がんかたうるふ Diablos party 12 忍者ブログ
こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

もの凄く久しぶりで大変申し訳ありません。

うずみさんに私信<字数越えました。ごめんなさい。



 *****
―いつだって、その背中を見つめていた。

届きそうで届かない。

だって貴方は×××だから。

汚れたこの手は決して、届かない。

どうしたら、手に入る?どうしたら、手に入れられる?

わかりたいのに、わからない。





 薄暗い屋敷の廊下を、ジュリオはイヴァンと共に歩いていた。
ジュリオは、自分の右斜め前を歩くイヴァンを見やる。その背中からは、あまりにやるせない怒りと悲哀が感じられた。
無理も無い。自分を慕っていた少女の遺体の第一発見者となってしまったのだから。


先程、部屋に戻ってきた彼は、幾分かの冷静さを取り戻したかのようだった。そして戻ってきたイヴァンを見るなり、ラグトリフは言った。「ベルナルドを探してきてもらえませんか?」と。
問いかけではあったがあれは強制以外の何ものでもなかった。もちろんイヴァン単独で歩かせるという無謀な事では無かった。ジュリオが今ここでイヴァンと共に館内を歩いているのがその証拠だ。ラグトリフ当人は、何故か彼に与えられた部屋ではなく、ジュリオとイヴァンの部屋に留まる事を選択したらしい。少々細工させてもらった部屋であるし当面の心配はないだろう。なによりあの男を撃退できる化け物が存在しているならそれはそれでお目にかかりたいものだ。未だに実力が底知れないあの男と相対するのであれば、それは化け物にとってこれ以上無い不運であろう。ジュリオは自分も他者からすれば十分に化け物の範疇に入っている能力を持つという自覚は無く、そんなことをぼんやりと考えていた。そうしてイヴァンとジュリオは部屋を出た。…出されたとも言える。



客室の棟を抜け、屋敷の玄関に繋がる本館に赴く。本館の廊下は人気が無くひっそりとした雰囲気をかもし出していた。昨日までは使用人が動く音が、人の声が当たり前のように聞こえていたのが嘘のようだ。まるで今の様子こそが本当の姿であるように、廊下の至る所で寂しげな明かりだけが灯っていた。あのような事件が立て続けに起こったから仕方ないかもしれないが、自然の光が差さない廊下は、より陰鬱な雰囲気を出しているようにジュリオには思えた。

本館の中の大体の箇所を伺い、その中でジュリオとイヴァンは今まであまり来たことが無い棟に近づこうとしていた。当主とその家族が住まうプライベートなエリアである。ここに来るまで会った使用人はただ一人だけだ。自分達の部屋付きのメイド、アンネ。どういう訳だか本館の人気のない廊下で彼女だけが佇んでいた。その姿は昨日会ったときの明るさは消えうせ、わずかな間でやつれた様子を見せていた。…あんな事件が相次いで起こったのだから無理は無いが。彼女と話しているうちに使用人の間でも何らかの口止めがなされているのか、マリーが亡くなった事だけは知っていたが、それがどんなに陰惨なものだったのかは知らないようだった。イヴァンもジュリオもその詳細は伝えなかった。何も知らない人間にはあまりに惨いものをわざわざ伝えるべきではない、と二人は判断した。
そして尋ねた「ベルナルドを知らないか?」と。アンネから返ってきた答えは次の通りだった。
「…薄暗かったのでオルトラーニ様かはわかりませんが、背の高いお客様が1人で歩いている姿ならお見かけしました。とても急いでいる様子でしたけども。どちらに…と言われますと、当主様方の棟…だったようにも思います…」年若いメイドは心細げな様子で、そう呟いたのだった。



アンネから教えられた、当主とその家族が住まう棟に近づくにつれイヴァンは一言も発さず、周囲を伺うような様子で歩みを進め、その数歩にも満たない1歩程遅れてジュリオが歩く。
元々騒がしいものは好まないが、今は沈黙が、あまりに耳に痛かった。


イヴァンは泣いていない。
でも泣いているようにジュリオには見えた。


ジュリオの思い込みかもしれない。でも凛としたその背中は、あまりに綺麗なものに見えて、ひょっとしたらいつの間にか、イヴァンがいなくなってしまうんじゃないかと思って、そうして、ジュリオは手を伸ばしていた。



