がんかたうるふ Hermony Loop 木曜日 朝 忍者ブログ
こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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書き終わりました






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「Hermony Loop」  木曜日 朝


彼の焼けたチーズとパセリが絶妙に絡んだパスタを口に運ぶ姿は、確実に女たちの情欲をあおるだろう。唇にまとわりつくトマトソースをなめる仕草も、糸を引くチーズのなまめかしさも。ルキーノという男の色気を増幅させてはいるが邪魔にはなっていなかった。
昨日から眠れていないし食事も喉を通っていないベルナルドにとって、その臭いは拷問でしかなかったが。
「ベルナルド?」
「ああ、いや……大丈夫だ」
そっと背中に当てられるジュリオの手が、少しだけ体を楽にしてくれる。
ルキーノが軟禁されている部屋に入る前に、少しだけだがトイレで吐いてきた。吐く物も胃には残っていないので少量の胃液だけだったが、この状況はかなり自分を追い込んでいるらしい。
ジュリオの裁判会議の時は体は確かに辛かったが、あの時はルキーノがさりげなくサポートしてくれたし、自分の交渉次第で状況が楽な方向へと動くことがわかっていたので精神的にはここまで追い込まれなかった。
だが今はルキーノが支えてくれることはない。
それどころか彼と言葉で戦わなければいけない状況なのだ。支えもなく、一歩間違えればルキーノを失ってしまうことになる状況に、はたして自分は耐えることが出来るのか。
唯一の心の拠り所は、あの時自分が守り抜いたジュリオだけ。
ジャンに色々と言い含められてきたのだろう、ほとんど変わらない身長の彼が後ろで精神的にも憎体的にも支えていてくれるからこそ。ベルナルドはなんとか筆頭幹部の面目を保つことが出来ていた。
ドアの側で無言で待機するカヴァッリ顧問直属の部下に、自分の体調不良を悟らせるわけにはいかない。それが発覚すれば、カヴァッリ顧問はもうベルナルドを交渉のテーブルにのせようとはしないだろう。
決して弱みを見せることだけはしない、ジュリオと相談して決めたことだ。
「よく眠れたようだな」
「寝やすいベッドなんでな。お前も少し寝ていけばいいんじゃないのか、昨日はどうせ寝てないんだろう?」
「多少は眠れたさ」
一睡もしていないことを隠すために笑ってそう答えると、さりげないジュリオの誘導に任せるままに昨日も座ったソファーへと腰掛けた。座った瞬間に全身の力が抜けそうになるが、ここで気を抜いてしまえば一巻の終わりだ。
「お前たちも食うか?」
「いや、俺もジュリオも食べてきている」
「二人で?」
「俺は普通に食べたが……ジュリオは?」
「ジャンが………作ってくれました」
ルキーノも昨日は散々考え抜いて、あまり眠れなかったのだろう。
灰皿には昨日以上に吸い殻が積み重なっているし、顔色も昨日より白くなっている気がする。きついのはお互い様、そう思いながら単刀直入に話を切り出してみる。
「昨日俺が言った言葉を覚えているか? どこまでお前が譲歩できるかって事だが」
「爺さんの同席は断る。勿論下の奴らもな」
「譲歩する気はないって事か」
「お前が同席するっていうなら、考えてやらないでもないが」
「それは役員会に断られるだろうな」
「俺が出来る譲歩はそれくらいだ、あとは断る」
ジュリオは一言も発さず、静かにベルナルドの後ろに控えている。
座ることなく、ルキーノを威嚇するかのように上から見ているのだろう。時折鬱陶しげに彼の目線がベルナルドの後ろへと動くが、直接何かをジュリオに言う気はないようだった。
「譲歩する気はないということか。カヴァッリ顧問がいないから言うがな、裁判会議になればカヴァッリ顧問はお前を追求する側に回らざるを得ないんだ。お前はあの人と戦う立場になれるのか?」
今もドアの側にいる男から、この言葉は確実に顧問へと伝わるだろう。
ベルナルドが顧問の存在を無視してでもルキーノを救いたいと思っている、それをアピールのための発言だ。これで顧問が少しでも影で動いてくれるようになればいいが、そんな計算をしながらベルナルドは更に言葉を続ける。
「ボスに聞きたいことがあるのなら、他にも手はあるだろう?」
「俺とオヤジの問題だ……二人きりで話をしたい。それに、伝えておかなきゃいけないこともある」
「ボスとお前の問題なのはわかった。だがな、問題は影でこそこそと部下まで使って動いたことなんだ。何故そこまで慎重に動いたんだ?」
