がんかたうるふ 「輪舞~偽~」 雨水の刻 ~元親~ その1 忍者ブログ
こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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書き終わりました。



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 外はもう闇に覆い尽くされていた。
 佐和山の別邸での静養を終え、三成は大阪城へ戻ってきていた。度重なる戦で常に最前に立ち続けた彼は心も体も疲れ果てていたのだが、戻ってきた際には大分体調が回復していたようだ。しのを連れ、大阪城内を歩く姿にも覇気が戻ってきたように官兵衛には感じられた。
 そして三成を出迎えたのは大谷や官兵衛だけではなかった。家康への仇討ちという名目になっている戦、それを共に戦うべき他国の領主達が、大谷の招きによって揃って訪問していたのだ。幸村も久方ぶりに大阪城を訪問し、三成との再会を心底喜んでいた。
 そんな三成と幸村の交流を見ながら苦い顔をしていたのは大谷だった。彼は三成が留守の間に諸将を呼び、彼らを自分の策に取り込むつもりだったのだろう。何度も文を交わし、会談の準備も行っていたというのに、連絡もなく突如帰ってきた三成地震が彼の策を崩したことになる。大谷も相当驚いたのだろう、三成帰参の報告を受けた後。
 当てが外れた、そう彼は呟いたのだ。
 しかし予想より早く回復し、自らの意志で戻ってきた三成を疎んじることはなかった。むしろ回復を喜び、快気祝いの宴をしようと言い出したのだから、あの男の考えはよくわからない。
「三成のことが大事なら、死ぬかもしれん戦に送り込むなと小生は言ってやりたいのだがな」
「言ったらあんたは、もう箸が持てない体になるかもしれないね。ま、それはそれで面白そうだけど……」
「他人事だと思って、言いたい放題言ってくれるな」
「あんたは他人だしね」
 笑い混じりのその言葉が耳に届いたので、冗談めかして相手を叩いてやりたかったのだが。官兵衛が話しかけるべき相手は、隣にも周囲にも存在していなかった。
 場所は三成の快気祝いの宴の場。
 大人数での宴席に使う広大なその部屋には、両手の指で数えても余る程の人間しかいなかった。無理して詰め込めば数百人の人間が入れる程の広間に、存在するのはたった数人だけ。どれだけ酒や肴を運び込んでもその人数では食べられる量も限られてしまう。だだっ広い空間ではそれらを運ぶ人間も苦労をするということで、自然と酒肴の席は室内の隅に固められてしまっていた。
 雪は溶け始め、木々の新芽が出る季節。
 雪の合間から出始める山菜やようやく氷の間から姿を見せ始めた川魚など、今日の料理はかなり趣向が凝らされている。幸村などは見た瞬間に声を上げて喜んだのだが、それ以上に彼らを喜ばせたのは酒だった。
 本日の客の一人である島津が持ち込んだ大量の酒は、その場にいる人間を大いに喜ばせてくれた。立花宗茂だけは未だ囚われの身である主君を案じているのか即座に退席し、大谷も体調が悪いとのことですぐに部屋に戻ったが。
 三成の帰還と将たちの結束を深めることを目的に開かれた宴は、それぞれの思惑を隠しながら一件穏やかに進んでいた。
 そんな中官兵衛は、彼らとは反対側の壁に自分の体を移動することを選んだ。巨大な酒の入った瓶を抱え、木の蓋にふさがれた瓶の入り口を枕にし。
 時折いびきをかいてみせれば、誰も官兵衛が起きているとは思わないだろう。
 こうやって酒に酔いつぶれて眠ったふりをしていれば、誰も官兵衛のことを気にしない。三成の様子もじっくりと観察しておきたいし、なにより今日の客はくせ者ぞろい。
 官兵衛が起きていては本音を漏らしてくれない可能性が高い。
 そして大谷に気付かれずに佐助から報告を受けるには、これほどふさわしい場所はなかった。体調が悪いという理由で途中で退席した大谷も、歴戦の武将たちの前で官兵衛が家康の話をすることなど想像できるわけがない。
 そういう理由で、官兵衛はいびきの合間に小さく唇を動かし。
