こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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ということで、来週で終了のぷちばさ夏休み企画です。
みっしさんがお出かけなので、私がここを守らなければ……!
(書いた人 うずみ)
*****
その日、安芸在住のちびたちはいつも通り仲良く庭で遊んでいた。
彼らの中で今流行しているのは『おとさんごっこ』と彼らが名付けた、名前の割にはごく普通のじゃれ合いに見える遊びである。水を操る能力があるチカが水の上に乗り、ナリがチカにおんぶされて池の上で遊ぶだけ。
一体どこら辺が『おとさん』なのか、それを彼らの『おかさん』である毛利が聞いてみたところ。
おとさんいつもおふねにのってるの。
まねしてあそぶのおもしろいよ。
という答えが返ってきた。
彼らの中では長曾我部元親は船に乗って時折家に帰ってくる遠隔地に単身で働きに行ってる父、そんな感じの存在なのだろう。毛利としては正直言えば来ない方がありがたい時の方が多いのだが、ちびたちが望むのならば受け入れなければならない。
毛利だけでなく、屋敷の使用人たちの全てがちびたちを溺愛しているのだ。
だから彼らが無駄遣いの帝王である長曾我部に会いたいと言えば、家臣一同が集まって長曾我部対策会議を行う。ちびたちのおかげで安芸と四国の関係は凄まじい勢いで修復されていっているが、それを喜んでいる人間ばかりではないのだ。
互いにしこりを残したまま、それでも歩み寄っていく。
人というのものは愚かしい存在だが、負の感情を飲み込んで未来に向けて進む力を持っている。きっかけがちびたちとはいえ、それを小さな彼らに見せてやることができるのは多分いいこと。
毛利はそう信じ、今日も仕事の合間にちびたちと遊んでやっていた。
「ぴぃ」
「ナリ、どうした」
「ぴぃぴぃ?」
「おとさんが来ない……だと? 先日の件でしばらく来るなと言って追い出したのでな、まだ来ぬだろう」
「ぎゃ~」
「気持ちはわからぬ訳でもないが、我には我の立場というものがある。氷室の氷を盗んでいった馬鹿を領内に迎え入れれば、我の立場が危うくなる。盗んだ物が氷なだけに、互いに頭を冷やさねばならぬのだ……当然、次に安芸に侵入してきた時は本気で叩き潰すが」
おとさんごっこに飽きたのか、ちびたちは池の側に置いてある木製の椅子に座っていた毛利の側に近づいてきた。
そんな彼らを抱き上げて膝の上に乗せ、毛利は素直な感情を言葉として口から発する。自分たちの回りには誰もいない、ちびたちは誰かに告げ口するような空気の読めないお馬鹿な子でもない。
ならば今は、毛利にとって本音を口に出してもいい時間なのだ。
「冬までには氷を返すと言っていたが、それでは意味がない。今までも借りると言って持っていった物だけは、ちゃんと期日通りに返していたが……」
「ぎゃぎゃぎゃ」
「その通りよ、冬になれば我らも再度氷を作って備蓄ができるようになる。その頃に返すと言って持ってこられても、我らが困るだけ」
「ぎゃ~?」
「ごめんなさいと謝って解決するのなら、我らは争っていない。あの大坂城のぽんぽこ狸がおやつを食い尽くしても、貴様たちは笑って許すのだろう。だが人はそうはいかぬのよ」
「ぴぃ~」
おおきなひとたちはたいへんなんだね。
そんな事を呟きながら、ナリは毛利の肩に足をかけて頭の上へと移動し始めている。長曾我部相手によくやっている遊びだが、小さくて軽いナリでも頭に乗ると相当な負担になる。
長時間遊ばせてやっているあの男の首の力は相当な物なのだろう。
重さで首が傾き始めるのを必死に堪えながら、頬を撫でる髪を風が揺らすのを素直に受け止める。天気はいいし風は徐々に冷たさを増し始めているが、それでもまだ頬はわずかに汗を掻く。
実に心地よい夏の一日だというのに、どうして自分とちびたちは奇妙な寂しさを抱えているのか。
これも全て毛利とちびたちが寝ている間に、氷を借りていくという書き置きを残して毛利家の氷室からごっそりと盗んでいった長曾我部が悪いのだ。せっかく安芸と四国の関係もよくなり始めていたというのに、どうしてあの男はろくでもないことをしでかすのか。
重苦しいため息は、ちびたちの心も暗くしてしまったらしい。
「ナリ……チカ……貴様たちはあの氷泥棒に会いたいのだな」
「ぴぃ」
「ぎゃっ」
「だが我は安芸の領主という立場上、あれを許すわけにはいかぬ。貴重な夏場の氷を我の許可無く持っていけばどうなるかはわかるだろうに……あの馬鹿が」
「ぴぃぴぃ~」
「ぎゃぎゃ~」
おとうさんだもんね。
膝の上と頭の上と。
二人同時に頷いてそう言ったのには思わず苦笑いしてしまったが、毛利は現在、微妙な立場に置かれているのだ。ちび可愛さに長曾我部を許せば周囲に侮られることになるし、そうすれば様々なことが上手くいかなくなってくる。
ちびに泣かれず、周囲も納得させて。
長曾我部元親と四国との友好を維持するにはどうすればいいのか。自分が氷を盗んだ側であれば、どんな手を使ってでも自分のやったことを正当化したのだが。
