こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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前回の続き
ぷちっとな
書いた人:みっし
*****
伊達軍のオカン(と書いて片倉小十郎と読む)の手腕を持ってして急ぎ整えられた甲斐までの旅支度。それをちびこじゅとちび宗はきょとんとした顔で見つめていた。
「めー?」
「みー?」
これなぁに?
そう呟く二匹を見ながら小十郎は知らず知らずの内に笑みを浮かべていた。
思えばこの二匹は城の中、または周辺の畑でパタパタと遊んでいても旅に出たことはない。
ちびこじゅは一度大阪にまで行ったがあれば鳥に咥えられその後も様々な野生動物の手によって連れて行かれたので普通の旅ではない。また奥州に戻ってきたときも北条の忍の手によって最速で戻ってきたので普通の行程の旅は行ったことがないのだ。だから荷を改めて確認していた小十郎は改めて二匹に向き直って伝える。もちろん、目線は合わせたままだ。
「甲斐までの道は長い。それに、どんな天候になるかもわからんから備えは万全にしておかなくてはならん」
小十郎の回答にちび二匹はそれぞれみー、めーと口にしながら頷いた。だがちびこじゅは何かに気がついたかのように小十郎に問う。
「めぇめぇ」
「ちび宗が笑ってたら晴れるよ…まぁ確かにな」
「み?」
ちび宗は一人、訳がわからないというように首を傾げる。
ちび宗の能力は少々変わっていて、感情と共に周辺の天候を操るものだった。そのため確かにちび宗が笑うと晴れる。晴れすぎて雲が欲しいと思うぐらいに晴れる。だが同時に弊害もあるのだ。
「…だがもし、途中ででかい蛇でも見かけてちび宗が驚き、泣いたとしよう…その場合は雨の準備が必要じゃないか?」
「めー」
「みー?」
ああそうか、と言わんばかりに腕を組んで頷くちびこじゅ。愛らしいのだが、やっぱり渋い。渋すぎる。おまけに一点の曇りもなく目が死んでいる。さすがである。
「…みー」
ちび宗はようやく小十郎とちびこじゅが何を話していたか思い当たったらしい。ばつが悪そうな顔してむくれている。
ちび宗は人見知りで泣き虫である。それ故、何に対しても非常に驚きやすい。ビビリである。もし旅の行程の途中で見知らぬ獣と出くわしたとしたら、彼はその場で泣き叫ぶか、卒倒するかだろう。まぁある程度の大きさがある獣は見た事があるだろうがそれ以上のものを見たときが危険なのだ。泣き叫んだ場合、待ち受けるのは雨である。最近能力が変な方向に開発されて局地的な豪雨を降らせるようになったちび宗の能力である。それは確実に濡れる。だからちび宗の能力を差し置いても、いかなる天候へも対処できるような準備をしなければならないという小十郎の発言はもっともなことだったのだ。
「めぇめぇ」
ごめんごめんといいながらちびこじゅはちび宗の頭を撫でる。むくれていたちび宗もそうされるとこてんと態度を変える。
「みー」
そしてどこか得意げにふんぞり返っている。
そんな一人と二匹の様子を見ながら旅行前最後のの一仕事に当たっていた政宗が一言、行った。
「ちび宗、なんでテメェが得意げなんだ…?」
(失礼ながら、政宗様のご幼少のみぎりにそっくりかと思われます…)
首を傾げる主君と、突っ込みたいけど突っ込めない従者。
旅用に新しく仕立てた傘を被ってご機嫌なちび二匹も加え、のどかな時間は過ぎていった。
奥州から甲斐までの道は、正直言って遠い。
