こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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改めてですが。
スパーク5でスペースに立ち寄ってくださった、うちの本を手にとってくださった方、どうもありがとうございました。おまけ本も手にとってくださった方がいたようで……はっきり言って驚きなのですが。
スパーク5でスペースに立ち寄ってくださった、うちの本を手にとってくださった方、どうもありがとうございました。おまけ本も手にとってくださった方がいたようで……はっきり言って驚きなのですが。
*****
家康に対して最初に抱いたのは、鬱陶しいという感情だった。
やることなすこと全てに介入し、戦場以外では心穏やかに過ごしていたいという三成の小さな希望を一瞬のうちに突き崩す。半兵衛や刑部に何度苦情を言っても、三成の願いを聞いて二人が家康と三成の間に距離を置こうと色々策を尽くしてくれても。
彼は自分の側に現れるのだ、そう今のように。
わずかの影も感じられない笑顔で、当然のように三成に手を差し伸べ。一緒にもっと明るい所へ行こう、そう告げる彼を昔はありがたいと思ったこともあったのだ。目の前に差し出された手をぎこちなく掴み、共に歩み。
時間をかけて彼の隣でぎこちなくだが笑えるようになったのは、いつのことだっただろうか。一点の曇りもない強い意志を持つ彼に、何度救われ、そして彼を信じただろう。
そう、あの時の自分は家康を深く思っていたのだ。
「これはこれは権現殿……お目にかかるのはいつ以来だったかな?」
「三成から離れろ」
「彼の傷の手当てをしているのだが、それでも離れろと?」
「後は儂がやる」
「それを凶王殿が望むかな?」
家康の声が聞こえた途端、松永の指がぬるりとした血を伴い体から抜けていった。
おまけとばかりに最後に肉を引っ掻いていった爪先が生んだ痛みに顔をしかめていると、その間に彼は素早く三成の横に立ち、背を向けながら家康と対峙していた。
何故、と思う間もなく振り向いた顔が茶目っ気のある顔で笑う。
「卿のその顔を権現殿に見せたくないのでね。男心をそそる顔だ……実に好ましい」
「……………黙れ」
「だが今権現殿と顔を合わせたくないのは事実であろう?」
首を戻し、家康へと顔を向けた松永の背は石に腰掛けた三成の姿を綺麗に隠してしまっていた。確かにこの怪我を家康に見られたくないのは事実であるし、先程松永に言われた言葉がまだ胸に刺さり続けている。
無理心中。
自分から全てを奪った家康から、何もかも剥ぎ取ってやりたい。そう思っているし、それを覆す気もない。秀吉の命を奪い、豊臣を汚したあの男は体を流れる血の一滴すら極楽へと行かせる気などない。
苦しんで、嘆きながら死ねばいい。
その誓いは揺らいでいないはずなのに、何故自分は松永の言葉でここまで動揺するのだろう。消したはずの家康への友誼、それがまだ熾火のようにくすぶりつづけているというのか。
彼すらいなくなったこの世で生きていたくない、そんな選択をしてしまうほどに。
確かに、こんな迷いの中にいる顔を家康に見せるわけにいかない。自分の怒りや憎しみを全て受け止め、その上でもう一度友となりたいと言うあの男は、きっと三成の惑いを喜んで受け入れるだろう。激流のようなあの男の激しさは、固まっていない三成の意志など簡単に飲み込んで変えていってしまう。
己の中の答えも決まっていないのに、誰かに道を決められたくはない。
足を水に浸し、足先で水を掻きまぜながらそんなことを考えていると、唐突に松永の手が肩に乗せられた。慌てて松永の方へ目をやると、こちらに顔を向けようとしない男の背に、恐ろしいほどの力が満ちていた。
