がんかたうるふ かんべえさまといっしょ その6 忍者ブログ
こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

九州編続いてます。



 *****
 手の中にあるほのかな輝きを灯りにかざしてじっくりと見つめる。
 そうすると暖かい色合いの輝きがそれの内側に宿った様に見えて、更に美しく感じられる。それを何度も繰り返し手の中で弄んでいると、横で布団を整えていた官兵衛が呆れたような声を投げかけてきた。
「おい佐吉さっさとこっちを手伝え」
「もう少し……もう少しだけだ」
「それはもうお前さんの物だ、これからいくらでも遊べるだろうに」
「だがこれはとても綺麗だ……」
 地下の方が建築が進んでいるという言葉は間違いではなかった。
 岩盤を削って作られた部屋の壁はちゃんと漆喰で塗られており、真新しい柱と襖もしっかりと四角く削られた部屋の中にはめ込まれている。新鮮ない草の匂いがする畳の上に座って周囲を見渡すと一見普通の部屋に見えるのだが、ここは地面の下の地下城の一室なのだ。
 その証拠にここには窓という物が存在しない。
 かわりにあちこちに空気の通りをよくするための穴が開けられており、一年を通して気温の変動がないこの場所にわずかではあるが風を生みだしていた。官兵衛が基本方針を打ち出し、工兵達の中で設計に秀でた者が図面を引き。長い時間を掛けて作り上げられてきたこの地下城は、佐吉にとって驚くものばかり存在していた。
 官兵衛の腕に抱き上げられほぼ一日がかりであちこちを見せてもらったわけだが、ただ圧倒されるだけで官兵衛に聞きたいことばかり。なので最深部でもらった『それ』を手にしたまま、官兵衛が敷き終わったばかりの布団に潜り込み。
 同じ布団の中でごろごろしていた官兵衛に一つずつ問うてみることにした。
 普段は一つの布団で眠ることは滅多にないのだが、作っている最中の城なので布団の数が圧倒的に足りないのだ。城主であろうと官兵衛に割り当てられた布団は一つ、そして佐吉が眠るための布団は存在していなかった。無理を言えば用意してくれたのだろうが、そうすると誰かが布団もなく眠ることになってしまうのだ。
 それならばしばらくの間は一緒の布団で寝ればいい、それが佐吉と官兵衛の出した結論だった。
「官兵衛、あんな下まで掘って大丈夫なのか? 上の城の重さでここが崩れたりしないだろうな」
「ここの岩盤は嫌になるほど丈夫でな。それに余裕を持たせて削ってるんでな、崩れることはないだろうよ」
「半兵衞様なら、柱を爆破して城を崩すだろうな……」
「だからあいつには知られたくないんだよ。地下も存在する城を作ってるとは言ってあるがな、あいつに構造を知られたら何をされるかわかったもんじゃない。金稼ぎもしづらくなるしな」
「?」
「ここを掘り進んでいくとな、白い砂利の層に時折突き当たる。綺麗に真水で洗うと、これが結構な高値で売れるわけだ」
「砂利が売れるのか?」
 体を寄せ合いながら、自分の居場所を確保するためにもそもそと動き回る。
 ひやりとする空気が首筋を撫でるので、このまま官兵衛にしがみついて寝てしまった方が暖かいというのはわかっている。だが彼は今日一日ずっと佐吉を抱き上げ続けてくれたのだ。
 疲れているであろう彼に、寝ている時までしがみつくのはさすがに悪い。
