こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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作家の毛利さんと通い家政婦で大学生の長曾我部くんのゆるゆるな日常。
心なしかナリチカ寄り。
思いっきり季節感を無視したアニキ誕生日ネタ、その2。
○すみません。その2で終わる予定が終わらなかったので作家さん視点のその3に続きます。
でもその前に、バレンタインに入るので作家さんと大学生シリーズでバレンタインネタでも書いてみようと思います。
旬のイベントネタ書くのなんて初めてですよ、多分…
ナリチカが魔物というより最早私にここまでさせるアニキが魔物
書いた人:みっしー
心なしかナリチカ寄り。
思いっきり季節感を無視したアニキ誕生日ネタ、その2。
○すみません。その2で終わる予定が終わらなかったので作家さん視点のその3に続きます。
でもその前に、バレンタインに入るので作家さんと大学生シリーズでバレンタインネタでも書いてみようと思います。
旬のイベントネタ書くのなんて初めてですよ、多分…
ナリチカが魔物というより最早私にここまでさせるアニキが魔物
書いた人:みっしー
*****
作家さんと大学生~大学生の誕生日・その2~
~ビスケットケーキ ティラミス風~
誕生日プレゼントとして家族から贈られた鰹一匹が入った発泡スチロールを持っていたために、電車内で周囲からの奇異の視線に晒された元親が、やっとの思いで、バイト先である毛利宅を訪れると、家主はリビングのソファに何故か体育座りで座りながらバラエティ番組を見ているところだった。
そんな家主を横目に、相変わらず散らかった部屋で動き続ける自動掃除機が若干物悲しい。動きが止まっていないだけまだマシかもしれないが。
元親から見える毛利の横顔から見るに若干毛利の目が澱んでいるように感じるのは相当煮詰まっているのかもしれないので仕事のことは触れないでおいた。確か先日話していた予定によると間近の締め切りはあと10日ほどあったと思われるのだが、毛利宅に通い始めて数ヶ月、ここまで荒んだ毛利を見るのは初めてであり元親は少々戸惑う。
数日、来なかった間になにがあったのだろうか、と。
その毛利は元親がリビングに入ってきてようやく気づいたようで、視線を元親に向けて言った。
「遅いぞ、貴様」
時刻は11時10分。
約束したのは11時だったので遅刻には変わりなく、元親は素直に謝罪する。
「悪い、これを持ってくるのに手間取ってよ」
そう言いながら、発泡スチロールの箱をリビングの床に下ろす。
それほど重くなかったが、この大きさのものを自宅から持ち続続けるととさすがの元親も疲労を感じざるをえない。
「何だそれは…」
毛利はソファから降りるといぶかしげな様子で箱と、元親を伺う。その顔には箱への不審がありありとみてとれた。
まぁ、確かに何も言われずに突然そこそこの大きさの発泡スチロールが持ち込まれたらこうなるか、と思いながらも元親は箱を開封する。
開封した中身を見て毛利は、驚きをあらわにした表情を見せる。
「貴様…釣りも趣味だったのか?」
「いや、さすがに俺でも鰹は釣らねぇし!!親が誕生日プレゼントにって送ってくれたんだよ…」
確かに元親は釣りも好きだが、鰹は釣った事が無い。
しかし何度考えても自分の母親ながらプレゼント選択センスが豪快だと元親は思う。
大方鶴姫が『おにいちゃんはおさかなすき→かつおがすき→プレゼントはかつおにしましょう、おかあさん』とでも言い出し、それに母親が『あらいいわねぇ』とノったに違いない。あの二人の勢いに敵う人間は長曾我部家では誰もいない。即ち、父と自分が意見してもはね除けられるに違いないのだ。
それでも送られた鰹はすでに血抜きされており、すぐにでも調理出来る物だったのはせめてもの優しさだろうか。さすがに自分血抜きまでしなければならないのは困る。台所をスプラッタにはしたくない、そんなことを元親は考えていた。
「…誕生日だと…」
毛利は何故かカツオよりも元親の『誕生日』という発言のほうが気になったらしい。
その表情には困惑がありありと表れている。
「ああ、俺、今日誕生日なんだよ」
「…そう、だったのか…」
何故か力なくうなだれる毛利に少しの違和感を感じる。
元親の知る毛利元就という人間は、いつも偉そうにふんぞり返っているのが常だった。
唯我独尊なれど自信満々なその姿が当たり前の姿だと思っていた元親にとっては今日の毛利は珍しいこと尽くしだ。
「?俺の誕生日がどうかしたか?」
「…そなたに悪気がないのはわかっているのだが…そうかこれが抉られるという奴か…大谷よ…理解したぞ…」
フフフフフ…と澱んだ目つきでうつろな笑みを浮かべる毛利は全くもっておかしい。気のせいでなければ目の下に隈まで出来ているのではなかろうか。本当に、自分が来なかったこの数日で、一体何があったのだろうか。
何か空腹のあまり悪いものでも食べたのではないかと疑いたくなるほどだ。
「…毛利、あんた大丈夫か?調子が悪いなら俺、最悪はメシだけ作って帰るけど…」
何なら一緒に医者にでも行くか?と尋ねようとした言葉は毛利自身によって遮られてしまう。
「いや、それはしなくて良い!!」