「…っとお!?」
突然のジュリオの行為に驚いたのかイヴァンが足を止める。
「……お前…何やってんだよ」
イヴァンがあきれるのも無理は無い。
ジュリオは己の右手でイヴァンの左手を掴んでいたのだ。
「……すまない」
咄嗟にやってしまったことで、ジュリオは自然と謝る言葉を喋っていた。
(何で、俺は突然、こんなこと)
何をやっているんだと言われてもやった当人に自覚がないのだから答えようがない。
それでも、ジュリオは必死に言葉をつむぐ。「……いなく、なるんじゃないかって…」
「はぁ…?…なにいってんだテメー」
ジュリオの発言の意図がつかめないのかイヴァンは眉間にしわを寄せる。
たどたどしく、けれども思いをこめて。
「…イヴァンが…泣いていて…泣いてるように見えて…どこかにいくんじゃないか、って…思った」
「…!?」
イヴァンの目が見開かれ驚愕の色に染まっていく。先程までの彼からは考えられないような動揺が見て取れた。ジュリオは手を離さない。イヴァンは手を振りほどけない。
二人の視線が絡み合った。双方逸らさず、このままの時間が続くと思われたその刹那だった。



―何者かの絶叫が、周囲に響き渡った。



瞬時にジュリオもイヴァンもあたりを伺う。棟の入り口であるこの周囲に人気はない。考えられるのは、この棟の奥から発せられた声であるということ。

「まさか…ベルナルド…!」
「…奥だ…!!」
「ちょっ!?待てジュリオ!?」
言うやいなや、ジュリオは駆け出した。イヴァンの左手を掴んだままに。



「…てめぇ待てって…言ってるだろうが…!!聞けよ人の話を…!!」
全力で駆けるジュリオに追いつくため必死で体を動かしながらもイヴァンはジュリオに怒鳴りつける。
「…聞かないし…何といわれても……俺は絶対にイヴァンを離さない……!!」
小声なジュリオには珍しくハッキリとした声で告げられた言葉に対して、イヴァンはほんの僅かな間、呆気に取られる。
「ば、ばかじゃねーの!?なにいってんだよ!!お前1人で行ったほうが明らかに早いだろ!!」
駆ける足も言葉も止まらない。
「俺は後で追いかけてもいいんだから…1人で先に行けって!!」
「嫌だ」
今度は即答された。
ベルナルドのものと思しき声の聞こえた部屋を探すために視線は前方に向けられているものの、ジュリオはイヴァンを掴んだ手だけは決して離そうとはしなかった。
なんの為に?自分のそばから離さないために?それは、どうして?護衛が仕事だから?それにしては何かおかしい、どうして、なんで、ジュリオは。
「…なんなんだよ……」
そう呟いた言葉をジュリオが耳にしたのかはわからない。ただジュリオは本当に最後までイヴァンの手を離さなかった。


「…こっちだ…!!」
「…どんだけ広いんだよこの棟…」
 ただ広いだけではなく、迷い込んだ人間をさらに迷わせるかのような建物内部を無事に歩めているのはジュリオの持つ直感にほかならない。
ゲスト用の棟も広大だったが、この棟には及ばないだろう。
超人的な体力を持つジュリオならばともかく、体力に関しては人並みのイヴァンでは手を引かれて走るのが精一杯だった。

そして、ジュリオが、歩みを止めた。
「…血の匂いが強くなった」
「…ああ…ここ、だな」
両開きのドアのドアノブが細いロープでぐるぐるに縛られている。結び自体は難しいものではなく、ただぐるぐると何重にも巻かれているだけた。だけれども室内からのものであろう血の匂いと相成って、そこは明らかに、異様な状態だった。ドアノブを見るなりジュリオは予め持っていた手袋を着けると愛用のナイフを取り出し、ロープを断ち切る。ようやく本来の姿を取り戻したドアノブを握り、扉を手前に引こうとした。だがそこで予想だにしない事が起こる。
「…鍵が…かかっている…」
「はぁ!?何でだよ!?じゃあこのロープは…」
 なんのために、とイヴァンが言おうとした刹那、ジュリオは一旦ドアの前から離れると、イヴァンに対してもドアから下がるよう促す。ジュリオの意図を把握したイヴァンは即座に数歩足を引く。
 そしてジュリオはその細身の体から繰り出されたとは思えないほどの力でドアに体当たりを行ったのだった。
ーガチャ
 常人とは比べようもないほどのその力により、扉は本来とは逆の、内側に開いていった。

そして足を踏み入れた二人は、目にすることになる。


「…ベルナルド…!!」
「…畜生が…!!」


それは、真っ暗な室内の中、そこだけが異様な状況だった。
遠めに見てもわかる、上質な調度品の数々。日頃使われていなくてもどれだけ手入れされていたかがわかる。恐らくは当主の家族の私室。


