こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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某様のお誕生日のお祝いに書かせていただいた秀半なれそめのようなもの。
短いです。
短いです。
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ふわりと目の前を横切る桜の花の欠片。
その美しさを目で楽しみながら酒を楽しんでいると、時折杯の中にも薄紅の破片が落ちてくる。指でつまみ上げることもなくそのままそれを口に含むと、口の中に広がるのは春の、桜の季節の風味だった。
分厚い紅の毛氈の上に足を崩して座り、のんびりと昼日中の桜を楽しむのは極上の贅沢。
夜になれば薄い刃のような月に飾られた神秘的な桜を見ることができるのだが、半兵衞は日の光に照らされる桜を何よりも気に入っていた。
青い空に桜が映え、枝から吹き上げ始めている若芽が光り輝く。
そんな桜を一人で楽しみ続けたいというのに、半兵衞の元には連日一人の男が来訪していた。差し込む光を遮り、半兵衞が見渡せる場所のほとんどを影で暗くしてしまう程の巨体。そして厳つい印象に似合わぬ、穏やかで優しげな眼差し。
武家の出ではないらしいが、その立ち振る舞いには粗野な中にも奇妙な気品が感じられ。ただ立っているだけでも人を惹きつけるのは、彼の生まれ持ったものなのだろう。
この国を一つにしたい、自分に仕えろ。
今まで半兵衞の元を訪れた男達は、最初に必ずこう言った。
ただ上だけを目指し、頂点を取った後のことは考えない。そんな馬鹿は軽くあしらって城から追い出してやっていたのだが、この男だけは違っていた。
身分によって人生が決められてしまう世界を壊し、新しい国を造りたい。
だから力を貸してくれ。
大きな体を小さくし、地面に這いつくばる勢いで頭を下げてきたこの男に半兵衞は今までの男達と違う物を感じていた。
優しい男だというのは彼の立ち振る舞いを見ていればわかる。
きっと家族にも愛されて育ったのだろう。
愛されることに慣れており、誰かを愛することも知っている。そんな男が何故天下をとろうとするのか。片方の腕をだらりと地面へ向けて下げ、もう片方の手には大ぶりな杯を持ち。
竹中半兵衞は目の前に立ち続ける男を見上げることなく、わざと唇を歪めてみせた。
「優しいだけの男に天下は取れない……そして僕はそんな男に力を貸す気はないよ」
「我を軟弱だというのか?」
「君は優しい男だ、そしてそれが君の一番のいいところなんだろうね。でも天下取りにはそれが一番邪魔になるんだ。誰かに優しさを与えれば、それを甘さだと決めつける人間は多い……だから君には天下は取れない。たとえ君がどれだけ強くても、ね」
「優しさか……そんなものは当に捨てた」
「簡単に捨てられたら、今頃この国は天下人だらけだよ」
声を出して笑い、侮蔑するような目線を秀吉へ向けて投げてやる。
通常の男ならこれで半兵衞を見限り、もうここを訪問しなくなる。そして軍を起こして、たくさんの人間を巻き込んで散っていくのだ。
さて、この男はどう返してくるだろうか。
口元に寄せた杯で唇を濡らし、秀吉の言葉を待つ。すると何かを考え込んでいたかのようにしばらく無言を貫いていた秀吉が、急に体を動かした。
腰を屈め、膝を地面につけ。
半兵衞と目をあわせると、ふと表情を和らげた。
「愛というものを我は捨てた…………天下取りのために我は妻を自らの手で殺した……友も捨てた」
「………………………で?」
「我を止める者は……我を受け入れる者はもう誰もいない。天下を取り、この国を作り替えることでしか、我はねねに報いてやることができぬ」
「…………えっと…………君…………馬鹿?」
自らを止める可能性がある妻を殺し、親しい者は全て捨てた。
そこまでして自分を追い込み、この男は天下を望むというのか。
今まで様々な人間が半兵衞を求めた。
美麗な容姿を持つ天下無双の軍師、世間では半兵衞のことをそう呼んでいるらしいが。噂だけが一人歩きをしているらしく、半兵衞を手に入れた者が天下を手に入れるということになってしまっているらしい。勿論普通に物を考えられる人間はそんなことを信じないだろうが、力が足りぬ者ほど世迷い言を信じやすくなるわけで。
自らの願いのために必要とみなした行動を、躊躇うことなく行うことができる。
天下人として必要な資質を兼ね備えている秀吉が、どうして自分を求めたのだろう。
「馬鹿と呼ぶならそれでもよい。だが我は進まねばならぬ……我の覇道を」
