こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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参はでるらしいです。
ということで、多分その2で終わります。
書き終わりっと。
ということで、多分その2で終わります。
書き終わりっと。
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近頃毛利の寝起きがものすごく悪い。
別な人間の寝起きが悪くてなかなか起きられないのなら全く心配することはないのだが、相手は日輪をこよなく愛する上に規則正しい生活を好む毛利。朝日を浴びることを己の義務としていた男が急に朝起きられなくなる、そんなことがあるわけがない。
だから貴様が原因を究明しろ。
三成のそんなことを書き綴った文を読んだ時、長宗我部元親が最初に思ったのは三成はかなり毛利を好いているのだなあというごく当たり前の感想だった。毛利のことを案じていなければ、こんな手紙を送ってくるわけがない。元親の親友である家康は、三成はなかなか人に懐かないし好意を表に出すのをとにかく苦手としていると以前語っていたが。
そう思っているのは家康だけなのでは。
確かに不器用だし、おかしなところで口べたなので損をしていると思うことはある。もう少し上手く話せばちゃんと伝わるのに、どうしてそんなに一直線の会話しかできないのかとも思う。
だが三成はそれでいい、少なくとも彼にはちびという守りが側についている。
最初は何故三成に二人がくっついて離れないのか疑問に思ったが、彼と行動を共にすることが多くなり元親は何となくその理由を理解した。家康と同じ顔の竹千代までもが三成の側にいることを選んでいる、それにもきっと大きな意味があるのだ。三成の方がより強い守りを必要としているおり、ちびたちはなんとなくそれを感じ取っている。もちろん三成のことが誰よりも好きだというのも大きな理由なのだろうが、今の家康はそれほどの守りを必要としていない。
そう、元親は結論づけていた。
それに瀬戸内海に挟まれて別居夫婦状態の毛利と元親だが、今は三成が側にいてくれる。三成とあの賑やかなちびたちがいれば毛利もナリとチカも寂しくはないし、なにかあれば安芸の状況は三成や家康がすぐに教えてくれる。
こうやって手紙が届いたのも、元親にとっては想定の範囲内。
だがあの日輪をこよなく愛する毛利が朝起きられないなんて異常事態は、今まで絶対になかったのだ。一体安芸で何が起こっているのか、ただ単に毛利に寝坊癖がついただけであることを祈りながら海を渡って安芸の毛利邸を訪れた元親を待っていたのは。
「貴様、どうして上手く動けぬ!」
「今の動きのどこが間違っているのだ!」
「優雅さが足りぬと何度言えばわかる!」
「決められた動きをすればいいだけなのだろう? どうして優雅さが必要なのだ!」
「我の代わりを務めるのなら、それだけのものを見せてもらわねば我が日輪に示しがつかぬ!」
昼の日の光を浴びながら、庭でおかしな動きをしながら怒鳴りあっている毛利と三成の姿だった。
三成は三成なりに必死に言われたとおりにしようとしているのだろうが、動きがぎくしゃくしており時折おかしな格好に固まるので見栄えが悪いことこの上ない。おまけに両肩にそれぞれ三成をこよなく愛するちびたちが乗っているので、余計に重心がとりにくいのだろう。
顔をしかめながら必死に動きを修正しようとするが、肩の上でぱたぱたと動くちびたちのせいでそれもかなわず。
悔しげに顔を歪めて拳を握る三成を見るに見かねて、元親は近づきながら二人に声をかけた。
「よう、なにやってんだ?」
「長宗我部か……なにをしにきた?」
「石田がおかしな事をやらされてるって小耳に挟んだんでな、見学だ」
「おかしなことではない、我の代わりの神事の練習よ。我は一人で行えると言ったのだが……」
「神事だ?」
「鏡の破片を清めるのだそうだ」
元親が来たことで毛利の厳しすぎる指導が止んだ。
それに安堵したのか少し表情を緩めた三成が、余計なことを言うなと言いたげに睨み付けてくる毛利を無視して元親に説明してくれた。
毛利家の機密なのかもしれないが、さらっと口にしてくれるのが三成のいい所であり悪い所。
「先日の一件で割れた鏡の破片をこの屋敷の神殿に安置して日々清めていたらしいのだが、徐々に黒ずみ始めたらしく……今では真っ黒になってしまっている」
「おい、なんでそんな大事なことを話さなかったんだよ」
「ここ数日で一気に黒く染まった。もう神職の者だけでは手に負えなくなったらしく、我に神事を行ってくれと言ってきたのだ」
「それと石田のおかしな動きがどう繋がるんだ?」
「好きであのような動きをしていたわけではない!」
「神事に時間を割くことができるほど、我も暇ではない……というのが理由の一つ。もう一つの理由は、あの時手に持っていた者が清めるべきだということ……少々どころではなく滑稽な動きではあるがな」
