こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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これで終了。
話はSPARK4の新刊だった「Perfect Loop」へ続きます。
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5日目 そして朝 秋晴れ
筆頭幹部がそろそろ過労死するのではないか。
その噂を聞いてから、ジャンカルロはずっと不機嫌だった。
自分の大切な半身は裁判にかけられているし、兄のように自分を導いてくれる親友はそのせいで日々やつれていっている。そんな噂を聞かされて、日々上機嫌でいられるほどジャンは悟りを開いてはいなかった。
ただベッドの上で寝ているだけの生活、その間に自分に関わる者たちの運命が決められていく。
歯がみしたくなるような、短いはずなのに恐ろしい程長く感じる時間。それを終わらせてくれたのはそろそろベッドから降りても大丈夫ですよと言う医師の発言と、ようやく尋ねてきてくれた長年のつきあいの友人だった。
「おはようハニー、ご機嫌はいかがかな?」
「こんな所に閉じ込められてたからな、髪を伸ばして窓から脱走することばかり考えてた。毎日引っ張ってたんだけど、少しは伸びたか?」
「ここは最上階だ、頑張って伸ばしても下まで届くかな?」
「その時はベルナルドの髪も使うさ」
「あまり俺の髪を減らさないでくれよ…………」
いつも通りのジョーク混じりの会話。
最後に会ったときよりもベルナルドの顔は頬骨が目立ってきたなと思わせるくらいにはやつれていたし、唇の色も悪い。室内だというのにコートを脱がないのも、痩せた体をジャンに見せないための配慮なのだろう。
そこまでは理解できる、だが。
「なあベルナルド、なんかあったのか?」
「安心しろ、ジュリオの件は今日で決着がつく……いや、つけてみせる。色々寄り道をしたが、これで終わりだ。後々の宿題は残ったが、まあそれはその時考えればいいだろう」
「そうじゃなくてさ………」
なんと言えばいいのだろうか。
ベルナルドという人間は、基本的に人を内に入れたがらない。長年付き合っている彼女がいるという話を聞いたことはあるが、彼女よりも仕事を優先していたようであったし、ジャンに対してもどこか壁を作っているというか、こちらが近づくと逃げるような所があった。
そんな男であったし、これからもそうあり続けるんだなと思っていたのに、これは一体どういう事なのだろう。表面上で何かが変わったわけではない、むしろジャンに対して更に一歩退いたような感じすら見受けられるというのに。
彼の中で確実に、何かが変わってしまっていた。
「明後日にはここから出られるそうだね、何かお祝いを用意しておくよ。ジュリオの無罪放免祝いもしなきゃいけないし、これからしばらく忙しくなりそうだな」
「その件なんだけどさ……ちょっとおねだりしちゃってもいいかな?」
「お前が望むことならなんだろうと喜んで。今すぐにカポの座をっていうのは、あまりお勧めしないがね」
「あ~、それは俺も勧められたくないなあ…………あのさ、家って見つけられるか?」
「ここはまだしばらく借りる手はずになっている、ここにいればいいだろう」
「俺だけの家ってやつ……? それが欲しいんだよ。なんかいい家見繕っといてくれるとありがたいかな~って」
「それくらいなら喜んで、あらゆる意味で最高の物件を見つけておくよ。セキュリティは……ジュリオがいれば別にそんなに気を遣わなくても構わないだろう?」
「全部お見通しかよ」
そこら辺の女性でも叶わないほどの壮絶な色気を含んだ流し目が、こちらをじっと見つめてくる。三十路越えだというのに、ベルナルドが時折無駄に色っぽいのは昔から承知しているが、今日は色っぽさの切れ味(?)が違いすぎる。
今まで鞘に収められていた刃が一気に解放されたかのように。
ベルナルドという人間の本質が万人の目に見えるようになった、そんな感じなのだろうか。組織の若手の中には有能かつ自由な裁量を行うベルナルドに心酔するものは多かったが、こんな彼を見せたら彼らが部下から信者になりかねない。
何が原因でこうなったかはわからないが、ある意味面倒なことになったなあと少しだけ困りながら、ジャンは一応だが軽い忠告だけはしておくことにした。
「あのなベルナルド、もう少し笑わない方が……いや笑うなっていう訳じゃなくてさ、もう少し控えた笑いの方が俺はいい感じかなって思うんだけど………」
「二人目だな、今日の俺にそんなことを言ってきたのは」
「あ、俺の前にもいたんだ」
そいつも相当に困っただろうに。
人間の本性というのは隠しておいた方がいい場合と、隠してしまうと勿体ないと思う場合がある。ベルナルドの場合は当然の如く後者なのだが、まさか壁の向こうに隠されていたものがここまで魅力的だったとは。
どこか無駄な力が入っていた様に思えた立ち振る舞いから力が抜け、やることなすことが人の目を惹きつける。そのくせ持ち前の意志の強さを垣間見せる凛とした表情は崩さないのだから、女性よりも男性の方がその強さと柔らかさに心を奪われだろう。
