こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
一話に注意書きがあります。
三親 パロディ
いつも以上に捏造、キャラ崩壊が激しいのですがそれでもよろしければどうぞ
書いた人:みっし
三親 パロディ
いつも以上に捏造、キャラ崩壊が激しいのですがそれでもよろしければどうぞ
書いた人:みっし
*****
「警察には原因として高校生の痴話げんかと伝えておいたので長曾我部の方も軽い説教で済んだ…。主も蒲田行進曲並に見事な階段落ちしたかと思いきやたまたま下にあった羽毛布団にくるまれてほぼ無傷であったしなぁ。元より今の警察に長曾我部の相手を出来る人間がいるとも思えん。専門家でもさじを投げ出すぐらいだし」
ベッドで横になったままの私に、刑部が説明する。あれから駅員への連絡、警察への通報、救急車への通報などなどほとんどやってくれていたらしい。
うぬ、ただでさえ頭が上がらないのに、余計上がらなくなってしまった。さぁどうしよう。
その刑部の隣では松永が怪訝な顔をしていた。
「なんで羽毛布団が下にあったのかが個人的には気になるのだが…鑑定すれば責任能力が無いことは証明できるけれども本人が拒否しているからねぇ…なんともはや」
確かに何で布団があったのだろう。
「何でも布団を買ってそれを持ったまま階段に上ろうとした老人が置いた直後に主が転がってきたらしい。やれ本当に命拾いしたのう」
「…元気な年寄りだな…。…それで、元親は」
私を突き落として、隣に立ったところまでは覚えているのだがそしてどうしたのだろう。
「彼なら今、風魔が付いてるよ。話さないから刺激しないらしい」
むしろ野放しにしておく方が危険だ、という松永の言葉には心底同意する。まぁ今回おかしくなったのは私のせいでもあるので、申し訳ない思いもある。
「…さて…三成には申し訳ないが、本題に入らせてもらうかのう。ちょうど良いから松永も聞いておけ。主にも関係がある話だ」
起き上がろうとする私を手で制止しながら刑部が言う。
「私にもかい?…というか警察が情報を漏らしても良いのかい?私は言わないが。その方が楽しいから」
にやりと顔を歪ませる松永はやっぱりろくでなしだと思うのだ。
「主のためでは無い。三成と…長曾我部の為よ」
刑部が話し始めたのはやはりというか、連続殺人事件の事についてだった。
被害者に共通項は無い。恐らく無差別殺人だと思われること。
現場に痕跡がおかしなぐらい残っていない。これについては殺しの天才でも潜んでいるのではなかろうか、というのが刑部の見解。実際、そういう犯人も確かに世の中にはいるらしい。
犯行時間が夕方中心であることから、日中は動けない存在。即ち学生が犯人なのでは無いかと思われていること。
そして、もう一つ関係者以外が知らない事実を刑部は話し出す。
「実はなぁ、これらのように明確に殺人だと思われる事以外、自殺と思われる事件も同一犯の犯行じゃ無いかと思われるのがいくつかある。だからこれは三件ではなく、七件ぐらいに上るのだ。そしてそれらの死亡推定時刻は夜中から明け方。即ち、今回の事件発生の主な時間は夕方から明け方までということじゃ」
それでも日中はやはり除外される。
「…そして、犯人は学生ではないかという話にもなっていてな…三成、お主と長曾我部はマークされるかもしれん」
ああ、幼少期に悲惨な事件を経験したから模倣するとでも思われるのだろうか。
松永は刑部のその言葉に対し、眉根を寄せる。
「…それは…日頃の彼らを知っていたら無理だと思うがね。君はともかく、あっちの彼は、取り繕うことをまずしないだろうし」
「同感だ」
元親であれば。やっちゃった、といって黒田の時と同じように現物を持ってきそうである。取り繕うという概念がそもそも無いのだ。だから彼は除外される。そして自己弁護にはなるが、私は人を殺して楽しむ趣味は無い。断言しよう。
そう伝えると、刑部の目が嬉しそうに歪む。何故だ。
