こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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ジュリオ×イヴァンこばなしです。
久々新規。
夜にでも修正と書き足しを(修正しました)。
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「CRAB or LOVE?」
特に誰かの誕生日だというわけではないのだが、今週の食事会のメニューは通常より遙かに豪華だった。生魚の切り身を利用したオードブルはカクテルグラスに綺麗に盛りつけられており、綺麗に殻を取り外されたマッドクラブはまるで塔の建築資材か何かのように精密に積み上げられていた。シェフが余程頑張ったのか、チリソースと香草で丸ごと一匹煮込まれたロブスターは一つの席に一皿ずつちゃんと置かれている。
そろそろ胃袋の老化が始まっている年長組は顔をしかめた後、カポに次は別な店に変えるように進言していたが、まだ食べ盛りの年下組にとってこれはチャンス以外の何物でもなかった。高級シーフードを組織の金で好きなだけ食べられる機会なんて、今後あるかどうかわからない。
少なくとも、ベルナルドの胃袋の容量が増えない限り、もうあり得ないと思った方がいい。
「ジャン……俺の分も食べていいぞ」
丸い巨大なテーブルのジャンの隣をちゃっかりと確保したベルナルドは、早速ほとんどの皿を彼に押しつけているし、ルキーノもジュリオの隣にさりげなく座って、彼に何を押しつけるべきなのかを考えているようだった。
そのジャンとジュリオに挟まれたイヴァンには、おこぼれが回ってきそうもない席順。
さすがのジャンもほぼ二人分は食べられないだろうから、彼経由で残り物は回ってくるのはわかっている。だが、ベルナルドの隣の席を直接ゲットしていれば、効率的に大量に食べられたのは言うまでもなく。
柔らかなオレンジ色の照明の下、組織の運営についてではなく食欲の赴くままに話が展開していくのは、今日のメインがカニだからだろうか。カニを食べるときは、どんな人間でも仕事を忘れるのはこの世の常である。
「イヴァン、さっさとハサミ貸せよ」
「ほらよっ、さっさと返せよ」
「サンキュ……ほらベルナルドも、もう少し喰えよ……」
「気持ちだけは有り難く受け取っておくよ」
小器用にハサミで巨大な爪を切り開くジャンは、少量しか食べようとしないベルナルドの分まで剥いてやっているようだが。当の本人に食べる気が全くないのだから、無駄なことをせずさっさとこちらによこせばいいのに。
子供の手首ほどありそうな足の肉にかぶりつきながらそう口にしようとして、もう片側の動向がふと気になった。
というか、目をやらないわけにはいかなかった。
「……………おいっ、なんでナイフ使ってんだよっ!」
「この方が剥きやすい」
「ナイフが錆びるだろうが………」
どれだけジュリオがナイフを持ち歩いているのか、イヴァンにはわからないが。
いつも仕事で使っているナイフより遙かに短く分厚い鋼の刃を使い、手を震わせながらカニの殻を切り開いている存在が隣にいるのはとてつもなく怖かった。カニの外殻なんて硬い物をあんな不器用な手つきで扱っていれば、手が滑ってこちらに刃が向かってくる可能性も十分ある。
それを察したルキーノはとっくにジュリオの手の範囲外へと椅子をずらしており、何食わぬ顔でロブスターを優雅にフォークで口に運んでいた。イヴァンもこういう時は離れるべき、それわかっているのだが。
「テメー、それちょっと貸せ。ジャン、ハサミ返せよ」
「ほれ、イヴァンは優しいよな……そういうとこ」
「うるせー、飯喰ってる最中にコイツに刺されたくないだけだ」
まずはジャンからハサミを、ジュリオからナイフを取り上げた。