「勝手にやったら? 僕は今のところ君に興味ないし」
「そうか、だが我はお前が気に入った。稀代の軍師よ、我に天下を与えてはくれぬだろうか」
「気に入ったって言われても……」
真摯に見つめてくる瞳に耐えられなくなり、ぶつくさ言いながら軽く目をそらす。
この男は軍を持ち、部下に恵まれさえすれば天下を取れる器だ。自分がこの男を導けば、間違いなく彼は天下に覇を成す存在となれるはず。
だが彼は妻を殺した。
必要がなくなれば、自分すら殺すかもしれない。
その心配さえなければこの男につきあってやってもいいのに。口を尖らせながらそんな事を考えていると、秀吉は予想外の行動に出た。ひらりと舞い降りる桜の花びらが頭に降り積もるのも気にせず、彼はその大きな手を伸ばして半兵衞の杯を持っている方の手を掴み取ったのだ。力加減が効かないのか、強く杯ごと握りしめられた手は暖かい感触に包まれていた。
軽い水音と共に、毛氈に紙魚が広がっていく。
「ちょ、ちょっと!」
「望みの物はなんであろうと与えよう。我を疑っているというなら、我はお前の隣では決して刃物を持たぬ。我が気にくわなくなれば、その場で殺すがいい」
だから我の物になれ。
愛を捨てた、そう言う男の口から出たとは思えない程情熱的な言葉。
この男はこんなもので人間を動かせると思っているのだろうか。人は言葉だけでは動かない、物として褒美を与え、更なる目標を与えてやらなければ人は腐ってしまうのだ。
それを知っているからこそ、半兵衞は大きくため息をつく。
「…………………呆れた」
「我の言葉が気に喰わぬのか」
「そうじゃなくて、馬鹿力で握られたら僕の手が壊れるって事! 力の加減も効かないなら、人の手は握らないでよね!」
「すまぬ……」
「そうやって謝らない。君が謝るのは、君のために死んだ兵たちのためだけだよ。今度からはそうしてよね」
「今度……だと?」
「暇つぶしに君につきあってあげるよ。だけど僕を退屈させたらその場で君を殺すから」
全てを晒し、この男は自分を求めてきた。
それだけの覚悟を持って来訪したこの男に、自分が返してやれるのは知略で助けてやることくらいだろう。
慌てて手の力を緩め、優しげに笑いかけてきた秀吉。彼がが持っているのは、天下を取りたいという思いだけ。
王となる素質を持ち天下を目指す意志を持つ彼に教えることは山のようにあるだろう。
だがきっと。
「君の覇道を僕が作る訳か……結構面白そうだね、それ」
「我を助けてくれるというのか?」
「助けないよ」
短くそう言いきると、秀吉の顔が驚愕に彩られた。
「僕と君の覇道になるんだから、助けるとは言わないよね?」
「そ、そうだな」
「そうと決まれば最初にやることは一つかな」
「何をすればよいのだ?」
「簡単だよ」
そう言って半兵衞は笑った。
秀吉を馬鹿にするためではなく、彼を油断させるためでもなく。自分の前に現れた好もしい男とこれから天下を取るという夢を見ることができる喜びに。
自然と顔が輝くような笑顔を形作っていたのだ。
「………………………」
「なに?」
「いや、お前は……その……」
「女顔だって言いたいんでしょ? 言われ慣れているから別に気にしないよ」
「そうではない。あまりに美しかったのでな、見とれてしまいそうだと思っただけだ」
「…………まずはその……何でも素直に言い過ぎるところを直してくれるかな」
早口でそう言い、半兵衞は一気に杯に残っている酒を煽った。
こんなに素直に褒められると、どうしていいかわからなくなる。酒を飲めば何故か急に火照りだした頬の赤さをごまかせるはず。
両手で杯を持ち、口元をそれで隠し。
「まずはね、僕の酒につきあってくれるかな。ここは夜桜も綺麗なんだ、まずはたくさん話をしようよ」
後に秀吉があれほど美しい笑みはなかった、そう述懐する程の笑みを浮かべてみせたのだった。
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某様お誕生日おめでとうございます……1週間以上前のことだけどねw
BGM「笑ってたいんだ」 byいきものがかり
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
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ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。
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