「…主はそのあたりが全く変わらんのう…」
何故黒田もそうだが皆こぞって懐かしそうな顔をするのだ。解せぬ。
「しかし…何というか、奇妙な事件ではあるのだよ。息をするように殺人を犯す人間は、確かにこの世にいる。ひょっとしたら犯人は、コンビニにでも行った行き帰りとかに目に付いた人間を殺害しているのかもしれない…殺された方にしたらたまったもんじゃないだろうけれどね。ただ、犯人には何かの基準があっての行動かもしれない。まったくの無差別とは言い切れないのだよ」
まぁ事件のきっかけなんでそんなものだろう。松永の話を聞いて、そう思う。
それと同時に一つの事に気がつく。
犯人の行動の基準となるもの。
「…事件は全て、今年になってからのものだったな」
「さよう。いずれも四月から今月七月までの間に表向きは三件、裏のものも含めて七件起こっておる」
刑部はそう答える。
目を閉じて考えた。
今年に入ってから起こったこと。
クラス替え。始業式。殺人事件が二件。
中間テスト、朝礼の最中に元親が立ちながら寝ていた。
開会式だけ出てサボっていた体育祭。
期末テスト。そして…三度目の事件
元親以外は鮮明には思い出せないそれに、一つの疑念が浮かび上がる。
ああ、そうだ。簡単じゃ無いか。
思い返せば、彼が側に居たんだ。
「…三成よ。というわけで主に伝えたかったのはくれぐれも刑事が来たからと言って慌てるでないぞ、ということだ。また、この藪医者も協力してくれるようであるから、遠慮無く使うが良い」
「…藪医者呼ばわりとは良い度胸だな」
「主は心が広いからこれぐらいは許してくれるであろう」
頭上の刑部と松永のやりとりをぼんやりしながら聞いていた。
「…元親、ちかちゃん。帰るぞ」
五体満足というお墨付きをもらった私は、別室で助手の風魔と話をしている元親に声をかける。
「あー、なりくんだ」
私を見つけると元親は笑顔で駆け寄る。
「なりくん分補給ー」
「はいはい…好きにしろ」
正面から抱きついてくる元親を止めもせず好きにさせる。こうしてみると巨大な犬になつかれているような気分になる。まぁ実際は人間なのだが。
それにしてもとてもじゃないが、無表情に階段から突き落とした人間には見えない。あれは彼の中では嘘付いたなりくんが悪いということで落ち着いているのだろう。彼がそれに関して謝ることは無い。だから、私もこれに関しては何も言わない。
「…………」
元親がようやくはがれたかと思うと、その後ろから物言わぬ風魔が見守っていた。彼は変わらない。昔から何も、変わらない。
変わらないそれが、今はありがたかった。
次の日は、約束通り元親と森林公園でデートしたり、叔母からの電話を対応するうちにあっという間に終わった。
そしてまた迎えた月曜日。元親が離れた隙を狙って私はある場所を探す。
『拝啓
あなたの秘密を知っています。
以下の時刻に以下の場所にてお待ちしております
×月×日 夜十時 ○○森林公園にて』
そして、とある人物の靴箱に、それを投げ入れておく。
それは一つの賭けだった。
だけど、プライドが高いあの男なら出てくると思ったのだ。
街の中心部からは離れた、といっても歩いて行ける範囲にある森林公園。私は私服でそこにいた。周囲に人影はない。第三の事件の影響か、この時間に出歩くのは命が惜しくない馬鹿か、時間に関係なく働かなければならない人間に限るのかもしれない。
元親はもう寝ている。部屋中の電気を付けてきたので大丈夫だとは思うのだが、できる限り早く戻りたいことには変わりが無い。
手元の携帯で時間を確認する。
時刻は十時になろうとしていた。
ふと、公園の入り口に人影があることに気がつく。フードを目深に被っているようで、顔は見えない。ただ、向こうはこちらが見えるのか、足早に向かってくることは確認できた。そして、距離が詰まってきたその時、人影が恐らくはポケットから、刃渡り何センチになろうかというナイフを取り出すのが見えた。月明かりと公園の照明の下、その刃がきらめく。
