がんかたうるふ 月孤譚3章 その2 忍者ブログ
こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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おまけ本の印刷が終わってから、大チョンボに気がつきました……罰符いくら取られるんだよ、これ……でももうフォローしきれないので、別に修正表をいれるしか……あぁぁぁぁぁ!!



 *****
 久しぶりに出会った武田の若武者は、多少成長したようではあった。
 まだ子供の無邪気さが残っていた顔に青年としての凛々しさが現れ、肩幅もしっかりしてきたように見える。赤い戦甲冑を身に纏い双の槍を携えて現れたのには驚いたが、これがこの男の通常の姿なのだろう。
 そう思えるほどしっくりと来ていたのだからしょうがない。
「政宗殿、久方ぶりにございます」
 背筋を正し、丁寧にこちらに礼を向けてくる姿は、一国を背負う主君のもの。
「おう、久しぶりだな。信玄のオッサンは元気か?」
「お館様はようやく床から起き上がれるように」
「そうか、そりゃよかったな」
「はい!」
 目を輝かせる幸村を見ながら、政宗は背後に控える小十郎にちらりと目線を送る。
 無言で軽く首を振る小十郎の姿から察するに、今日は佐助を連れてきてはいないのだろう。まあ佐助の文の内容を見れば、今日着いてきていないことは明白なのだが、それでも万が一ということもある。

 しばらく自分が留守にするから伊達で幸村を預かって欲しい、そうしてくれなければ三成がここにいることを諸国に伝達する。

脅しに近い内容だが、こちらとしては受け入れるしかない。
 それにしても武田はこの大事な時期に大将を他国に放出するとは。まあこれがいても内政は不得手だろうし、信玄が回復しつつある上に戦がしばらく起こらない状況では幸村を他国に出した方が得策ではあるのか。
 何しろこの男、いい意味で愛すべきバカなのだ。
 あちこちふらふらと放浪して、他国の将と友好関係を気づいてくれた方がよっぽど国のためだ。武田の人間たちもそう考えたのか、それとも別の意図があるのか。
 考えてもわからないので、まずは三成と政宗を会わせるべきだろう。
「小十郎」
「わかりました」
 短い返答と共に立ち上がった小十郎は、隣室に待機してもらっている三成と家康を呼びに行った。槍は持ち込んでいるが、彼の様子ならいきなり三成に斬りかかることはない。
 むしろ、
「それで石田殿は……息災でござろうか」
「少しは元気になってきたってところだな」
「それはよかった。大谷殿のこともありましたので、気落ちしているのではないかと」
「大谷か……見つかったのか?」
「佐助の報告では、大谷殿の衣類を纏った腐敗しきった死骸が見つかったと……」
「石田のヤツにはまだ言うなよ」
「わかっております」
 きっぱりと言い切った幸村の顔には、何らかの決意が存在していた。
 西軍の将同士がどのような関係だったかを政宗はほとんど知らない、だが幸村の顔を見る限り、仲が悪かったというわけでもなさそうだった。
「私に客が来ていると?」
「三成良かったな、お前にも儂以外に友達が」
「貴様は私の友ではないっ!」
 廊下の方から賑やかすぎる声が聞こえる。
 いくつも連なる足音が部屋の前で止まり、襖が開いた時。
 もう幸村は動き出していた。

「みつなりどのぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 体の一部のように大切に扱っていた槍は畳の上に置き去りにし。
 鎧を纏っているとは思えない早さで立ち上がり、そのまま一気に体に加速をつけ。
「あいたかったでござるぅぅぅぅ!!!!」
 三成の体が床にたたきつけられる勢いで、三成の体に全身全霊を込めて抱きついた。
「な、な、な、何をやっている真田!」
「三成殿、久しぶりでござる! この腰……やっぱり三成殿の抱き心地は……」
「………………真田か………そういうことか……あの忍め………」
「三成殿がいなくなり、今後どうしようかと思っておったのです! 生きていてくださって良かった!」
 ぎゅうっと強く三成を床に押し倒し、大きな犬のように全身を三成にすりつけ。尻尾が生えているのならぱたぱたと降り始めそうなほど、全身で喜びを表現していた。対する三成の方はといえば、大きなため息をついた後何かを諦めたかのように。
 心底面倒そうに幸村の柔らかい髪の毛を撫で始めていた。
「三成、嫌ではないのか!? 怪我は?」
 その横には直立不動のまま硬直している権現が一人。
 心なしか、話口調までがぎこちないというか、声が震えているというか。
「いつものことだ、もう慣れた」
「拙者が三成殿に怪我をさせるはずありませぬ!」
「貴様はいつもそうだな……」
 ぽんぽんとおざなりに頭を撫でてやりながら、三成は尊大な口調で幸村に命令をする。
「真田、私を潰す気か? せめて私が起き上がってからにしろ」
「そうでござった、久しぶりなのでつい……」
「貴様は変わらんな」
「はい! 人は一朝一夕でそう変われるものではござらん……とお館様に言われました」
「そうだろうな……貴様も私も……そう簡単には変われぬ」
 その時の三成の顔。

苦笑いといった感じではあったが、確かに笑っていた。

 伊達に来てから今まで、一度も笑ったことがないというのに。
 政宗ですら驚いたのだから、家康もさぞ……と思い彼に目線を移すと、あっけにとられたを通り越して人生の全てに絶望しきったような顔で。

