こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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新年年下組こばなしです。
後編は1/4くらいに。
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「しろがねの狂詩曲」 前編
体に叩きつけられるような風が、地面に降り積もる雪を再度空中へと舞い上げた。
一歩進む度に刺さるように染みこんでくる凍りかけた水分は、革靴の色を変えているだけでなく靴紐をガチガチに凍り付かせている。爪の先が痺れるように痛み、階段を踏みしめるだけで滑って転びそうになる悪路を無理矢理踏破し、イヴァンはようやくのことで本部の玄関へと足を踏み入れた。
空を覆う分厚い雪雲のせいで時間が全くわからないが、もう日が沈んでかなりの時間が経過しているのだろう。正直引っ越したばかりの本部から明かりが漏れているのを見た時は、途中で知り合いのガレージに預けてきた愛車の事すら一瞬忘れてしまった。
高級なはずの敷き詰められた絨毯を派手に濡らし、コートの裾だけでなく髪の毛からも氷の弾のような雫をこぼしながら、喉の辺りにまだわだかまっている冷たい息を吐き出す。すぐさま近寄ってくる部下達にコートを渡し、彼らから渡されたバスタオルで頭を拭っていると、賑やかな足音と共にいまやこの本部の主となっている男がイヴァンに近づいてきた。
細身の体を包む上質のスーツ、それよりも輝く黄金の髪を見て、部下達は頭を下げながらイヴァンから離れていく。
「遅かったな……て言ってもお前が一番早かったんだけどな」
「他のヤツらは? ウスノロな車ごとどっかで埋まってんのかよ」
「ルキーノとベルナルドからはさっき連絡があった、道路が埋まっちまって帰れないからベルナルドのお家にお泊まりするってさ」
「どうせわざと埋まってる道を選んだろうが。デカイ口があんだからよ、休みたきゃ休みたいってその口で言えよ」
「俺がまわんなきゃいけないところもかわりに回ってくれたからな……まあ一晩ゆっくり休んでくれたほうが俺としても気持ちは楽だな」
まだ前髪の先で踊っている雫を、今度はジャンが拭き取ってくれる。
年が近いこととジャンの方が年上ということもあり、この程度のスキンシップもどきは部下の前でもよくやるのだが。それでも2代目カポである存在と一番下っ端の幹部があまりに仲が良いというのは、組織の内部に亀裂を入れる要素になりかねない。
さりげなく、本当にさりげなく。
タオルの下でジャンを睨みつけてから自然にタオルを奪い取ると、今度は自分で頭を拭きながら、この場にいない所在不明のもう一人について問うてみる。
「ジュリオのヤツは? 今日は屋敷に帰ったのかよ」
「そろそろ戻ってくるはずなんだけどな……どっかで会わなかったか?」
「いや、今日は誰とも会ってねえな」
普段はジュリオのことだけは全く心配しないジャンの顔が珍しく曇っている。
暴漢に襲われようが、ヤク中の気狂いに襲われようが、平気な顔で返り討ちにするジュリオでも、新年早々デイバンの街を襲ったこの大吹雪に対応できるかどうか。
部下達を目線で更に後ろへ下がらせると、奥のジャンの仕事部屋へ移動しながら小さな声で嫌な想像を互いにぶちまけ合う。
「滑って転んで頭打って、そこら辺でブッ倒れてねえよな?」
「俺は辺りが全部白くなったんで帰り道がわからなくなった方に5ドル賭ける……」
「道聞かねえからな……アイツ」
「寒いのと腹減ったので泣いてなきゃいいけど……どうする?」
「どうするってな……うちの幹部がどっかで泣いてる可能性があるから探せなんて言えるかよ」
「だよな」
困り果てながらも、顔には決してそれを出そうとしないジャンの姿は、一つの組織のボスとしてふさわしいものだろう。一人の部下に入れ込むことなく、冷静に、だが状況を読みきった判断を下す。
最初は彼を小馬鹿にしていた構成員達も、ジャンの度胸の良さと、部下の一人一人を理解しようとする姿に、少しずつ考えを変え始めていた。未だに建物の外で荒れ狂う雪のように、古い物を埋め立てて自分の色に染め上げていく。
そして幹部達はその支えとして体を張り続けてきた。
今はこの場にいないベルナルドもルキーノも、新しいカポに率先して忠誠を誓い、組織が崩れぬように全力を尽くしてきたのだ。車が動けなくなるほどの豪雪は確かに厄介な代物だが、身を粉にして働き続けたあの二人にとっては新年最初のプレゼントになるだろう。
年長組の今晩の過ごし方を下世話に、そして冗談交じりで語りながらカポの執務室へ足を踏み入れる。
「あったけーな」
「暖めといたからな、イヴァンとジュリオに風邪を引かれたら俺が困る」
「なんだ、うつされるようなことでもしてえのか?」
「それ半分、俺の仕事が増えるのはまっぴらごめんが半分ってとこかな」
