こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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次から九章です。
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豊臣軍の軍師竹中半兵衛は己の死期を悟った時、身近な者たちを順に呼んだ。
まずは黒田官兵衛だったが、自分が次の豊臣の軍師だと意気揚々と部屋に入っていった彼を待っていたのは、半兵衛の人の心を徹底的に打ちのめすかのような悪口雑言だった。死を間近にして木でも触れたか、それとも軍師の名を奪われるのが怖いのかと最初は思ったが、彼は全く正常なままで。
次から次へと刺さってくる言葉の刃から逃げることができず、細かい失態までつつかれて何も言い返す事ができなかった官兵衛を最後に待っていたのは。
それでは豊臣の軍師として役に立たない。
失望を多分に含んだ、半兵衛のそんな言葉だった。
何を言われても、どれだけ責められても言い返す事ができなければ天下人の軍師などできぬ。その事実を突きつけられた官兵衛は行きの自信に満ちた姿とは正反対の、うなだれ落ち込みきった顔で半兵衛の部屋を後にした。
次に呼ばれたのは大谷吉継だった。
まず半兵衛は自分亡き後の三成の事を大谷に頼み、それから今後の豊臣家の家臣の扱い方について説明していった。一番の懸案事項であった黒田官兵衛は今自分が最後の手を打っておいた、彼は今後大谷ならばどのように扱うこともできるだろう。面倒ならばどこかに幽閉してしまっても構わないし、頭はいいが根は単純な男なので戦力として使ってもいいだろう。
他の家臣については事細かく裏切った時の方策などが示されたが、一番半兵衛が恐れていたのは家康の存在であった。今は豊臣に従っているが、彼が豊臣に協力したのは天下統一を行える戦力が豊臣だけだったから。もし豊臣の方針と自分の望む未来が違っていれば、彼は反旗を翻すだろう。
だから家康君にだけは注意してね。
今まで自分を案じてくれた大谷に感謝の言葉を告げつつ、半兵衛はゆっくりと目を閉じた。もう自分に伝えることはないのだ、半兵衛の態度でそれを知った大谷は今まで彼に与えられた物全てに感謝しつつ。
短い言葉で別れを告げた。
そして呼ばれたのは徳川家康だった。
開口一番で半兵衛が告げたのは、君は将来豊臣と袂を分かつことになるという予言じみた未来予測だった。そんなことあるはずがないと笑う家康を、半兵衛は首を振って睨み付ける。
君が秀吉から全てを奪う。
だが死に往く僕には何も出来ない、今はそれが恨めしい。
嘆くように、怒りを吐き出すかのように。細く枯れてしまいそうな声でそう言い続ける半兵衛に、家康は笑顔を崩さずに告げる。
三成を悲しませるような真似はしないと。
その言葉を聞いた瞬間、火がついたように笑い出した半兵衛はそれから一度も家康を見ることも、彼の言葉に返事をすることもなく。必死に笑顔を維持し、笑いながら去っていく家康へと内心呪詛の言葉を吐き続けていた。
石田三成は、部屋に入ってくる前から泣いていた。
彼が何のために三成を呼んだのかを理解していたのだろう。太閤の左腕と呼ばれるようになったというのに、子供のように顔をくしゃりと歪め、肩を震わせながら泣き続ける彼を半兵衛は優しく宥め続けた。。
死んだら三成君に取り憑いてあげるから。
そうしたらずっと一緒だよ。
そう考えたら悲しくないだろう?