 そこに、全身血まみれで床に伏すベルナルドの姿があった。







 「…いえ驚きましたねぇ。まさか情報収集に行ったご主人様が、あんな姿になるなんて僕には予想出来ませんでしたよ」
ラグトリフによる、緊急にして、何よりも丁重な処置を一通り行われた後もベルナルドは昏々と眠り続けていた。一体何と相対すればあれだけの傷が付けられるのだろうか。見ているだけでおぞましい傷の数々を思い出してイヴァンは顔を顰める。イヴァンの傍らに立つジュリオも珍しくその表情に困惑気味の表情を浮かべている。
あの後、イヴァンとジュリオがベルナルドを見つけた後、悲鳴を聞きつけあの部屋にやってきた使用人達に囲まれ、そしてベルナルドの怪我はラグトリフの知る所にもなり、ラグトリフの手で処置を行われた後、ベルナルドにあてがわれた部屋に戻ってきたのだ。…当然の如く、意識は未だに戻らない。あれだけの重傷を負ったのだから無理はないだろう。ラグトリフの見立てによると、ベルナルドはほとんど無抵抗の状態だったらしい。負った傷も推して知るべしだ。だが不幸中の幸いだったのは雪に閉ざされ、最低限の治療しか出来ないこの屋敷の中でラグトリフがいたことだろう。ラグトリフの処置が無ければ、ベルナルドはもう死んでいたのかもしれない。そんな事を考えている自分にイヴァンはゾッとした。ここ昨日から今日までの間だけであまりにも死が近いものになりすぎている。日頃の抗争での命の取り合いとは違う。これは、あまりに残酷過ぎる。

「…なんで…あの部屋に行ったんだ…?」
ふと、ジュリオの口から呟きがもれた。呟きを耳にしたラグトリフは、うーんと小首を傾げた後で言った。
「…なんでも大事な捜し物があったみたいですよ?…化け物が出るような暗くなる前には戻るって言ってたんですけどねぇ。」
僕も捜し物の内容は知らないです、ラグトリフの話はそこで終わった。
「腑に落ちねぇんだよなぁ…」
今度はイヴァンが呟くと、すぐさまジュリオが反応した。
「…何が…?」
「…ベルナルドのヤローが、いくら荒事が苦手だからと言っても、無抵抗であれだけやられるか?」
いくらデスクワークがメインだからと言っても、彼はCR5の幹部だ。それなりの場数は組織の中では新参に位置するイヴァン以上に重ねてきたはずだ。なのに、理由もなくあれほどまでに無抵抗であったというのは理由が何かあったのではないだろうか、イヴァンはそう考えていた。
「…まぁ確かに。不自然と言えば不自然なんですよねぇ。護身用具は持っていったはずですし」
「……何かで身動きが……取れなくなった…とか?」
ラグトリフが首を傾げて大げさに考えるそぶりを見せる中、静かに耳を傾けていたジュリオはそう呟いた。さっきイヴァンに対してはっきりと告げたのが嘘のように、小さな呟きだった。
「…何かって…あの部屋に何かあったか?…確かに真っ暗だったから動き辛いかもしれねぇけどよ…」
「……待って下さい。今、真っ暗だったって言いましたか?」
イヴァンの言葉に反応したのはラグトリフだった。
「…?ああ。窓は…確か雪で見えなかったから…扉を閉めてりゃ、真っ暗だったと思うぜ」
ラグトリフがあの部屋に赴いたときは既に使用人達によって明かりをともされた後だったので気づかないのも無理はないだろう。
「…そして、部屋のドアは、内側からは鍵が、外側からはロープでぐるぐる巻きにされて、出られない状態、だったんですよね?」
「……それは、間違いない……」
今度は頷くのはジュリオの番だった。
そうして、納得したように、ラグトリフは大きな溜息を吐いた。

 閉所と、暗所。
 ベルナルドにとっては恐怖の象徴とも言える状況が、一度に彼を襲ったとしたら、それはきっと…想像を絶する恐怖だったに違いない。己の恐怖で脅える彼はそのまま犯人からの攻撃に対抗する術もなく、そして、あれだけの傷を負ったのだろう。
「…?なんだよ?」
「いえ…犯人は、随分と感づいているんだなぁ、と思いまして」
「…まさか…」
「……ええ、閉所と暗所は、ベルナルドにとっては耐えられない場所なんですよ」
 イヴァンとジュリオすら知らないベルナルド最大の弱点に敵はいつ気がついたのだろう?想像していたよりも手強い敵と、未だ目覚めぬ主人を思い、ラグトリフは溜息をついた。





