がんかたうるふ ぷちばさ! 2.5  その2 忍者ブログ
こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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書き終わった。



 *****
 三成は自分たちより背も大きいし、足も長いのでいっぱいいっぱい数えてから探しに来て欲しい。
 そんなちびたちの要望を受け、三成が数えた数は千。
「……九九九…………千! もういいな、探すぞ!」
 それだけ数えている間にかなりの時間が経過してしまい、色々な意味で疲れ果ててしまったのだが。この遊びはここまでが準備期間で、ようやく今から始まるのだ。遊ぶと決めてから実際に遊び始めるまでにかかった時間を考えると、もうやる気を無くしてしまっている三成ではあるのだが彼らを見つけない限り隠れ鬼は終わらないのだ。時間制限を設けたとはいえ、早く見つけてやるべきだろう。
 さてあのちびたちはどこへ行ったのやら。
 自分の部屋から出て、隅まで綺麗に磨かれている廊下に立った三成が最初に行ったことは自分の相方ともいえる存在の名を呼ぶことであった。
「佐吉、いるのだろう?」
『当然登場』
 廊下の曲がり角からそう書かれた半紙を持ってひょっこりと顔を出したのは、自分によく似た顔をした狐耳のちびだった。
 三成が数を数え終わるのを待っていたかのように喜び勇んで近づいてくる佐吉を抱き上げてやり、もはや定位置となっている肩の上へと誘導する。そうすれば佐吉は勝手に肩につかまって、一緒に行動してくれるのだ。
 それはもう三成の中では決まり切った出来事、そして佐吉も三成と行動するのは当たり前。隠れ鬼だというのにいつも通りに二人で行動し始めたことに後から文句を言われるかもしれないが、この館はあまりにも広すぎるのだ。
 一人で探し続けて、全員を見つけられる保証がない。
 三成も馬鹿ではないし、まだ怪我人でもあるので無駄に労力を使わずに発見する方法は数を数えている間に考えてはあったのだが。一人でそれを行うより、誰かに手伝ってもらった方がいい。
 そしてそれが佐吉だっただけだ。
「すまんな、貴様も隠れたかったのではないのか?」
『三成補助優先』
「そうか……」
『発見手伝』
「わかっている、まずは庭に行くぞ」
 手短に意志を伝え合うだけで互いの思いを理解できる。
 他のちびたちと苦労しながら意思疎通をする事にも慣れてきたのだが、やはり佐吉と一緒に行動するのが一番楽だ。奥州に行った時にこじゅと似た顔をした男も同じようなことを言っていたので、やはり皆そうなのだろう。
 すれ違う毛利家の人々に頭を下げながら、庭へ出ることができる入り口へと足を進める。一年を通して様々な植物が順に盛りを迎えるように調整してあるらしいこの庭は、様々な彩りの花に彩られていた。
 確かここに遊びに来る度に、忠子はこの花を食べようとして怒られていたはず。
 微妙に大きさの合わない借り物の草履を鳴らしながら庭石を踏んで歩いていると、綺麗に刈り込まれた松の根元に可愛らしい野花が群れ咲いているのを発見した。これならばむしっても怒られないだろうと判断し、体を屈めて綺麗なうす桃色の花を手で摘み取る。
 それを見て佐吉も三成の意図に気がついたのか、肩から下りると別な方向へと走っていき。両手で抱えるほどの野花をあちこちから取ってきてくれた。
 あとはこれを平べったく大きな庭石の中央に置くだけ。
「仕掛けは終わった……後は待つだけだな」
『佐吉食物所望』
「あとで何か出してもらうか」
 山盛りになった花の固まりをぼんやりと眺めながら、近くにある石に座ってぼんやりと二人で空を見上げる。大きく盛り上がった夏の雲、そして頬に当たる心地よい風。
「いい天気だな……」
『空腹』
「貴様は喰うことしか考えてないのか」
『昼食不摂取』
「………………そういえば……」
 朝は毛利たちと一緒に食べたが、昼はちびたちの尻尾の毛を梳かしたり数を数えるのに忙しくて食べていない。三成は基本食事に執着がないので夜食べればいいかと思ってしまうのだが、ちびたちが食事抜きに耐えられるだろうか。
 岩の上で頭に手をやりながら考えていると、館の屋根の影から小さな固まりが飛び出てきた。
「ロ、ロボ~」
 お腹が空きました。
 全身でそう訴えているようにしか見えない忠子が、よろよろしながら花の匂いに誘われてこちらに近づいてくる。庭に咲いている花を食べるなと散々怒られているので美味しそうなおやつがあるのに食べる事ができず、空腹を堪えてじっと屋根の上に隠れていた忠子にとって『もう庭に咲いていない』誰かが摘んだ後の花がどれだけ美味しそうにみえるか。
「ロボロボ♪」
 岩の上によろめきながら着地し、大きな口を開けて花をあむあむと食べ出した忠子を佐吉と二人でじいっと見つめていると、
「ロボ~~~~~~~ッ!」
 ようやく三成たちの存在に気がついたのか、花を口にくわえたまま忠子は両手を挙げて降参してみせた。
「忠子……貴様を見つけたぞ」
「ロボロボッ!」
 これは見つけたんじゃなくて罠で捕まったんです。
 花を食べるのを続行しながら両手を振り上げて抗議する忠子だったが、しばらくして三成が設定した決まり事に気がついたのだろう。