だがどれだけ言葉を尽くしても三成の涙は止まるどころか増すばかり。最後に見る彼の顔が泣き顔だなんて、こんな悲しいことはない。
泣き顔を見るくらいなら、もうしょうがないか。
そう思った半兵衛は秀吉の名をだし、彼を叱咤激励した。豊臣の兵として恥じぬ働きをしろ、泣くのは仕事ではないだろう、と。
予想通り一気に泣き止み、将としての顔で半兵衛に向き直った三成を見て思った。
自分は最後にこの子の笑顔を見ることもできないのか、と。
最後に部屋に入ってきた秀吉は、まず最初に笑いながらではあったが半兵衛を責めてきた。
「三成がかなり複雑な顔をしていたが……何を言った?」
「別に………豊臣の兵としての心構えを説いてあげただけだよ。そうしないとあの子、泣き止まないんだから」
「そうか」
細くなった体は、もう起き上がることすらできない。
頬に添えられる秀吉の手の温かさは自分がまだ生きていることを教えてくれるが、それと同時に布団の中にあるというのに冷え切った体は自分が死に急速に近づいていることも理解させてくれた。
もう秀吉に会うことも出来ない、彼とこうして言葉を交わすこともできなくなる。
以前からこの時が来ても動じないようにしようと覚悟していたが、そう簡単に人は悟ることができないらしい。
泣きながら死なないで下さいと訴えかけてきた三成、そして普段の飄々とした雰囲気を捨て去り、神妙に自分の話を聞いていた大谷。死ぬことが怖いのではなく、彼らと秀吉を置いて逝くことがただ悲しい。
そんな半兵衛の全てを最後まで見守っていてくれるつもりなのだろう。
どっかりと枕元に腰を下ろし、度量の広さを体現する眼差しでずっと自分を見守っていてくれる。
「あのね、秀吉」
「どうした?」
「僕ね………死んだら三成君の背中にくっついてるから。何かあったら三成君の所に来て」
「そうか、それなら我も死した後に三成の所へ行くとするか」
「秀吉が乗っかったら三成君、重いって言うよ」
「だが半兵衛はそこにいるのだろう? 三成には少しの重さくらい我慢してもらうとしよう」
「そうだね……そうしたら、二人でずっと三成君を見守っていられるよ」
半兵衛のいる所は自分のいるべき場所。
当たり前のようにそう言ってくれた秀吉に感謝し、不意に襲ってきた目頭の熱さと体の重さに半兵衛は気力を振り絞って開け続けていた目を閉じることにした。
________________________________________
短いです。
まずは黒田官兵衛だったが、自分が次の豊臣の軍師だと意気揚々と部屋に入っていった彼を待っていたのは、半兵衛の人の心を徹底的に打ちのめすかのような悪口雑言だった。死を間近にして木でも触れたか、それとも軍師の名を奪われるのが怖いのかと最初は思ったが、彼は全く正常なままで。
次から次へと刺さってくる言葉の刃から逃げることができず、細かい失態までつつかれて何も言い返す事ができなかった官兵衛を最後に待っていたのは。
それでは豊臣の軍師として役に立たない。
失望を多分に含んだ、半兵衛のそんな言葉だった。
何を言われても、どれだけ責められても言い返す事ができなければ天下人の軍師などできぬ。その事実を突きつけられた官兵衛は行きの自信に満ちた姿とは正反対の、うなだれ落ち込みきった顔で半兵衛の部屋を後にした。
次に呼ばれたのは大谷吉継だった。
まず半兵衛は自分亡き後の三成の事を大谷に頼み、それから今後の豊臣家の家臣の扱い方について説明していった。一番の懸案事項であった黒田官兵衛は今自分が最後の手を打っておいた、彼は今後大谷ならばどのように扱うこともできるだろう。面倒ならばどこかに幽閉してしまっても構わないし、頭はいいが根は単純な男なので戦力として使ってもいいだろう。
他の家臣については事細かく裏切った時の方策などが示されたが、一番半兵衛が恐れていたのは家康の存在であった。今は豊臣に従っているが、彼が豊臣に協力したのは天下統一を行える戦力が豊臣だけだったから。もし豊臣の方針と自分の望む未来が違っていれば、彼は反旗を翻すだろう。
だから家康君にだけは注意してね。
今まで自分を案じてくれた大谷に感謝の言葉を告げつつ、半兵衛はゆっくりと目を閉じた。もう自分に伝えることはないのだ、半兵衛の態度でそれを知った大谷は今まで彼に与えられた物全てに感謝しつつ。