「…そういう訳だから…今日から俺が定期連絡を入れることになった」
『マジかよ…っていうかお前も大丈夫か?』
「…大丈夫、って言っておかねぇとまずいだろ。俺は、大丈夫だ。」
『…悪いな。お前も大変だろうに…だけどジュリオとラグトリフとイヴァンじゃ、イヴァンに頼むしかねぇし』
「…あの二人に連絡任せたら、それこそ要点もいわねぇよ」
『…確かに』
 イヴァンは客室棟を離れ、本館にある電話を使用していた。目的は毎日一定の時間に行われるジャンへの定期連絡。通常はベルナルドが行っていたそれだが、重傷を負った今のベルナルドでは行えるはずがない。序列でいえばイヴァンより上のジュリオが行うべきかもしれないが、もとより口数少なく、話すことが不得手な彼に行わせるべき事ではない。ラグトリフはあくまでベルナルドの付き人だ。…そして白羽の矢がたったのが、残るイヴァンだったのだ。電話があるのは本館の、使用人も出入りする空間であるので、イヴァン一人で行かせても問題は無いだろう、とのベルナルドの判断により、今は一人で行動していた。ラグトリフはベルナルドの看病のためその場を離れず、そして「今は君も残って下さいね」との発言によりジュリオはベルナルドの部屋に残された。「くれぐれも、怪しいものには近づかないで下さいねぇ」ラグトリフの意味深な笑みと「…気をつけろ…」と無表情なジュリオによって見送られ、そうしてゲストの棟を抜け、本館にやってきたのだった。イヴァン達が宿泊している棟では誰ともすれ違わなかったが、本館では人の声もまばらに聞こえ、人が居ることに対して安堵を覚えた。そうして、イヴァンは今朝から今に至るまでの状況を、ジャンに伝える為に電話をかけたのだった。

『こっちから応援向かわせたいとこだけど、こっちもお前らいないから手一杯なんだよ…そもそも雪でいけねぇしな』
「…確かにな」
昨日の夜から猛威を振るっている雪は、未だ止まず、この屋敷が電話以外で外界とは隔絶されている現実を再び認識せざるを得なかった。
「…こっちはこっちで何とかやる。雪が止み次第、出来る限りの応援をくれ」
『了解。死ぬ気でカタを付けてやるよ…だから、安心しろよ、イヴァンちゃん?』
「!?…っ…!?い、今その名前でよぶんじゃねぇ!!相変わらずだなテメェは!!」
この状況において愛称で呼ばれるとは思っていなかったイヴァンは電話の向こうにも伝わって居るであろう動揺を隠せない。
『ははっ…でも、本当に無事でいろよ。まだまだデイバンにゃ、お前らのやらなきゃならねー仕事がわんさかあるんだから』
「その言葉そっくりそのまま打ち返すぜ。ルキーノとあわせて過労死するんじゃねーぞ」
『そんな年でもねーって…っとそろそろやべぇや。また何かあったら連絡くれ』
「…ああ、そっちもな」
『おう。じゃあな』
 いつもの、デイバンで話すような軽口でジャンとの電話は終わった。
 少なくとも、ベルナルドを含めた屋敷の今の現状を伝える事が出来た事への安心は大きい。イヴァンはその場で大きく深呼吸した。少しずつ、気持ちが落ち着いてくる。
怒濤のような一日だった。
 朝の屋敷の令嬢のお披露目。孤児院の子供達との語らい。客人がいなくなり、そして見つかった客人の遺体。荒らされた子供達の部屋、無残な遺体で見つかったマリー。そして、重傷を負わされたベルナルド。…これだけの事件がわずか1日の間で怒ったとはにわかには信じられないものがある。だが事実だった。メンタル面ではタフだと自覚しているイヴァンでも今日の状況は中々辛いものがあった。
(…気づかせねぇようにしていたつもりだったのに…何で気づかれちまったんだか)

