こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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1日目 曇り
筆頭幹部がそろそろ過労死するのではないか。
そんな噂を本人は知っているのか知らないのか、彼が向けてきたのはいつもと変わらぬ人当たりの良さそうな笑顔。つねにぴんと伸びた背筋は力に満ちあふれているが、肉はかなり落ちているようだった。
浮き上がった肩胛骨と、スラックスがまとわりついているようにしか見えない足。
噂になるほどに痩せ目の下も青黒くなってはいるが、気力は充実しているようだ。強い意志と耐えぬ気力を宿した目は、疲れで死に進んでいく人間のものではない。
「かなりお疲れのようだな」
「いや、ボスがいない間の方がよっぽど疲れていたさ。あれに比べれば、こんな後始末程度、なんてことはない」
「ならこれは必要ないな、俺が家に持って帰って楽しむとするか」
「人に見せておいて、そんな意地悪はないだろう」
くすくすと笑いを漏らした唇も、すっかり色褪せていた。
だが気持ち的にかなり楽になったというのは真実なのだろう。電話の山から体を離し、接客用のソファーへとルキーノを案内する姿からは、純粋な歓びしか感じられない。いくら幹部内では最年長とはいえ、大きな組織をほぼ一人で回す状態は、彼にとってかなりの負担だったのだろう。
今の状況を、後始末程度と評するくらいには。
ルキーノが陣中見舞いとして持ち込んだブランデーの瓶を愛おしそうに抱きかかえ、ラベルを見て更ににんまりと笑む。
「よく手に入ったな」
「こちらに手を貸さなかった詫びだそうだ……ま、しょうがないだろうな」
「どちらにつくか見極めるのも一般市民の仕事の内だ、俺たちは信頼されるに足りる存在になるしかない」
「信頼されるマフィアか、言い得て妙だな」
ソファーに体を埋めながら、どんな状況でもスーツを着崩さないベルナルドを気づかれないように観察する。現在裁判会議中のため他の幹部と接触を取ることができないジュリオはともかく、他の幹部のことは攻撃することが趣味のようだったイヴァンがベルナルドの体調を心配し、ルキーノに様子を見てくることを要請した。
彼がいなければ組織が回らない。
それを考えてのことだろうが、今のイヴァンにとってはそれだけではないのだろう。ボス不在の中での他の組織の侵攻という苦境を共に乗り越え、やり抜いたという記憶は彼の内面に多分に影響をあらわしていた。自分の縄張りと部下だけを守っていればいいという考えだった彼が、少しずつだが周りを見ることができるようになってきている、それもかなり短期間の間に。
そう考えればボスの不在というのも悪い結果だけを産んだわけではないようだが、デイバンの町に残された被害はあまりにも大きかった。一般市民にまで及んだ今回の被害をどうしていくか。ルキーノやイヴァンも走り回ってはいるが、ジュリオの裁判会議の弁護をしつつ、陣頭指揮を取るベルナルドの疲れは並大抵の物ではなかった。
相変わらずブランデーのボトルを抱きしめているベルナルドは、今日はかなり機嫌が良いようだ。余程嬉しかったのか、ボトルに指で触れながら時折口元を軽く緩める。
「今日はこれを寝酒にするよ、あとでグラスを用意させるからお前も飲んでいくといい」
「また今日もここで寝るのか? いい加減にしないとぶっ倒れるぞ、お前が倒れたら俺が筆頭幹部代理になるんだからな、精々気をつけてくれ」
「安心しろ、まだ若造に筆頭幹部を譲る気はない……代理でもな」
「カヴァッリ顧問に昔散々言われてた言葉だろ、それは」
「ああ、俺が言うことができる日がこんなに早く来るなんてな」
冗談交じりの会話を交わしていると、まだ幼さの抜けきらないボーイが黒服を伴に従えて室内に入ってきた。そろそろマフィアの幹部がホテルの最上階にいるという現実に慣れてきたのか、骨の代わりに鉄骨でも入っているのではと思うほどの堅さはなくなり、ホテルマンとしての優雅な動きでコーヒーとデザートをサーブしていく。ベルナルドとも親しくなってきているのか、笑顔混じりの挨拶をして去っていく後ろ姿には、マフィアの給仕をしていたとは思えない程の親しみが感じられた。
「随分なついたもんだな」
そう茶化すと、帰ってきたのは微妙な重さを持った苦笑混じりのため息。