「だから私は好きであのような……」
『神事不明』
毛利に向かって再度苦情を申し立てようとした三成を遮るかのように、肩に乗っていた佐吉が紙を突き出してくる。三成がおかしな事をやらされているのは理解したようだが、何故そのようなことを行うかはわかっていないらしい。
もう片側に乗っている竹千代も狸耳をぴこぴこさせながらきゅうきゅう言い続けているが、彼も当然の如く意味を理解していない。
人間(捨て駒含む)には厳しいが、ちびには優しい毛利は不機嫌そうな顔ではあったが彼等に説明するために三成を自分の側へと招き近くの岩へと座るように命じた。
その目の下には色濃い隈が刻まれているし、顔色も普段より遙かに悪い。
「鏡というのは神の力を受け、真実を映し出す神器。それが曇るとということは、それ相応の理由があるという事よ。この安芸に災いが降りかかる前兆かそれとも、それ以上の何かが鏡に集っているのか。どちらにしてもその曇りを払わねば、なにかが起こるのは間違いないであろう」
『食料消失』
「飢饉か……それもありえるかもしれんな。だが安芸を守るものであった鏡は割れてしまった、我らにできるのは鏡の破片をできるだけ美しく保っておくことだけよ」
「きゅきゅ~?」
「汚れは汚れを呼ぶのだ。黒く汚れた鏡は、あらゆる災いを呼びかねん」
「きゅきゅきゅ!」
「その通りよ。ぽんぽこ狸のくせに物わかりがよい」
普通に竹千代と会話が成立している毛利に、三成が尊敬と困惑の入り交じった眼差しを向けている。かなり毛利にしごかれたのか、ちびたちが落ちないように注意しながら腕を伸ばしたりしている三成の側に近づくと、元親は気になっていたことを聞いてみた。
「おい、うちのナリとチカはどうした?」
「貴様のかどうかは知らんが、ナリとチカなら昼寝の真っ最中だ」
「こういう面白いことは好きそうなんだがな……どんだけ眠いんだよ」
「ナリとチカは毛利と逆だ。眠っている時間が増えた」
毛利に聞こえないほど小さな声。
だが確実に元親の耳に届くようにそれを告げてきた三成の顔は平静そのものだった。毛利の不調を告げたのが自分だと気づかれるわけにはいかない、その一心なのだろう。佐吉と竹千代の疑問に答えてやっている毛利に気取られないように細心の注意を払いながら、話を続けていく。
「鏡が完全に黒く染まってからだ、毛利が起きられなくなったのは。以前は夢見が悪いと何度か言っていたが、今は逆に夢の内容を何も覚えていないらしい。かわりに……毛利はかなり強く揺さぶっても目を覚まさなくなってきた」
このままでは目覚めぬ眠りに飲まれるのでは。
多分三成はそんな不安を抱いて元親に文を送ってきたのだろう。
「…………安心しろ、俺がどうにかしてやる」
「私の期待を裏切れば殺す」
「厳しい奴だな……」
小さな声で積み重ねていく会話は、毛利への思いに満ちあふれたもの。
思いの質は違えど、毛利のことを思っているのはどちらも同じ。元親が愛しい家族であり恋人のように思っているのと違い、三成はものすごく怖いが頼りがいのある兄のように感じているのだろう。
そうでなければ、彼が素直に言うことを聞いて神事の練習をするわけがない。
「随分と困ったことになっちまったな……」
頭を掻きながら小さな声でそう呟くと、岩に腰掛けている三成が無言で頷く。
急に黒く染まった鏡の破片、毛利の急な不調。それが繋がっているのは確実なのだろうが、一体どこから手をつければいいのやら。
「おい石田、その神事ってやつを俺にも見せてくれや」
「…………いいのか?」
「なにがだよ」
「本当にいいんだな、それで」
目線を上に上げ、何度も念を押してきた三成の姿に多少疑問を感じはしたが。
神事を行うためには御祓のために体のあらゆる場所を冷水で清めた上に、着物まで着替えさせられる。それを知ったのは三成が全ての準備を終えた後で、元親はいきなり冷水の満ちた大きな桶に蹴り込まれた上に年老いた神職者たちに肌がすり切れそうになるほど強く洗われることになるのだが。
三成の哀れみに満ちた視線から、そんな未来を予想することなど当然できるわけがなかった。
一歩足を進めては、残った方の足を進めた足に寄り添わせ。
周囲を睥睨しながら鏡を安置した小さな祭壇の周囲を回り続けながら、角にたどり着くと手に持った双剣で周囲の空気を切り払う。それを何度も繰り返し、手首につけた銀色の鈴を鳴らし。純白の一揃えの裾をわずかも乱すことなく、三成は毛利の代わりという大役を務め続けていた。
先程まで珍妙な動きをしていた人間とは思えぬほど、その動きは流麗かつ美麗。
やっぱり肩にちびたちが乗っていたのが悪かったらしい。そのちびたちは三成と一緒に神事をしてみたいと主張し続けていたが、冷水での清めを拒否した結果部屋の外でがたがたと壁を揺らしながら待機している。
いや待機しているというよりは、隙があったら部屋に突入してきそうな勢い。