「……っ…」
咄嗟に私は身を翻す。そして、背後からの気配を感じながら公園の奥に向かって駆けだした。
公園の中、追いかけっこは続く。
追われるのは私。
追いかけるのは、連続殺人犯だと思われる男。
だがそれも、もう少しで終わる。いや、終わらせる。そのために、ここを選んだのだから。
目の前に現れたそれを私は咄嗟に飛び越える。
「!?」
だが、背後から追ってきていた犯人は見逃したらしい。咄嗟に目の前の柵を越えられなかった犯人はそれを避けきれず、転んでしまう。
痛みにのたうつ犯人の背後から馬乗りになり押さえつける。元親の時と言い、最近はこんな事ばかりしているのはどうしてだろうと思いながら、私は暴れる犯人の頭からフードをはがす。
「…ああ、やっぱりお前か」
見たことがある顔だった。私はそれを、知っていた。
「生徒会長」
ようやく見えた犯人の顔は、紛れもなく我が校の生徒会長。毛利元就に間違いなかった。
毛利は何も言わない。ただ、狂気に満ちた目で私を見ている。
私はそれを見たことがある。
ああ、またか。
きっと、我に返った毛利は何も覚えていないに違いない。
お前はまたそうやって己を守るのか。あの時と同じで。彼を壊したときのように。
「…まともにお目にかかるのは初めてか。連続殺人犯」
「………」
毛利は口を開かない。答える気も無いのかもしれない。私もフードを目深に被ったままなので向こうから顔を見ることは難しいのかもしれない。
犯人が毛利では無いかと思ったきっかけは、実に単純だ。
思い返せばいずれの殺人事件も、その日に毛利は私たちと接触している。
四月の時は、教室で弁当を食べていたら用事があったらしく入ってきた。過剰なまでに私とべたべたする元親をにらみつけるように見ていた。話さなかったので私はすっかり忘れていたが、思いかえせばあれは毛利だった。
あとは全校朝礼であったり、行事であったり、なんらかの事情で顔を合わせることもあった。
そして先日。屋上で顔を会わせた。声もかけられた。その日に第三の事件が起こった。
強引な辻褄合わせと言えばそれまでだが、犯人の犯行のきっかけとしてならあり得ると思ったのだ。
過去の事件において、境遇を共にした人間と近づくことで、殺人衝動が起こることも十分あり得るのでは無いかと。
マウントポジションを取った事で安心していたのが悪かったのだろうか、ふと左足に激痛を感じて目を向けると、やや細身のナイフが足に突き刺さっていた。これは、痛い。
次いで、もう一回。今度は腕に刺さる。
痛い。痛い。痛い。これは、危ない。
一体どれだけ隠し持ってしていたというのだろう、この男は。
座っていることも難しくなり、私の体はそのまま地面に崩れ落ちる。そしてその下から毛利が這い出てくる。止めようと思ったが、何も出来ない。痛い、痛い、痛い、血が滲む、痛い、苦しい、痛い。
やはり連続殺人犯(確定)に一人で挑むのは無理があったか。動けない体でそんなことを考える。
そして、フードを被り直した毛利は、相も変わらず狂気に満ちた表情を私に向ける、それと同時に、持っていた大ぶりなナイフを私の頭上に振り下ろそうとする。
ああ、これは、死んだな。
咄嗟にそう思った。
父さんに殴られて叩かれて頭をバットで殴られても殴られても刺されても落とされても死ななかったのに、私はここで死ぬのか。
母さんも兄さんも妹も義母さんも見殺しにした私はここで死ねるのか。
私が死んだら、元親はどうなるんだろう。そう思ったら自然と口が動いていた。
「…偽物の、私が、本物、になった」
ふと、毛利は動きを止めるのが見えた。痛みでちゃんと言えているか自信は無いが、途切れ途切れに言う。
「…本物、の、お前が、今、では、偽物、だ」
ちがう、とかうそだ、とか小さな声がきこえたような気もするが、関係ない。
それよりも今はただ痛い。
「偽物の、お前は、もう、ちかちゃんの、隣に、いら、ない」