「お前に……知られたくなかった、それだけだ。面倒なんだよ、お前にくちばしを突っ込まれるとな」
それ以上は話したくない。
目線でそれを伝えると、ルキーノは豪華な上に重そうな朝食を片付ける作業を再開した。がつがつと、男らしくパスタをかき込んでいる姿からは、彼が何を考えているかを読み取ることは出来ない。
まるで柔らかな壁があるかのように。
ベルナルドの言葉はルキーノには届いていなかった。いや届いてはいるのだろうが、一度柔らかく受け止められ、そしてどこかへと捨てられているのだろう。
彼の立場をこれ以上悪くするわけにはいかないし、裁判会議なんてところに送り込みたくない。役員会の老人たちは、基本的にはルキーノを可愛がっている。彼が謝罪の意思を見せて少しでいいから譲歩してくれれば、状況は大きく変わるというのに。
どこから彼の意思を切り崩していくか、ルキーノを見ながら考えていると、肩に優しく手が置かれた。
「ジュリオ?」
後ろを向くと今までずっと状況を見守っていたジュリオが、冷ややかな目線でルキーノを睨み付けていた。
「………ルキーノ……一つだけ聞きたい」
「なんだ?」
「俺なら………こんな状況に耐えられない……お前は……これでいいのか?」
「お前のこれでっていうのは、何を指してる? 爺さんの家に閉じ込められてる俺のことか?」
「違う」
きっぱりとそう言いきったジュリオは、ふと目線を下にいるベルナルドへと落とした。
ジャンへ向ける絶対の信頼と愛情に満ちた目とは違う、だがそこにあったのは明確な好意だった。裁判会議の時から時間をかけて、ジュリオとはそれなり以上の関係を作ることが出来たと思ってはいたが。
その時その瞬間だけは、ジュリオはベルナルドのためだけの騎士として存在していた。
「一人にして……守れなくて……俺なら…………こんなことは……絶対にしない」
剣の代わりに彼なりの言葉でルキーノを刺し貫き、目線を盾としてベルナルドの心を守る。彼にとって愛情を捧げるべき存在はジャン一人だけだが、自分を守ってくれたベルナルドはそれに次いで守らなければならない相手となったのだろう。
懐いてくる犬が一匹増えたようなものか。
内心嬉しく思いながら、まだルキーノを睨み付けているジュリオを優しい声で制止する。
「ジュリオ、すまなかったな……俺が言わなければならないことだった」
「……………別に、俺が聞きたかった……だけだ」
「いや、ありがとう」
首を後ろに向けてジュリオに礼を言うと、彼の視線が下に向けられ、わずかだが目が細められた。どういう感情がそこに働いたかはわからないが、ジュリオの手がそれと同時に肩から離れていったということは、彼なりに何かを考えたのだろう。
再び物を言わぬ彫像のようになったジュリオに目線だけで微笑みかけ、ベルナルドはルキーノとの会話を再開することにした。今のジュリオの言葉で、ルキーノも多少は考えを変えてくれていればいいのだが。
眼鏡の弦に手をやりながら、できるだけ軽く受け止めてもらえるように表情を柔らかくする。
「ジュリオも……ジュリオなりにだが、お前のことを考えてくれている、俺だってそうだ。俺では役不足かもしれないが、話くらいは聞かせてくれないか?」
「今更俺とお前の間で何を話せって?」
「少なくとも俺は、今回のお前のことについて何も知らなかった。どれだけ長いつきあいでも、互いについてわからないことはあるってことだ」
「そうだな……確かに俺もお前についてわからないことが多いな。例えば、俺のことを本当に心配してるかとかな」
「してるに決まってるだろう! ずっと一緒にやってきたんだ、俺たちはこれからも一緒に……」
「ジャンの……あの金髪の犬っころのためだろ?」
何故そこでジャンの名前を出すのか、それを聞く前に畳みかけるかのようにルキーノの口から次々と言葉がもれだした。今まで、食物を口に押し込むことでそれを押さえ込んでいたかのように。
無造作に置かれたフォークの切っ先は、光を受けながらこちらへと向けられていた。
「お前の中にあるのはジャンを……カポにすることだけだ。俺がどうなろうと、あいつさえカポになれば、お前の中では満足だろう?」
「そんなわけないだろう、俺たちが誰一人欠けても……」
「実際、俺がいなくても上手く回せてるくせに」
「………………………………………」
「お前は昔からそういう男だったな。口では散々色々弱音を吐くくせに、絶対に誰にも頼らない。ついでに人の仕事まで上手くかすめ取るわけだ」
「ルキーノ……お前……本当にそう思ってるのか……?」
「思ってはいたさ。俺はずっとお前に嫉妬していた………知らなかったのか? 俺が出来ないことを平気な顔でこなして、平気な顔で笑って……誰でも彼でも懐かせる」