三成と同じ白一式の着物を着せられ、一切日の光が入らない部屋の隅で座りながら三成を見つめている元親が背を預けている壁が、がたごと揺れ続けているのだ。集中できないことこの上ないのだが、神事が終わるまでは一切話してはならないと事前に言い含められている。
鈴の音を響かせ、刃が風を切る音を部屋全体に行き渡らせながら三成の歩みは続いていた。凛とした眼差しと集中した表情、そして戦場に立っているかのような緊張感と相反する美々しさ。
ここに家康がいたら惚れ直したと言い出しそうな程の静けさをたたえた華麗さに見惚れると同時に思うのは、毛利のこの姿を見たかったという素直な感想。神職者でも清められぬものをあまたの命を奪ってきた将である毛利や三成にどうにかできるのかと最初は思ったのだが、実際に見て考えを変えることになった。
汚れを清めるのではなく、切り払い消滅させる。
刀を持つのはそのためであり、汚れに負けぬ気概と力で討ち滅ぼすために三成は集中して定められた動作を行っているのだ。かなり力を入れているらしい三成の額からは数条の汗、そして首筋にも汗が伝っている。部屋のあちこちに置かれた蝋燭が室内の温度を上げていることもあるのだろうが、三成の消耗ぶりは目に見えてわかるほどであった。
徐々に息を荒げ、時折足がよろめきそうになる。
毛利より若く体力もあるであろう三成がこれだけ疲れているのだ、毎日こんなことをしていれば毛利が弱るのも無理はない。ようやく全ての手順を終えたのか、最後に鏡の破片が安置された祭壇へと向き直り一際大きく双剣を振るった三成は。
かくりと膝を折り、そのままその場に座り込んでしまった。
「…………………………っ!」
「……もう……話しても大丈夫だ…………」
「大丈夫か!?」
「なんとか……な。だがさすがに少し疲れた……」
声を出すなと言い含めてきた三成本人が声を出したので、慌てて彼の側へと駆け寄ると三成は床に手をついて大きく息を吐き出している。余程疲れたのか、それとも毛利に託された大役を終えてほっとしたのか。
室内の物音を聞いて戸板を開けて無理矢理室内に入り込んできた竹千代と佐吉に抱きつかれるがままに、傍らに置いていた双剣を大切そうに膝の上へと置き直した。
『三成疲労困憊』
「きゅ~」
「大丈夫だ。まさか……これほどのものとは思ってもいなかった」
「きゅきゅ?」
『回転超疲労』
「回っただけで疲れたわけではない。なんと言えばいいかわからないのだが……早く終わらせなければ命を吸い尽くされてしまうような……」
『三成生命超絶危機』
「きゅきゅきゅ!」
みつなりがしんじゃう、たいへん。
どこか茫洋とした三成の言葉にちびたちは一気に顔を青ざめさせ、くるくると三成の周囲を回り始める。今すぐ死ぬ訳じゃないから心配するな、そうちびたちに伝えて元親は濃紫の布の上に安置された鏡の破片をじっくりと観察し始めた。
最初に元親がその鏡を見たのは毛利との小競り合いという名の痴話喧嘩の真っ最中。
その時鏡は小さな太陽のように自ら眩い光を放っていた。しかし今はどうだろう、銀を磨いて作った鏡の破片は炎に放り込まれた後の様に黒ずみ光を失いきっている。
手を伸ばして触れてみようかとも思ったが、それよりも三成の介抱をするのが先。
ちびたちだけでは立ち上がれないらしい三成をこの部屋から運び出すことはできないし、こんな蝋燭の明かりしか無い部屋にずっといるのも気分が悪い。なので三成の両脇に手を差し込み無理矢理立ち上がらせると、大きくよろめく体を支えながらその部屋を出ることにした。
当然ちびたちは後をついてくるが、元親は見逃さなかった。
佐吉が鋭すぎる目線で鏡の破片を睨め付けたこと。
竹千代がそんな佐吉の肩に手をやり、小さく首を振って何かを制止したこと。
そして、二人が何かを決意したかのように目配せをしあったこと。
その全てを記憶にとどめ、だが気がついたことを気取られぬようにわざと大きな音を出して三成をひきずり。一瞬だけ見せた真剣な顔を打ち消すかのように、慌てて三成の後を追いだしたちびたちを安心させるかのように三成に語りかけ始めた。
細い体のくせに上背だけはある三成を上手く運ぶことは難しく、足の先が床に擦れてしまっているがそれは我慢してもらうしかないだろう。
「石田、お前図体でかい割に軽いな!」
「好きで軽くなったわけではない」
「だったらもう少し食えや……今度美味い魚を持ってきてやるからよ」
「貴様は蜜柑と魚しか食わんのか……」
地面に一応足はついているが、自分で歩くことすらできない状況。
それでも抱きかかえたりすれば彼の自尊心が大きく傷つくであろうから、なんとか本人に歩かせようとするが。腰から下の力を完全に失っているのか、足先すらわずかにも動かなくなってしまっていた。
かろうじて腕だけは動くのか、元親の肩にすがりつくかのように掴まることができている。
「おい、本当に大丈夫か?」
「きゅ~!」
『三成生命危機不安』
「心配はいらん……毛利も少し休めばすぐ治ると言っていた」