朝っぱらからこんなものを見せつけられた相手には、心から同情するしかない。
「そんなに今日の俺は変かな?」
「変というか…………久しぶりに会ったダーリンがあまりにもかっこよかったんで、ちょっと驚いただけだって」
「誉めてもらえて嬉しいよ」
「でもな、男はへらへら笑うより、もちょっとしかめっ面の方がかっこいいぜ?」
「ジャンが言うならそうしておこうかな」
野花が咲き誇った瞬間のような、心を和ませる笑みをジャンに向け、ベルナルドは気に入っていると言っていた腕時計に目をやった。
「そろそろ…………時間だ、話の続きは会議が終わってからにしようか」
「七面倒な会議が終われば、ジュリオに会えるんだよな?」
「ああ、必ずお前とジュリオを一緒にいられるようにしてやる……約束するよ」
「信じてるさ、ベルナルド」
きっと必ず、彼は約束を守ってくれる。
今までだってジャンとの約束は必ず果たしてきたのだ、役員連中を黙らせてジュリオを連れてきてくれるくらい、彼なら普通にやってくれる。ベルナルドはジャンに甘い、あちこちでそう言われているのは知っていた。だがベルナルドだってジャンに頼るときがあるし、そんな時ジャンはどんなことがあっても彼の願いは叶えてきたのだ。
互いに頼りあっている、だからこそこういう時に信じることができるのだ。
「今日の夜にはジュリオを返すよ、それまで大人しく寝ているといい」
「ああ、美人の看護婦さんのスカートめくりも今日はやめとくよ」
「楽しい生活だったみたいでなによりだ。それじゃあ…………ルキーノが待ってるから俺はそろそ……………」
「何でルキーノが待ってるんだよ?」
何故ルキーノが、何の気無しに聞いたその質問に、ベルナルドはさらりと普通に返答したが。
「あの馬鹿のせいで歩くのがちょっと辛くてな…………だから会場まで送ってもらう、それだけだよ」
「えっと…………なあベルナルド…………」
頭の中で警鐘が鳴る、これ以上聞いてはいけない、と。
だがベルナルドが急に変わった理由、彼がしばらくの間自分の前に顔を出さなかった理由、その全てがたった一つのことを聞くだけで理解できる。
その誘惑にジャンは抗うことができなかった。
「もしかして、ルキーノにヤられちゃったとか?」
世界と自分を繋いでいたものが一気に剥がれ、何か自分が別なものになったような感触。女性と一晩を過ごしたときとは違う、自分が今まで踏み込まなかった領域に入ってしまったという、不可思議な自覚のようなもの。
そして足腰のだるさ。
自分の経験を考慮し、大体こんなところだろうと当たりをつけてみたのだが、椅子から立ち上がろうとしていたベルナルドの体が一気に硬直した。
「……………………まだ、そこまではいってない………まだな」
「うわ、やっぱそうだったのかよ…………」
「言わないでくれよ…………誰にも」
「そこら辺は安心してくれって、こういうのはお互い様だ…………うまく協力し合おうぜ」
「そうだな」
その瞬間、二人の男の繋がりは更に深くなった。
無言で互いの手を握り合い、固い友情を改めて誓った後で去っていったベルナルドの背を見送りながら、ジャンは起こしていた体を改めてベッドに埋める。
ベルナルドが変わった理由はわかった、それに関しては何も言うつもりはない。
だが、
「ルキーノ…………後で仕返ししてやるからな…………」
兄であり親友であり、ジュリオとは違う意味で大事な人間を寝取られたのだ。少しは復讐してやらないと気が済まない。
もしかしてコートを脱がなかったのも、ジャンに痩せた体を見せたくなかったからではなく。ジャンに見せたくないものを隠すためだったかもしれない、そう考えるだけで体のあちこちに残る傷跡がうずいてきそうだ。
空を見れば見事な青い空、だがジャンの気持ちは少しだけ晴れないまま。
「…………ま、ベルナルドが幸せになるのなら、それが一番なんだけどな」
ごく当たり前の、だがなかなか叶えることのできない願い事を口にする。
何が幸せで不幸せなのか、それを決めるのは当人だけ。どれだけ周囲から見ていびつで歪んだ関係であっても、当人達が幸せならそれでいいのではないだろうか。
自分とジュリオ、そしてベルナルドとルキーノ。
これから稼業絡みで色々大変なことはあるのだろうが、協力し合えば何だってできる気がする。
いつかみんなで幸せになれますように。
女子供のようなジャンの小さな願いは、吸い込まれそうな程澄んだ秋の空だけがちゃんと聞き届けていた。
「 Ambivalent Loop 」 is End
BGM「冒険でしょでしょ」 by 平野 綾
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
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ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。
ツイッターは基本鍵をかけていますが、フォロー申請してくださったらフォローさせていただきます。
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