がんかたうるふ 「Get down」 ジュリジャン 忍者ブログ
こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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ジュリジャンこばなし、サイトより移動。







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「Get down」






血なんていうものはあっという間に乾いて固まる。
どろどろと皮膚に付着しているのなんてほんのわずかの間、すぐに皮膚にこびりつき赤黒い粉を落とし始め、そして離れていくのだ。服につくと厄介な濁りも、腐りきった匂いも、我慢すればすぐ消えてしまう。
そう素直に伝えると、彼は綺麗な眦をつり上げて声を荒げ始めた。
「あのな、見ているこっちが気が気じゃないんだよ。血まみれのお前を出迎える俺の気持ちになってみろ。毎回この調子だったらな、俺もそろそろ前髪と綺麗にお別れできそうだぜ」
「でも、俺……怪我して、ないです」
「怪我してたらもっと心配するに決まってるだろうっ!」
小さな、そして優しい二人だけの空間。
普段は絶対に声を荒げず、そこへと優しく迎え入れてくれる彼が何故か今日は怒りっぽいというかなんというか。強く一度だけこちらを睨みつけると、奥へとすぐに引っ込んでしまった。
「…………ぁ………………………………………………」
首元のスカーフで上手く隠しているが、スーツの前面は赤黒い液体が染みこんでしまっている。それと暗い色のスーツの組み合わせだからこそごまかせているが、ジュリオの事情を知っているものが見れば、彼が仕事に行ってきたことがすぐわかるだろう。
だからこそ、こんなに汚れて帰ってきた自分は嫌われてしまったのだろうか。一瞬だけそう考えたが、部屋の奥から響いてきた声が暗い思考に落ちそうになっていたジュリオを繋ぎ止めてくれた。
「そっから動くなよ! 今着替え持ってくるから」
声にはまだ怒りが含まれているが、それでも彼が自分のために何かをしてくれることは純粋に嬉しい。
「ありがとう、ございます」
「家が汚れるからそこで立ってろ…………ったく、俺の気も知らないで……」
ぶつぶつと呟く声に、引き出しをがたごとと開く音が重なる。
布がこすれあう音や、タオルを用意しているのか水音までもが響き始め、少なくとも自分が嫌われていないことだけは理解することができた。少なくとも彼は、嫌いな相手のために労力を割くような人間ではない。
水分を吸いすぎて重くなったスカーフを指で弄んでいると、着替えと濡れたタオルを抱えた彼が急ぎ足で戻ってきた。
「髪まで汚れてるぞ、ほらさっさと拭け」
「はい」
「顔も拭いとけ、服は俺が脱がしてやるから……うわ、もう固まってんじゃんかよ。もったいないけど破くぞ」
血が固まって、ボタンが外せないのだろう。
上着のボタンをを苛立たしげにちぎり取ると、そのまま肩を滑らせて上着を落としてくれる。ごわごわに乾き別な色に染まったシャツを見て、目の前の彼の顔が一気に歪められた。
「ひでえな」
何の感情の色も乗せられていない、乾いた声。
そういえば過去に自分と関わってきた人たちも、こんな声を時折出していた。仕事中の自分と関わった時、祖父の折檻を受けている自分を見た時。この声を聞いた後、自分はしばらく誰にも触れてもらえないのが当たり前で、それを受け入れてきたのが今の自分で。
でも彼には離れて欲しくない、自分に触れて欲しい。
だから今の自分に出来る限りの思いを込めて、必死に謝罪の言葉を紡いでいく
「ごめんなさい、汚して、しまって……今度は、着替えてから、帰ってきます……」
「ジュリオ、お前なんか勘違いしてないか?」
「え?」
どこに汚れがついているのかわからず、彼に言われたからという理由でタオルで頭を拭き続ける。汚れを落とせば彼に嫌われない、きっと自分から離れていかない。
髪の毛が抜け落ちる勢いで必死に頭をこすっていると、急に前髪をぐいっと引っ張られた。
目の前には、優しい人の綺麗な色合いの金の髪。

そして、まっすぐすぎる綺麗な瞳。

ジュリオが何があっても汚したくない、そのままであってほしいと思う彼の目が、じっとこちらを見つめてきた。
「俺はな、お前にそんな仕事しかさせられない俺に腹が立ってるだけだ」
「でも俺、これが仕事、です……」
「お前のそういうところがな……まあこれは言ってもしょうがない、俺が変えりゃいいだけだ」
ため息と共に、不意打ちのようにつんと額をつつかれた。
驚いて目を見開いていると、持っていたタオルも奪われてしまう。
「顔にもついてるぞ、それに髪もぐしゃぐしゃにして。もうちょっと頭下に向けろ、拭いてやるから」
「…………ジャン?」
一体彼が何を考えているのかわからないまま、髪と顔を丁寧に拭ってくれる彼の手の感触に身を任せる。できるだけ体をかがめて、彼が拭きやすいように頭を彼に差しだして。
「お前の髪、触ってると気持ちいいな」
「あの、ジャン?」
「なんだ?」
「俺…………その…………汚くないですか?」
鼻歌交じりに自分の髪に触れている彼に、そんな事を聞いてみる。
血は乾いて体から離れていくけど、人を殺めたという事実は体から離れることはない。どろどろに腐って心の奥底に沈殿し、そしていつか自分を狂喜という名の最高の腐敗へと導いていくのだ。彼と再会するまではそうなるのが自分の運命だと思っていたが、今はそれが怖くてしかたがない。自分が狂おうが死のうがそれはどうでもいいが、彼だけは、それに巻き込むわけにはいかないのだ。
自分の汚れは自分だけのもの、病原菌ではないのだから伝染なんてするわけがない。
でも、自分を受け入れ側にいてくれる彼は、汚れきっていつかは壊れる自分をどう思っているのだろうか?
「お前、俺のこと汚いって思うか?」
余程情けない顔をしていたのだろう、髪の毛から血の塊を取ろうと努力していた指が、自分の頬に押し当てられる。愛おしむように、そして汚れをぬぐい取るかのように動く指は、いつもと変わらず暖かく優しく。
誰よりも力強かった。
「思いません、絶対、そんなこと」
「なら俺もそう思う、それでいいだろ?」
言いたいことも聞きたいことも、山程あった。
こんな自分をそれでも愛してくれるのか、受け入れ続けてくれるのか。例え自分がどんな風になっても、最期まで見届けてくれるのか。
側に、いてもいいのか。
自分が抱える色々な思いなんて、彼は全てわかっているのだろう。全てを受け入れて飲み込んだ上で、自分の心を守ろうとする彼。
そんな彼に自分が返せる物は何なのだろう?
わからぬまま、彼の背に自分の手を回す。抱きついて彼のぬくもりを分けてもらえば、それがわかるような気がした。
「俺にまで服を洗濯させる気か?」
子供っぽい笑い声と共に、彼の手も自分の手に回された事にわずかの安堵を感じながら目を閉じる。

恐れる未来も、彼の腕の中には入ってくることができないことだけはわかっていたから。








BGM 「Get down」  by野猿
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色々説明






拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)


注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨


ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。


書いている人


みっし

・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。



うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。

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こんな二人で、ここを更新しております。

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