体調が悪いのかと思い、毛利を案じての発言だったがあっさり断られてしまった。
「ならいいけどよ…」
どうにも毛利の挙動がおかしいとこちらまで調子がおかしくなってくる。
まぁ本人が必死になって否定しているのだからこちらがそこまで問い詰めることもないだろう。そう自分を納得させるように元親は思うことにした。
「…しかし貴様、誕生日ということはだ。何ぞそのカツオで作るのか?」
腕を組み、元親からするとふんぞり返っているように見える毛利が言った。
顔色はともかく、ようやくいつもの調子を取り戻してきたらしいく先程よりは落ち着きを見せてきている。
「そう、銀火丼でも作ろうかと思ってよ」
「…他は?甘味は何か作らぬのか?」
「おう、作っていいなら作るぜ。…とは言ってもほとんどあんたに食ってもらう事になりそうだけど」
元親自身はあまり食べないが、それでも何故か毎年の自分の誕生日にケーキを作っていた。
主に妹の要望でだ。
元親のその答えに満足したのか、フフフ…と笑い声が毛利から漏れる。
「ふふ…ふふ…そうであるならば話は早い…長曾我部よ…!!我にケーキを作るが良い!!」
ばしっと決めポーズあるかのように指を突き出し、ふんぞり返る毛利の姿。
「…いやそんなにふんぞり返らなくても作るから」
いつもの調子に戻ってきたのは良いが、顔が見えないほどにふんぞり返られすぎても困るなぁと元親は思った。
結局、昼食後に毛利は心なしか、妙にふらふらしながら仕事部屋に入っていってしまった。
『案ずるほどのことではない』と言ってはいたがどうにも気になってしまう。
「…うーん…やっぱり俺、毛利に信用されてねーのかな…」
リビングの片づけをしながらも頭を占めるのは、らしくない毛利の姿である。
元より他者との間に一定の距離を設ける人間だ、とは最初に、それこそ竹中さんからバイトを紹介されたときに聞かされていた。
「…もうちょっと、何か話してくれてもいいんじゃねーのかな…」
毛利は確かに強い。
外面的なものだけではなく、内面的なものも含めて。だけれども、元親からすると、毛利の強さは同時に生き辛さでもあると思うのだ。毛利が不得手な家事は自分がカバーできる。でもそれ以外に何か毛利の助けになることは出来ないだろうか。最近は、特にそう思う。
最もそれは自分の希望でしかない。それに自分の言動や行動が毛利にとってお節介なのかもしれない。
だとしたら彼にとって自分は余計なことしかしない厄介な存在だろう。
その一歩を踏み出す勇気は、今の元親にはまだない。
肝心な所で一歩を踏みとどまってしまうのは自分の悪い癖だと元親は思う。最も吹っ切れてしまえばその一歩も軽く飛び越してしまうのだが。
「あー…頭の中、こんがらがってきた」
こういうときは体を動かしてすっきりさせるに限る。
掃除が終わったら買い物に行ってケーキ作りをしよう、うん。思いっきり凝ったデコレーションでもしよう。
不毛な1人脳内会議に終止符をうつべく、元親は仕事の続きを始めることにした。
仕事部屋を除いた家中の掃除を終えた元親は、仕事中の毛利にスーパーに買い物に行く旨を伝え外に出た。幸い、いつもと比べると今日は比較的掃除が早く終わったので時間にはまだ余裕がある。夕食の調理時間を考えても大分余裕のある時間だった。
声をかけた時の毛利は常とさして変わらぬ様子だった。黙々と目の前のモニターと資料とにらみ合っていた姿はいつもどおりで、さっきまでの姿がやはりきのせいだったのだろうかと思ってしまうほどに。
「そなたの選んだもので良いのでおやつを買って来い」と毛利は言った。
さて、ケーキとどんぶりが待ち構える夕食にさして支障の無い程度のおやつとは何があるだろうか。毛利の胃袋ならば何でもぺろりと平らげてしまいそうだが、だからといって団子や大福は平らげてほしくない。
「お菓子コーナーは…っと」
お菓子コーナーはちょうど米菓のセールが行われていたところだったようだ。
「ああ、煎餅でいいか」
甘いのもしょっぱいのもあるし、と至極適当な発想で元親は2、3種類の煎餅をかごに入れる。そして、別な売り場に行こうとしたとき、もう一つのセールコーナーが目に入った。
「へー…ビスケットも特売かぁ」
一袋を手にとって見ると昔と大して変わらないデザインのパッケージが目に入った。
自分ではあまり食べないが、毛利は好きだろうか。甘党なのだから食べるのかもしれない。
それよりもこれは実家の母親の好物だった気がする。そしてこれを材料に使い、時間があるときに作ってくれたお菓子があった。甘さが割と控えめで、自分でも食べられるようなやつが、たしかにあった。
「ああそうか…今年のケーキ、あれでいいか」
そこまで思い出し、今年のケーキの案を決めた元親は、傍から見てもわかるぐらいうきうきした様子で別な売り場に向かったのだった。
「ふむ…この煎餅は美味よのう」
気に入っているリビングのソファに座りながら、元親が買ってきた黒○みるくなるせんべいをぽりぽりとかじりながら、毛利は言った。
頭を悩ませていた案件は解決したのか先ほどよりは少々だがすっきりした様子を見せている。
「甘そうだけどうまいのか、それ」
買ってきたものを冷蔵庫にしまいながら元親が尋ねると、毛利は「うぬ」と答えた。
「甘いことは甘いがさっぱりした甘さよ。…しかしこれは後を引く…」