「やっぱりあいつもこうだったって事かよ」
「毛利は詳しいことを話さなかった。私が清めなければならないというのも多分嘘だろうな……毛利はきっと私を使って確かめたかったのだろう」
「お前も同じ事になるのか……ってことか」
「私が清めた後、禰宜たちが清めを行うのだそうだが……それが終わるまでは鏡が本当に清められたのかはわからない。それと竹千代、佐吉……」
ひきずられる三成の後を心配そうについて歩いていたちび二人に、三成からの鋭い声がとぶ。
「面倒だからといって鏡ごと壊そうなどとは考えるな。あれが残っていれば、貴様らの元いた場所に帰れる可能性が残るのだ」
図星を突かれたことに驚いたのか、二人の尻尾が同時にぴこんと天を指す。
『鏡邪魔』
「きゅ~きゅ~」
「もし私の了承なしに鏡を壊せば……私は今後貴様たちの尾の手入れを行わないことにする。添い寝もなしだ」
『超絶拒否』
「きゅ!」
「ならば鏡を壊さないことだ、わかったな」
三成が首を後ろに向けて二人がおかしな目配せをしないように監視していることを知り、三成大好き故に暴走しまくる二人は不承不承といった風情で頷いてみせた。
ただし元親は先程の二人のあれを見ているので、全く信用していない。
絶対こいつら、ろくでもないことを考えて実行に移そうとしている。
しかし彼等が三成のことを考えていることをわかっているので、元親は基本的には彼等の好きなようにさせてやろうと思っていた。毛利は鏡の破片を壊されることを嫌がるだろうが、それが原因で衰弱していくのなら無くなってしまった方がいい。
あの三成ですら一度の神事でここまで弱ってしまうのだ、何度か行ったらしい毛利が体調に異変を生じるのも十分に理解できる。
「近くの部屋に布団敷かせるからよ、あんたは少し休んどけ……俺は毛利の所に行ってくる」
「……すまない」
「もう少しあんたが小さけりゃ、背負って運べるんだがな」
「……貴様も家康も同じことを言う」
「なんだ、拗ねてんのか?」
元親に顔を見せないようにしているが、三成が子供のように口を尖らせているのは明白。
体は大きいのに妙な所で子供っぽくて、一本気で真面目。こういうところに家康は心底惚れ込んでいるのだろう、昔から家康は自分にあからさまな好意を見せつけてくる人間よりも思いを持てあまして戸惑う人間を好む傾向にあった。
つくづく世話を焼きたい性分なのだ、自分も家康も。
そういえば三成に神事を任せた毛利は今何をしているのだろうか。三成は自分が代わりに行っている間体を休めておけと言い続けていたが、あの毛利が素直に言うことを聞くわけがない。きっと執務に使っている部屋で、いつも通り仕事を進めているのだろう。
さっさと図体のでかい『子供』と『子供の子供たち』を寝かしつけ。
その次は意地っ張りで責任感だけは無駄に強い自分の『奥さん』を休ませなければならない。
なにせ自分たちの間には『おとさん』『おかさん』と呼んでくれる可愛い子供がいるのだ。
毛利のためだけではなく、勿論自分のためでもなく。小さな彼等が悲しまないように事態の収拾を図るのが『おとさん』である元親のやるべき事。
同じくちびに愛された恋人を持ちながらも、家康と元親はそこが大きく違っていた。ちびたちを家族として受け入れ、守るためならばどんなことでもしてみせると元親は決めている。だがまだ家康にはその覚悟はなく、ちびたちを三成を慕うおかしな存在として認識しているだけ。
どのようなものでも身内として受けいれ、全てを背負う覚悟がまだ家康にはない。
若い家康にそこまでを求めるわけにはいかないが、元親には何となくわかっていた。多分家康が越えなければならない壁はそれで、三成が越えなければならない壁はこの毛利家にふんだんに用意されている。
そして毛利は三成を鍛える壁役を自ら買って出ているわけだ。
神事を三成に行わせたのもそれの一環だとしたら、あまりにも厳しすぎるのではないか。そう思いもするが、元親にとって最優先事項は三成ではなく自分の家族。
以前毛利に言われた通り、今度は手を差し伸べる先を間違えぬように。
多少三成に冷たいと思われるのを覚悟しながら、その辺の部屋に体に力が入らなくなっている三成と彼を守るように付き従うちびたちを放置し。元親は近くを歩いていた人間に三成の世話を頼むと、勝手知ったる他国の領主の館を一人で歩き始めたのだった。
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弐に出てきた鏡は破片だけ毛利家に回収されておりましたとさ。
まああのラストから考えれば、当然回収しなきゃいけないものなんですけどねえ……
ということでその2で終わります、きっと。
あくまでこれ、参の序章だし……参は瀬戸内でずっと話が進む予定です。
ちなみにぷちばさ!の以前みっしさんと話したくだらない設定。
こじゅはなんで頭に葉っぱが生えてるの? → 仕様ですw
なんでちびはなにかあるごとに踊るの? → 仕様ですw