 きっと屋根裏か床下に潜んでいるであろう佐助の声が何故か自分にだけ聞こえ、自分の吐息に混ぜたわずかな声を佐助の耳が拾ってくれることに驚きながら、先日の家康と三成の再開についての報告を受けていたのだった。忍びの術のせいなのか、耳の周辺がむずがゆいような空気に触られているような奇妙な感触を感じはするが、痛みではないので放っておくことにする。
「結局、三成は起きなかったんだな?」
「起きなかったよ。その方があんたにとって都合がいいだろうから起こさなかったけど……石田の大将は起きたかったかもしれないね」
「どういう意味だ?」
「徳川の旦那の言葉……教えてあげようか。天下を諦める気はないけど、石田の大将も諦めないんだってさ。ただの馬鹿なのか、それとも器の大きすぎる男なのかはわからないけどさ……きっとあの旦那、自分の決めたことは必ず守るだろうね」
「…………家康は、三成に惚れてるということか」
「そう見た方がいいだろうね。石田の大将は嫌われたって思い込んでるけど……いや、あのおっかない大谷さんがそう仕向けたのかな?」
「そうだろうな」
 目をうっすらと開け、腕の間で暖まりつつある陶器製の瓶に更に強く体を預け。
 官兵衛は目線の先で幸村に酒を勧められている三成を見る。戦を経る度に、体と心を摩耗させていた三成の顔に生気が戻り始めていた。互いの側にいる虎の話題で時折文を交わしているのは知っていたが、あの獣は主人達の心を近づける役目も果たしてくれたらしい。
 継ぎ目なく話しかけてくる幸村に頷いてやりながら、三成は珍しいともいえる安らいだ表情で杯を煽っていた。
 大阪より西から持ち込まれた酒は三成の舌を楽しませているのだろう。
話し続ける幸村が持っている大きな酒の瓶を時折奪うかのように取り上げ、独り占めしようとしている姿はまるで。
「大きな子供だよね、そっちの大将」
「あとで叱っておく……で、お前さんはどう見た?」
「何を?」
「徳川家康のことだ。あれは天下を取れる器だとお前さんは思うのか?」
「味方次第じゃないかな、でも無理じゃないとは思うよ?」
「そうか…………手を変えるしかないようだな」
 声が周囲に聞こえぬよう小さく唇を動かしながら、官兵衛は考えを巡らせる。
 三成は家康を思っているが、家康はただの友としか思っていない。三成から聞いたそれが前提にあったので、二人を会わせることを選択した。そうすれば三成は家康への思いに決着を付けることができるだろうし、死を考えることもなくなるはず。それが官兵衛の計算であり、その上で徳川家康とその同盟軍を打ち破り三成をこの国の王に仕立て上げるまでの図式をもう描き始めていたのだが。
 事実は大きく違っていたらしい。
家康も三成を思っており、竹中半兵衛が仕掛けたこの策に半ば協力しながら三成を救う方法を模索し続けている。そして佐助も彼ならば天下を取ってもおかしくない器の持ち主だと、暗に認めているのだ。佐助が詳しいことを語ろうとせずに事実だけを述べるのは官兵衛を傷つけないためだろうし、彼の仕えている主人を見ていれば人を見る目が優れていることもわかる。
 そして家康がこのまま三成を思い続け彼を今の状況から救おうとするならば、きっと二人はいずれ互いの気持ちを知ることになるだろう。もし佐助が間に入っていなければ、佐和山の別邸で歴史を変えるかもしれない二人の和解が行われていた可能性もある。
 官兵衛の三成に対する愛情を置き去りにする形で。
 それを阻止してくれたのであろう佐助の行動には感謝しなければいけないのだが、これで今後の動きが更に難しくなったのも事実だ。家康と三成をできる限り接触させず、三成を支えながら最後の戦いまで突き進む。
 それもこの国全てを巻き込んだ形で。
 佐助と幸村には少しだけ語ったが、官兵衛には官兵衛の目指す戦の形がある。半兵衛が形を作り、大谷が己の望みを乗せて仕掛けた策は様々な憎しみの連鎖をお作りだし、もうこの戦を止めることはできないだろう。
 例えば三成から少し離れた場所で島津の老将と語り合いながら酒を酌み交わしている隻眼の男。
 四国を根城をするあの男、長宗我部元親がこの大阪城に来た原因を作ったのは官兵衛だった。彼の部下を殺しその罪を徳川方になすりつけ、彼の心に憎しみの固まりを注ぎ込む。あとは大谷が憎しみという名の腐った毒を心に吹きこむだけ。そうして彼は石田軍に協力するためにここに来ることになった。