短い言葉で別れを告げた。
そして呼ばれたのは徳川家康だった。
開口一番で半兵衛が告げたのは、君は将来豊臣と袂を分かつことになるという予言じみた未来予測だった。そんなことあるはずがないと笑う家康を、半兵衛は首を振って睨み付ける。
君が秀吉から全てを奪う。
だが死に往く僕には何も出来ない、今はそれが恨めしい。
嘆くように、怒りを吐き出すかのように。細く枯れてしまいそうな声でそう言い続ける半兵衛に、家康は笑顔を崩さずに告げる。
三成を悲しませるような真似はしないと。
その言葉を聞いた瞬間、火がついたように笑い出した半兵衛はそれから一度も家康を見ることも、彼の言葉に返事をすることもなく。必死に笑顔を維持し、笑いながら去っていく家康へと内心呪詛の言葉を吐き続けていた。
石田三成は、部屋に入ってくる前から泣いていた。
彼が何のために三成を呼んだのかを理解していたのだろう。太閤の左腕と呼ばれるようになったというのに、子供のように顔をくしゃりと歪め、肩を震わせながら泣き続ける彼を半兵衛は優しく宥め続けた。。
死んだら三成君に取り憑いてあげるから。
そうしたらずっと一緒だよ。
そう考えたら悲しくないだろう?
だがどれだけ言葉を尽くしても三成の涙は止まるどころか増すばかり。最後に見る彼の顔が泣き顔だなんて、こんな悲しいことはない。
泣き顔を見るくらいなら、もうしょうがないか。
そう思った半兵衛は秀吉の名をだし、彼を叱咤激励した。豊臣の兵として恥じぬ働きをしろ、泣くのは仕事ではないだろう、と。
予想通り一気に泣き止み、将としての顔で半兵衛に向き直った三成を見て思った。
自分は最後にこの子の笑顔を見ることもできないのか、と。
最後に部屋に入ってきた秀吉は、まず最初に笑いながらではあったが半兵衛を責めてきた。
「三成がかなり複雑な顔をしていたが……何を言った?」
「別に………豊臣の兵としての心構えを説いてあげただけだよ。そうしないとあの子、泣き止まないんだから」
「そうか」
細くなった体は、もう起き上がることすらできない。
頬に添えられる秀吉の手の温かさは自分がまだ生きていることを教えてくれるが、それと同時に布団の中にあるというのに冷え切った体は自分が死に急速に近づいていることも理解させてくれた。
もう秀吉に会うことも出来ない、彼とこうして言葉を交わすこともできなくなる。
以前からこの時が来ても動じないようにしようと覚悟していたが、そう簡単に人は悟ることができないらしい。
泣きながら死なないで下さいと訴えかけてきた三成、そして普段の飄々とした雰囲気を捨て去り、神妙に自分の話を聞いていた大谷。死ぬことが怖いのではなく、彼らと秀吉を置いて逝くことがただ悲しい。
そんな半兵衛の全てを最後まで見守っていてくれるつもりなのだろう。
どっかりと枕元に腰を下ろし、度量の広さを体現する眼差しでずっと自分を見守っていてくれる。
「あのね、秀吉」
「どうした?」
「僕ね………死んだら三成君の背中にくっついてるから。何かあったら三成君の所に来て」
「そうか、それなら我も死した後に三成の所へ行くとするか」
「秀吉が乗っかったら三成君、重いって言うよ」
「だが半兵衛はそこにいるのだろう? 三成には少しの重さくらい我慢してもらうとしよう」
「そうだね……そうしたら、二人でずっと三成君を見守っていられるよ」
半兵衛のいる所は自分のいるべき場所。
当たり前のようにそう言ってくれた秀吉に感謝し、不意に襲ってきた目頭の熱さと体の重さに半兵衛は気力を振り絞って開け続けていた目を閉じることにした。
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短いです。
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
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ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。
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