松永は天下分け目の戦を制した男の覇気を、まともに受け止めているのだ。
「三成に怪我をさせたのか?」
「私が来た時には凶王殿はもうここで傷を洗っていた、凶王殿に聞いてみるといい」
「随分と激しい傷の手当てなのだな」
「凶王殿にようやく拝謁できたのだ、私も年甲斐もなく感激してしまってね。わざわざ迎えに来てくれたようだが心配はいらない、凶王殿は私が責任を持って送っていこう。この足では歩けぬだろう」
「儂が背負っていく。だからお前は消えろ」
松永の背の向こうで、家康はどんな顔をしているのか。
三成にそれを直接見ることは出できないが、声に含まれる圧の強さから察することは十分に可能だった。伊達に長くつきあってはいない、声を聞くだけで彼が何を感じているかくらいはわかる。
思いっきり怒っている、家康は。
松永の何が彼の怒りに触れたかはわからないが、家康がここまで怒気を含んだ言葉を発するのを聞いたのは、久しぶりだった。
「権現殿にお会いするのは久しぶりだな……全く変わっていない」
「早く三成から離れろ」
「卿の中では私は凶王殿から離れるのはもはや決まったことなのだな。いやはや、傲慢もここに極まれりといったところか」
「儂は傲慢ではない。他者の物を卑怯な手で奪い、満足しているお前こそ傲慢なのではないのか?」
「凶王殿は気がついているかもしれないが……権現殿、卿の言葉にはためらいが一切感じられない。普通の人という物は、言葉を選び、考えながら人に己の意志を伝えるのだが卿にはそれがないのだ。自らの言葉に絶対の自信を持ち、他人がそれを必ず受け入れると信じている。それを人は傲慢と呼び、嫌う……覚えがないとは言わせないが」
それは言葉での斬り合いだった。
互いの意志をぶつけ合い、わずかでも相手の言葉にひるんだ方が負ける。自他共に認める口下手な三成では間に入れない、男同士の威信をかけた戦いがそこにはあった。
松永の後ろである意味守られている三成には決して参加できない戦い。
人生経験の差か、徐々に言葉で追い詰めていく松永に、なんとか家康は食い下がろうとしているが。戦場での強さではない、人と人との理知と頭脳のぶつかり合いは、家康にとっては不得手な分野だったらしい。
わずかずつ声から力が失われていく中、家康の完全なる敗北を告げたのは松永の揺るぎない、自信に満ちた言葉であった。
「卿が凶王殿に隠していること、それを今ここで凶王殿に伝えようか?」
「なんだと?」
「凶王殿から主君を奪い、国を奪い……卿はこれ以上何を彼から奪い取るつもりだね? 大切な物を全て奪えば自分だけの物になる、そんな幼稚な考えで天下を動かされては困るのだよ」
「儂はこの国のことを考えておる!」
「まだその口は迷わぬか。やはり卿にこの国を任せるわけにはいかないようだな……勿論凶王殿も卿には渡せぬ。凶王殿は私が頂こうか……心も体も………その全てをな」
この段階で、初めて松永はその体を三成の方へと向けた。
彼の背の向こう、十数歩先に立っている家康の顔は青ざめ、歪み、そしてこの世の全ての絶望を浴びせられたかのように悲しげだった。それを無理矢理振り切るためか、わなわなと震える唇が必要以上に大きな声を発した。
「三成は…………儂のものだ! 誰にも渡さん!」
名を呼ばれた当の本人が、目を見開いて驚いてしまったほどの唐突な言葉。
思わず聞き返したくなったが、完全に心を折られたらしい家康の顔からは一切の表情が消え失せていた。ただ冷たさを増した風だけが、彼の短い髪をわずかに揺らす。
「ようやく惑いを得たか……風が冷たくなってきたな……凶王殿、そろそろ伊達の屋敷までお送りしよう。あそこはいい場所だが、雪が降ると行き来に困るのが難点と言えるか」
「……私は……」
「あの男は気にすることはない。それとも、彼の背に負われて戻りたいかね?」
それとも、未来の心中相手に更に情を募らせる気かな?