ジュリオを顎で指し、まるで己をあざ笑うかのようにひときわ大きな笑い声をたてた後。
「わからなかったよな、お前とお前の周りの奴らに嫉妬する俺の気持ちなんて」
何も反論できず、ただ息を飲み込むことしかできない。
今の自分はジャンのために生きているわけではない、
以前自分を憎く思っていた時期があった、そう言っていたのは覚えている。自分だって威風堂々としたルキーノにコンプレックスを感じていないわけでもない。
だが、ルキーノがそこまで考え続けていたとは。
きっと日常生活を普通に送っていれば、心を時折さざめかせる程度だったのだろう。しかしこういう状況になり、心の拠り所を欲した時、人は改めて知るのだろう。
自らが何を信じ、何を本当は欲していたのかを。
ベルナルドだって色々と考えていることはある。自分の今の行動がジャンのためではなく、ただルキーノを今の状況から救いたいという思い故であるということ。そして今ルキーノを失えば、自分はきっと崩れて立ち直れなくなるということ。
ルキーノを誰よりも愛している、その事実も。
今更こんな形で理解しても、この状況で自分の思いをどう彼に伝えればいいのだろうか。おかしな言動をした瞬間に、それは全て顧問へと伝えられる。ひっそりとその場に待機しているあの部下は、顧問にとっては腹心中の腹心の存在だ。顧問にとって不利益だと感じた発言を誤魔化してくれるわけがない。
信じなければならないのは自分の心、そしてルキーノがまだ自分に心を残してくれているということ。
ルキーノの側にあった心の壁の一端がつかめた、ならばそれを切り崩す方法は存在するはずなのだ。周囲に自分たちの関係を気づかせず、ルキーノの心の壁を突き破り。そして彼の心を変える。
その方法を考える時間が必要だ。
「ルキーノ……落ち着け。お前の言いたいことはわかった」
「わかってるならもう少し別な言い方があるんじゃないのか?」
「ああ、別な言い方ってやつをするために、少し俺なりに考えてくる。お前も頭を冷やして考えるんだな。俺はお前をあきらめる気はかけらもない、全員揃ってジャンのカポの継承式を行うんだ」
「あいつのためにか?」
「いや、俺と……お前のためだ」
胃が凄まじい勢いで締め付けられるような痛みを送ってくるが、ここで逃げるわけにはいかない。目をそらそうとするルキーノを睨み付け、目線で、言葉で彼に思いを届けようとする。
「土曜日にまた来る……その時までにもう一歩だけでいい、お前なりの譲歩を考えて欲しい」
「明日は来ないのか?」
「やることができた」
短くそう言い切ると、ベルナルドは再度ルキーノの目を見据える。
どうしてこんなことになってしまったかはわからないが、自分と彼の間には埋めなければいけない溝が出来てしまっている。それを埋めた上で、彼を救う方法を実施するための準備を、ベルナルドの頭脳は順にリストアップし始めていた。



それが、刃の上で踊るよりも危険すぎる方法だとわかっていても。






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本当に途中まで。
ジュリオ無双状態ですが、最初の話からよくここまで……一番頑張ったのはジュリオ。


BGM「Red-reduction division-」 by fripSide

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色々説明






拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)


注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨


ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。


書いている人


みっし

・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。



うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。

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ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。

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