表情は変わらないがこちらにあからさまに不快な目線を向けてくるジュリオを睨みつけ、Fuckと罵ってからハサミでジュリオの皿にあるカニを順番に切り分け始めた。まずは細くて剥きづらい下の足から、ここら辺は肉は少ないが歯ごたえのある濃厚な味がするので、イヴァンのお気に入りの部位である。
とはいえ上流階級のジュリオにそのままかぶりつかせるわけにもいかないので、手元にあった小皿に小骨を外して無造作に置いてやった。純白の皿に白さが際立つカニの中身、なんとなくだが美味しそうに見えない。
「喰えよ」
「…………何故だ?」
「テメーがそんなやり方してたら、俺が安心して喰えねーんだよっ! 四の五の言わずに喰っちまえ!」
大きなテーブルを挟んで向かい側からアレッサンドロの豪快すぎる笑い声が聞こえるが、それを無視して殻剥きを続行する。こういうちまちまとした作業は嫌いじゃないし、なによりフォークで自分が剥いたカニを食べ始めているジュリオに食べさせる必要がある。
険しい顔は変わらず、だが向けられる目線に混ざり始めていたのはほんの少しの柔らかさ。相手は今まで散々辛酸をなめさせられたジュリオだというのに、それを少しだけ嬉しく感じてしまうのは、彼が本当に美味しそうに食べているからだろう。
そう無理矢理脳内で結論づけて、イヴァンはジュリオに声をかけた。
「うまいか?」
「ああ」
「爪は最後な……それから他のモンは自分で喰えよ」
「わかってる」
こくりと頷きながらロブスターに手を伸ばすジュリオだが、やはり手が危なっかしい。
白いテーブルクロスに赤いチリソースがぼたぼたと落ちていくのをみて、イヴァンは無言でジュリオからロブスターの皿ごと取り上げることにした。カニを切っていたハサミで、そのままロブスターも食べやすいように細かくしてやる。
「どっちが年上だかわからないな……」
というルキーノの揶揄にもめげず、最後の大振りな爪の部分を小皿に落としてやると、それも瞬く間にジュリオの口の中へと消えていった。余程美味しかったのだろう、口以外が動かない顔の中で頬がほんのりと紅潮している。
そしてイヴァンを見る目にも、大きな変化が現れていた。
「な…………なんだよ、気持ち悪い目で見んなよ」
「……………………」
「ジャンッ、こいつどうにかしろ!」
「懐かれたんだろ? 食い物限定でさ」
「気持ち悪いんだよっ。ジュリオ、テメーはルキーノの方を見やがれ!」
笑顔になったというわけではないし、熱っぽい目で凝視しているわけでもない。
ただじっと、イヴァンと彼の持っているハサミを凝視しながら、何かを考えている。今を見ている目でも、未来を期待している目でもない。
その綺麗な瞳の中にあったのは、追憶という名の小さな光だった。
「父さんや……母さんが……昔……よくこうしてくれた」
一応、一応だが、親睦という名の会話で飾られていた食卓が一気に静まりかえった。
荒事と策謀で構成されているマフィアという生き物は、どうもこういうしんみりとした話題には耐性がない。気まずそうに周囲を見回す者、ジュリオの過去の生活を想像してちょっと涙ぐみそうになってる者。反応は人それぞれだが、イヴァンとジュリオ以外の全員の中で、共通しているものが一つだけあった。
ジャンはある意味論外なので、こういう時は除外される。
「…………ここの支払いは俺がしておく、もう散々喰ったし俺は帰るとするか。あとは若い者で楽しんでおけ」
と偉大なるカポが言えば。
「じゃあ同じく年寄りの俺も退散するか……ボス、近くにいい店があるんですがそちらに移動しませんか?」
「おいおい、俺も勿論連れてってくれるんだろうな?」
筆頭幹部と二番目の幹部も、上手く調子を合わせて一緒に出て行ってしまった。
出て行くまでの間、ジャンは相変わらず食べまくっていたし、イヴァンの口はボスと年上組を止めてはいたが手は相変わらずジュリオのためにせっせとシーフードを切っていたし。
ジュリオはただ無言で食べ続けていた。
「いや~いっぱい残ったな。ここの払い全部ボス持ちだろ? どでかいフルーツ盛りでも注文してやろうぜ?」