そっと耳にそう囁かれ、三成の中から松永に抵抗しようとする気持ちは消え失せてしまった。今家康と相対して、彼への復讐心を維持し続ける自信がない。そしてなによりも、三成は儂の物だと言い切った家康が何を考えているのか。
長いつきあいだというのに、全くわからなかったのだ。
「卿は軽いな……これなら二人で乗っていくことができるだろう」
わざとらしいほど柔和な声をかけながら膝裏に手を差し込み、三成を抱き上げようとする松永の体の向こうにある家康の目は。
今まで見た事がないほど心細げなのに、三成だけをただ静かな熱を込めて見つめ続けていた。
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なにげに松永さんの気遣いぶりが書いていた楽しかったこの部分でした。
やることなすこと全てに介入し、戦場以外では心穏やかに過ごしていたいという三成の小さな希望を一瞬のうちに突き崩す。半兵衛や刑部に何度苦情を言っても、三成の願いを聞いて二人が家康と三成の間に距離を置こうと色々策を尽くしてくれても。
彼は自分の側に現れるのだ、そう今のように。
わずかの影も感じられない笑顔で、当然のように三成に手を差し伸べ。一緒にもっと明るい所へ行こう、そう告げる彼を昔はありがたいと思ったこともあったのだ。目の前に差し出された手をぎこちなく掴み、共に歩み。
時間をかけて彼の隣でぎこちなくだが笑えるようになったのは、いつのことだっただろうか。一点の曇りもない強い意志を持つ彼に、何度救われ、そして彼を信じただろう。
そう、あの時の自分は家康を深く思っていたのだ。
「これはこれは権現殿……お目にかかるのはいつ以来だったかな?」
「三成から離れろ」
「彼の傷の手当てをしているのだが、それでも離れろと?」
「後は儂がやる」
「それを凶王殿が望むかな?」
家康の声が聞こえた途端、松永の指がぬるりとした血を伴い体から抜けていった。
おまけとばかりに最後に肉を引っ掻いていった爪先が生んだ痛みに顔をしかめていると、その間に彼は素早く三成の横に立ち、背を向けながら家康と対峙していた。
何故、と思う間もなく振り向いた顔が茶目っ気のある顔で笑う。
「卿のその顔を権現殿に見せたくないのでね。男心をそそる顔だ……実に好ましい」
「……………黙れ」
「だが今権現殿と顔を合わせたくないのは事実であろう?」
首を戻し、家康へと顔を向けた松永の背は石に腰掛けた三成の姿を綺麗に隠してしまっていた。確かにこの怪我を家康に見られたくないのは事実であるし、先程松永に言われた言葉がまだ胸に刺さり続けている。
無理心中。
自分から全てを奪った家康から、何もかも剥ぎ取ってやりたい。そう思っているし、それを覆す気もない。秀吉の命を奪い、豊臣を汚したあの男は体を流れる血の一滴すら極楽へと行かせる気などない。
苦しんで、嘆きながら死ねばいい。
その誓いは揺らいでいないはずなのに、何故自分は松永の言葉でここまで動揺するのだろう。消したはずの家康への友誼、それがまだ熾火のようにくすぶりつづけているというのか。
彼すらいなくなったこの世で生きていたくない、そんな選択をしてしまうほどに。
確かに、こんな迷いの中にいる顔を家康に見せるわけにいかない。自分の怒りや憎しみを全て受け止め、その上でもう一度友となりたいと言うあの男は、きっと三成の惑いを喜んで受け入れるだろう。激流のようなあの男の激しさは、固まっていない三成の意志など簡単に飲み込んで変えていってしまう。
己の中の答えも決まっていないのに、誰かに道を決められたくはない。
足を水に浸し、足先で水を掻きまぜながらそんなことを考えていると、唐突に松永の手が肩に乗せられた。慌てて松永の方へ目をやると、こちらに顔を向けようとしない男の背に、恐ろしいほどの力が満ちていた。
松永は天下分け目の戦を制した男の覇気を、まともに受け止めているのだ。
「三成に怪我をさせたのか?」
「私が来た時には凶王殿はもうここで傷を洗っていた、凶王殿に聞いてみるといい」
「随分と激しい傷の手当てなのだな」
「凶王殿にようやく拝謁できたのだ、私も年甲斐もなく感激してしまってね。わざわざ迎えに来てくれたようだが心配はいらない、凶王殿は私が責任を持って送っていこう。この足では歩けぬだろう」
「儂が背負っていく。だからお前は消えろ」
松永の背の向こうで、家康はどんな顔をしているのか。