そう言いながら既に二つ目に手を付けようとしている毛利に元親は言う。
「煎餅食うのもいいけど、晩飯とケーキあるの忘れんなよ」
「…わかっておる」
言いながら元親はケーキ作りに必要な材料を取り出していく。
「これで本当にケーキが出来るのか?」
毛利の口から不安が隠せない声が上がる。
元親の眼前にあるのは、ビスケット、インスタントコーヒー、生クリーム、純ココア、レモン果汁と砂糖そしてクリームチーズだけだ。
あまりに少ない材料に毛利が不安がるのも無理は無い量である。
しかしそんな毛利の不安など裏腹に元親は笑って言った。
「おう!!びっくりするぐらいのうまいのが出来るぜ!!」
元親からすると母親が作ってくれた思い出のお菓子でもあるし、自分が食べられるケーキであるからの笑みであった。
「そ、そうか…」
今のやり取りのどこに毛利が戸惑う要素があったのかわからない元親は首を傾げる。
「?何かあったか?」
「いや、何もない…おそらく」
「…?何か今日の毛利は歯切れ悪いよな。本当に大丈夫か?」
「大丈夫だ!!…お前の手を煩わせるほどのものではない…。ところでそのケーキはどのように作るのだ?」
うまく話をはぐらかされたような気がしつつ、元親は毛利の問いに答えることにした。
「おう。すんげー簡単なんだよ。って作り方見るか?」
「うむ」
人にじっと見られながら作業するのは久しぶりだ。実家にいた頃は毎日のようにやっていたことだったが。
少しの気恥ずかしさを感じながら元親は作業を進めることにした。
ボウルでクリームチーズを混ぜ砂糖を加えて柔らかくなるまでよく混ぜる。混ざった物にレモン果汁を適量加えてクリーム状になるまで混ぜていく。
次に生クリームを泡立て、八分だての堅さになったものを先ほどのクリームチーズに少しずつ混ぜていく。これでクリームは完成だ。
「…そのクリームだけでも十分に美味そうなのだが」
じいっと見つめる毛利の口から涎が出てきそうな勢いで思わず元親はたじろぐ。
「作ってる途中だからまだ喰うな!!…クリームだけ残ったら喰ってもいいから」
「うむ…」
結局の所、毛利に甘い元親であった。
最も、その光景に何故か既視感を感じていたが、それが何なのか、本人は気がついていなかった。
先ほど購入してきたビスケットをコーヒーに浸しラップを敷いた皿に重ねていく。
その上に先ほどのクリームを塗り、コーヒーに浸したビスケットを重ねる、という作業を繰り返し、ある程度までいった所で止めておき、ラップを利用してビスケットを密着させるように包んでいく。
後はこれを2,3時間冷やせばできあがりだ。
「クリーム…」
「あー…悪い。まだ仕上げに使うんだ。それが終わってからにしてくれるか?」
「…仕方ない。ケーキの為なら我慢するか…」
「あんた本当に甘味の事になると人が変わるよな…」
無論、といいながらも待ちきれなくなったのか毛利は先ほどの煎餅を一つ手に取ると再びポリポリと食べ始めた。
一点だけを見つめて集中して食べているその様子は小動物さながらである。
最も毛利本人にそれを伝えたら、どんな目に遭うのかわからないので言わないでおこうと元親は心に誓っているのだが。
煎餅を食べ終わったかと思うと毛利は再び「仕事の続きをする」と言って仕事部屋に行ってしまった。どうやらいつもの調子に戻ってきたらしい。
安堵と共に、自分でもよくわからないもやもやした気分に違和感を感じつつ元親も仕事の続きをすることにした。
鰹が中心の夕食準備をあらかた終え、元親はケーキ作りの最後の仕上げに取りかかっていた。
十分に冷えたビスケットケーキ部分に先ほど作成したクリームの残りをまんべんなく塗っていく。最後にココアを振りかければ、ビスケットケーキ ティラミス風のできあがりだ。
後は食べる直前まで冷やしておけば良いだろう。
ケーキができあがったので次は段取りよく夕食の準備を終えた元親は全てを終わらせる。
そして全てができあがった時に声を上げる。
「毛利ー、メシ出来たぞー」
「今行く」
リビングからでも声をかけると、毛利はすぐに仕事部屋やってきた。
当たり前のその行為が、元親には何故か嬉しかった。
実家では妹や、後輩が当たり前のようにしてくれていたこと、だからかなのかはわからなかったが。
「…ケーキ…」
「あんた…あれだけ平らげた後でよく喰えるよな…」
元親が作った大盛りの銀火丼をぺろっと完食した毛利はまだまだ余裕があるらしい。
特に甘味に関することにはこの男の胃袋は異次元だと元親は思う。
「…まぁ、いいか。今出すからちょっと待ってろよ」
そう言って冷蔵庫で冷やしていたケーキを取り出す。
「何とも変わったケーキだな…」
「見た目はな。でも味は確かだぜ」
大まかな大きさに切ってとりわけ、皿に載せたそれを毛利に渡す。
「うむ」
一礼して受け取った毛利は、向かい合う元親も自分の皿に同じように載せ食べる準備が出来たのを見計らい食べ始めた。
その刹那、またもや目が見開かれることになるのだが、ここまで来ると元親にとっても想定の範囲内なのであまり騒がない。
「なんだこれは…ティラミスのようだがティラミスにあらず…しかし美味い…!!」
水分を吸ったビスケット生地は何とも不思議な食感となっておりそれが周囲のクリーム、コーヒーの風味と合わさり味わいはティラミスのようだった。