 どのような方法で探し出しても、文句は言わない。

 食欲故捕まってしまった自分の負け。
 それに気がついた忠子は、花を食べながらではあったが大人しく三成に捕まるのを選んだのだった。
「ロボロボロボ ロボ~」
「佐吉……忠子はなんと言っているのだ?」
『美味花要求』
「食事抜きで遊ぶからだ……馬鹿め」
 もっと花が食べたいと要求する忠子の体を抱え上げ、食べてもいい野花の場所を教えてやりながら。
 自分も食事抜きで遊んでいることに気がつかない三成であった。








「それで我の所に来たというのか」
「貴様がこの部屋に食物を隠して政務中に食べていることは知っている……さっさと出せ」
「我からおやつを奪おうというのか……」
「このままでは忠子と佐吉が倒れてしまう、せめてこれらには食べさせてやってくれ」

 竹千代にはもう喰わせないでいいから。

 毛利の執務に使っている部屋のど真ん中で巨大な夏蜜柑にかぶりついている竹千代に冷ややかな目線を浴びせながら、三成は文机の前で政務に励んでいた毛利に再度食物を分けてくれるように頼んだ。
 空腹はちびたちにとって最大の弱点。
 庭の花で少し栄養補給した忠子はともかく、佐吉は朝食以降何も食べていないのだ。三成に掴まっている元気すら失った佐吉と、空腹で飛ぶのが面倒になった忠子をそれぞれ脇に抱えながら。
 口から出たのは竹千代への苦情。
「……貴様が隠れ鬼をやりたいと言ったのだろう? 少しは隠れようと思わないのか?」
「きゅきゅ、きゅきゅきゅ」
『竹千代隠遁放棄』
「つまり……面倒になったのだな」
「きゅきゅ~」
『超空腹』
「まあ昼食を食べていなかったからな……仕方がないか」
 首を傾げながら毛利の前に腰を下ろすと、即座に毛利から否定の言葉が飛んできた。
「そのぽんぽこ狸は我と共に昼食を食べたはずだが」
「前言撤回だ! 竹千代……貴様……佐吉と忠子が飢え死にしたらどうする!?」
「きゅ~」
『竹千代責任無』
「ロボ~」
 お腹が空くのはしょうがないといわんばかりに竹千代を庇う二人に免じて怒るのはやめておくが、今まさにかぶりつこうとしていた何個目になるかわからない夏蜜柑は取り上げる。
「きゅ! きゅきゅ~!」
「二人にも食べさせてやれ……忠子は……これも必要か」
「ロボ!」
『大感謝』
 竹千代の前にうずたかく積み上げられていた夏蜜柑を一つ取って佐吉に、そして蜜柑にまぎれこんだ枝についた白い花を蜜柑と共に忠子に差し出してやると。
 二人は猛烈な勢いで蜜柑にかぶりつきはじめた。
 皮ごと食べているのは、それだけお腹が空いていたからなのだろうが。後からお腹を壊されても困るので、三成はいそいそと二人が次に食べるための蜜柑の皮を剥き始めた。
「貴様も女子供の扱いが上手くなったものよ」
「好きでこのようなことをしているわけではない!」
「では何のためだというのだ?」
「頼まれたからだ……鬼をしてくれとな」
「そうか、貴様もご苦労なことだな」
「ナリとチカを見かけなかったか? これから探すつもりだったのだが」
 毛利家に住んでおり館の中を知り尽くしている二人のちびの名をあげると、彼らに『おかさん』として愛されまくっている毛利は眉を顰めて考え込み始めた。
「チカは我とそこのぽんぽこ狸と共に昼食を食べ、どこかへ行ってしまったが……ナリの姿は朝から見ておらぬ」
「そうか。ところで長宗我部は……」
「大事な用ができたと言っていたが奴のことだ、ろくでもない用事であろうよ。徳川も連れて行ったが、それを連れて行かなかったことだけは褒めてやろう」
 毛利の目が女の子らしく花を頭に飾るか、それとも食欲に負けてそのまま食べてしまうか悩み続けている忠子へと向けられる。歩く度にからくりの様な音が鳴り、幾層もの鋼を重ねた奇っ怪な体をしている忠子への長宗我部の並々ならぬ興味は端から見ていると寒気がするほど。
 調べてみたいという気持ちはわかるのだが、大の大人が小さな女の子に体を調べさせてくれと迫る姿は変態でしかない。
 仕事が一段落したのか首を回しながら腕を伸ばしている毛利は、足を崩してちびたちを見守っている。一国の当主である彼の仕事はそれこそ山のようにあるのだが、彼は日々それを淡々とこなしていた。三成が来る前はそれの他にちびたちの世話も一人でしていたのだ、あの仕事量とちびたちの世話を三成は両立できる自信がない。