「若いのが揃いも揃ってああだとやりやすいんだがな……せめて愛想笑いの一つでもできればいいんだが」
「…………ジュリオのことか」
「裁判会議がどうも、な」
「形式だけの会議ですませるんじゃなかったのか?」
「あのごうつく爺さんども……いや役員の方々はそれで終わらせたくはないみたいだな」
自分の汚い言葉遣いに気がついたのか、小さく咳払いをして言葉遣いを直したベルナルドは、ゆっくりと言葉を選びながら今の状況を説明しはじめた。
カポと筆頭幹部の意見は、ジュリオの無罪は決まっているのだからこんな会議に時間を割いていないで組織の立て直しに力を入れるべき、それだけだった。裁判の当事者がジュリオでなければ、その意見は通っただろう。
彼がボンドーネ家の人間でさえなければ。
「ボンドーネの財産を組織が今後も使えるか否か、役員が気にしているのはそこだ」
「ジュリオはうちの幹部でも、ボンドーネ家はカタギの家だろうが」
「だがボンドーネ翁が失踪して、後を継ぐことのできる直系はジュリオだけだ。むこうとしてはジュリオを一度有罪にして、無罪にするかわりにボンドーネ家から財産を引っ張りたいというのが本音だろう。それと……ジュリオが無罪になれば、困る役員方がいるというのもあるな。いや、そっちが本命だな」
「裏切り者のジジイどもか」
「ご明察」
ボトルを愛おしそうに腕に収めていた手が、己の髪を梳き始めた。
目を細め、あざ笑うかのように歪められた口元。まるでこの世の中全てが馬鹿らしく、どうでもいい存在であるかのように、ベルナルドは時折ふるまう。実際彼ほど能力のある男が幹部とはいえ町のマフィアで終わろうとしていること事態が異常であったし、それを不思議がる人間は大勢いた。だが彼に聞いてもはぐらかされるのが常で、真実にたどり着いた人間は誰もいない。
つきあいの長いルキーノですら、ベルナルドの本質にたどり着いたことは一度もないのだ。
容貌も、頭脳も、人格も。全て最上級の物を与えられ、それを自らの努力をもって磨いてきた彼は、一体何を心の底で望んでいるのか。通常のつきあいをしているだけなら踏み込まなくてもいい領域。
だが彼とは今後も、多分死ぬまで付き合っていくことになるだろう。
カヴァッリ顧問も常に幹部内の人間関係をフォローできるわけではない、自分とベルナルドが仲違いをすることだけは、他の幹部達の年齢や力関係を考えれば、決してあってはならない事。
そのためにもこの混乱から立ち直る時期に少しでも彼とコミュニケーションをとりたいところだが、さてこの筆頭幹部様はどれだけ弱みを晒してくれるだろうか。
弱っている状態なら少しはボロを出すかと思ったが、彼の精神的な頑健さは並大抵の物じゃないらしい。彼が女なら、口説けばすぐに服も心の鎧も剥がすことが可能なのだが、さすがにそれをするわけにはいかないだろう。
気が強いわけではないのに精神的に強く、気配りのできるタイプはもろにルキーノの好みタイプである。もし彼が女性なら、喜んで口説かせてもらうのだが。
「ん、どうした?」
「……一見優しく見えるが、何を考えているかわからん有能な才女殿を素っ裸にするにはどうすればいいか考えていたところだ」
「奥さんの命日も近いだろうに、他の女に入れ込んでるのか? 墓から化けて出たらどうする」
「その時は地べたに這い蹲って謝るさ。ま、あいつも文句は言わないだろうがな」
「一体どんな女に引っかかったんだ。わかっていると思うが、今だけはおかしな行動は慎んでくれよ、もみ消す余力もないのが現状だ」
残念なことに相手は男で、おまけに恋愛感情から近づきたいのではなく、あくまで今後の自分や部下の人生を考えてのこと。
その時はそう思っていたのだ、そう、その時は。
たった数日で自分の心も、人生のポリシーも全て、ひっくり返ることになるなんて、その時は想像だにしていなかった。
BGM「大都会交響曲」 byピチカート・ファイブ
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
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ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。
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