 だがそんな佐吉の気持ちをわかっているのかいないのか、官兵衛は佐吉の体に手を回すと話を続けながら一気に抱き寄せてくる。
「やっぱりガキの体は暖かくていいな……っと、砂利の話だったな。綺麗な砂利ってのは高嶺で取引されんだよ、庭の敷石としてな。こっちにしてみりゃ邪魔な物だが、欲しがる相手がいれば売り物になるわけだ。ここからもう少し西に行ったら金も掘れるんだがな、そっちは半兵衛の奴に押さえられちまってる。だったらあいつに知られてない物を売って築城の金を稼ぐしかないわけだ」
「半兵衞様が恐いのだな……」
「恐くはない! ただやかましいんだよ……でかくて探検しがいのある城は男の夢だってのに……」
「私も貴様の夢はよくわからん。だが、これは綺麗だ」
 官兵衛に半ば抱きしめられながら、布団の中から腕を出しそれを再度行灯の明かりに透かす。
 淡い紫色を帯びた比較的大きな水晶の固まり。
 それは佐吉の手の中で小さな光を放っており、内側に走る皹に吸い込まれた光が新たなる光を産み。佐吉の手の中で幾重もの波のような輝きを放ち続けていた。 
「いい物貰ったじゃないか。ま、罅が入っちまってるから売り物にはならないだろうからな」
「こんな物も掘れるのだな」
「たまに出るみたいだが、水晶は加工して商人に売っちまうからな。お前さんのもそのままじゃ持ち歩きづらいだろう? 身につけられる物にしてもらうか」
「……これを砕くのか?」
「ずっとそうやって持って歩くわけにもいかんだろう」
 このままだと持ち歩くのに不便なのはわかっているのだ。
 だがこんなに綺麗な物を小さくしてしまうのはもったいない。それを素直に官兵衛に伝えると、彼の手が佐吉の水晶を持つ側の手にそっと添えられた。
「物ってのには役割がある。一見邪魔に見えても、必ず有用な使い道があるんだ……そしてそれを探すのが軍師って奴の仕事でな。これもこのまま持ち歩くよりは、お前さんのためになる使い道を探してやった方が嬉しいだろうと小生は思っている」
「私のため……だと?」
「島津の爺さんの所には腕のいい刀匠がいる。爺さんの所に顔を出すついでに、お前さんのために太刀を作ってもらうつもりだ。それにつけられるようにしてもらうっていうのはどうだ? 太刀飾りと陣羽織に揃いでつければ、お前さんの初陣を彩ってくれるだろうよ」
「………………」
 自分のための太刀、初陣のための陣羽織。
 急に出てきた言葉に嬉しさを隠せず、指に力を込めて水晶を強く握りしめる。すると今まで優しく耳元に語りかけてくれていた官兵衛の声が、わずかに固くなった。
「小生としてはお前さんに初陣など…………いや、これは小生に言えることではないな」
「官兵衛?」
「戦を望めばそれだけおまえさんの初陣に近づく……皮肉なもんだ」
 それきり官兵衛は何も言わなかった。
 もう寝ろと言わんばかりに掴んだ佐吉の手を布団へ押し込めると、官兵衛はそのまま目を閉じ、わざとらしい寝息を立て始めた。
佐吉の発言が気に障ったのかと一瞬思ったが、官兵衛は気にくわないことを言えばその場で口にする男なのだ。
 ではどうして急に機嫌を損ねたのだろうか、そんなことを考えながら佐吉も官兵衛に倣って目を閉じる。すると今日一日の疲れが瞬時に襲いかかってきたのか。
 昨日と同じく、佐吉の意識はあっという間に眠りの中へと吸い込まれていったのだった。