「ジャン……テメーの図太さはここまでくると凶器だな。ま、注文に関しては賛成だけどよ」
「んじゃでかいの頼んどくか。お、ベルナルドの奴マリネしか食ってない。ジュリオも喰うか?」
「はい」
事の成り行きがわからず唖然とした表情の店員にフルーツ盛りを注文し、広大なテーブルを占拠した三人はそれからもただひたすら食べ続けた。食べ盛りの若い男達だからできた技だが、さすがにデザートのフルーツが来る頃にはジュリオ以外は満腹になりつつあった。
奇抜な形と鮮やかな色を持ったフルーツは、そんな状態でも食欲を誘ってくれたりしたのだが。一口サイズに切り分けられたフルーツ、これならわざわざジュリオに剥いてやる必要もないだろう。
かなりほっとしながら男三人の目の前に置かれた大皿に手を伸ばそうとすると、それをさえぎるかのように何かが口元に差し出された。
「……おい、ジュリオ……なんだよこれは!?」
「食べろ」
「食べろじゃねぇぇぇぇぇぇ! なんで男に喰わせてもらわなきゃいけねーんだよ、俺はテメーの中ではガキかなんかなのか?」
鮮やかなオレンジの果肉の固まりが、目の前にあった。
ジュリオの持っているフォークに支えられているそれは、無理矢理でもイヴァンの口に入ってこようとしているのか、唇に押しつけられている状態になっている。
きっとジュリオなりの先程の礼なのだろうが、横でジャンが大爆笑しているというのに、ここで口を開けてしまうわけにはいかない。顔を背けても自分より遙かにリーチの長いジュリオの手は執拗に追いかけてくるし、唇を濡らし口の中に入り込んでくる果汁は甘く、そして鼻腔にとろけるような香りを運んできてくれている。
このまま口に押しつけられる状態だと、普通にぱくぱくと口に運んでいるジャンにほとんど食べられてしまう。カポや年上組がいなくてよかったと思いながら、イヴァンは軽く口を開けてジュリオの差しだしてきた果物を素早く口に入れた。
甘く溶けるような果肉を咀嚼しながら、もうこの店には来れないなと一人反省会をしつつ。さぞ満足げな顔をしているのだろうとジュリオを観察しようとすると。
その目は、先程より熱っぽさを増してイヴァンの顔を、いや唇を凝視していた。
「ジュリオ?」
さすがに疑問に思ったジャンが声をかけるが、ジュリオはそれに応える様子もなく、そのまま手を伸ばし。
「ちょ、ま、待てっ!」
「な、なぁぁぁぁぁ!???」
イヴァンの後頭部に大きな掌をまわすと、そのまま頭を己の方へ引き寄せ。ジャンの制止の声やイヴァンの叫びを全く気にすることなく、果汁で濡れた唇をぺろりと舐め上げた。
あまりの出来事に硬直するイヴァンと、さすがにこれを茶化すわけにはいかないと判断したジャンの見守る中、満足げなジュリオの吐息が口から漏れだした。
「美味しい」
「おいしい、じゃねぇ! オレはテメーの食い物じゃねえし、なによりうまそうだからって人の口を舐めんなっ!」
「えっと……ジュリオ? さすがにイヴァンを喰うと……腹壊す……と思う……はずなんだけど……」
ジャンですら説教していいのかわからない状況の中、ジュリオだけが満足そうに、幸福そうに。
この日はじめて口元をほころばせた。
後にジュリオは言葉少なに本当に美味しそうだったから、と語っているが。
美味しかったのは付着していた果汁なのか、それともイヴァンの唇だったのか。そのことについては一切口にしようとしなかった。
BGM 「cazador del amor」 by YUUKA
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
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ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。
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