「まぁ本物のティラミスと比べるのはおこがましいけど、簡単だからなぁ。作りやすいんだ」
「…ふむ…これはこれで良いものよ…!!」
美味しいのは分かるが目の見開きを継続していて疲れないのかと元親は思った。
まぁ、作り手としてはそれだけ喜んでくれたが作りがいもあるというものだが。
「しかしなぁ…誕生日に作るんならローソクぐらい立てれば良かったか。でも20本立てるのはさすがに立てすぎだよなぁ。」
まず全部は刺さらなさそうだし。
そう伝えた所、残りのクリームを皿に盛りつけケーキと共に平らげようと思っていたらしい目の前の毛利が、今度は一転してきょとんとした様子を見せる。
今日の毛利は本当によく表情が変わるなぁ、と思っていたところ、その毛利から声がかけられる。
「そなた…今日でいくつになる?」
「ああ。俺、今日で20歳になるんだけど…」
「20歳!?…貴様19歳になるのでは無いのか?」
本日付で1歳増えた年齢を伝えるとさらに毛利が動揺を見せる。
日頃の落ち着いた姿しか見たことが無い故に食い物以外でここまで動揺するなんて珍しいなーと考えながら元親は少々気まずそうに呟く。
「あー…まぁ学年で言ったらそうなんだけど…言っておくけど浪人でもないからな」
そう言いながら左目の眼帯に触れる。
「これが原因で、小学校の入学が遅れちまってよ。。結局1年遅れて入学したんだ。」
交通事故が原因で失明した左目は完全に閉じられており、もう二度と開くことはない。
リハビリは大変だったが、家族と、主治医と周囲の人々の協力もあり、元親はここまで成長することが出来たのだった。最も昔の姿を知る人間、特に主治医からは「元親どんは少々育ちすぎたのお!!ガハハハ!!」と言われたが。
簡単に事情を伝えた所、毛利は納得したように頷いた。
「そなたは…見た目以上に苦労しているのだな…」
「どういう意味だ。」
失明したのは幼少期の頃なので現在の生活にさほど不便はない。
強いて言うならば外見で敬遠されることもある、ぐらいだろうか。
「…まぁ20才になったというのならば、記念にあれでも出してやるか」
そういうと毛利は珍しく食料庫に向かっていく。
そうして戻ってきたときには何故か一升瓶を抱えてきた。
「…毛利?それって…?」
「決まっておろう。酒ぞ。」
我の秘蔵品を出してやるのだから有難く飲むが良い、と言いながら元親にグラスを用意し注いでいく。
「ちょ…俺、日本酒飲んだことないんだけど…!?」
「何事も経験ぞ、やれ」
有無を言わさぬ迫力で詰め寄る毛利に対して元親が対抗できる術もなくそのまま飲まざるおえなくなる。
飲み始めてしばらくは意識があり、食器洗わなきゃ、などぼんやり考えていたはずの元親の意識は、そのまま暗い闇に落ちていった。
目が覚めるとそこは、見知らぬ天井でした。
「…あれ…?」
自宅ではないがどこか見慣れた空間。
ここは一体どこなのだろうかと元親が寝ぼけて辺りを見回すとどうやら毛利宅のソファで眠っていたらしい事がわかってくる。
「…なんでおれ、浴衣なんてきてんだ」
昨日の服装は普段着でこそあれ、浴衣ではなかったはずだ。そもそも元親は自分の浴衣を持っていない。というかいつ脱いだのか全くわからない。
「…起きたか」
「…え…?」
思わず声がするほうに顔を向けると、そこにいたのは明らかに寝起きの毛利だった。
どうやらちょうど寝室から出てきた所だったらしい。誰のセレクトか知らないが妙にファンシーなパジャマがよく似合っている。
っていうかなにあのお日様柄のパジャマ。
「あれ…毛利…?なんで…?あれ…?」
現状関係ないパジャマの柄で頭がいっぱいになってしまった寝起きの頭をフル回転させつつ元親は必死に答える。一方の毛利は、あきれたような顔をして、深く深くため息をついた。
「…長曾我部、昨日のことを覚えておらぬのか」
そういわれるが元親が記憶していることはほとんど無いに等しいので素直に首を縦に振る。
「あんまり覚えてねぇ…酒飲んだ以外に俺、なにかやったか?」
正確に言うと飲まされたに近いのだが元親の答えを聞くや否や、毛利は呆れてものが言えぬわ…と呟きつつ、元親を勢いよく睨み付けるとこう告げた。
「…今後一定量以外の酒は控えろ…というか外では飲むな!!一滴たりとも!!良いな!!」
「はぁ!?っていうか何だよ。俺本当になにやったんだよ!?気になるじゃねーか!!」
あまりに理不尽な毛利の物言いに思わずカチンときた元親は向きになって反論する。
しかし毛利も譲らない。先程よりも勢いよく睨み付けると再度告げる。
「自分の頭で考えろ…!!この凡愚めが!!」
「考えてもわかんねーから聞いてんだろうがああああ!!」
聞きたい元親と言いたくない毛利、双方譲らぬ口げんかから誕生日翌日の朝が始まっていった。元親が寝ていたソファの枕元に綺麗に包まれた新品のエプロンが置かれていたことに気がつくのか、この直後のこと。
「え…?プレゼント…毛利が…?」
「…いらぬなら返せ。我が使う。」
「いやいやいや!!もらう!!もらうから!!…ありがとな!!」
「…ふん」
この時もらったエプロンをバイト用として元親は愛用し続けることになる。
ちなみに、今まで誰も見たことが無いという、完全に酔っ払った元親がどんな有様だったのか、それは毛利だけが知る絶対の秘密である。
○アニキなにしたん?毛利さんなんでやつれてるん?