 そしてその彼らからも離れ、何度も杯を口に運びながらあたりを睥睨しているのは謀将とも名高い毛利元就。あの華奢な体で列国の将たちと渡り合ってきた彼の力を軽視するわけにはいかないし、酔いつぶれたように見せかけている官兵衛の動きに最初に気がつくとすれば彼だ。
 相当酒が進んでいるのでこの場にいる人間皆の頬や首筋が赤く染まり始めているが、彼だけは肌の白さを失っていない。酒と見せかけ飲み続けているのはきっと水か何かで、彼は飲んだふりをしながら静かに佇み。
 周囲の将たちの会話から情報を得ようとしているのだ。
 大谷だけでなく彼も敵に回さなければ官兵衛の策は完成しない。かなり難しいことになりそうだが、基本的に官兵衛は障害があればある程策を考えたくなる人間なのだ。
 これくらいの事で自分の考えを変えるつもりはない。
「悪いが、頃合いを見て真田を連れ出してくれ。相当三成と飲んだようだからな、さっさと寝かせてやれ」
「そりゃありがたいけど……なんかする気?」
「三成と二人で話がしたいだけだ。長宗我部は三成の事はどうでもいいようだしな、島津のジイさんは酒を与えておけば機嫌がいい」
「安芸の旦那はどうするのさ」
「……わざと聞かせてやるつもりだ。三成と二人になろうとすれば、きっと話を聞きについて来るだろうからな」
「……………………」
 しばらくの無言の後、小さなため息。
 佐助が何を思ったのかはわからないが、官兵衛の今考えていることをなんとなくだが理解したのだろう。
「もう少ししたら旦那を呼びに行くよ。まあ……うまくいくことを願ってるよ」
「随分と優しいじゃないか。小生に惚れたか?」
「俺様、惚れた相手は冷たく扱うのが趣味なんでね」
「お前さんに惚れられた相手は可哀想だな」
「そうだね、本当に……俺様のどこがいいんだか」
 その言葉を最後に、耳の周辺に感じていた違和感のようなものが消えた。
今のはきっと忍びとしての猿飛佐助ではなく、一人の人間としての本音だったのだろう。だからこそ恥ずかしくなったのか、それとも人としての言葉を口に出してしまった自分を責めたくなったのか。
 どちらにしても次に顔を合わせる時には、いつもと変わらぬ軽口混じりで話しかけてくる有能な忍びに戻っているだろう。だから官兵衛も先程の会話は忘れて彼と普通に接してやるべき。
 彼のような有能で気配りのできる忍びに心を寄せられている相手が気にならないといえば嘘になるが。
 今の官兵衛の一番の関心事は、うっすらと開いた目が作り上げる細長い視界の先。幸村とじゃれ合うように酒瓶を奪い合いながら、以前よりずっと明るい表情を見せる三成の存在であった。
 三成は目を覚まして家康に会ったわけではない。
 だというのに三成は夜もわずかの時間だが眠れるようになり、食物も少量ずつなら食べられるようになった。その目に家康の姿を焼き付けたわけでも、彼と言葉を交わしたわけでもないのに三成が力を取り戻したのはきっと。
 二人の間を絆という名の切れぬ糸が繋いでいるからなのだろう。
 それほどに互いを思い合っている二人の間に割って入ることは簡単ではない。運の悪さもここまできたのかと嘆きたくもなるが。
 何事もやってみなければ始まらないのだ。
 策を巡らせ、言葉という名の刃を三成の心に突き込み。どのようなことをしてでも三成の心を手に入れ、彼に天下を渡してやりたい。
「さて、小生の策はどう転がるか……」
毛利に長宗我部、そして島津。
 幸村や佐助という味方はいるが、今の官兵衛には敵が多い。長宗我部に自分のやったことを知られたらその場で殺されるだろうし、枷を嵌められ鉄球を付けられた体では逃げることはできないだろう。
 だがその敵の中で生き抜くことができずに軍師を名乗れるわけがない。
 佐助が幸村を呼びにやってきて、この酒宴が終わる時。その時までに考えておかなければいけないことは山のようにあるのだ。
 三成を救うために、そして自分の思いを遂げるために。
そのためであればどのようなことでも行ってやる、そう心に誓いながら黒田官兵衛は佐助がこの部屋に来るまでの時を己の未来に繋げる思索の時とすることにした。