顔を合わせて笑顔をかわすと、ジャンが事前に用意して置いたのだろう金属のカップを差しだしてきた。湯気の上がるカップの中にはわずかに濁った琥珀色の液体が満ちている。「ブランデーにバターとハチミツ入れてみた」
「ジュリオ用かよ、オレにゲテモノを飲ますな」
「これが結構美味いのよ、騙されたと思って飲んでみろって」
「テメーにはいつも騙されっぱなしなんだよ…………オレを酔わせてなんか企んでねえだろうな」
「凍えているイヴァンちゃんに手を出すほど、いろんな意味で飢えてないって。昨日もたっぷりとイヴァンちゃんをごちそうさせてもら……って、殴んなよ!」
「テメーの口はろくでもねえことしか言わねえなっ!」
この部屋には呼ばない限り誰も入ってこないとわかっていても、ジャンの口の軽さには目眩がしてくる。目眩ついでに思いっきりぶん殴っておいたが、こんなところでオメルタを持ち出してくる男でもないので、まあそれは気にしなくてもいいだろう。
とはいえ、手を温めているだけなのは勿体ない気がするので、有り難くジャンの心づくしを受け取ることにする。
芳醇な酒の香りに混ざる優しい甘さをそこら辺のソファーに座りながら口に含むと、甘さとほんのりと感じるバターの塩気がゆっくりと広がっていった。その後に来るブランデーの味わいを殺さない程度の甘さは、飲み込むと喉を焼く勢いで温めながら胃の腑へと滑り落ちていく。
「美味いだろ?」
「悪かねえな」
「作り方教わったんで、誰かに作ってやろうと思ってた。ジュリオが帰ってきたら、思いっきり甘いのを作ってやるんだけどな……」
「もしかして、俺が帰ってきたのを見てから作ったのか?」
「当たり前だろ。作り置きしたら冷めるし、こういうのはできたてが美味い!」
「ちゃんと仕事してたんだろうな?」
「この雪だろ? やること多すぎて頭が沸騰するかと思った……ベルナルドはさっさと外に出ちまうし」
「テメーに任せられるようになったから安心して出てったんだろうがよ」
暖を取ることとアルコールを摂取することを両立させながら、ジャンの声に耳を傾ける。
外を見やれば、まだ突風と雪が止む様子はない。この雪の中でまだジュリオが行動しているということはないと思うが、というかあってほしくないが。
「ジュリオ……どっかで震えてないよな」
「いつもはテメーが信じろだのなんだのキレイゴト言ってんのによ、こんな時は信じられねえのかよ」
「……時と場合って言葉、知ってるか?」
「んなこと知ってるに決まって……………」
「ジュリオだぞ、一般の常識とかで動く……といいよな……」
「探してくるか?」
口の中は甘いが、現実は甘くない。
むしろ厳しすぎて、今までのほんわかとして雰囲気が一気に崩れ去ってしまう。轟々と自らを鳴らしながら時折建物すら揺らす風に顔をしかめながら、イヴァンは従うべきカポの言葉を待った。
一瞬だけ唇を噛み、顎の辺りに指を這わせ。
わずかも濡れていない髪を軽く揺すると、信頼すべき若きカポは考えながらゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。
「とりあえずベルナルドとルキーノに連絡を取るか……もしかしたらジュリオと一緒にいる可能性もあるからな。見つからなかったらイヴァン、一緒に探しに行くか。それまで着替えて体をあっためといてくれ」
「わかった、先にオレの部下を回すか?」
「それが一番いいんだろうけどな、もしもって事があるしな……一応ジュリオがよりそうなところにはもう一度連絡してみる」
もう一度ということは、先に連絡はし終えているのだろう。
そこら辺の手際の良さはベルナルドに似てきたながら、イヴァンは慌ててブランデーの残りを一気に飲み干した。
多分きっと、ジュリオはどこに電話をしても見つからない。
となるとジャンと自分で彼がこういう時に身を潜めるところを、手当たり次第探さないといけないわけで。暖まって活力を得る必要はあるが、それに時間をかけることよりも、さっさと準備を住ませて出た方がいいだろう。
「ったく、あのバカが……」
と呟いてはみるが、その言葉にはほとんど力が入っていない。
てきぱきと動き始めたジャンも口では色々言っているがなんのことはない、ジュリオが心配でしょうがないだけなのだ。人一倍体が大きいくせに、わずかの気配も残さずに消えてしまう彼のことを考えながら、イヴァンも空になったカップをその辺のテーブルに置いて立ち上がることにした。
BGM「愛しいかけら」 byメロキュア
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
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ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。
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