がんかたうるふ Hermony Loop 土曜日 夜 忍者ブログ
こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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残り2回(日曜日早朝・日曜日午後)です。
ようやくここまで来た……





 *****



「Hermony Loop」 土曜日 夜







出来ることはした。


覚悟もしてきた。


昨日ジャンとジュリオがルキーノを訪問したらしい。
にやついて心底嬉しそうな顔をしたジャンからは明確な内容は聞けなかったし、ジュリオに聞いても言いたいことを言えてすっきりした、それしか言わない。二人が何をしてきたかはわからないが、きっと自分を思っての行動だったのだろう。
頑張ったから褒めてとでも言いたげなキラキラとした眼差しがそれを物語っていた。
とっくに成人しているはずの懐いてくる犬二匹をねぎらってやり、今度ご褒美代わりに食事に連れて行く約束をしてから、ベルナルドは再度この部屋の前に立った。
二人がなんだか意味のわからないことを言っていた気がするが、それは気にしないことにしておく。
「………………………………………」
胸に手を当てて、今にも壊れてしまいそうな程派手に鳴り響く心臓の音を少しでも抑えようとする。ルキーノに自分が今動揺していることを悟られるわけにはいかないし、なによりも耳元で鳴り響いているように聞こえる自分の鼓動を感じながら、彼と普通に話す事なんてできなかった。
まさかこんなに緊張するとは。
失敗したらどうしよう、それ以前にこんな杜撰かつルキーノの機嫌まかせの計画で成功するのか。それ以前に、これで失敗したらもう後がないのに、自分は何でこんな一生物の傷になりかねない事をしているのか。
ぐるぐるとネガティブな思考が頭を回るが、残り時間はこうしている間にも減っていく。
通常の仕事を行うのと同時にルキーノの代理で街を見回り、それと同時に役員会への働きかけを行っていく。それに関してはジャンの力を大きく借りたので、彼には何かの形で礼をしなければならないだろう。
そうしてベルナルドは、今この場所にいる。
「ルキーノ、入るぞ」
短くそう言い、ノックもなしに部屋に入ると何故か慌てた様子のルキーノが、部屋の灯りを消そうとしているところだった。薄闇が広がる空間を唯一照らしているのは、ベッドサイドのランプのみ。
心を決めたつもりが、早速闇の中に足を踏み入れなければならなくなるとは。
「……入れよ…………一昨日言ったとおりだったな」
「何がだ?」
「土曜日に来ると……言っただろ?」
「そう……だったな……」
どこかぎこちない会話の後、ベルナルドは意を決して薄闇が満ちる空間へと足を踏み入れた。
薄暗い以外は昨日と変わらない、と思ったのは最初の数秒だけ。
まずは自分の場所を確保して落ち着こうと思ってソファーを探すがそのソファーが半壊しており、吸い殻が山積みになっていた灰皿はベッドサイドに移動している。立ち上る煙は室内で唯一の灯りを浴びて、己の存在を誇示しているが。
現在の部屋の使用者は窓際に立ったまま、こちらを向こうとしなかった。
「ルキーノ?」
と、気遣うように名を呼ぶと、ルキーノから今まで聞いたことがないような気まずそうな声が聞こえてきた。
「………笑うなよ?」
「何がだ?」
「先に笑わないと言ってくれ」
「笑わないつもりだが、実際に見て笑ってしまったらすまん。これでいいか?」
「お前は俺のプライドをへし折ることにかけては天才だな……もういい、さっさと見やがれ」
やけっぱちな声と共にようやくこちらを向いたルキーノの顔を見て、笑うというより呆気にとられてしまった。
「……………それは……ジュリオの仕業か?」
「ああ、いい一撃だった……俺じゃなきゃ死んでたかもしれんな」
「確かに俺なら即死だな……よく生き延びたな」
右の頬に指の形まで判別できそうな、綺麗な手の形を維持した鮮やかな痣。
叩かれてすぐ散々冷やしたのだろう。
鬱血で青黒く染まってはいなかったが、ジュリオの一撃がどれだけの破壊力を持っているかを思い知らされる。指の形がわかるということは平手で叩かれたのだろうが、もし拳で殴られたりしていたら。
思わず背筋を寒気が走る。
ベルナルドがまじまじと顔を見ていることに気がついたのだろう、ルキーノは左頬を掌で包み込んで隠してしまった。
「あんまり見るなよ」
「見るつもりはないんだが……どうしても目がそっちに行ってしまうな」
「理由は聞かないのか? 俺がジュリオにここまでやられた理由を」
「俺の用はそれじゃないからな。お前をここから出すことが出来たら、その時に聞かせてもらうさ」
「………おい、爺さんの部下はどうした? 一人で来たのか、まさか?」
笑われなかったことで少し落ち着いたのか。
ルキーノはようやくこの状況の異常さに気がついたらしい。昨日ジャンとジュリオが訪問した時でさえ、顧問の部下は室内に控えていた。
だが今のベルナルドは一人でこの部屋を訪問している。
それが何を意味しているのかをルキーノに説明するために、ベルナルドはこの部屋で一番光に近い場所へと向かい歩みを進めた。ルキーノの家のベッドとは違う、柔らかいクリーム色のベッドカバーの上に自分の腰を沈めると、少しだけ距離が近づいたルキーノへと顔を向けた。
「カヴァッリ顧問と取引をした」
「取引?」
「賭といった方がいいかな……明日の朝までの間、お前と俺だけで話をさせてもらう。ただし、お前が俺の言葉を聞かずに話の進展がなければお前はそのまま裁判会議、俺は幹部を引退する」
「………当事者の俺には話しもなしで、よくもそんなことを決めてくれたな」
「お前は裁判会議にかけられても証拠不十分で悪くて引退だ、お前に不利な取引ではないはずなんだが、何か気にくわないところでもあるのか?」
「お前は俺が首を縦に振らなきゃ引退って事かよ! 何を考えてる!」
顔を隠す余裕を、今の言葉で失ったのだろう。
手を振り上げ、オーバーすぎる動きで怒り出すルキーノを鎮めるために、できる限りの落ち着いた声で彼に対応する。頼れる物はすぐ側にある暖かみのあるオレンジの光と、壁一面に広がる窓から差し込む地上と空の星の光だけ。
闇に締め付けられ、じわじわと恐怖が湧きあがってくる。
ジュリオがルキーノを殴り、ルキーノは自分に顔を見られたくなかったので電気を消した。そして自分がルキーノを説得するために持ち込んだ最後の手段は、この状況でこそ威力を発揮するものだった。
きっとジャンの幸運が自分を守ってくれている。
立ち上がってこのまま逃げ出したくなる足と、気を抜いたら叫び出しそうになる口。それを押しとどめてくれているのは、自分が誰かに守られているという自覚と、ルキーノへの真摯な思いだった。