それを伝えるとがくがくと震えながら毛利はちがう、それは、ちがう、本当は、本物は、と何度も繰り返し言う。
「さよなら、偽物」
やっとの思いで最後にそれだけ呟いた。
動けない体が恨めしかったが、狂気だけでは無く、驚愕に満ちあふれた毛利の表情を見て、こうも思った。
ざまぁみろ、と。
痛みで遠のく意識の中。そんなことを考えていた。
父さんが帰ってきた。
でも父さんは機嫌が悪いと私を殴るから、それが嫌で遠くから見ていた。
父さんは、縄でぐるぐるまきにした子供をつれていた。茶色の髪の男の子と、私のように銀色の髪の男の子。二人はしゃべれないようにされていたけど、泣きそうだった、
私は慌てて義母さんの所に向かう。縁側にいた義母さんに向かって飛びつくと目を丸くして言った。
『どうしたの?』
本当の母さんのことはあまり覚えていないから、なおのこと私はこの義母さんが好きだった。私は慌ててさっきみたものを伝える。すると全て聞き終えた義母さんは、顔を真っ青にしてこういった。
『すぐにお隣にいって誘拐犯がいます、とつたえてきて』
そうして遠くの廊下から父さんの歩く足音が聞こえてくる。母さんは自分のサンダルを私に渡すと同時に私の背を押した。
『急いで!』
その声がとても必死だったから、私は走った。大きいサンダルは足に合わなかったけど、それでも走った。
うちは大きいからかわからないけど、お隣さんからはとても離れていた。だから走った、
走りながら、後ろにいつものようにバットを持った父さんが追ってきているような気配を感じながら、怖くて後ろは見られなかったけれども、走った。
畑のあぜ道を必死で走った。
だけれども、サンダルで走るのはやっぱり限界があって、私は石に躓いて転んだ。
それでも立ち上がろうとする私の頭に、バットが振り下ろされた。
その衝撃で、その後の事はよく覚えていない。
ただ思い出せるのは、その日が長い一年の始まりだったという事だけ
そして私が、毛利元就と長曾我部元親の二人に出会ったのもこの日が初めてだったということだけだ。
○あと少し
ベッドで横になったままの私に、刑部が説明する。あれから駅員への連絡、警察への通報、救急車への通報などなどほとんどやってくれていたらしい。
うぬ、ただでさえ頭が上がらないのに、余計上がらなくなってしまった。さぁどうしよう。
その刑部の隣では松永が怪訝な顔をしていた。
「なんで羽毛布団が下にあったのかが個人的には気になるのだが…鑑定すれば責任能力が無いことは証明できるけれども本人が拒否しているからねぇ…なんともはや」
確かに何で布団があったのだろう。
「何でも布団を買ってそれを持ったまま階段に上ろうとした老人が置いた直後に主が転がってきたらしい。やれ本当に命拾いしたのう」
「…元気な年寄りだな…。…それで、元親は」
私を突き落として、隣に立ったところまでは覚えているのだがそしてどうしたのだろう。
「彼なら今、風魔が付いてるよ。話さないから刺激しないらしい」
むしろ野放しにしておく方が危険だ、という松永の言葉には心底同意する。まぁ今回おかしくなったのは私のせいでもあるので、申し訳ない思いもある。
「…さて…三成には申し訳ないが、本題に入らせてもらうかのう。ちょうど良いから松永も聞いておけ。主にも関係がある話だ」
起き上がろうとする私を手で制止しながら刑部が言う。
「私にもかい?…というか警察が情報を漏らしても良いのかい?私は言わないが。その方が楽しいから」
にやりと顔を歪ませる松永はやっぱりろくでなしだと思うのだ。
「主のためでは無い。三成と…長曾我部の為よ」
刑部が話し始めたのはやはりというか、連続殺人事件の事についてだった。
被害者に共通項は無い。恐らく無差別殺人だと思われること。
現場に痕跡がおかしなぐらい残っていない。これについては殺しの天才でも潜んでいるのではなかろうか、というのが刑部の見解。実際、そういう犯人も確かに世の中にはいるらしい。