 それからしばらくの間、佐吉は本当に忙しく働いた。
 官兵衛の体は一つ、だが築城工事の現場は一カ所ではないのだ。地上で内装を行っている者がいれば、最下層で水抜きと掘った砂利を地上へと運ぶ作業に従事する者たちもいる。それらの全てを官兵衛が見て回ると効率が悪すぎるし、それ以前に彼にはやることが山のようにあった
 だからこそ官兵衛の小姓である佐吉が官兵衛の目となり耳となって各所を巡ることになったのだ。
 佐吉の素直な目と記憶力は官兵衛に工事の進み具合を正確に教えてくれるし、鋭敏な耳は工兵達の間を流れる噂話や不平不満を汲み上げてくる。二人きりになることができる夜にそれを佐吉から聞き、官兵衛は明日の行動を決めるのだ。
 しかしそれも佐吉にとっては仕事であり遊びでもあり。
 毎日変わっていく風景に心を躍らせ、自分に優しく声をかけてくれる大人たちの言葉を一つでも多く覚えておこうと耳を澄ませて。それを官兵衛の腕の中で彼に教えるのもまた、とても楽しい時間だった。
 日中は忙しくしている官兵衛が、その時間だけは自分の話だけを聞いてくれる。眠る前の一時をそうやってすごし、また新しい一日をすごす。
 それを繰り返して一月ばかりすごしただろうか。
「島津の爺さんから文が届いた。できるだけ早く小生と話をしたいそうだ」
「あの鬼島津とか?」
「鬼なんて呼ばれているがな、会ってみれば気持ちのいい爺さんだ。お前さんも会えば気にいるさ」
「ではここを離れるのだな……」
「お前さんは残っていろ……と言いたいところだがな、無理にでも連れて行くぞ」
「それはわかっている」
 官兵衛の小姓という立場なのだから、官兵衛に付き従うのが当たり前。
 佐吉にだってそれはわかっているのだが、暇があれば様々な事を教えてくれる大人たちとは別れがたい。それにこの城にもようやく慣れ、複雑な道を覚えたというのに。
 戻ってきたときにはまた新しい道が増えているに決まっている。
 城主である官兵衛ですら全て把握しきっていないであろう全ての通路を覚えたのが、佐吉の自慢だったというのに。あの努力を最初からやり直すのが面倒だし、なによりこの城にいると官兵衛とたくさん話すことができるのだ。こうやって夜毎布団の中で官兵衛に様々な事を話す、その一つ一つに官兵衛は彼なりの反応を返してくれる。
 いいことをしたときは褒めてくれるし、周囲に迷惑を掛ければ怒られる。
 しかし自分で先んじて事態の収拾に動いたり、失言をしたときに謝っていれば官兵衛は絶対に怒らない。
 何故そうなったのか、どうすれば失敗しても許してもらえるのか。佐吉の瞼が自然に落ちるまで二人で話し合い、二度と同じ事をしないように次はどうすればいいのかを決めていく。
 そんな時間を愛おしいと思っていたのは佐吉だけだったのだろうか。
 消えかけている明かりの下でもわかる程に不満げな顔をしている佐吉の顔を見て、官兵衛は自分の首の辺りにある佐吉の頬をそっと撫でた。
「そんなふくれっ面をするなよ……またすぐに戻ってくるだろうが……」
「私だってそんなことはわかっている」
「しょうがない……他の奴には言ってないが、お前さんだけには教えてやるか。島津の爺さんとの話について、な」
 自分だけに教えてくれる大事な話。
 その言葉にぴくりと反応したのを官兵衛には簡単に気付かれてしまった。大事な物を扱うかのように頬を撫でてくれていた手が途端にふにふにと柔らかい頬の肉を弄び始め、にやりと笑ったまま官兵衛は。
 佐吉を腕に抱き、ごろりと横たわりながらとんでもないことを口にし始めた。
「島津の爺さんとの話がまとまれば、長宗我部との戦だ」
「な、なんだと!?」
「大きな声を出すなよ。まだ小生と半兵衞しか知らん話だ……長宗我部の奴は暴れすぎた。これ以上あいつを放っておくとあいつを中心に大きな戦が巻き起こる可能性があるんでな、小生が話をまとめることになった。毛利も長宗我部にはひどい目に遭わされ続けてるからな、案外簡単に話に乗ってくれた」
「長宗我部元親と言えば……西海の鬼と呼ばれている男だな」
「島津の爺さんくらい分別のある鬼だったらよかったんだな。他国の海に入り込むわ、そこで略奪行為をするわ……まあ無茶苦茶な奴だ。性根は悪くない奴だと小生は思ってるんだが、今回はやりすぎた」
 よほど佐吉の頬の感触が気に入ったのか、痛くないように気を使ってはいるが官兵衛の手は頬をずっと揉み続けている。離せと文句を言おうかとも思ったのだが、未来の戦について語る官兵衛の顔は真剣そのもの。
 癖のある漆黒の髪に隠されている深い理知に満ちた瞳と、時折考え込むかのように強く引き結ばれる唇。淡い光で作り上げられる陰影に彩られた顔を頬に触れる彼の手の温かさを感じながら見つめていると、理性という光を内包した瞳がじっとこちらを見つめてきた。
「小生は共に来てくれたのがお前さんでよかったと思っている」
「な、な、何を言い出すのだ……」
「一人で来ていたら、やるべき事の重さに潰されるか……持ち前の不運って奴に邪魔されていたかもしれんな。お前さんがいてくれたから不運も逃げ出した、小生はそう思っている」
「貴様の不幸は筋金入りだ、気をつけていないと、とんでもない失敗をするだろう……だから気をつけろ」
「そうだな、ありがとうよ。本当に……お前さんが女だったらすぐに嫁にしてやったんだが」

