こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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ということで、6章スタート。
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慌ただしかった引っ越しの日々も終わり、三成は伊達家の本邸へとその身を移されることになった。
この古い別邸では冬の寒さをしのぐのが難しい事、そして三成はもう逃げたり暴れたりしないから街中に移っても大丈夫だろうという政宗の判断故だったが、その判断は正しかったようだ。本邸に着いた日の夕方には赤子の拳にほど近い大きさの雪が降り始め、荷物を入れ終わる頃には作業を行った全員が真っ白に染まっていたのだから。人質という扱いではあったが三成も準備を散々手伝わされ、最後には仕事から逃げ回る政宗を捕獲するという伊達家で一番難しい仕事までやらされる羽目になってしまい。それはもう散々苦労させられたが、小十郎は日々これを行っているのだ。あの男の忍耐強さに感服しつつ、三成は政宗にまで手が回らない小十郎の代わりに彼を追い回したのだった。
家康は呼ばなくても来るのに、どうしてあの龍はひらひらと逃げ回る。
そう愚痴りながら数少ない痕跡を追い、蒼き龍を捕まえるために知略の限りを尽くす日々が終わり。褒美というわけではないのだろうが、与えられたのは前よりずっと広く監視が緩い部屋だった。元はといえば三成を連れてきたからこそあんな山奥の別邸で暮らすことになっていたというのに、どうして伊達家の人間というのは物事のいい面しか見ないのだろうか。
別邸で別れた使用人たちも、新しく本邸で世話になることになった下働きの人間たちも。誰も三成を凶王として、天下分け目の大戦を引き起こした男として扱わなかった。
政宗が連れてきた手のかかる大きな子供。
誰も彼もが三成をそんな風に扱い、時には政宗と並んで叱られる。大体が政宗の起こした騒動に巻き込まれて。人が増え、別邸にいた頃よりも遥かに賑やかな生活になった事に困惑しているのも事実。
だがほんの少しだけ。
新しい生活を楽しみたいと思っている自分がいることを、三成はちゃんと理解していた。
政宗がいて小十郎がいて、時折家康と刃を交え。そんな穏やかな生活が続くと思っていた矢先。
それは突然やってきたのだった。
朝食は三人で集まってから食べるのが、別邸にいた頃からの慣習だった。
早起きを死用途すらしない政宗を小十郎が文字通り叩き起こし。それを見ながら三成が自分の茶碗に盛られた飯を政宗の茶碗へと移そうとし、目聡い小十郎に怒られる。
部屋は広くなった、だがやることは全く変わらない。
今日も今日とて小十郎に叩かれたであろう頭をさすり、眠そうに体を揺らしながらやってきた政宗に冷たい目線を向けると、後ろで政宗が倒れぬように気を配っている小十郎がこちらに向けて微笑みかけてきた。
「おはようございます。相も変わらず早起きで……政宗様にコツを教えていただきたいほどです」
「日が昇れば目が開く、当たり前のことだ。それより早く飯を食うぞ……今日は家康が来そうだ」
「石田殿のその言葉に今まで外れはありませんでしたね。では、早く食事を済ませることにいたしましょうか」
後ろからまだ寝ぼけている政宗の背を押すと、片方の目がようやくしっかりと開かれた。
「よう石田、家康が来そうか?」
「あまり寝ると目が溶けるぞ」
「寝る子は育つとも言うだろ?」
軽口を叩きながら己の席に着く政宗は、朦朧としながら小十郎と三成の会話を聞いていたのだろう。ニヤニヤしながら時折三成を見つめ、それから行儀良く食事開始の挨拶をしてから飯をかき込み始めた。
家康と三成の対決が楽しみでたまらないのだ、この男は。
自分も三成の代わりに家康とやりあってみたいと公言している政宗にとって、二人の戦いはとても興味深いものなのだろう。もし三成が勝ち、天下をよこせと言えばそうなる可能性もある、ある意味関ヶ原の合戦のやり直しのようなものなのだから。