馬に乗っていて、順調に進んでも十日程かかってしまう。早駆けで行けばもっと早いことは間違いないのだが「あれではちび達が落ちます」という小十郎の意見に従い却下した。
今は政宗の馬にはちび宗が、小十郎の馬にはちびこじゅが同乗している。むろん彼ら用の命綱は身につけている。
最初は日頃よりも遙かに高い視界に慣れず「みぃぃぃぃぃー!」と絶叫したちび宗も乗っている内に慣れてきたらしい。ちなみにその時被害は、政宗のみを狙ったかのように降った雷雨だった。
「なんで俺だけ!」
小十郎に抱き上げてもらいながらちび宗の元に近寄ったちびこじゅがよしよしと言わんばかりに笠の上から撫でる。当然の如く、ちび宗は涙目になっていた。
「めぇ~」
「…恐らく、事情も話さずにいきなり乗せたのでびっくりして怒ったのではないかと」
ダブルこじゅの返答に政宗はがっくりしつつ同時に納得した。ちび宗の人見知りとビビリは筋金入りだったことを思い出したのだ。結局その場はちび宗に対して政宗が謝ったことで一件落着した。
「…なぁちび宗、お前もしもちびこじゅがまたいなくなったらどうする?」
「みっ?」
甲斐までおよそ残り半分ぐらいの距離に来たところで政宗がふと、ちび宗に尋ねる。ちび宗は一瞬その発言の意図が分からなかったようだが、その後で何かに気がついたかのように目を白黒させている。どうにもちび宗はちびこじゅと比べて話の飲み込みが遅い。どうも政宗から見るとワンテンポ遅れているような気がしてならなかった。
なんというか、鈍くさいのだ。
「みぃ…」
「さびしい、か」
ちび宗が最初に見せた傍若無人ぶりは寂しさと人見知りの裏返し。それを明らかにさせてくれた竹千代には感謝すべきなのだろうか。城に与えた損害を考えるとあまり感謝はしたくない。むしろ謝罪と賠償を要求したいくらいだった、あれは。そういえば実際、ちびと一緒に豊臣のご一行が来たこともあった。竹千代のやらかしたことへの謝罪ということだった。実際には謝罪された気は全くしなかったが。
話を元に戻そう。
政宗は政宗なりに案じているのだ。幼い頃の自分によく似た容姿の、この不思議な生き物を。
「寂しいのはわかるけどよ…お前も少しは、自分一人で頑張れるようになんねぇとな」
「みぃ?」
いっしょじゃだめなの?
政宗を見上げながら問いかけるちび宗の表情には全くの邪気がなく、見ているだけでなんというか心が穏やかになる。ちびこじゅも同様だが、あいつは黒目に全てが飲み込まれそうで少し怖いのは秘密だ。
「そうだな、なんつったらいいのか…ちびこじゅは、もう一人でもやれるだろ」
「みー」
何せ事情があったとはいえ一人で大阪まで行って帰ってきたぐらいだ。そもそもちびこじゅは精神的に妙に老成しているというか落ち着いているというか。最初はそうでもなかったはずなのだが、ちび宗が来てからは一層磨きがかかっている。ちび宗と一緒に縁側に座っていると一人だけ年寄りのように見えるぐらい渋みが増してきた。まぁそんな所も可愛いのだが。
「…だったら、お前も一人でやれるようになってみようぜ。そのままのお前でもちびこじゅはきっと良いって言うけど、頑張ったお前を見たらきっともっと大好きになってくれるから」
かつての自分がそうだったように。
このちびは、少し臆病になっているだけだ。だから、きっと時間はかかっても強くなれるはず。それは政宗自身がよく知っている。
「…み」
その意図に気がついたのかどうかは分からないが渋い顔でちび宗は頷いた。
ちびこじゅがよろこぶならがんばる。
そう言っているように政宗には聞こえた。思わず嬉しくなってちび宗の頭を、というか笠を撫でる。
(うちのチビ可愛すぎー!)