は作家さん編で書きます…でもまずはバレンタインー!!
あと数日で書き上げられる自身は無いけど書きますー!!
~ビスケットケーキ ティラミス風~
誕生日プレゼントとして家族から贈られた鰹一匹が入った発泡スチロールを持っていたために、電車内で周囲からの奇異の視線に晒された元親が、やっとの思いで、バイト先である毛利宅を訪れると、家主はリビングのソファに何故か体育座りで座りながらバラエティ番組を見ているところだった。
そんな家主を横目に、相変わらず散らかった部屋で動き続ける自動掃除機が若干物悲しい。動きが止まっていないだけまだマシかもしれないが。
元親から見える毛利の横顔から見るに若干毛利の目が澱んでいるように感じるのは相当煮詰まっているのかもしれないので仕事のことは触れないでおいた。確か先日話していた予定によると間近の締め切りはあと10日ほどあったと思われるのだが、毛利宅に通い始めて数ヶ月、ここまで荒んだ毛利を見るのは初めてであり元親は少々戸惑う。
数日、来なかった間になにがあったのだろうか、と。
その毛利は元親がリビングに入ってきてようやく気づいたようで、視線を元親に向けて言った。
「遅いぞ、貴様」
時刻は11時10分。
約束したのは11時だったので遅刻には変わりなく、元親は素直に謝罪する。
「悪い、これを持ってくるのに手間取ってよ」
そう言いながら、発泡スチロールの箱をリビングの床に下ろす。
それほど重くなかったが、この大きさのものを自宅から持ち続続けるととさすがの元親も疲労を感じざるをえない。
「何だそれは…」
毛利はソファから降りるといぶかしげな様子で箱と、元親を伺う。その顔には箱への不審がありありとみてとれた。
まぁ、確かに何も言われずに突然そこそこの大きさの発泡スチロールが持ち込まれたらこうなるか、と思いながらも元親は箱を開封する。
開封した中身を見て毛利は、驚きをあらわにした表情を見せる。
「貴様…釣りも趣味だったのか?」
「いや、さすがに俺でも鰹は釣らねぇし!!親が誕生日プレゼントにって送ってくれたんだよ…」
確かに元親は釣りも好きだが、鰹は釣った事が無い。
しかし何度考えても自分の母親ながらプレゼント選択センスが豪快だと元親は思う。
大方鶴姫が『おにいちゃんはおさかなすき→かつおがすき→プレゼントはかつおにしましょう、おかあさん』とでも言い出し、それに母親が『あらいいわねぇ』とノったに違いない。あの二人の勢いに敵う人間は長曾我部家では誰もいない。即ち、父と自分が意見してもはね除けられるに違いないのだ。
それでも送られた鰹はすでに血抜きされており、すぐにでも調理出来る物だったのはせめてもの優しさだろうか。さすがに自分血抜きまでしなければならないのは困る。台所をスプラッタにはしたくない、そんなことを元親は考えていた。
「…誕生日だと…」
毛利は何故かカツオよりも元親の『誕生日』という発言のほうが気になったらしい。
その表情には困惑がありありと表れている。
「ああ、俺、今日誕生日なんだよ」
「…そう、だったのか…」
何故か力なくうなだれる毛利に少しの違和感を感じる。
元親の知る毛利元就という人間は、いつも偉そうにふんぞり返っているのが常だった。
唯我独尊なれど自信満々なその姿が当たり前の姿だと思っていた元親にとっては今日の毛利は珍しいこと尽くしだ。
「?俺の誕生日がどうかしたか?」
「…そなたに悪気がないのはわかっているのだが…そうかこれが抉られるという奴か…大谷よ…理解したぞ…」
フフフフフ…と澱んだ目つきでうつろな笑みを浮かべる毛利は全くもっておかしい。気のせいでなければ目の下に隈まで出来ているのではなかろうか。本当に、自分が来なかったこの数日で、一体何があったのだろうか。
何か空腹のあまり悪いものでも食べたのではないかと疑いたくなるほどだ。
「…毛利、あんた大丈夫か?調子が悪いなら俺、最悪はメシだけ作って帰るけど…」
何なら一緒に医者にでも行くか?と尋ねようとした言葉は毛利自身によって遮られてしまう。
「いや、それはしなくて良い!!」
体調が悪いのかと思い、毛利を案じての発言だったがあっさり断られてしまった。
「ならいいけどよ…」
どうにも毛利の挙動がおかしいとこちらまで調子がおかしくなってくる。
まぁ本人が必死になって否定しているのだからこちらがそこまで問い詰めることもないだろう。そう自分を納得させるように元親は思うことにした。
「…しかし貴様、誕生日ということはだ。何ぞそのカツオで作るのか?」
腕を組み、元親からするとふんぞり返っているように見える毛利が言った。
顔色はともかく、ようやくいつもの調子を取り戻してきたらしいく先程よりは落ち着きを見せてきている。
「そう、銀火丼でも作ろうかと思ってよ」
「…他は?甘味は何か作らぬのか?」
「おう、作っていいなら作るぜ。…とは言ってもほとんどあんたに食ってもらう事になりそうだけど」
元親自身はあまり食べないが、それでも何故か毎年の自分の誕生日にケーキを作っていた。
主に妹の要望でだ。
元親のその答えに満足したのか、フフフ…と笑い声が毛利から漏れる。