今までの戦績は、四勝三敗。
三成は勝つとすぐに勝利の代価を要求したが、家康はそれをしようとしなかった。最初の一度、松永が滞在中に一緒に茶を飲もうと言ったきり、勝っても何も要求しようとしない。もしもの時のために勝ち分をためておく、普通に家康がそう言った時、その場にいた人間全てが彼の恐ろしさに身震いがしたものだった。
だから三成も一つだけ、勝ち分をためておくことにした。
家康が何か恐ろしいことを言ってきた時に、それをはねのけられるように。この頃の家康の密着ぶりを見ていると、そうしておかないと自分が後で後悔するような気がしてならないのだ。
なんというか、溺愛の域を超えている。
「石田殿? どうなされました?」
「家康を思い出していた……」
「食事中におかしな事を思い出しませぬように。食事が冷めてしまいます」
「そうだな」
小十郎の中でも今の家康は『おかしな事』なのか。
そう思いながら好物の茄子の漬け物を口に運ぶ。口に広がる糠漬け特有の塩気を感じながら、番茶を口に含むのが三成の一番の楽しみだったのだが。
咀嚼し、飲み込もうとする前に違和感が襲ってきた。
「?」
見ると政宗もおかしな顔をして首をひねりながら二口目を口にしている。毒が入っているわけではないし、茄子が腐っているわけでもない。小十郎はまだ漬け物を口にしていないのか、のんきに汁をすすっているのだが。
こんな物を口に入れたらどうなる事やら。
そう思った瞬間、先に政宗が動き始めた。
「小十郎……漬け物は食うな」
「政宗様、何かございましたか?」
「お前に喰わせられる出来じゃない……ok?」
「浅く漬かりすぎましたか? ですがせっかくの茄子です……自分で作った物の出来を確かめないのは百姓のやることではございません」
いや、あんた百姓じゃないから。
多分政宗も同じことを思ったのだろうが、二人で必死にこらえる。
畑と政宗をこよなく愛する小十郎の前では、政宗の悪口は限定的に許されるが、野菜の悪口は決して言ってはいけない。伊達家に滞在するにあたって一番最初に三成が学んだのはそれだった。
そしてもう一つの大事なことは。
「政宗様のお気遣いはありがたいですが、私の作った野菜がどれだけまずかろうと……食べてやるのが供養というものでしょう」
「いや……そうじゃないんだけどな………なあ」
「そ、そうだな……」
向かいにいる政宗と目を合わせ、乾いた笑いを同時に漏らす。
そんな二人を尻目に色だけは鮮やかな漬け物を優雅に口に入れた小十郎は、ゆっくりと味わい、そして。
「この糠は誰が用意しやがった…………俺の茄子を台無しにしやがって…………」
箸を置き、大きく息を吸い込んでから。
龍の右目にと呼ばれるにふさわしい咆吼を、館中に響き渡らせた。
「落ち着け小十郎! 糠に罪は……多分ない!」
「いつもより少し味に深みがなかっただけだ! 不味くはない!」
「それが問題なのでございます! あれだけの糠があったはずだというのに……何故、なぜぇぇぇぇっ!」
それからしばらくの間、激高しながら台所へ向かおうとする小十郎を二人がかりで押さえ込み続け。騒ぎを聞きつけて駆けつけた臣下の者たちに調べさせると、意外な事実が判明したのだった。
そして小十郎は、まだ怒り続けていた。
「小十郎……少し落ち着けよ」
「ですが! そんな大事を何故報告しなかったのかと!」
「大事でもないだろ?」
「大事でございます!」
きっぱりと言い切り、小十郎は今回の騒動の原因となった瓶の蓋を強く叩いた。
引っ越しの際に糠を入れていた瓶が行方不明になった。だから急ごしらえの糠で茄子付けを作った、本当にそれだけなのだが。小十郎の怒りは天をひっくり返してしまったようだ。
昨日までは時折ちらほらと雪が降っていたというのに、何故か急に滝のような豪雨が降り出す有様。
このまま小十郎を放置していたら氷柱でも降り出すのでは? と冗談を言う家臣もいたが、更に強くなりつつある雨を見ているとあながち冗談でもないかもしれない。