犯行時間が夕方中心であることから、日中は動けない存在。即ち学生が犯人なのでは無いかと思われていること。
そして、もう一つ関係者以外が知らない事実を刑部は話し出す。
「実はなぁ、これらのように明確に殺人だと思われる事以外、自殺と思われる事件も同一犯の犯行じゃ無いかと思われるのがいくつかある。だからこれは三件ではなく、七件ぐらいに上るのだ。そしてそれらの死亡推定時刻は夜中から明け方。即ち、今回の事件発生の主な時間は夕方から明け方までということじゃ」
それでも日中はやはり除外される。
「…そして、犯人は学生ではないかという話にもなっていてな…三成、お主と長曾我部はマークされるかもしれん」
ああ、幼少期に悲惨な事件を経験したから模倣するとでも思われるのだろうか。
松永は刑部のその言葉に対し、眉根を寄せる。
「…それは…日頃の彼らを知っていたら無理だと思うがね。君はともかく、あっちの彼は、取り繕うことをまずしないだろうし」
「同感だ」
元親であれば。やっちゃった、といって黒田の時と同じように現物を持ってきそうである。取り繕うという概念がそもそも無いのだ。だから彼は除外される。そして自己弁護にはなるが、私は人を殺して楽しむ趣味は無い。断言しよう。
そう伝えると、刑部の目が嬉しそうに歪む。何故だ。
「…主はそのあたりが全く変わらんのう…」
何故黒田もそうだが皆こぞって懐かしそうな顔をするのだ。解せぬ。
「しかし…何というか、奇妙な事件ではあるのだよ。息をするように殺人を犯す人間は、確かにこの世にいる。ひょっとしたら犯人は、コンビニにでも行った行き帰りとかに目に付いた人間を殺害しているのかもしれない…殺された方にしたらたまったもんじゃないだろうけれどね。ただ、犯人には何かの基準があっての行動かもしれない。まったくの無差別とは言い切れないのだよ」
まぁ事件のきっかけなんでそんなものだろう。松永の話を聞いて、そう思う。
それと同時に一つの事に気がつく。
犯人の行動の基準となるもの。
「…事件は全て、今年になってからのものだったな」
「さよう。いずれも四月から今月七月までの間に表向きは三件、裏のものも含めて七件起こっておる」
刑部はそう答える。
目を閉じて考えた。
今年に入ってから起こったこと。
クラス替え。始業式。殺人事件が二件。
中間テスト、朝礼の最中に元親が立ちながら寝ていた。
開会式だけ出てサボっていた体育祭。
期末テスト。そして…三度目の事件
元親以外は鮮明には思い出せないそれに、一つの疑念が浮かび上がる。
ああ、そうだ。簡単じゃ無いか。
思い返せば、彼が側に居たんだ。
「…三成よ。というわけで主に伝えたかったのはくれぐれも刑事が来たからと言って慌てるでないぞ、ということだ。また、この藪医者も協力してくれるようであるから、遠慮無く使うが良い」
「…藪医者呼ばわりとは良い度胸だな」
「主は心が広いからこれぐらいは許してくれるであろう」
頭上の刑部と松永のやりとりをぼんやりしながら聞いていた。
「…元親、ちかちゃん。帰るぞ」
五体満足というお墨付きをもらった私は、別室で助手の風魔と話をしている元親に声をかける。
「あー、なりくんだ」
私を見つけると元親は笑顔で駆け寄る。
「なりくん分補給ー」
「はいはい…好きにしろ」
正面から抱きついてくる元親を止めもせず好きにさせる。こうしてみると巨大な犬になつかれているような気分になる。まぁ実際は人間なのだが。
それにしてもとてもじゃないが、無表情に階段から突き落とした人間には見えない。あれは彼の中では嘘付いたなりくんが悪いということで落ち着いているのだろう。彼がそれに関して謝ることは無い。だから、私もこれに関しては何も言わない。
「…………」
元親がようやくはがれたかと思うと、その後ろから物言わぬ風魔が見守っていた。彼は変わらない。昔から何も、変わらない。
変わらないそれが、今はありがたかった。