あの男の場合はどういう手を打ってくるのか。
音沙汰がないのは彼がそれを感が手いる証拠だと信じてはいるが、その間ちびたちに寂しい思いをさせるのは正直辛い。なんやかんや言いながらも、ナリとチカは大きくてやさしい隻眼のおとさんが大好きなのだ。
何らかの解決策をもってまた安芸に来たら、一発ぶん殴ってやろう。
三人揃って腕を組み、頷きながら長曾我部元親へのそれぞれの思いを口に出す。そうしている間に相当時間が過ぎたのだろう。
周囲を吹き抜けていた風がわずかに秋の冷たさを含み始めた。この暑い夏の間は、冷たい空気は優しさの象徴。
冬になれば憎くなる寒さも、今は心と体を安らがせてくれるのだ。
「少し寒くなってきたな……中に入るか」
「ぎゃ」
「ぴぃ」
首をぐらぐらと揺らしながら、毛利は何とか立ち上がった。
膝の上に乗っていたチカは腕に抱え、まだ池で遊びたいらしく手足をばたばた動かすちびたちを何とか押さえ込む。普段は素直ないい子だが、長曾我部がいないと彼らは時折こうやってぐずっているかのような行動をする。
言い聞かせればすぐに落ち着く程度のもの。
しかし彼らは寂しさと悲しさをこういう形でしか表すことができないのだ。そして毛利もその影響を受けて、ほんの少しだけ長曾我部と。
会いたいと思い始めていた。
「あの馬鹿が……」
そう毒づき、時折大きく体を揺らしながら、毛利は屋敷への道を急ぐ。
頭の上と腕の中でぴぃぴぃぎゃあぎゃあとちびたちが話し合っているが、その内容は長曾我部に関することばかり。
おとさんいつきてくれるかな。
おとさんわすれっぽいからすぐにきてくれるよ。
ごめんなさいもとくいだよ。
どげざっていうんだよね。
日々おかしな言葉を覚えているが、それは他の土地のちびたちの影響。
特にあの大坂城のちびたちは可愛らしいのだが、ろくでもない言葉ばかりを周囲に教えるのだ。騒がしいこと極まりないあのちびたちにもしばらく会っていないので、近いうちに会いにいこうとは思っているが。
毛利たちの目の前に突然、それ以上の難問が現れたのだ。
「よう」
「……ちょ……長曾我部……」
「ぴ……ぴぃ?」
「ぎゃぎゃ……?」
屋敷にほど近い梢からひょっこり顔を出したのは、ずっと三人を悩ませ続けていた西海の鬼その人だった。
今の安芸では半ば在任扱いをされているのに、ごく普通に来るな。最初に毛利が思ったのはそれだったが、無駄に図体がでかい肌の露出の多い男は毛利たちの渋面を歓迎の意だと理解したようだ。
木の陰から出してにこやかにこちらを近づいてきた長曾我部だったが、彼の手には奇妙な物が握られていた。
先日は背中に背負っていた巨大な魚、しかし今手に持っている物はかちこちに凍り付いている。
「見てくれよ! ようやく成功したんだぜ……これもあんたのとこの氷のおかげだ!」
「貴様はどうして結論しか語らぬ! わかるように説明せよ!」
「いや、だからよ……あんたの所の氷を有効活用して、少ない氷でも長期間冷やし続けられるからくりを作成したんだよ」
「………………からくり……だと……?」
「おう、だから氷返すぜ。ついでにあんたの所にも同じからくり作って持ってきたんでな、使ってくれよ! これでこいつらに氷いっぱい食わしてやれるだろ」
開いた口が塞がらないとはこういうことなのか。
この男の考える事と実行することは本当に予想がつかない。ちびたちですら予想を遙かに越えた解決法にぽかんと口を開け、大好きなおとさんの登場に喜ぶことができていなかった。
おとさんなにやってるの?
すごいの? すごくないの?
またおこられるの?
この国の食糧事情を変えるほどの大発明なのだが、素直に凄いと称賛することができない理由は明白。
わざわざ人の所から氷を無断で拝借してやるくらいなら、自分のところの氷を使えよ。
この場にいたら誰もがそう言っただろうが、毛利は己の人生で培った忍耐力を総動員して必死に堪えた。
ちびたちは、大好きなおとさんに会いたかったのだ。
ここで彼らの感動の再会を台無しにしてしまうことはないし、別に今すぐ怒る必要は無い。
ちびたちが寝た後、毛利家家臣総動員で叱りつける程度で許してやろう。
「よし、せっかくだから氷食うか!」
「ぴ……ぴぃ!」
「ぎゃぎゃ!」
ようやく長曾我部の与えた衝撃から立ち直ったナリとチカは、毛利の身体から下りて長曾我部の方へと駆け寄っていく。
そんな彼らを嬉しそうに受け止め、頬ずりする勢いで抱きしめている光景は見ているだけで心を和ませてくれるが。
あの男に常識と善悪観念を教えなおさなくては。
そう堅く心に誓う、毛利であった。
・夏のアニキの起こす騒動はこれで終わる……はず。
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
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ばさら垢できました
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