特に伊達家の機密や家宝が失われたわけではないし、誰かが怪我をしたわけでもない。だが小十郎にとってあの瓶に入っている糠は、何よりも大切な宝物だったらしい。
誰にだって人には価値がわからない宝物がある。
だが政宗は小十郎が大切に思っている、そのことはちゃんと尊重しているようだった。
「後で荷物をもう一度探させるか」
「政宗様……」
「だがあの大荷物だ、見つけ直すのは大仕事だな…………あの糠、確か米屋のバアさんに分けて貰ったやつだよな?」
「そうですが」
「……………おい、石田」
朝食の膳が片付けられぬままの室内で、政宗と小十郎のやりとりを部屋の隅で見ていた三成だったが、突然話を振られて壁に預けていた背を思わず浮かせてしまう。
「な、なんだ?」
「悪いが米屋に行って糠を分けて貰ってきてくれ」
「なんだと!?」
「俺と小十郎は荷物をcheckしなおす。他にもどこかに紛れ込んじまったものがあるかもしれないからな。アンタ、今日は暇だろ?」
「家康が来る!」
「そんなに家康に会いたいのか?」
「……あ、会いたいわけがないだろう! 秀吉様を殺した仇だ、家康は!」
「そうだよな、なら行ってきてくれ」
はめられた、と思った瞬間にはもう全ての事象が自分に都合が悪い様に進み始めていた。
「石田殿、ありがとうございます! 手紙と地図を用意いたしますので……それと樽を。是非、是非とも糠を……よろしくお願いいたします」
音もなく素早く近づいてきた小十郎にぎゅっと手を握られ、これ以上ない程真摯な瞳で見つめられたら三成が断れるわけがない。
豊臣家も毎日色々あったが、この家にはかなわないと思いつつ。
この雨の中外に出かけなければならない事と、ついでに家康との決闘が先送りになったことを多少恨みながら。
石田三成は、おつかいに出発することになった。
三成が出かけてすぐ伊達家に家康が来訪し。
三成の不在を知るとすぐ後を追い始めたことを、三成は当然知るわけがなく。そこで巻き起こるこれ以上の騒動についても、予測など出来るわけがなかった。
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BGM「ミラクルフライト」 by水樹奈々
この古い別邸では冬の寒さをしのぐのが難しい事、そして三成はもう逃げたり暴れたりしないから街中に移っても大丈夫だろうという政宗の判断故だったが、その判断は正しかったようだ。本邸に着いた日の夕方には赤子の拳にほど近い大きさの雪が降り始め、荷物を入れ終わる頃には作業を行った全員が真っ白に染まっていたのだから。人質という扱いではあったが三成も準備を散々手伝わされ、最後には仕事から逃げ回る政宗を捕獲するという伊達家で一番難しい仕事までやらされる羽目になってしまい。それはもう散々苦労させられたが、小十郎は日々これを行っているのだ。あの男の忍耐強さに感服しつつ、三成は政宗にまで手が回らない小十郎の代わりに彼を追い回したのだった。
家康は呼ばなくても来るのに、どうしてあの龍はひらひらと逃げ回る。
そう愚痴りながら数少ない痕跡を追い、蒼き龍を捕まえるために知略の限りを尽くす日々が終わり。褒美というわけではないのだろうが、与えられたのは前よりずっと広く監視が緩い部屋だった。元はといえば三成を連れてきたからこそあんな山奥の別邸で暮らすことになっていたというのに、どうして伊達家の人間というのは物事のいい面しか見ないのだろうか。
別邸で別れた使用人たちも、新しく本邸で世話になることになった下働きの人間たちも。誰も三成を凶王として、天下分け目の大戦を引き起こした男として扱わなかった。
政宗が連れてきた手のかかる大きな子供。
誰も彼もが三成をそんな風に扱い、時には政宗と並んで叱られる。大体が政宗の起こした騒動に巻き込まれて。人が増え、別邸にいた頃よりも遥かに賑やかな生活になった事に困惑しているのも事実。
だがほんの少しだけ。
新しい生活を楽しみたいと思っている自分がいることを、三成はちゃんと理解していた。
政宗がいて小十郎がいて、時折家康と刃を交え。そんな穏やかな生活が続くと思っていた矢先。