「ふふ…ふふ…そうであるならば話は早い…長曾我部よ…!!我にケーキを作るが良い!!」
ばしっと決めポーズあるかのように指を突き出し、ふんぞり返る毛利の姿。
「…いやそんなにふんぞり返らなくても作るから」
いつもの調子に戻ってきたのは良いが、顔が見えないほどにふんぞり返られすぎても困るなぁと元親は思った。
結局、昼食後に毛利は心なしか、妙にふらふらしながら仕事部屋に入っていってしまった。
『案ずるほどのことではない』と言ってはいたがどうにも気になってしまう。
「…うーん…やっぱり俺、毛利に信用されてねーのかな…」
リビングの片づけをしながらも頭を占めるのは、らしくない毛利の姿である。
元より他者との間に一定の距離を設ける人間だ、とは最初に、それこそ竹中さんからバイトを紹介されたときに聞かされていた。
「…もうちょっと、何か話してくれてもいいんじゃねーのかな…」
毛利は確かに強い。
外面的なものだけではなく、内面的なものも含めて。だけれども、元親からすると、毛利の強さは同時に生き辛さでもあると思うのだ。毛利が不得手な家事は自分がカバーできる。でもそれ以外に何か毛利の助けになることは出来ないだろうか。最近は、特にそう思う。
最もそれは自分の希望でしかない。それに自分の言動や行動が毛利にとってお節介なのかもしれない。
だとしたら彼にとって自分は余計なことしかしない厄介な存在だろう。
その一歩を踏み出す勇気は、今の元親にはまだない。
肝心な所で一歩を踏みとどまってしまうのは自分の悪い癖だと元親は思う。最も吹っ切れてしまえばその一歩も軽く飛び越してしまうのだが。
「あー…頭の中、こんがらがってきた」
こういうときは体を動かしてすっきりさせるに限る。
掃除が終わったら買い物に行ってケーキ作りをしよう、うん。思いっきり凝ったデコレーションでもしよう。
不毛な1人脳内会議に終止符をうつべく、元親は仕事の続きを始めることにした。
仕事部屋を除いた家中の掃除を終えた元親は、仕事中の毛利にスーパーに買い物に行く旨を伝え外に出た。幸い、いつもと比べると今日は比較的掃除が早く終わったので時間にはまだ余裕がある。夕食の調理時間を考えても大分余裕のある時間だった。
声をかけた時の毛利は常とさして変わらぬ様子だった。黙々と目の前のモニターと資料とにらみ合っていた姿はいつもどおりで、さっきまでの姿がやはりきのせいだったのだろうかと思ってしまうほどに。
「そなたの選んだもので良いのでおやつを買って来い」と毛利は言った。
さて、ケーキとどんぶりが待ち構える夕食にさして支障の無い程度のおやつとは何があるだろうか。毛利の胃袋ならば何でもぺろりと平らげてしまいそうだが、だからといって団子や大福は平らげてほしくない。
「お菓子コーナーは…っと」
お菓子コーナーはちょうど米菓のセールが行われていたところだったようだ。
「ああ、煎餅でいいか」
甘いのもしょっぱいのもあるし、と至極適当な発想で元親は2、3種類の煎餅をかごに入れる。そして、別な売り場に行こうとしたとき、もう一つのセールコーナーが目に入った。
「へー…ビスケットも特売かぁ」
一袋を手にとって見ると昔と大して変わらないデザインのパッケージが目に入った。
自分ではあまり食べないが、毛利は好きだろうか。甘党なのだから食べるのかもしれない。
それよりもこれは実家の母親の好物だった気がする。そしてこれを材料に使い、時間があるときに作ってくれたお菓子があった。甘さが割と控えめで、自分でも食べられるようなやつが、たしかにあった。
「ああそうか…今年のケーキ、あれでいいか」
そこまで思い出し、今年のケーキの案を決めた元親は、傍から見てもわかるぐらいうきうきした様子で別な売り場に向かったのだった。
「ふむ…この煎餅は美味よのう」
気に入っているリビングのソファに座りながら、元親が買ってきた黒○みるくなるせんべいをぽりぽりとかじりながら、毛利は言った。
頭を悩ませていた案件は解決したのか先ほどよりは少々だがすっきりした様子を見せている。
「甘そうだけどうまいのか、それ」
買ってきたものを冷蔵庫にしまいながら元親が尋ねると、毛利は「うぬ」と答えた。
「甘いことは甘いがさっぱりした甘さよ。…しかしこれは後を引く…」
そう言いながら既に二つ目に手を付けようとしている毛利に元親は言う。
「煎餅食うのもいいけど、晩飯とケーキあるの忘れんなよ」
「…わかっておる」
言いながら元親はケーキ作りに必要な材料を取り出していく。
「これで本当にケーキが出来るのか?」
毛利の口から不安が隠せない声が上がる。
元親の眼前にあるのは、ビスケット、インスタントコーヒー、生クリーム、純ココア、レモン果汁と砂糖そしてクリームチーズだけだ。
あまりに少ない材料に毛利が不安がるのも無理は無い量である。
しかしそんな毛利の不安など裏腹に元親は笑って言った。
「おう!!びっくりするぐらいのうまいのが出来るぜ!!」
元親からすると母親が作ってくれた思い出のお菓子でもあるし、自分が食べられるケーキであるからの笑みであった。
「そ、そうか…」