 現在長宗我部元親を動かしているのは、憎しみである。
 大切な部下を親友に殺され、仇を討とうにも強大な勢力になってしまった相手に自分の力だけでは届かず。常に胸の奥で燻り続ける復讐という名の炎をもてあましていたころ、石田軍から書状が届いたのだ。
 復讐に力を貸す、こちらも徳川には恨みがある、と。
豊臣秀吉を殺され、その右腕とも呼ばれていた石田三成の元に残党が終結していたのは知っていた。そして彼が凄まじい勢いで諸国に攻め入っていることも。凶王とも呼ばれている石田三成の恐ろしさについて様々な噂を聞いたが、実際に会ってみると拍子抜けしたというか。
 存在感が薄いというわけではない。
 だが凶王という名前と彼の行ってきたことについて知っている人間から見ると、大人しすぎるという印象が拭えないのだ。あの無駄に広い空間での酒宴でも、何度か彼に酒を注ぎに行ったのだが。隣で大きな声を出している真田幸村とは違い、こちらを無言でじっと見据えた後彼は杯を元親へと差し出しただけ。
 周囲の人間にあまり興味がないのだ、彼は。
 大谷吉継が言うには秀吉を殺した家康への憎しみ以外が彼を突き動かすことはない、ということらしい。それにしては幸村の冗談に時折口元を緩めたり、鬼島津と会話する際に恐縮する様子を見せたり。
 あれは本当に凶王なのか、影武者ではないのか。
 一瞬そう思いもしたのだが、宴席に同席していた大谷や黒田官兵衛の様子を見ると彼が偽物には見えなかった。宴が終わり、黒田官兵衛に引きずられるようにして去っていった三成の事が気になり。彼に関している不思議な違和感の正体を知りたいのもあり、なんとなく後を付けていたら。
 何故か宿敵ともいえる男と密着する羽目になってしまった。
「静かにせよ」
「…………何がどうなってんだよ」
「貴様も気になるから後を着いてきたのであろう? ならばしばらくの間、奴らに好きなように話させるがよい」
 こっそり三成の後を付けていると、いきなり後ろから肩を掴まれ暗闇に引き込まれた。
 そこが使用人達が細かな日用品をしまっている物置であることに気がついたのは数瞬後のこと。そして自分を狭く暗い物置に引き込み、体を触れあわせながら不愉快そうに自分を見上げてきたのが安芸の国主である毛利元就であることを知ったのはそのすぐ後だった。
 瀬戸内の海の制海権を賭けて、彼とは何度も戦った。
 今でも小競り合いが続いているというのに、何故彼は自分をこんな所に引き込んだのか。そう考え文句を言おうとした元親に耳に入ってきたのは、石田三成と黒田官兵衛が何かを話している声だった。
 それに続いて聞こえてきたのは、自分と胸を触れあわせ一件抱き合っているようにすら見える男の小さな囁き。
「客を招いておきながら、密談を行うつもりよ……奴らは」
「その内容が気になったって事かよ」
「客を差し置いて、どのような面白い話をするか。貴様は気にならぬのか?」
 どうやら三成達が話をしている部屋とここは壁一枚で隔てられているだけらしい。
 足を軽く動かせば何か硬い物が臑に当たる。何か樽のような物だろうと見当を付け、男二人でいるには狭すぎる場所で自分の居場所を確保しようとし続けていると、肩に当たっている毛利の髪が軽く動いた。
 彼も自分の居場所を確保したいのだろうが、ここは横幅が狭すぎる。
 おまけに下手に動けばあちこちに置かれている物に体が当たり、大きな音を立ててしまう。それを互いに理解しているから、普段は犬猿の仲ともいえる二人が大人しく抱き合っているような格好を受け入れているのだ。
 あの二人は何を話そうとしているのか。
 その結果によっては自分たちの今後の戦略も考え直さなくてはいけないのだ。自分たちの選択が国の盛衰に関わる、それを彼らは知り尽くしていた。
 そのためには、些細な情報も逃してはならないのだ。
だからこそ常に相争う相手とこのように体を密着させる状況であっても、不満を漏らすことはしない。これは自分の国のためになる行動であり、相手と同じ情報を共有するためでもあるのだから。
 そうすれば相手に後れを取る可能性が低くなる。