それは突然やってきたのだった。
朝食は三人で集まってから食べるのが、別邸にいた頃からの慣習だった。
早起きを死用途すらしない政宗を小十郎が文字通り叩き起こし。それを見ながら三成が自分の茶碗に盛られた飯を政宗の茶碗へと移そうとし、目聡い小十郎に怒られる。
部屋は広くなった、だがやることは全く変わらない。
今日も今日とて小十郎に叩かれたであろう頭をさすり、眠そうに体を揺らしながらやってきた政宗に冷たい目線を向けると、後ろで政宗が倒れぬように気を配っている小十郎がこちらに向けて微笑みかけてきた。
「おはようございます。相も変わらず早起きで……政宗様にコツを教えていただきたいほどです」
「日が昇れば目が開く、当たり前のことだ。それより早く飯を食うぞ……今日は家康が来そうだ」
「石田殿のその言葉に今まで外れはありませんでしたね。では、早く食事を済ませることにいたしましょうか」
後ろからまだ寝ぼけている政宗の背を押すと、片方の目がようやくしっかりと開かれた。
「よう石田、家康が来そうか?」
「あまり寝ると目が溶けるぞ」
「寝る子は育つとも言うだろ?」
軽口を叩きながら己の席に着く政宗は、朦朧としながら小十郎と三成の会話を聞いていたのだろう。ニヤニヤしながら時折三成を見つめ、それから行儀良く食事開始の挨拶をしてから飯をかき込み始めた。
家康と三成の対決が楽しみでたまらないのだ、この男は。
自分も三成の代わりに家康とやりあってみたいと公言している政宗にとって、二人の戦いはとても興味深いものなのだろう。もし三成が勝ち、天下をよこせと言えばそうなる可能性もある、ある意味関ヶ原の合戦のやり直しのようなものなのだから。
今までの戦績は、四勝三敗。
三成は勝つとすぐに勝利の代価を要求したが、家康はそれをしようとしなかった。最初の一度、松永が滞在中に一緒に茶を飲もうと言ったきり、勝っても何も要求しようとしない。もしもの時のために勝ち分をためておく、普通に家康がそう言った時、その場にいた人間全てが彼の恐ろしさに身震いがしたものだった。
だから三成も一つだけ、勝ち分をためておくことにした。
家康が何か恐ろしいことを言ってきた時に、それをはねのけられるように。この頃の家康の密着ぶりを見ていると、そうしておかないと自分が後で後悔するような気がしてならないのだ。
なんというか、溺愛の域を超えている。
「石田殿? どうなされました?」
「家康を思い出していた……」
「食事中におかしな事を思い出しませぬように。食事が冷めてしまいます」
「そうだな」
小十郎の中でも今の家康は『おかしな事』なのか。
そう思いながら好物の茄子の漬け物を口に運ぶ。口に広がる糠漬け特有の塩気を感じながら、番茶を口に含むのが三成の一番の楽しみだったのだが。
咀嚼し、飲み込もうとする前に違和感が襲ってきた。
「?」
見ると政宗もおかしな顔をして首をひねりながら二口目を口にしている。毒が入っているわけではないし、茄子が腐っているわけでもない。小十郎はまだ漬け物を口にしていないのか、のんきに汁をすすっているのだが。
こんな物を口に入れたらどうなる事やら。
そう思った瞬間、先に政宗が動き始めた。
「小十郎……漬け物は食うな」
「政宗様、何かございましたか?」
「お前に喰わせられる出来じゃない……ok?」
「浅く漬かりすぎましたか? ですがせっかくの茄子です……自分で作った物の出来を確かめないのは百姓のやることではございません」
いや、あんた百姓じゃないから。
多分政宗も同じことを思ったのだろうが、二人で必死にこらえる。
畑と政宗をこよなく愛する小十郎の前では、政宗の悪口は限定的に許されるが、野菜の悪口は決して言ってはいけない。伊達家に滞在するにあたって一番最初に三成が学んだのはそれだった。
そしてもう一つの大事なことは。
「政宗様のお気遣いはありがたいですが、私の作った野菜がどれだけまずかろうと……食べてやるのが供養というものでしょう」
「いや……そうじゃないんだけどな………なあ」
「そ、そうだな……」
向かいにいる政宗と目を合わせ、乾いた笑いを同時に漏らす。