今のやり取りのどこに毛利が戸惑う要素があったのかわからない元親は首を傾げる。
「?何かあったか?」
「いや、何もない…おそらく」
「…?何か今日の毛利は歯切れ悪いよな。本当に大丈夫か?」
「大丈夫だ!!…お前の手を煩わせるほどのものではない…。ところでそのケーキはどのように作るのだ?」
うまく話をはぐらかされたような気がしつつ、元親は毛利の問いに答えることにした。
「おう。すんげー簡単なんだよ。って作り方見るか?」
「うむ」
人にじっと見られながら作業するのは久しぶりだ。実家にいた頃は毎日のようにやっていたことだったが。
少しの気恥ずかしさを感じながら元親は作業を進めることにした。
ボウルでクリームチーズを混ぜ砂糖を加えて柔らかくなるまでよく混ぜる。混ざった物にレモン果汁を適量加えてクリーム状になるまで混ぜていく。
次に生クリームを泡立て、八分だての堅さになったものを先ほどのクリームチーズに少しずつ混ぜていく。これでクリームは完成だ。
「…そのクリームだけでも十分に美味そうなのだが」
じいっと見つめる毛利の口から涎が出てきそうな勢いで思わず元親はたじろぐ。
「作ってる途中だからまだ喰うな!!…クリームだけ残ったら喰ってもいいから」
「うむ…」
結局の所、毛利に甘い元親であった。
最も、その光景に何故か既視感を感じていたが、それが何なのか、本人は気がついていなかった。
先ほど購入してきたビスケットをコーヒーに浸しラップを敷いた皿に重ねていく。
その上に先ほどのクリームを塗り、コーヒーに浸したビスケットを重ねる、という作業を繰り返し、ある程度までいった所で止めておき、ラップを利用してビスケットを密着させるように包んでいく。
後はこれを2,3時間冷やせばできあがりだ。
「クリーム…」
「あー…悪い。まだ仕上げに使うんだ。それが終わってからにしてくれるか?」
「…仕方ない。ケーキの為なら我慢するか…」
「あんた本当に甘味の事になると人が変わるよな…」
無論、といいながらも待ちきれなくなったのか毛利は先ほどの煎餅を一つ手に取ると再びポリポリと食べ始めた。
一点だけを見つめて集中して食べているその様子は小動物さながらである。
最も毛利本人にそれを伝えたら、どんな目に遭うのかわからないので言わないでおこうと元親は心に誓っているのだが。
煎餅を食べ終わったかと思うと毛利は再び「仕事の続きをする」と言って仕事部屋に行ってしまった。どうやらいつもの調子に戻ってきたらしい。
安堵と共に、自分でもよくわからないもやもやした気分に違和感を感じつつ元親も仕事の続きをすることにした。
鰹が中心の夕食準備をあらかた終え、元親はケーキ作りの最後の仕上げに取りかかっていた。
十分に冷えたビスケットケーキ部分に先ほど作成したクリームの残りをまんべんなく塗っていく。最後にココアを振りかければ、ビスケットケーキ ティラミス風のできあがりだ。
後は食べる直前まで冷やしておけば良いだろう。
ケーキができあがったので次は段取りよく夕食の準備を終えた元親は全てを終わらせる。
そして全てができあがった時に声を上げる。
「毛利ー、メシ出来たぞー」
「今行く」
リビングからでも声をかけると、毛利はすぐに仕事部屋やってきた。
当たり前のその行為が、元親には何故か嬉しかった。
実家では妹や、後輩が当たり前のようにしてくれていたこと、だからかなのかはわからなかったが。
「…ケーキ…」
「あんた…あれだけ平らげた後でよく喰えるよな…」
元親が作った大盛りの銀火丼をぺろっと完食した毛利はまだまだ余裕があるらしい。
特に甘味に関することにはこの男の胃袋は異次元だと元親は思う。
「…まぁ、いいか。今出すからちょっと待ってろよ」
そう言って冷蔵庫で冷やしていたケーキを取り出す。
「何とも変わったケーキだな…」
「見た目はな。でも味は確かだぜ」
大まかな大きさに切ってとりわけ、皿に載せたそれを毛利に渡す。
「うむ」
一礼して受け取った毛利は、向かい合う元親も自分の皿に同じように載せ食べる準備が出来たのを見計らい食べ始めた。
その刹那、またもや目が見開かれることになるのだが、ここまで来ると元親にとっても想定の範囲内なのであまり騒がない。
「なんだこれは…ティラミスのようだがティラミスにあらず…しかし美味い…!!」
水分を吸ったビスケット生地は何とも不思議な食感となっておりそれが周囲のクリーム、コーヒーの風味と合わさり味わいはティラミスのようだった。
「まぁ本物のティラミスと比べるのはおこがましいけど、簡単だからなぁ。作りやすいんだ」
「…ふむ…これはこれで良いものよ…!!」
美味しいのは分かるが目の見開きを継続していて疲れないのかと元親は思った。
まぁ、作り手としてはそれだけ喜んでくれたが作りがいもあるというものだが。
「しかしなぁ…誕生日に作るんならローソクぐらい立てれば良かったか。でも20本立てるのはさすがに立てすぎだよなぁ。」
まず全部は刺さらなさそうだし。
そう伝えた所、残りのクリームを皿に盛りつけケーキと共に平らげようと思っていたらしい目の前の毛利が、今度は一転してきょとんとした様子を見せる。
