こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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ジュリイヴァこばなし。
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『帰り道』
指に触れるのは急速に熱を失っていくぬめった肉。
筋肉を引きちぎりながらかきだしていくのは、そこからあふれ出す血潮。
空から差し込む光よりも赤く、ジュリオを引きつけてやまない液体を命を失った肉塊から無理矢理絞り出し、それを手で掬って受け止める。一滴でも無駄にしないためにゆっくりと口元まで運ぶと、腐った鉄の臭いが鼻先に届き始めた。その臭いすら甘受しながら舌を尽きだして指先を舐めとると、臭い通りの味が口内に広がっていった。
それは、人を殺した罪人だけが知ることのできる味。
手のひらにたまるそれを飲み干し、丹念に舐めとっている時だけすべてを忘れることができる。相手の業も、自分の罪も胃に収め消化してしまえば消え去ってしまうのではないか。いや、こうすることで相手の罪すら自分の中へと蓄積することを選んでいるのでは。正気の時の自分は時折そんなことを考えるが、こうなってしまえばそんなことを考える余裕はない。
今日は殺す相手が良かったのか、それとも何か良い条件が重なったのか。
前を見ることができないほどのもやはかかっているが、手を伸ばせば自分の目の前に何かがあることがわかる。そんな微妙な意識が残っていた。
体は勝手に血をすすり、指に唾液をなすりつけていく。
そもそもここはどこだっただろうか、膝が硬い何かに長時間体重を預けることで痛みを訴えてきていることはわかるのだが。
こんなことをしたくない、そう思うのは簡単。だが自分を時折支配する狂気は、逃れようとする自分を許してくれるだろうか。今ものどを流れ胃の腑に落ち続けている他者の血のように、自分の体の一部となって溶けてしまっているもの。
それを追い出すことなど。
「おいっ! なにやってんだよ!」
濡れた水音は自分の手元から、響いてきた声は真上から。
たぶん首をあげたのだろう、赤にまみれた世界に、橙の光を受けた銀色の髪が映り出した。日の光よりも冴え冴えと輝き、月の光よりも柔らかくジュリオの心に差し込むのは、髪の色だけではなく彼の心のあり方も。
「……イヴァ……ン…………」
「テメーが何を食おうが何をしようが勝手だがな、後片付けする奴らの気持ちにもなりやがれ。おら、さっさと帰るぞ!」
「帰る…………?」
「なんだよ、せっかく迎えにきて……じゃなくて、ここを片付けねえとオレの店の客が通りづらくてだな……っ」
慌てながら必死に言い直すイヴァンの声が、姿が、濁っていた意識を晴らしていく。
自分の手や唇を染める血から目を背けることなく、だがその目の端に自分に対する気遣いを宿らせ。
下半身を堅い道路に預けたジュリオへ、手を伸ばしてくる。
「………どうした?」
「……俺の手…………汚い」
「そんなこと気にすんなら、もうやるんじゃねえ。わかったか」
「……わかった」
子供に言い含めるようにゆっくりと、だが己の意志は決して揺るがさずに。
吹く風にも微動だにしない手は、のばしてつかんでいいのかわからず固まったままのジュリオへ向かって、ずっと差し出され続けている。掴めと言うわけでもない、自分で考えるというわけでもない。
だがただ一言。
「オレは自分で手一杯だ、だからテメーがこっちに来い」
それを口にし、それきりイヴァンは何も言わなかった。
自分の血の中は狂気で満ちていて、多分これからもこんなことをするだろう。血にまみれて、その血を自分の体内に取り込んで、そして満足する。
それでも側に行けば、イヴァンはその都度自分を暖めてくれるだろうか。
ぬるぬるとした震える手、それでイヴァンの指先に軽く触れる。
「なんだよ、できんじゃねえか」
「………………ぁ」
手は逃げなかった、顔は笑ってくれた。
わずかに触れただけのジュリオの手を自らが汚れるのを厭わずにしっかりと捕まえて握りしめると、そのままジュリオを立ち上がらせるために強く引っ張り出した。素直に体が持ち上がったのは、自分もきっとイヴァンの側に行きたかったから。
汚れていても、狂っていても。
イヴァンには側にいてほしいから。
「おら、とっとと帰るぞ……今日は何喰うんだ?」
「…………角のパン屋…………チョコドーナツ10個」
「テメーは食い過ぎなんだよ、オレは2個でいいからな」
ぎゅっと繋がれたままの手。
血で滑るというのに、絶対に離すまいと力を込めてくれるイヴァン。もうこれだけで十分満足なのに、これからの時間も一緒に過ごしてくれる。
いつの間にか、体が空腹を感じていた。
血で狂いを満たすのではなく、普通に食物で欲求を満たすことを体が求めている。イヴァンが呼んでくれたから、待っていてくれたから。
ありがとう。
そう小さくつぶやいた言葉に、イヴァンが顔を夕日以上に紅く染めながらどういたしまして、と答えてくれた。
BGM「帰り道」 加藤英美里
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
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ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。
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