彼がいたからここまで来ることが出来た。

彼が側にいてくれたから、今まで笑っていられた。

最初は彼の思いを冗談にしようとしたこともあったが、深紅の炎よりも熱く激しく燃えさかる愛情は、ベルナルドの心をじわじわと溶かしていった。この炎のような暖かさに甘え、今まで自分は何もしてこなかったのだ。
闇に怯える心を壁の奥に隠し、彼と相対していた、これはその結果だ。
「これが俺の覚悟だ。筆頭幹部としてお前の行動に責任をとらなければならない……というのが建前」
「本音は?」
「筆頭幹部は他の人間でもできるが、お前の側は他の誰にも渡したくない。それにお前が幹部を辞めたら、俺はもう筆頭幹部なんてやってられないさ」
そんなことを言い出すと思っていなかったのだろう、大きく目を見開いたルキーノに小さく頷いてやる。
彼とこうして再び会うまでの間、ずっと考え続けていた。
彼をどうやって説得するか、彼にどうやって自分の思いを理解してもらうか。互いへの関心が強いからこそ、強い愛情が生まれる。そしてそこから憎しみに近い羨望が生まれるというのなら。
それら全てを越えていくしかないのだ、自分たちは。
「さて、本題に入るか……」
「ベルナルド、お前調子が悪いのか? ひどい顔色だぞ」
「少しな。だが今お前と話をしなければ一生後悔する……お前だってそうだろう?」
「そうだな。これから俺がどうなるにしても、お前と話をしたかった」
ゆっくりと足場を確かめるかのように、ルキーノがこちらへと歩み寄ってくる。
彼の手を握れば、この限りない不安感を打ち消すことが出来るのだろうか。そんな事を思いながら、ベルナルドはそれに手を伸ばし、しっかりと指で挟み込んだ。これに手が届きやすいように座る位置を調整したのだ、少し伸ばしただけでそれはあっさりと手の中へと入ってきてくれた。
決して離さないように、そしてすがるかのように。
「別に理由を聞く気はない。だが、思いとどまってくれ。今のお前がしようとしていることは、単なる自殺だ」
「…………俺をどうやって止める? 抜け目のないお前のことだ、いい手ってやつを考えてきたんだろう」
「一つだけだがな……俺にとって裁定で最悪な手だがお前にとっては……どう受け入れてもらえるのやら」
指に強く力を込めることで、無理矢理震えを抑え込む。
これだけの立派なベッドだ、普段ならしっかりと体を預けることができるだろうに。床に足をつけても、もう片方の手で手をついていても、体が心許ないというか。
喉元すら締め付けられているような、声を出すことすら出来なくなりそうな重さに抗しながら、無意識的にそれをつかんだ手を離しそうになるのを慌てて押しとどめた。
勝負が始まる前から、コインを捨ててしまったなんて言ったら、ジャンに笑われてしまう。
「ルキーノ……お前はよく言っていたな、俺から筆頭幹部としての建前も、余計な物も全部引っぺがして、素っ裸にしてやりたいと……な」
「よく覚えてるな。お前の記憶力には感服するぜ」
「俺はお前が覚えていてくれたことに感謝しているよ……余計な説明をしなくて済む」
今の自分の武器は目の前の男と比べたくなくなるほど貧弱な腕と、指先が握る細い紐だけ。それすら、覚悟を決めて何かを行おうとする男に届くかわからない。
今ルキーノが自分の心を覗いてくれればどれだけ楽だろう。彼を救うことだけを考え、体全てを彼への思いでいっぱいにした今の自分を見てくれれば。
言葉や態度で示さなくても、わかってもらえるというのに。

「受け取れルキーノ、これがお前が一番脱がしたがっていた俺の……俺がお前に脱いで見せてやることができる最後の一枚だ」



余裕がなくなってきた声をもう隠すことなく、指の内で遊んでいたランプの紐を引いた。









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あと2回……出来れば今日中に終わらせたいです。どれだけ遅くなっても明日の午前中。

BGM「キミシニタモウコトナカレ」  by May'n

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色々説明






拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)


注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨


ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。


書いている人


みっし

・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。



うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。

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ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。

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