次の日は、約束通り元親と森林公園でデートしたり、叔母からの電話を対応するうちにあっという間に終わった。
そしてまた迎えた月曜日。元親が離れた隙を狙って私はある場所を探す。
『拝啓
あなたの秘密を知っています。
以下の時刻に以下の場所にてお待ちしております
×月×日 夜十時 ○○森林公園にて』
そして、とある人物の靴箱に、それを投げ入れておく。
それは一つの賭けだった。
だけど、プライドが高いあの男なら出てくると思ったのだ。
街の中心部からは離れた、といっても歩いて行ける範囲にある森林公園。私は私服でそこにいた。周囲に人影はない。第三の事件の影響か、この時間に出歩くのは命が惜しくない馬鹿か、時間に関係なく働かなければならない人間に限るのかもしれない。
元親はもう寝ている。部屋中の電気を付けてきたので大丈夫だとは思うのだが、できる限り早く戻りたいことには変わりが無い。
手元の携帯で時間を確認する。
時刻は十時になろうとしていた。
ふと、公園の入り口に人影があることに気がつく。フードを目深に被っているようで、顔は見えない。ただ、向こうはこちらが見えるのか、足早に向かってくることは確認できた。そして、距離が詰まってきたその時、人影が恐らくはポケットから、刃渡り何センチになろうかというナイフを取り出すのが見えた。月明かりと公園の照明の下、その刃がきらめく。
「……っ…」
咄嗟に私は身を翻す。そして、背後からの気配を感じながら公園の奥に向かって駆けだした。
公園の中、追いかけっこは続く。
追われるのは私。
追いかけるのは、連続殺人犯だと思われる男。
だがそれも、もう少しで終わる。いや、終わらせる。そのために、ここを選んだのだから。
目の前に現れたそれを私は咄嗟に飛び越える。
「!?」
だが、背後から追ってきていた犯人は見逃したらしい。咄嗟に目の前の柵を越えられなかった犯人はそれを避けきれず、転んでしまう。
痛みにのたうつ犯人の背後から馬乗りになり押さえつける。元親の時と言い、最近はこんな事ばかりしているのはどうしてだろうと思いながら、私は暴れる犯人の頭からフードをはがす。
「…ああ、やっぱりお前か」
見たことがある顔だった。私はそれを、知っていた。
「生徒会長」
ようやく見えた犯人の顔は、紛れもなく我が校の生徒会長。毛利元就に間違いなかった。
毛利は何も言わない。ただ、狂気に満ちた目で私を見ている。
私はそれを見たことがある。
ああ、またか。
きっと、我に返った毛利は何も覚えていないに違いない。
お前はまたそうやって己を守るのか。あの時と同じで。彼を壊したときのように。
「…まともにお目にかかるのは初めてか。連続殺人犯」
「………」
毛利は口を開かない。答える気も無いのかもしれない。私もフードを目深に被ったままなので向こうから顔を見ることは難しいのかもしれない。
犯人が毛利では無いかと思ったきっかけは、実に単純だ。
思い返せばいずれの殺人事件も、その日に毛利は私たちと接触している。
四月の時は、教室で弁当を食べていたら用事があったらしく入ってきた。過剰なまでに私とべたべたする元親をにらみつけるように見ていた。話さなかったので私はすっかり忘れていたが、思いかえせばあれは毛利だった。
あとは全校朝礼であったり、行事であったり、なんらかの事情で顔を合わせることもあった。
そして先日。屋上で顔を会わせた。声もかけられた。その日に第三の事件が起こった。
強引な辻褄合わせと言えばそれまでだが、犯人の犯行のきっかけとしてならあり得ると思ったのだ。
過去の事件において、境遇を共にした人間と近づくことで、殺人衝動が起こることも十分あり得るのでは無いかと。
マウントポジションを取った事で安心していたのが悪かったのだろうか、ふと左足に激痛を感じて目を向けると、やや細身のナイフが足に突き刺さっていた。これは、痛い。
次いで、もう一回。今度は腕に刺さる。
痛い。痛い。痛い。これは、危ない。
一体どれだけ隠し持ってしていたというのだろう、この男は。