なんで忠子はとぶの? → きっと自分と自分に掴まってる物を軽くしている
忠子は家康様が嫌いなの? → えらいんだけどよくわからない、きっとそんな印象
別な人間の寝起きが悪くてなかなか起きられないのなら全く心配することはないのだが、相手は日輪をこよなく愛する上に規則正しい生活を好む毛利。朝日を浴びることを己の義務としていた男が急に朝起きられなくなる、そんなことがあるわけがない。
だから貴様が原因を究明しろ。
三成のそんなことを書き綴った文を読んだ時、長宗我部元親が最初に思ったのは三成はかなり毛利を好いているのだなあというごく当たり前の感想だった。毛利のことを案じていなければ、こんな手紙を送ってくるわけがない。元親の親友である家康は、三成はなかなか人に懐かないし好意を表に出すのをとにかく苦手としていると以前語っていたが。
そう思っているのは家康だけなのでは。
確かに不器用だし、おかしなところで口べたなので損をしていると思うことはある。もう少し上手く話せばちゃんと伝わるのに、どうしてそんなに一直線の会話しかできないのかとも思う。
だが三成はそれでいい、少なくとも彼にはちびという守りが側についている。
最初は何故三成に二人がくっついて離れないのか疑問に思ったが、彼と行動を共にすることが多くなり元親は何となくその理由を理解した。家康と同じ顔の竹千代までもが三成の側にいることを選んでいる、それにもきっと大きな意味があるのだ。三成の方がより強い守りを必要としているおり、ちびたちはなんとなくそれを感じ取っている。もちろん三成のことが誰よりも好きだというのも大きな理由なのだろうが、今の家康はそれほどの守りを必要としていない。
そう、元親は結論づけていた。
それに瀬戸内海に挟まれて別居夫婦状態の毛利と元親だが、今は三成が側にいてくれる。三成とあの賑やかなちびたちがいれば毛利もナリとチカも寂しくはないし、なにかあれば安芸の状況は三成や家康がすぐに教えてくれる。
こうやって手紙が届いたのも、元親にとっては想定の範囲内。
だがあの日輪をこよなく愛する毛利が朝起きられないなんて異常事態は、今まで絶対になかったのだ。一体安芸で何が起こっているのか、ただ単に毛利に寝坊癖がついただけであることを祈りながら海を渡って安芸の毛利邸を訪れた元親を待っていたのは。
「貴様、どうして上手く動けぬ!」
「今の動きのどこが間違っているのだ!」
「優雅さが足りぬと何度言えばわかる!」
「決められた動きをすればいいだけなのだろう? どうして優雅さが必要なのだ!」
「我の代わりを務めるのなら、それだけのものを見せてもらわねば我が日輪に示しがつかぬ!」
昼の日の光を浴びながら、庭でおかしな動きをしながら怒鳴りあっている毛利と三成の姿だった。
三成は三成なりに必死に言われたとおりにしようとしているのだろうが、動きがぎくしゃくしており時折おかしな格好に固まるので見栄えが悪いことこの上ない。おまけに両肩にそれぞれ三成をこよなく愛するちびたちが乗っているので、余計に重心がとりにくいのだろう。
顔をしかめながら必死に動きを修正しようとするが、肩の上でぱたぱたと動くちびたちのせいでそれもかなわず。
悔しげに顔を歪めて拳を握る三成を見るに見かねて、元親は近づきながら二人に声をかけた。
「よう、なにやってんだ?」
「長宗我部か……なにをしにきた?」
「石田がおかしな事をやらされてるって小耳に挟んだんでな、見学だ」
「おかしなことではない、我の代わりの神事の練習よ。我は一人で行えると言ったのだが……」
「神事だ?」
「鏡の破片を清めるのだそうだ」
元親が来たことで毛利の厳しすぎる指導が止んだ。
それに安堵したのか少し表情を緩めた三成が、余計なことを言うなと言いたげに睨み付けてくる毛利を無視して元親に説明してくれた。
毛利家の機密なのかもしれないが、さらっと口にしてくれるのが三成のいい所であり悪い所。
「先日の一件で割れた鏡の破片をこの屋敷の神殿に安置して日々清めていたらしいのだが、徐々に黒ずみ始めたらしく……今では真っ黒になってしまっている」
「おい、なんでそんな大事なことを話さなかったんだよ」
「ここ数日で一気に黒く染まった。もう神職の者だけでは手に負えなくなったらしく、我に神事を行ってくれと言ってきたのだ」
「それと石田のおかしな動きがどう繋がるんだ?」
「好きであのような動きをしていたわけではない!」
「神事に時間を割くことができるほど、我も暇ではない……というのが理由の一つ。もう一つの理由は、あの時手に持っていた者が清めるべきだということ……少々どころではなく滑稽な動きではあるがな」
「だから私は好きであのような……」
『神事不明』
毛利に向かって再度苦情を申し立てようとした三成を遮るかのように、肩に乗っていた佐吉が紙を突き出してくる。三成がおかしな事をやらされているのは理解したようだが、何故そのようなことを行うかはわかっていないらしい。
