かに広がっていった。
BGM「炎神ファーストラップ -Type Normal-」 by Project.R
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
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ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。
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