 毛利に言わせれば、三成が来てからちびたちの面倒を見る時間が減ったので楽になったの事らしいのだが。文机の周辺に散らばった文の山と、部屋の奥に並べてあるまだ乾いていない紙。いつもであれば竹千代をこんな所に放り込めば、紙をずたずたにする勢いで部屋の中で遊び出すはずなのだが。
 竹千代は大人しく座ったまま。
 大坂城にもこんな偉業を達成できた人間は誰もいないのだ。一体毛利はどうやって竹千代を躾けたのだろうか。
 それを聞いてみると、毛利はあっさりとこう答えた。
「この紙を破いた瞬間に貴様の首が飛ぶと言っただけだ」
「そ、そうか……」
「これは見た目に似合わぬほど賢い狸なのでな、本気で言えば悪戯などせぬ。それに我と貴様では立場が違う」
「立場だと?」
「貴様は何をしようとも許してくれる懐の広い男だと、ぽんぽこ狸はわかっているのだろう。我は気が短い故、この狸が何かをした瞬間に狸鍋にするつもりであるからな」
 それを聞いた瞬間、竹千代の尻尾が一気に膨れあがる。
 三成よりも背の小さい毛利のことを、竹千代は心底畏れているのだ。ナリとチカにとっては優しい『おかさん』でも、自分の家のちびではない竹千代にとっては言うことを聞かなければ実力行使を躊躇わない非情な男。
 優しいだけでは言うことを聞かない。
 だが冷たいだけでも周囲の人間は動かない。
 毛利のやり方を三成は真似できないが、こういうやり方もあると覚えておくべきだろう。
「竹千代……」
「きゅ?」
「もし私がこれから悪戯をするなと言ったら、貴様は私の言うことを聞くのか」
「きゅきゅ~?」
 首を傾げた竹千代は、わからないとでも言わんばかりに困った顔をする。
 絶対に悪戯をしませんではなく、これからもすると決めているわけでもなく。勢いに任せて行ってしまう悪戯は止められないとでも言いたいのだろう。
 だがその目には三成への信頼が宿っているし、本当に困ったことがあれば竹千代は言うことを聞いてくれるはず。
 むしろ考え込むことなくすぐに明確な返事を出してこなかった竹千代を褒めてやりたい気持ちになりながら、三成は竹千代に聞いた。
「私はこれからナリとチカを探しに行く……私に探してもらうのを待っているだろうからな。貴様も一緒に行くか?」
「きゅ!」
 手をあげて三成に駆け寄ってきた竹千代を受け止め、夏蜜柑を食べてお腹いっぱいになりつつある佐吉と忠子を微笑ましく眺めながら。三成は自分たちを暖かな眼差しで見守っている毛利に気がつくことなく、残る二人を見つけるために何をすべきかを考え始めることにした。




 







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ということで続き。

忠子=食いしん坊にいつなったんだっけ……?と思ったけど、弐を見直したら燃費が悪いって書いてあったW



そういえばぷち再版の件ですが……多分、年明けくらいになる……のかなあ、するとすれば。
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色々説明






拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)


注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨


ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。


書いている人


みっし

・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。



うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。

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ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。

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