もう片側に乗っている竹千代も狸耳をぴこぴこさせながらきゅうきゅう言い続けているが、彼も当然の如く意味を理解していない。
人間(捨て駒含む)には厳しいが、ちびには優しい毛利は不機嫌そうな顔ではあったが彼等に説明するために三成を自分の側へと招き近くの岩へと座るように命じた。
その目の下には色濃い隈が刻まれているし、顔色も普段より遙かに悪い。
「鏡というのは神の力を受け、真実を映し出す神器。それが曇るとということは、それ相応の理由があるという事よ。この安芸に災いが降りかかる前兆かそれとも、それ以上の何かが鏡に集っているのか。どちらにしてもその曇りを払わねば、なにかが起こるのは間違いないであろう」
『食料消失』
「飢饉か……それもありえるかもしれんな。だが安芸を守るものであった鏡は割れてしまった、我らにできるのは鏡の破片をできるだけ美しく保っておくことだけよ」
「きゅきゅ~?」
「汚れは汚れを呼ぶのだ。黒く汚れた鏡は、あらゆる災いを呼びかねん」
「きゅきゅきゅ!」
「その通りよ。ぽんぽこ狸のくせに物わかりがよい」
普通に竹千代と会話が成立している毛利に、三成が尊敬と困惑の入り交じった眼差しを向けている。かなり毛利にしごかれたのか、ちびたちが落ちないように注意しながら腕を伸ばしたりしている三成の側に近づくと、元親は気になっていたことを聞いてみた。
「おい、うちのナリとチカはどうした?」
「貴様のかどうかは知らんが、ナリとチカなら昼寝の真っ最中だ」
「こういう面白いことは好きそうなんだがな……どんだけ眠いんだよ」
「ナリとチカは毛利と逆だ。眠っている時間が増えた」
毛利に聞こえないほど小さな声。
だが確実に元親の耳に届くようにそれを告げてきた三成の顔は平静そのものだった。毛利の不調を告げたのが自分だと気づかれるわけにはいかない、その一心なのだろう。佐吉と竹千代の疑問に答えてやっている毛利に気取られないように細心の注意を払いながら、話を続けていく。
「鏡が完全に黒く染まってからだ、毛利が起きられなくなったのは。以前は夢見が悪いと何度か言っていたが、今は逆に夢の内容を何も覚えていないらしい。かわりに……毛利はかなり強く揺さぶっても目を覚まさなくなってきた」
このままでは目覚めぬ眠りに飲まれるのでは。
多分三成はそんな不安を抱いて元親に文を送ってきたのだろう。
「…………安心しろ、俺がどうにかしてやる」
「私の期待を裏切れば殺す」
「厳しい奴だな……」
小さな声で積み重ねていく会話は、毛利への思いに満ちあふれたもの。
思いの質は違えど、毛利のことを思っているのはどちらも同じ。元親が愛しい家族であり恋人のように思っているのと違い、三成はものすごく怖いが頼りがいのある兄のように感じているのだろう。
そうでなければ、彼が素直に言うことを聞いて神事の練習をするわけがない。
「随分と困ったことになっちまったな……」
頭を掻きながら小さな声でそう呟くと、岩に腰掛けている三成が無言で頷く。
急に黒く染まった鏡の破片、毛利の急な不調。それが繋がっているのは確実なのだろうが、一体どこから手をつければいいのやら。
「おい石田、その神事ってやつを俺にも見せてくれや」
「…………いいのか?」
「なにがだよ」
「本当にいいんだな、それで」
目線を上に上げ、何度も念を押してきた三成の姿に多少疑問を感じはしたが。
神事を行うためには御祓のために体のあらゆる場所を冷水で清めた上に、着物まで着替えさせられる。それを知ったのは三成が全ての準備を終えた後で、元親はいきなり冷水の満ちた大きな桶に蹴り込まれた上に年老いた神職者たちに肌がすり切れそうになるほど強く洗われることになるのだが。
三成の哀れみに満ちた視線から、そんな未来を予想することなど当然できるわけがなかった。
一歩足を進めては、残った方の足を進めた足に寄り添わせ。
周囲を睥睨しながら鏡を安置した小さな祭壇の周囲を回り続けながら、角にたどり着くと手に持った双剣で周囲の空気を切り払う。それを何度も繰り返し、手首につけた銀色の鈴を鳴らし。純白の一揃えの裾をわずかも乱すことなく、三成は毛利の代わりという大役を務め続けていた。
先程まで珍妙な動きをしていた人間とは思えぬほど、その動きは流麗かつ美麗。
やっぱり肩にちびたちが乗っていたのが悪かったらしい。そのちびたちは三成と一緒に神事をしてみたいと主張し続けていたが、冷水での清めを拒否した結果部屋の外でがたがたと壁を揺らしながら待機している。
いや待機しているというよりは、隙があったら部屋に突入してきそうな勢い。
三成と同じ白一式の着物を着せられ、一切日の光が入らない部屋の隅で座りながら三成を見つめている元親が背を預けている壁が、がたごと揺れ続けているのだ。集中できないことこの上ないのだが、神事が終わるまでは一切話してはならないと事前に言い含められている。
鈴の音を響かせ、刃が風を切る音を部屋全体に行き渡らせながら三成の歩みは続いていた。凛とした眼差しと集中した表情、そして戦場に立っているかのような緊張感と相反する美々しさ。