そんな二人を尻目に色だけは鮮やかな漬け物を優雅に口に入れた小十郎は、ゆっくりと味わい、そして。
「この糠は誰が用意しやがった…………俺の茄子を台無しにしやがって…………」
箸を置き、大きく息を吸い込んでから。
龍の右目にと呼ばれるにふさわしい咆吼を、館中に響き渡らせた。
「落ち着け小十郎! 糠に罪は……多分ない!」
「いつもより少し味に深みがなかっただけだ! 不味くはない!」
「それが問題なのでございます! あれだけの糠があったはずだというのに……何故、なぜぇぇぇぇっ!」
それからしばらくの間、激高しながら台所へ向かおうとする小十郎を二人がかりで押さえ込み続け。騒ぎを聞きつけて駆けつけた臣下の者たちに調べさせると、意外な事実が判明したのだった。
そして小十郎は、まだ怒り続けていた。
「小十郎……少し落ち着けよ」
「ですが! そんな大事を何故報告しなかったのかと!」
「大事でもないだろ?」
「大事でございます!」
きっぱりと言い切り、小十郎は今回の騒動の原因となった瓶の蓋を強く叩いた。
引っ越しの際に糠を入れていた瓶が行方不明になった。だから急ごしらえの糠で茄子付けを作った、本当にそれだけなのだが。小十郎の怒りは天をひっくり返してしまったようだ。
昨日までは時折ちらほらと雪が降っていたというのに、何故か急に滝のような豪雨が降り出す有様。
このまま小十郎を放置していたら氷柱でも降り出すのでは? と冗談を言う家臣もいたが、更に強くなりつつある雨を見ているとあながち冗談でもないかもしれない。
特に伊達家の機密や家宝が失われたわけではないし、誰かが怪我をしたわけでもない。だが小十郎にとってあの瓶に入っている糠は、何よりも大切な宝物だったらしい。
誰にだって人には価値がわからない宝物がある。
だが政宗は小十郎が大切に思っている、そのことはちゃんと尊重しているようだった。
「後で荷物をもう一度探させるか」
「政宗様……」
「だがあの大荷物だ、見つけ直すのは大仕事だな…………あの糠、確か米屋のバアさんに分けて貰ったやつだよな?」
「そうですが」
「……………おい、石田」
朝食の膳が片付けられぬままの室内で、政宗と小十郎のやりとりを部屋の隅で見ていた三成だったが、突然話を振られて壁に預けていた背を思わず浮かせてしまう。
「な、なんだ?」
「悪いが米屋に行って糠を分けて貰ってきてくれ」
「なんだと!?」
「俺と小十郎は荷物をcheckしなおす。他にもどこかに紛れ込んじまったものがあるかもしれないからな。アンタ、今日は暇だろ?」
「家康が来る!」
「そんなに家康に会いたいのか?」
「……あ、会いたいわけがないだろう! 秀吉様を殺した仇だ、家康は!」
「そうだよな、なら行ってきてくれ」
はめられた、と思った瞬間にはもう全ての事象が自分に都合が悪い様に進み始めていた。
「石田殿、ありがとうございます! 手紙と地図を用意いたしますので……それと樽を。是非、是非とも糠を……よろしくお願いいたします」
音もなく素早く近づいてきた小十郎にぎゅっと手を握られ、これ以上ない程真摯な瞳で見つめられたら三成が断れるわけがない。
豊臣家も毎日色々あったが、この家にはかなわないと思いつつ。
この雨の中外に出かけなければならない事と、ついでに家康との決闘が先送りになったことを多少恨みながら。
石田三成は、おつかいに出発することになった。
三成が出かけてすぐ伊達家に家康が来訪し。
三成の不在を知るとすぐ後を追い始めたことを、三成は当然知るわけがなく。そこで巻き起こるこれ以上の騒動についても、予測など出来るわけがなかった。
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BGM「ミラクルフライト」 by水樹奈々
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
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