三成にそれを直接見ることは出できないが、声に含まれる圧の強さから察することは十分に可能だった。伊達に長くつきあってはいない、声を聞くだけで彼が何を感じているかくらいはわかる。
思いっきり怒っている、家康は。
松永の何が彼の怒りに触れたかはわからないが、家康がここまで怒気を含んだ言葉を発するのを聞いたのは、久しぶりだった。
「権現殿にお会いするのは久しぶりだな……全く変わっていない」
「早く三成から離れろ」
「卿の中では私は凶王殿から離れるのはもはや決まったことなのだな。いやはや、傲慢もここに極まれりといったところか」
「儂は傲慢ではない。他者の物を卑怯な手で奪い、満足しているお前こそ傲慢なのではないのか?」
「凶王殿は気がついているかもしれないが……権現殿、卿の言葉にはためらいが一切感じられない。普通の人という物は、言葉を選び、考えながら人に己の意志を伝えるのだが卿にはそれがないのだ。自らの言葉に絶対の自信を持ち、他人がそれを必ず受け入れると信じている。それを人は傲慢と呼び、嫌う……覚えがないとは言わせないが」
それは言葉での斬り合いだった。
互いの意志をぶつけ合い、わずかでも相手の言葉にひるんだ方が負ける。自他共に認める口下手な三成では間に入れない、男同士の威信をかけた戦いがそこにはあった。
松永の後ろである意味守られている三成には決して参加できない戦い。
人生経験の差か、徐々に言葉で追い詰めていく松永に、なんとか家康は食い下がろうとしているが。戦場での強さではない、人と人との理知と頭脳のぶつかり合いは、家康にとっては不得手な分野だったらしい。
わずかずつ声から力が失われていく中、家康の完全なる敗北を告げたのは松永の揺るぎない、自信に満ちた言葉であった。
「卿が凶王殿に隠していること、それを今ここで凶王殿に伝えようか?」
「なんだと?」
「凶王殿から主君を奪い、国を奪い……卿はこれ以上何を彼から奪い取るつもりだね? 大切な物を全て奪えば自分だけの物になる、そんな幼稚な考えで天下を動かされては困るのだよ」
「儂はこの国のことを考えておる!」
「まだその口は迷わぬか。やはり卿にこの国を任せるわけにはいかないようだな……勿論凶王殿も卿には渡せぬ。凶王殿は私が頂こうか……心も体も………その全てをな」
この段階で、初めて松永はその体を三成の方へと向けた。
彼の背の向こう、十数歩先に立っている家康の顔は青ざめ、歪み、そしてこの世の全ての絶望を浴びせられたかのように悲しげだった。それを無理矢理振り切るためか、わなわなと震える唇が必要以上に大きな声を発した。
「三成は…………儂のものだ! 誰にも渡さん!」
名を呼ばれた当の本人が、目を見開いて驚いてしまったほどの唐突な言葉。
思わず聞き返したくなったが、完全に心を折られたらしい家康の顔からは一切の表情が消え失せていた。ただ冷たさを増した風だけが、彼の短い髪をわずかに揺らす。
「ようやく惑いを得たか……風が冷たくなってきたな……凶王殿、そろそろ伊達の屋敷までお送りしよう。あそこはいい場所だが、雪が降ると行き来に困るのが難点と言えるか」
「……私は……」
「あの男は気にすることはない。それとも、彼の背に負われて戻りたいかね?」
それとも、未来の心中相手に更に情を募らせる気かな?
そっと耳にそう囁かれ、三成の中から松永に抵抗しようとする気持ちは消え失せてしまった。今家康と相対して、彼への復讐心を維持し続ける自信がない。そしてなによりも、三成は儂の物だと言い切った家康が何を考えているのか。
長いつきあいだというのに、全くわからなかったのだ。
「卿は軽いな……これなら二人で乗っていくことができるだろう」
わざとらしいほど柔和な声をかけながら膝裏に手を差し込み、三成を抱き上げようとする松永の体の向こうにある家康の目は。
今まで見た事がないほど心細げなのに、三成だけをただ静かな熱を込めて見つめ続けていた。
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なにげに松永さんの気遣いぶりが書いていた楽しかったこの部分でした。
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
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