こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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その6は現在は欠番です。
まあ大抵の方の予想通りということで……詳細はもう少々お待ち下さい。
まあ大抵の方の予想通りということで……詳細はもう少々お待ち下さい。
*****
旅立ちにふさわしい朝だった。
朝方に少し雪が降ったのだろう。風が吹くと粉雪が舞い上がり、それが日の光を受けて七色の輝きを放つ。足下までテラされる中、石田三成は必要以上に防寒用の衣類を着せられ困惑しきっていた。
首元にはいつものように防寒用の布をまかれ、頭には雪避け用の傘。さらに蓑やらなにやらごてごてと着せられそうになったのでそれは丁重に断ったのだが、今日の小十郎はただひたすらに過保護だった。
「越後も寒いですので、決して布団から足を出して眠らぬように。それとこれは握り飯と漬け物でございます」
「片倉………樽で渡されてもこまるのだが………」
「石田殿のお好きだった茄子は用意できませんでしたが、蕪と大根は入れてありますので。味噌漬けができあがりましたら、越後にお届けします。ですので、もう少々お待ち下さい」
小さな樽やら竹皮に包まれた大きな包みやら。
次から次へと渡されながら、三成は背に背負った荷物と樽の重みですっかり疲れ果てていた。もともと身一つで奥州に来たはずなのに、政宗のお下がりの衣類やら何やらでかなり持ち物が増えてしまっていた。三成が自分に乗ってくれるのを待ち焦がれているかのように夏萩は時折前足で雪をかいているし、腰には慶次が持ってきてくれた太刀がある。全てを失ってここに来たというのに、今の三成は様々な物を手に入れていた。
形ある物だけではない。
「向こうに着いたら手紙よこせよ? それと上杉によろしく伝えてくれ」
「わかった。伊達、世話になったな」
「帰って来るのにその言葉はないだろ?」
「それも…………そうだな」
小十郎を押しのけて自分の前に立った政宗と、顔を見合わせて笑いあう。
ここから出ることは当分内だろうと思っていた正門の前で、自分を打ち倒した男と笑いあうというのもおかしな話だが。政宗は時には厳しく、そしていつもは優しく接してくれた。そんな彼の思いに答えるために、必ずここへ返ってこようと思いながら三成は背に負った荷物を夏萩へと乗せる。
誰かの思いがこもった品々、そして別れを惜しむ声。
表から出るのは晴れやかな気持ちで大手を振って外に出ることが出来る日。
そう決めたのはかつての自分、そしてそれは今叶った。
様々な事があり、未だ自分の中で渦巻いている思いがあるのは事実。それでもあの光の中で知ることができた事がある。
自分は愛されていた、そして今でも愛されている。
その事実は三成の心から最後の迷いを洗い流してくれていた。
「では行ってくる。長曾我部たちを待たせているだろうからな」
「じゃあ………また、な」
「お気をつけて」
お市は先に迎えに来た長曾我部の舟へと向かっている。
お市の姿を見て長曾我部は大層驚いたのだが、軽く説明するとすぐに納得したらしい。久々の再会に喜ぶお市と共に先に行ってくれたのは、別れを邪魔しないためだろう。
だが湿っぽい別れはいらない。
やるべき事を終え、ここへ戻ってくるのだから。
笑顔で自分を見送ってくれ二人に笑顔で答え、夏萩に乗ろうとした時。
「………………っ!」
「そりゃあんだけ励めばな………」
「う、うるさい!」
「初めてでそんだけ動けりゃまだマシなほうだ。下手くそなヤツとやっちまったら、そんなもんじゃすまないからな。アイツもそこまで下手じゃなかったってことか」
「ま、政宗様……あの………それはもしかして………」
「感謝しろよ? 覗きに行こうとした松永のヤツを止めてやったんだからな」
「…………それは感謝するしかないな……」
「政宗様! 何故お止めにならなかったのです!」
「面白いからに決まってんだろ?」
会話の内容で事情を察したらしい小十郎が、政宗に食って掛かっている。