座っていることも難しくなり、私の体はそのまま地面に崩れ落ちる。そしてその下から毛利が這い出てくる。止めようと思ったが、何も出来ない。痛い、痛い、痛い、血が滲む、痛い、苦しい、痛い。
やはり連続殺人犯(確定)に一人で挑むのは無理があったか。動けない体でそんなことを考える。
そして、フードを被り直した毛利は、相も変わらず狂気に満ちた表情を私に向ける、それと同時に、持っていた大ぶりなナイフを私の頭上に振り下ろそうとする。
ああ、これは、死んだな。
咄嗟にそう思った。
父さんに殴られて叩かれて頭をバットで殴られても殴られても刺されても落とされても死ななかったのに、私はここで死ぬのか。
母さんも兄さんも妹も義母さんも見殺しにした私はここで死ねるのか。
私が死んだら、元親はどうなるんだろう。そう思ったら自然と口が動いていた。
「…偽物の、私が、本物、になった」
ふと、毛利は動きを止めるのが見えた。痛みでちゃんと言えているか自信は無いが、途切れ途切れに言う。
「…本物、の、お前が、今、では、偽物、だ」
ちがう、とかうそだ、とか小さな声がきこえたような気もするが、関係ない。
それよりも今はただ痛い。
「偽物の、お前は、もう、ちかちゃんの、隣に、いら、ない」
それを伝えるとがくがくと震えながら毛利はちがう、それは、ちがう、本当は、本物は、と何度も繰り返し言う。
「さよなら、偽物」
やっとの思いで最後にそれだけ呟いた。
動けない体が恨めしかったが、狂気だけでは無く、驚愕に満ちあふれた毛利の表情を見て、こうも思った。
ざまぁみろ、と。
痛みで遠のく意識の中。そんなことを考えていた。
父さんが帰ってきた。
でも父さんは機嫌が悪いと私を殴るから、それが嫌で遠くから見ていた。
父さんは、縄でぐるぐるまきにした子供をつれていた。茶色の髪の男の子と、私のように銀色の髪の男の子。二人はしゃべれないようにされていたけど、泣きそうだった、
私は慌てて義母さんの所に向かう。縁側にいた義母さんに向かって飛びつくと目を丸くして言った。
『どうしたの?』
本当の母さんのことはあまり覚えていないから、なおのこと私はこの義母さんが好きだった。私は慌ててさっきみたものを伝える。すると全て聞き終えた義母さんは、顔を真っ青にしてこういった。
『すぐにお隣にいって誘拐犯がいます、とつたえてきて』
そうして遠くの廊下から父さんの歩く足音が聞こえてくる。母さんは自分のサンダルを私に渡すと同時に私の背を押した。
『急いで!』
その声がとても必死だったから、私は走った。大きいサンダルは足に合わなかったけど、それでも走った。
うちは大きいからかわからないけど、お隣さんからはとても離れていた。だから走った、
走りながら、後ろにいつものようにバットを持った父さんが追ってきているような気配を感じながら、怖くて後ろは見られなかったけれども、走った。
畑のあぜ道を必死で走った。
だけれども、サンダルで走るのはやっぱり限界があって、私は石に躓いて転んだ。
それでも立ち上がろうとする私の頭に、バットが振り下ろされた。
その衝撃で、その後の事はよく覚えていない。
ただ思い出せるのは、その日が長い一年の始まりだったという事だけ
そして私が、毛利元就と長曾我部元親の二人に出会ったのもこの日が初めてだったということだけだ。
○あと少し
PR
色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
@3missiy3をフォロー
うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
@uzumi1250をフォロー
ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。
ツイッターは基本鍵をかけていますが、フォロー申請してくださったらフォローさせていただきます。
カテゴリー
カウンター