ここに家康がいたら惚れ直したと言い出しそうな程の静けさをたたえた華麗さに見惚れると同時に思うのは、毛利のこの姿を見たかったという素直な感想。神職者でも清められぬものをあまたの命を奪ってきた将である毛利や三成にどうにかできるのかと最初は思ったのだが、実際に見て考えを変えることになった。
汚れを清めるのではなく、切り払い消滅させる。
刀を持つのはそのためであり、汚れに負けぬ気概と力で討ち滅ぼすために三成は集中して定められた動作を行っているのだ。かなり力を入れているらしい三成の額からは数条の汗、そして首筋にも汗が伝っている。部屋のあちこちに置かれた蝋燭が室内の温度を上げていることもあるのだろうが、三成の消耗ぶりは目に見えてわかるほどであった。
徐々に息を荒げ、時折足がよろめきそうになる。
毛利より若く体力もあるであろう三成がこれだけ疲れているのだ、毎日こんなことをしていれば毛利が弱るのも無理はない。ようやく全ての手順を終えたのか、最後に鏡の破片が安置された祭壇へと向き直り一際大きく双剣を振るった三成は。
かくりと膝を折り、そのままその場に座り込んでしまった。
「…………………………っ!」
「……もう……話しても大丈夫だ…………」
「大丈夫か!?」
「なんとか……な。だがさすがに少し疲れた……」
声を出すなと言い含めてきた三成本人が声を出したので、慌てて彼の側へと駆け寄ると三成は床に手をついて大きく息を吐き出している。余程疲れたのか、それとも毛利に託された大役を終えてほっとしたのか。
室内の物音を聞いて戸板を開けて無理矢理室内に入り込んできた竹千代と佐吉に抱きつかれるがままに、傍らに置いていた双剣を大切そうに膝の上へと置き直した。
『三成疲労困憊』
「きゅ~」
「大丈夫だ。まさか……これほどのものとは思ってもいなかった」
「きゅきゅ?」
『回転超疲労』
「回っただけで疲れたわけではない。なんと言えばいいかわからないのだが……早く終わらせなければ命を吸い尽くされてしまうような……」
『三成生命超絶危機』
「きゅきゅきゅ!」
みつなりがしんじゃう、たいへん。
どこか茫洋とした三成の言葉にちびたちは一気に顔を青ざめさせ、くるくると三成の周囲を回り始める。今すぐ死ぬ訳じゃないから心配するな、そうちびたちに伝えて元親は濃紫の布の上に安置された鏡の破片をじっくりと観察し始めた。
最初に元親がその鏡を見たのは毛利との小競り合いという名の痴話喧嘩の真っ最中。
その時鏡は小さな太陽のように自ら眩い光を放っていた。しかし今はどうだろう、銀を磨いて作った鏡の破片は炎に放り込まれた後の様に黒ずみ光を失いきっている。
手を伸ばして触れてみようかとも思ったが、それよりも三成の介抱をするのが先。
ちびたちだけでは立ち上がれないらしい三成をこの部屋から運び出すことはできないし、こんな蝋燭の明かりしか無い部屋にずっといるのも気分が悪い。なので三成の両脇に手を差し込み無理矢理立ち上がらせると、大きくよろめく体を支えながらその部屋を出ることにした。
当然ちびたちは後をついてくるが、元親は見逃さなかった。
佐吉が鋭すぎる目線で鏡の破片を睨め付けたこと。
竹千代がそんな佐吉の肩に手をやり、小さく首を振って何かを制止したこと。
そして、二人が何かを決意したかのように目配せをしあったこと。
その全てを記憶にとどめ、だが気がついたことを気取られぬようにわざと大きな音を出して三成をひきずり。一瞬だけ見せた真剣な顔を打ち消すかのように、慌てて三成の後を追いだしたちびたちを安心させるかのように三成に語りかけ始めた。
細い体のくせに上背だけはある三成を上手く運ぶことは難しく、足の先が床に擦れてしまっているがそれは我慢してもらうしかないだろう。
「石田、お前図体でかい割に軽いな!」
「好きで軽くなったわけではない」
「だったらもう少し食えや……今度美味い魚を持ってきてやるからよ」
「貴様は蜜柑と魚しか食わんのか……」
地面に一応足はついているが、自分で歩くことすらできない状況。
それでも抱きかかえたりすれば彼の自尊心が大きく傷つくであろうから、なんとか本人に歩かせようとするが。腰から下の力を完全に失っているのか、足先すらわずかにも動かなくなってしまっていた。
かろうじて腕だけは動くのか、元親の肩にすがりつくかのように掴まることができている。
「おい、本当に大丈夫か?」
「きゅ~!」
『三成生命危機不安』
「心配はいらん……毛利も少し休めばすぐ治ると言っていた」
「やっぱりあいつもこうだったって事かよ」
「毛利は詳しいことを話さなかった。私が清めなければならないというのも多分嘘だろうな……毛利はきっと私を使って確かめたかったのだろう」
「お前も同じ事になるのか……ってことか」
「私が清めた後、禰宜たちが清めを行うのだそうだが……それが終わるまでは鏡が本当に清められたのかはわからない。それと竹千代、佐吉……」