一瞬、言葉の意味がわからなかった。

 いつもの悪ふざけではない、佐吉をからかっているのでもない。
 本気で佐吉が男であることを惜しんでいるかのような響きに、最初に感じたのは官兵衛に対する気恥ずかしさだった。官兵衛と肌を触れ合わせて、同じ布団で寝ていることがいけないことで。

 自分を腕に抱いているのは、肉親ではなく一人の男。

その事実が改めて体に突き刺さってきた、そんな気がしたのだ。
 一瞬のうちに混乱状態に陥った佐吉に気付くことなく、官兵衛の言葉は続いている。
「お前さんなら連れて歩いてもそこら辺の姫に見栄えで劣ることはないだろうし、半兵衞が後見につくか養女にすりゃあ家柄で文句を言う奴もいなくなる。しかしそうなったら小生の所になど来るわけがないな……引く手数多になるだろうな」
「官兵衛……その……な」
「なんだ?」
「つまり貴様は……私が女ならば……い……今すぐでも娶ってもいいと……」
 婚姻の意味など佐吉にはまだ完全には理解できない。
 家同志の繋がりであり、人質のようなものであり。しかしそんな立場でも愛情をはぐくんでいる夫婦がいるのを知っているし、妻が才豊かであれば夫も安心して家を任せて戦場に行くことができるらしい。
 官兵衛は自分と共に生きたいと思い、そして女であれば娶ってもいいと言うほどに愛してくれているのだろうか。
 自分は男なのに、何故こんなに胸の奥が熱くなるのか。官兵衛の胸元の布を掴み、不安げに彼の顔を見上げると。
 帰ってきたのは気まずそうな官兵衛の謝罪だった。
「…………お前さんは男だというのに、悪いことを言ったな。小生としては……死ぬまで連れ添うのならお前さんのような奴がいいと思っただけなんだが……」
「別に……嫌では……ない」
「忘れてくれ、今日は口が滑りすぎた。おかしな事を言ってすまなかったな……今日はもう寝るとするか、そして互いに忘れようや」
「…………わかった」

 官兵衛の言葉が不快だったのか、嬉しかったのか。

 忘れてくれと言う官兵衛に怒りを感じたのか、それとも安堵なのか。

 ただ一つだけわかることがあるとすれば、胸の中で重く鈍い物がぐるぐると回り続けていることだけ。それを忘れようといった官兵衛に悟られたくなくて。


 佐吉は寝返りを打ったように見せかけながら、官兵衛に背を向け偽りの寝息を立てることにした。




____________________________________


ということで、九州編はまだまだ続きます。
PR
[384] [383] [382] [381] [379] [377] [376] [375] [374] [373] [372]
色々説明






拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)


注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨


ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。


書いている人


みっし

・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。



うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。

ついったのフォローは下 のアイコンから。




ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。

ツイッターは基本鍵をかけていますが、フォロー申請してくださったらフォローさせていただきます。
カウンター
忍者ブログ / [PR]
/ Template by Z.Zone