そういえば小十郎は朝まで自分の旅の準備をしてくれていたのだった。痛いわけではないのだが奇妙にうずく体の内側を気にしつつ、三成は鞍に腰を沈めた。
騒がしい二人の声を聞きながら、思い出すのは眠る家康の顔。
何も言わず彼を起こさぬように出てきたが、今はまだ眠っているだろうか。それとも自分の思いを尊重して、見送りしたい気持ちを我慢しているか。そう一度は予想してみたが、賀考えるまでもない。
家康はとっくに目覚めており、見送らないという決断を下しながら泣いているのだろう。聞きたくなくとも、知りたくなくとも三成にはわかるのだ。
家康の声が自分だけには聞こえている。
悲しげな声で三成の名を呼び、そして泣くのだあの男は。
側に行って泣くなと言ってやりたいが、そうするわけにはいかなかった。
別れの寂しさと、刑部に会いに行くことの喜びと、そして家康への憎しみと。絡まり合った思いという名の糸を解きほぐし、決着をつけなければ彼に会うことなど出来るわけがないのだ。
このまま家康の側にいる事を選べば、いつか三成は家康への憎しみと愛しさの板挟みになり耐えきれなくなる。長い時間が三成を癒し、もう一度まっさらな気持ちで家康に向かい合うことができる日が来るまで。様々な事を経験し、自分のやるべき事を探していきたい。
そう思えるようになったのは、この奥州の地で暮らすことができたから。
「…………本当に……世話になった………」
「早く帰って来いよ」
「色々言いたいことはございますが……まずはお気をつけて」
「ああ。それとだな………家康に伝えてくれ」
また会おう、と。
そうして石田三成は旅だった。
漆黒の馬の手綱を軽やかに操り、純白の道を進み。
その顔は雲一つ無い晴れやかさ、とまで言い難かったが未来への希望へと満ちており。後からその話を聞くことになる家康を少しだけだが喜ばせてくれた。
_________________________________________
八章終わりです。
その6は……まあ、あとでね。
BGM「みかん」 by モーニング娘。
朝方に少し雪が降ったのだろう。風が吹くと粉雪が舞い上がり、それが日の光を受けて七色の輝きを放つ。足下までテラされる中、石田三成は必要以上に防寒用の衣類を着せられ困惑しきっていた。
首元にはいつものように防寒用の布をまかれ、頭には雪避け用の傘。さらに蓑やらなにやらごてごてと着せられそうになったのでそれは丁重に断ったのだが、今日の小十郎はただひたすらに過保護だった。
「越後も寒いですので、決して布団から足を出して眠らぬように。それとこれは握り飯と漬け物でございます」
「片倉………樽で渡されてもこまるのだが………」
「石田殿のお好きだった茄子は用意できませんでしたが、蕪と大根は入れてありますので。味噌漬けができあがりましたら、越後にお届けします。ですので、もう少々お待ち下さい」
小さな樽やら竹皮に包まれた大きな包みやら。
次から次へと渡されながら、三成は背に背負った荷物と樽の重みですっかり疲れ果てていた。もともと身一つで奥州に来たはずなのに、政宗のお下がりの衣類やら何やらでかなり持ち物が増えてしまっていた。三成が自分に乗ってくれるのを待ち焦がれているかのように夏萩は時折前足で雪をかいているし、腰には慶次が持ってきてくれた太刀がある。全てを失ってここに来たというのに、今の三成は様々な物を手に入れていた。
形ある物だけではない。
「向こうに着いたら手紙よこせよ? それと上杉によろしく伝えてくれ」
「わかった。伊達、世話になったな」
「帰って来るのにその言葉はないだろ?」
「それも…………そうだな」
小十郎を押しのけて自分の前に立った政宗と、顔を見合わせて笑いあう。
ここから出ることは当分内だろうと思っていた正門の前で、自分を打ち倒した男と笑いあうというのもおかしな話だが。政宗は時には厳しく、そしていつもは優しく接してくれた。そんな彼の思いに答えるために、必ずここへ返ってこようと思いながら三成は背に負った荷物を夏萩へと乗せる。
誰かの思いがこもった品々、そして別れを惜しむ声。
表から出るのは晴れやかな気持ちで大手を振って外に出ることが出来る日。