『…泣きそうだ』

 まさか、あのジュリオに気がつかれるとは思わなかった。そう、確かにイヴァンはあの時泣きたかったのだ。だけど、マリーを助けられなかった自分には、そんな資格すら無い、とそれを隠していた。隠し通せていた自信はあったのに、何故、見つかってしまったのだろう。
(…それにあいつ…人の手掴んで離さないとか…何いってんだかわかんねぇよ…)
『離さない』
 あんなにはっきりとしたジュリオの物言いは珍しかった。何故、ジュリオは自分の手を離さなかったのだろうか。いや、それよりも胸にくすぶっている疑問がイヴァンにはあった。
(…ヤローにいきなり手を握られても、なんで俺嫌じゃなかったんだああああああ!?!?相手はあのジュリオだぞ!?ここに来るまでいけ好かない野郎としか思ってなかったあのジュリオだぞ!?…そりゃ思ってたより…嫌な奴じゃなかったけど……助けてくれてたし…あんまり嫌みでもないし…って落ち着け俺ぇぇぇぇぇぇ!!)
 一人十面相をしながらもイヴァンは、内心ひどく動揺していた。今までの自分からは考えられない思考に頭を抱える。
(俺はノーマル!!ジャンの野郎がお嬢との結婚はいつ?とか聞いてくるけど、幼女趣味はねぇ!!至ってノーマルだぁぁぁぁ!!)
 ひとしきり考えた末に徐々に落ち着き始めたイヴァンは、大きく深呼吸をして、その場を離れる。ゲストの棟を目指そうとしたその時。


「……なんだ?あれ」


 本館の薄暗い廊下の先に、人影が見えた。距離もあり、はっきりとした姿は見えない。
だが、何かがおかしかった。
 正確に言うと、体と頭部のバランスがとれていない、ひどく小柄な人影だった。向こうもイヴァンの存在に気がついたのか、イヴァンのいる方向とは逆方向に足を進める。
「…おい、ちょっと待て…!!」
 足を引きずる音だけが前方から聞こえてくる。どうやら足が悪いようだ。だけれども、紹介された屋敷の関係者にそんな人間はいなかった。
(…誰なんだよ…お前は…!!)
 再三に渡るラグトリフからの忠告も忘れ、イヴァンはその人影を追った。




「…随分と嬉しそうですねぇ」
「…そう見えるか…?」
「ええ、とっても」
先ほどから手袋を外し、包帯が巻かれた右手をぼんやりと見つめるジュリオにラグトリフは声をかける。
「こんな状況には似合わないようなピンク色を発してますよ、君…気持ち悪いです」
「…そうか…」
 ラグトリフの暴言にも意を介さず、ジュリオは変わらず右手を見つめていた。
(…手、つなげた…)
 思い返すのは、咄嗟にイヴァンの手を掴んだあの瞬間。自分らしくない行動をしてしまった、とつくづく思う。でも、体が自然と動いてしまったのだから仕方が無い。
(…俺…我慢が出来なくなってる……?)
 以前は無意識で抑えていた様々な欲が、抑えられなくなった結果が今の状態なのではないだろうか。最初は名前で呼んでみたかった。次に近づいてみたかった。次はもっと話してみたかった。次に色んな表情の彼がみたかった。次に…際限無しに自分の欲望が浮かび上がっては消えていく。
(…最後のだけは…抑えなきゃいけないかな…)

 死体にしたら、ずっと側にいてくれるんじゃないかと思っていることだけは。

ジュリオは苦笑した。
この屋敷に住まう化け物と恋しい存在の死体を愛でたい自分と、何が違うというのだろう。
(…この世に化け物なんているはずない。一番の化け物は、人間なんだから)
そして、もう一度、自身の右手を見やる。
(…出来れば…イヴァンを、傷つけたくはない、なぁ…)
そんな事ををぼんやり考えながら、ジュリオはイヴァンが戻ってくるのを待っていた。





イヴァンは、目の前のモノが何であるが判断出来なかった。いや、判断したくなかった。
「…あ、あ…」
小さな人影を追ってやってきた場所で目にしたモノ。
それは、かつて、彼が見知った者だった。

「うわあああああああああああああああああ!!」




















もの凄い久しぶりのディアブロスパーティです。半年以上書いてなかった気が…。
ここのところ仕事が忙しくて、気晴らしに書いてみたらとんとん進んでしまったという…何故だ。ぷちバサの原稿をやろうとおもっていたのに中々うまくはいかないものです。
そしてイヴァン、一日に何度も叫ばせてごめんよ…。

LHL購入しました。私はメッセで購入したのですがイヴァンのマスコットのかわいさにメロメロです…めんこいにゃあああ!!。しかし上記の通りあまり時間はなく、プレイは出来ていません。とりあえずイヴァンルートだけ繰り返しやりそうな自分が嫌、なみっしでした。


BGM StoneCold FictionJunction
PR
[327] [326] [325] [324] [323] [322] [321] [320] [319] [318] [317]
色々説明






拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)


注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨


ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。


書いている人


みっし

・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。



うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。

ついったのフォローは下 のアイコンから。




ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。

ツイッターは基本鍵をかけていますが、フォロー申請してくださったらフォローさせていただきます。
カウンター
忍者ブログ / [PR]
/ Template by Z.Zone