ひきずられる三成の後を心配そうについて歩いていたちび二人に、三成からの鋭い声がとぶ。
「面倒だからといって鏡ごと壊そうなどとは考えるな。あれが残っていれば、貴様らの元いた場所に帰れる可能性が残るのだ」
図星を突かれたことに驚いたのか、二人の尻尾が同時にぴこんと天を指す。
『鏡邪魔』
「きゅ~きゅ~」
「もし私の了承なしに鏡を壊せば……私は今後貴様たちの尾の手入れを行わないことにする。添い寝もなしだ」
『超絶拒否』
「きゅ!」
「ならば鏡を壊さないことだ、わかったな」
三成が首を後ろに向けて二人がおかしな目配せをしないように監視していることを知り、三成大好き故に暴走しまくる二人は不承不承といった風情で頷いてみせた。
ただし元親は先程の二人のあれを見ているので、全く信用していない。
絶対こいつら、ろくでもないことを考えて実行に移そうとしている。
しかし彼等が三成のことを考えていることをわかっているので、元親は基本的には彼等の好きなようにさせてやろうと思っていた。毛利は鏡の破片を壊されることを嫌がるだろうが、それが原因で衰弱していくのなら無くなってしまった方がいい。
あの三成ですら一度の神事でここまで弱ってしまうのだ、何度か行ったらしい毛利が体調に異変を生じるのも十分に理解できる。
「近くの部屋に布団敷かせるからよ、あんたは少し休んどけ……俺は毛利の所に行ってくる」
「……すまない」
「もう少しあんたが小さけりゃ、背負って運べるんだがな」
「……貴様も家康も同じことを言う」
「なんだ、拗ねてんのか?」
元親に顔を見せないようにしているが、三成が子供のように口を尖らせているのは明白。
体は大きいのに妙な所で子供っぽくて、一本気で真面目。こういうところに家康は心底惚れ込んでいるのだろう、昔から家康は自分にあからさまな好意を見せつけてくる人間よりも思いを持てあまして戸惑う人間を好む傾向にあった。
つくづく世話を焼きたい性分なのだ、自分も家康も。
そういえば三成に神事を任せた毛利は今何をしているのだろうか。三成は自分が代わりに行っている間体を休めておけと言い続けていたが、あの毛利が素直に言うことを聞くわけがない。きっと執務に使っている部屋で、いつも通り仕事を進めているのだろう。
さっさと図体のでかい『子供』と『子供の子供たち』を寝かしつけ。
その次は意地っ張りで責任感だけは無駄に強い自分の『奥さん』を休ませなければならない。
なにせ自分たちの間には『おとさん』『おかさん』と呼んでくれる可愛い子供がいるのだ。
毛利のためだけではなく、勿論自分のためでもなく。小さな彼等が悲しまないように事態の収拾を図るのが『おとさん』である元親のやるべき事。
同じくちびに愛された恋人を持ちながらも、家康と元親はそこが大きく違っていた。ちびたちを家族として受け入れ、守るためならばどんなことでもしてみせると元親は決めている。だがまだ家康にはその覚悟はなく、ちびたちを三成を慕うおかしな存在として認識しているだけ。
どのようなものでも身内として受けいれ、全てを背負う覚悟がまだ家康にはない。
若い家康にそこまでを求めるわけにはいかないが、元親には何となくわかっていた。多分家康が越えなければならない壁はそれで、三成が越えなければならない壁はこの毛利家にふんだんに用意されている。
そして毛利は三成を鍛える壁役を自ら買って出ているわけだ。
神事を三成に行わせたのもそれの一環だとしたら、あまりにも厳しすぎるのではないか。そう思いもするが、元親にとって最優先事項は三成ではなく自分の家族。
以前毛利に言われた通り、今度は手を差し伸べる先を間違えぬように。
多少三成に冷たいと思われるのを覚悟しながら、その辺の部屋に体に力が入らなくなっている三成と彼を守るように付き従うちびたちを放置し。元親は近くを歩いていた人間に三成の世話を頼むと、勝手知ったる他国の領主の館を一人で歩き始めたのだった。
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弐に出てきた鏡は破片だけ毛利家に回収されておりましたとさ。
まああのラストから考えれば、当然回収しなきゃいけないものなんですけどねえ……
ということでその2で終わります、きっと。
あくまでこれ、参の序章だし……参は瀬戸内でずっと話が進む予定です。
ちなみにぷちばさ!の以前みっしさんと話したくだらない設定。
こじゅはなんで頭に葉っぱが生えてるの? → 仕様ですw
なんでちびはなにかあるごとに踊るの? → 仕様ですw
なんで忠子はとぶの? → きっと自分と自分に掴まってる物を軽くしている
忠子は家康様が嫌いなの? → えらいんだけどよくわからない、きっとそんな印象
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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