ふて腐れた感じがまた可愛いと内心デレデレ状態の政宗に誰が気がつこうか。
ちびこじゅともちび宗とも色々あった政宗だが、よそのちびの話を聞いたりよそのちびを見たりするうちに「あれ?うちのちびって良い奴ばっかなんじゃね?」とある日突然気がつき、気がついたときには立派なちび馬鹿への道を転がり落ちていた。
ちびこじゅは目こそ死んでいるものの穏やかだし、悪戯はしない。やることと言えばいつの間にか開墾して庭にまで畑を広げて何も知らなかった小十郎を驚かせていたぐらいだろうか。それに慣れてしまうとあの死んだ目が良い、ということで伊達軍でも隠れファンは多い。
ちび宗は人見知りで臆病だが、慣れてしまった人間にはそうでもない。政宗、小十郎、ちびこじゅは別格なのは皆が承知である。しかし慣れるまでは大変なのだが、それ故に手懐けた時の喜びが半端無いと言うことで、伊達軍内部ではチャレンジャー続出である。
よそのちびにはよそのちびなりの良さがあることは重々承知しているつもりではある。しかし一番最初に関わったのが悪戯狸こと竹千代で、彼の印象が強すぎる余り他のちびの印象が霞むのだ。
そうして謎の踊り事件やクリスマス事件などを経て、いつの間にか「よそのちびもいいかもしれねぇけどうちのちび最高!」とのたまう、ちび馬鹿こと政宗が誕生した。
これを知っている人間は当然の如く小十郎だけである。小十郎はそんな政宗に呆れつつも、自身は自身なりにちび達を可愛がっているので否定はしなかった。
最も可愛がっているからといってちび達の要求を鵜呑みにしたりはしない。そもそも伊達家のちび達はあまりわがままを言わない。日頃は仲良く日向ぼっこしたり、畑の世話をしたり、小十郎の部屋で字の練習をしていたりと大人しいことこの上ない。まぁどこでも何でも踊るのが玉に瑕だろうか。
そういえば、と政宗はふと思う。
こいつらは一体なんのために、やってきたのだろうと。
ある日突然どこからともなくやってきたちび達。二人が来て、しばらく経ってから、どこから来たのかを改めて尋ねたことがある。
ちびこじゅは「とおくからきた」と言った。
ちび宗は「むこうからきた」と言った。
何故、と問うと少しだけ困った顔をして言った。
「やることがある」
「けどわからない」
「いつかはわかる」
「だからいまはいいことする」
ちびこじゅとちび宗はそう言った。まぁ傍から見るとめーめーみーみーが飛び交う、会話にすら見えない会話だったのだろうが。
いつかこいつらも行ってしまうんだろうが。
出来ればそれまでに時間がありますように。まだ、一緒にやりたいことがあるから。
馬に乗りながらうたた寝しているちび宗を見ながら政宗はそう思っていた。
「ここが、武田の城か」
「…おおむね予定通りというところでしょうか」
およそ十日という予想通り、政宗達一行は甲斐の虎こと武田信玄、そして配下の真田幸村がいるという居城に辿り着いていた。正確には、城門だが。
「迎えの者が来るそうですが…待ちますか」
「そうだな、少し休むか」
馬に乗った政宗の前で座るちび宗と。少し疲れたということでぴょこぴょこ歩くちびこじゅに、政宗が声を掛けようとしたときだった。
「うおおおおおおおおおおおおお!」
「ははは!あまいぞちび村ぁぁぁぁ!!」
城門の遙か向こうから砂埃と共に赤い弾丸のようなそれが目に入った。正確には武田信玄と併走するちびが。
「…武田のオッサンと並ぶなんて化け物か、あのちび」
政宗がそう呟いている間もどんどん二人は近づいてくる。いや、早すぎる。異様な速度で二人は城門目指している。
「…うおおおおおおおおおおお!?」
その時、赤いちびが何か焦ったような声を出したのを政宗は、小十郎は、ちびこじゅは、ちび宗は、聞いた。
「…め?」
それは、一瞬の事だった。
赤いちびが、武田信玄を抜いたかと思うと、その近くにいたちびこじゅに体当たりしたのは。
「…めえええええええええ?」
そうして、ちびこじゅの叫びのみを残して、その身体は空高く放り出され挙げ句の果てにその姿が見えなくなった。
そうしてちびこじゅが、いなくなった。
「…はあああああ!?どうなってんだよこれは!」
「…みいいいいいいいいいい?」
「うおおおおおおおおおおおお…」
「これは一体…」
「なに?ちび村、お前またやったのか」
わけがわからない政宗と小十郎。
何らかの事情を知っているらしい武田信玄。
そして半泣きのちび宗と赤いちび。
残された者達は呆然と彼方の空を見つめることしか出来なかった。
まさか彼らもちびこじゅが遠く離れたしょっぱい水を漂っていたとは思うまい。
「…めー」
しかしこのしょっぱいみずはなんとかならないのだろうか、とちびこじゅは思っていた。
なんというか身体全体の力が抜ける。頭の力が無くなっていく。もはやぷかぷかと漂うことしかできない。
どうしようか。
そう考えたその時だった。人の声がしたと思ったら、ちびこじゅの頭の葉っぱを誰かが思いっきり掴んだのだった。
「…なんだこりゃ?」
「…め?」
それが、目が死んだちびと、西海の鬼の出会いだった。
○アニキキター!!
というわけでちびこじゅ瀬戸内冒険編の始まりです。
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
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