そう決めたのはかつての自分、そしてそれは今叶った。
様々な事があり、未だ自分の中で渦巻いている思いがあるのは事実。それでもあの光の中で知ることができた事がある。
自分は愛されていた、そして今でも愛されている。
その事実は三成の心から最後の迷いを洗い流してくれていた。
「では行ってくる。長曾我部たちを待たせているだろうからな」
「じゃあ………また、な」
「お気をつけて」
お市は先に迎えに来た長曾我部の舟へと向かっている。
お市の姿を見て長曾我部は大層驚いたのだが、軽く説明するとすぐに納得したらしい。久々の再会に喜ぶお市と共に先に行ってくれたのは、別れを邪魔しないためだろう。
だが湿っぽい別れはいらない。
やるべき事を終え、ここへ戻ってくるのだから。
笑顔で自分を見送ってくれ二人に笑顔で答え、夏萩に乗ろうとした時。
「………………っ!」
「そりゃあんだけ励めばな………」
「う、うるさい!」
「初めてでそんだけ動けりゃまだマシなほうだ。下手くそなヤツとやっちまったら、そんなもんじゃすまないからな。アイツもそこまで下手じゃなかったってことか」
「ま、政宗様……あの………それはもしかして………」
「感謝しろよ? 覗きに行こうとした松永のヤツを止めてやったんだからな」
「…………それは感謝するしかないな……」
「政宗様! 何故お止めにならなかったのです!」
「面白いからに決まってんだろ?」
会話の内容で事情を察したらしい小十郎が、政宗に食って掛かっている。
そういえば小十郎は朝まで自分の旅の準備をしてくれていたのだった。痛いわけではないのだが奇妙にうずく体の内側を気にしつつ、三成は鞍に腰を沈めた。
騒がしい二人の声を聞きながら、思い出すのは眠る家康の顔。
何も言わず彼を起こさぬように出てきたが、今はまだ眠っているだろうか。それとも自分の思いを尊重して、見送りしたい気持ちを我慢しているか。そう一度は予想してみたが、賀考えるまでもない。
家康はとっくに目覚めており、見送らないという決断を下しながら泣いているのだろう。聞きたくなくとも、知りたくなくとも三成にはわかるのだ。
家康の声が自分だけには聞こえている。
悲しげな声で三成の名を呼び、そして泣くのだあの男は。
側に行って泣くなと言ってやりたいが、そうするわけにはいかなかった。
別れの寂しさと、刑部に会いに行くことの喜びと、そして家康への憎しみと。絡まり合った思いという名の糸を解きほぐし、決着をつけなければ彼に会うことなど出来るわけがないのだ。
このまま家康の側にいる事を選べば、いつか三成は家康への憎しみと愛しさの板挟みになり耐えきれなくなる。長い時間が三成を癒し、もう一度まっさらな気持ちで家康に向かい合うことができる日が来るまで。様々な事を経験し、自分のやるべき事を探していきたい。
そう思えるようになったのは、この奥州の地で暮らすことができたから。
「…………本当に……世話になった………」
「早く帰って来いよ」
「色々言いたいことはございますが……まずはお気をつけて」
「ああ。それとだな………家康に伝えてくれ」
また会おう、と。
そうして石田三成は旅だった。
漆黒の馬の手綱を軽やかに操り、純白の道を進み。
その顔は雲一つ無い晴れやかさ、とまで言い難かったが未来への希望へと満ちており。後からその話を聞くことになる家康を少しだけだが喜ばせてくれた。
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八章終わりです。
その6は……まあ、あとでね。
BGM「みかん」 by モーニング娘。
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
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ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。
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