今日の毛利は本当によく表情が変わるなぁ、と思っていたところ、その毛利から声がかけられる。
「そなた…今日でいくつになる?」
「ああ。俺、今日で20歳になるんだけど…」
「20歳!?…貴様19歳になるのでは無いのか?」
本日付で1歳増えた年齢を伝えるとさらに毛利が動揺を見せる。
日頃の落ち着いた姿しか見たことが無い故に食い物以外でここまで動揺するなんて珍しいなーと考えながら元親は少々気まずそうに呟く。
「あー…まぁ学年で言ったらそうなんだけど…言っておくけど浪人でもないからな」
そう言いながら左目の眼帯に触れる。
「これが原因で、小学校の入学が遅れちまってよ。。結局1年遅れて入学したんだ。」
交通事故が原因で失明した左目は完全に閉じられており、もう二度と開くことはない。
リハビリは大変だったが、家族と、主治医と周囲の人々の協力もあり、元親はここまで成長することが出来たのだった。最も昔の姿を知る人間、特に主治医からは「元親どんは少々育ちすぎたのお!!ガハハハ!!」と言われたが。
簡単に事情を伝えた所、毛利は納得したように頷いた。
「そなたは…見た目以上に苦労しているのだな…」
「どういう意味だ。」
失明したのは幼少期の頃なので現在の生活にさほど不便はない。
強いて言うならば外見で敬遠されることもある、ぐらいだろうか。
「…まぁ20才になったというのならば、記念にあれでも出してやるか」
そういうと毛利は珍しく食料庫に向かっていく。
そうして戻ってきたときには何故か一升瓶を抱えてきた。
「…毛利?それって…?」
「決まっておろう。酒ぞ。」
我の秘蔵品を出してやるのだから有難く飲むが良い、と言いながら元親にグラスを用意し注いでいく。
「ちょ…俺、日本酒飲んだことないんだけど…!?」
「何事も経験ぞ、やれ」
有無を言わさぬ迫力で詰め寄る毛利に対して元親が対抗できる術もなくそのまま飲まざるおえなくなる。
飲み始めてしばらくは意識があり、食器洗わなきゃ、などぼんやり考えていたはずの元親の意識は、そのまま暗い闇に落ちていった。
目が覚めるとそこは、見知らぬ天井でした。
「…あれ…?」
自宅ではないがどこか見慣れた空間。
ここは一体どこなのだろうかと元親が寝ぼけて辺りを見回すとどうやら毛利宅のソファで眠っていたらしい事がわかってくる。
「…なんでおれ、浴衣なんてきてんだ」
昨日の服装は普段着でこそあれ、浴衣ではなかったはずだ。そもそも元親は自分の浴衣を持っていない。というかいつ脱いだのか全くわからない。
「…起きたか」
「…え…?」
思わず声がするほうに顔を向けると、そこにいたのは明らかに寝起きの毛利だった。
どうやらちょうど寝室から出てきた所だったらしい。誰のセレクトか知らないが妙にファンシーなパジャマがよく似合っている。
っていうかなにあのお日様柄のパジャマ。
「あれ…毛利…?なんで…?あれ…?」
現状関係ないパジャマの柄で頭がいっぱいになってしまった寝起きの頭をフル回転させつつ元親は必死に答える。一方の毛利は、あきれたような顔をして、深く深くため息をついた。
「…長曾我部、昨日のことを覚えておらぬのか」
そういわれるが元親が記憶していることはほとんど無いに等しいので素直に首を縦に振る。
「あんまり覚えてねぇ…酒飲んだ以外に俺、なにかやったか?」
正確に言うと飲まされたに近いのだが元親の答えを聞くや否や、毛利は呆れてものが言えぬわ…と呟きつつ、元親を勢いよく睨み付けるとこう告げた。
「…今後一定量以外の酒は控えろ…というか外では飲むな!!一滴たりとも!!良いな!!」
「はぁ!?っていうか何だよ。俺本当になにやったんだよ!?気になるじゃねーか!!」
あまりに理不尽な毛利の物言いに思わずカチンときた元親は向きになって反論する。
しかし毛利も譲らない。先程よりも勢いよく睨み付けると再度告げる。
「自分の頭で考えろ…!!この凡愚めが!!」
「考えてもわかんねーから聞いてんだろうがああああ!!」
聞きたい元親と言いたくない毛利、双方譲らぬ口げんかから誕生日翌日の朝が始まっていった。元親が寝ていたソファの枕元に綺麗に包まれた新品のエプロンが置かれていたことに気がつくのか、この直後のこと。
「え…?プレゼント…毛利が…?」
「…いらぬなら返せ。我が使う。」
「いやいやいや!!もらう!!もらうから!!…ありがとな!!」
「…ふん」
この時もらったエプロンをバイト用として元親は愛用し続けることになる。
ちなみに、今まで誰も見たことが無いという、完全に酔っ払った元親がどんな有様だったのか、それは毛利だけが知る絶対の秘密である。
○アニキなにしたん?毛利さんなんでやつれてるん?
は作家さん編で書きます…でもまずはバレンタインー!!
あと数日で書き上げられる自身は無いけど書きますー!!
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
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