とはいえ後ろから壁に、前からは毛利の自分より遙かに細い体に挟まれて窮屈さを感じているのは事実。これを打開するにはどうしたらいいか、と考えると少し微妙ではあるが状況を変化させられる考えを思いつくことができた。
「毛利、悪いな」
「…………貴様、衆道の気があるのか?」
「この方が互いに楽だろうよ」
 彼の背にそっと手を回し、強めに抱き寄せる。
 互いの体の距離が少なくなれば、この窮屈な感じも少しは減るだろうと思って実行してみたのはいい方向に転がったようだ。肩胛骨を強く刺激する痛みのような圧迫感は消え、代わりに感じるのは胸の中で軽くもがく毛利の体の温かさ。
 自分より頭半分程低い毛利の体は、柔らかい布地に覆われており。
 触り心地の良さと暖かさで、つい女を抱きしめる時のように優しく抱きしめてしまうのだが。薄暗い闇が満ちる物置だからこそ行っている事で、光の中で毛利の顔を見ればこんな事は出来ないだろう。
 衣類に焚きしめてある優しい香りの香も、顎のあたりに触れる彼の吐息も。
 妙に元親の心と体を刺激してくれるのだが、今はそれどころではない。
「官兵衛……それは本気か?」
「俺が冗談でこんな事を言うと思うか?」
「貴様には世話になったと思っている……貴様が悪い人間ではないのも……」
「そう思ってくれるんなら、話くらいは聞いてくれや」
「話だけは……な」
 柔らかさを感じさせないくせに自分の体にしっくりと馴染む毛利の体を抱きしめながら、耳を澄ませて壁の向こうの会話を一つでも多く聞き取ろうとする。あとで毛利が聞いたことと自分の耳が聞き取った内容を照らし合わせなければならないが、毛利が祖霊素直に応じるだろうか。
 毛利のことだ、こちらから正確な情報を引き出し、自分からは嘘の情報しか出さない可能性が高い。
 常に漁夫の利を得ようとする毛利を信用してはいけないのはわかっているし、彼には今まで散々痛い目に遭わされている。今回だって利害が一致しているから同じ陣営にいるだけで、いつ彼が自分の喉元に刃を突きつけるかもしれないというのに。
 何故だかこの暖かさは心地よく感じてしまう。
「何を考えているのだ?」
「大したことじゃねえよ」
「…………そうか」
 つま先に力を込め背を伸ばし、隣の部屋に聞こえぬように元親の耳元に唇を寄せて囁いてくる毛利の吐息が耳を刺激する。
 元親がこの奇妙な幸せを甘受している間に、隣では想像を絶する会話が繰り広げられ始めており。それを聞きながら毛利を顔を見合わせたり、時に苦笑混じりの互いの吐息を感じたりと不思議な時を過ごすことになるのだが。
 それによって二人の距離が大幅に縮まることになることを、当然二人とも気がついてはいなかった。







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原稿も終わってようやく再開。
三成さんと官兵衛さんの話の内容は次に続きます。一応次がある意味ターニングポイントその1になるはず……




BGM「tune the rainbow」 by坂本真綾
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色々説明






拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)


注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨


ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。


書いている人


みっし

・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。



うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。

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ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。

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