 
三成の困ったような笑い顔をただ見つめていた。
























 幸村の話は簡単そのものだった。
「拙者、佐助がいないとどうも落ち着かないというか。佐助が側にいてくれぬと寂しくて……石田殿は佐助によく似ておられる故、戦の折は石田殿によくお世話になっておりました」
「つまり……佐助が用事で長く武田を空けるんで、佐助の代わりに石田に甘えに来たってことだな?」
「はいっ!」
 三成の肩から首を出した幸村が、キラキラとした目でこちらを見つめてくる。
 後ろから抱きつかれた形になっている三成は本気で慣れてしまっているのか、幸村が土産に持ってきた団子を少しずつ口に運んでいる。その横には魂が抜けたような顔の家康が、焦点の合わない瞳で三成に目線を合わせている。
 妻の浮気を発見した夫よりまだ悪い落ち込みぶりに、家康には悪いがつい笑いがこみ上げてくる。
「政宗殿? どうかなされましたか?」
「この男のどこがあの忍びに似てるのかわからなくてな」
「そっくりではございませんか。この腰や首の細さと温かい肌の感触が!」
「真田……テメェがバカだって事はわかった」
「拙者、バカではござらん!」
 身を乗り出して抗議しようとする幸村の顔を、三成は後ろも見ずに顔を押さえ込むことで制止する。片手は団子を持ったままという手際の良さは、流石は元西軍総大将といったところか。その手慣れすぎた様子に、政宗は西軍時代の二人はずっとこうだったのだろうと思い。

 家康に心底同情した。

 幸村と政宗は色々な意味でつきあいが長い。なので幸村の佐助への依存度がどれだけのものかを理解しているし、三成も身を持って体験したのでちゃんとわかっているのだろう。
 幸村にとっての三成は、佐助がいない間の代わりでしかない。
 だがそれを理解するほど幸村を知っているわけではない家康が、いきなりこれを見せられたら……
「三成、真田とはどういう関係なんだ」
「見たとおりだ……おい真田、私の団子を喰おうとするな!」
「拙者が持ってきた団子でござる、拙者にも食べる権利が」
「26本という微妙な数をあの忍びが持たせるとは思わないがな……さあ言え、道中で何本摘んだ?」
 三成が幸村の顔を押さえていた指先に力を込めると、締め上げられる事に耐えられなくなったのか幸村は素直に頭を下げた。
「24本でござる……拙者、腹を切ってお詫びをぉぉぉぉ!」
「いらん! 貴様はそうやって私を何度裏切った!? 私の干し柿を勝手に食ったこと、まだ忘れてはおらぬからな!」
 気にしているのはそこなのか。
 完全に幸村のお気楽さと馬鹿さが伝染し、いつもよりも口数も喜怒哀楽も激しくなっている三成に、政宗はもう笑いをこらえることしかできなかった。このまま三成を武田に預けた方が三成は早く更正(?)するのではないだろうかと思うほどの適応ぶり。
 まあ家康のことを考えるとそんなことはできないわけだが。
 家康の力を持ってすれば三成をすぐに自分の元に連れて帰ることはできるはず。それなのにそれをしないのは、家康が今は伊達にいることこそが三成の幸せであると判断したからなのだろう。それを素直に武田に渡してしまえば、今後の徳川との関係が悪化するのは必至。
 完全に打ちのめされた家康の姿を見なくても、それくらいはわかる。
「西軍は随分と楽しいところだったみたいだな」
「戦の最中に楽しいという言葉を使うのはおかしいかもしれませぬが……良き場所であったと拙者は思っております。島津殿や上杉殿はいつも酒を酌み交わしておりましたし、お市殿とはよく三成殿と三人で花を摘みに行ったりいたしました」
「刑部が付き添えと行ったから付き添ったまでだ」
「大谷殿は毛利殿と密談ばかりでしたが、毛利殿にはよくお市殿と並んで怒られましたな。今考えれば毛利殿は将として大切なことを色々教えてくださった。長宗我部殿は…………長宗我部殿は………」
「…………オイ、長宗我部がどうしたんだ?」
「長宗我部殿は………………元気でござった。とにかく元気で………ございました」
「………そうだったな…………」
 べったりとくっついたままの西軍二人が急に声を低め、乾いた笑い声を同時に漏らす。相当嫌なことがあったのだろう、これ以上この件については聞かない方がいいと判断し話題を変えようとすると、家康が気の抜けた口調で会話に参加してきた。
 顔は無理矢理笑顔を取り繕ってるが、見ている側が痛々しくて目を背けたくなる。
「元親に今度会いに行くとするか、なあ三成。西軍の将たちに順に会いに行くのも楽しそうだな」
「…………………」
 強く、三成の顎に力がこもる。
それは、勝った者だから言える言葉。敗者の今後について自分が決められる故の奢りは、確実に三成の胸をえぐっていた。家康本人にはそんなつもりがないのはわかるが、よりにもよって幸村が来ている時に言わなくてもいいだろうに。
 自分たちは負けたのだと、再度突きつける。
 それが家康の幸村への無意識の嫉妬によって生み出された発言なのだとしたら、彼の三成への思いは恐ろしいほど深く重いことになる。友情では説明できず、愛情と断言するにはまだ形をなしていない。
 幸村に抱きつかれたまま、表情をこわばらせる三成になにか言葉をかけてやろうと考えていると、背後から幸村が更に強く三成を抱きしめた。
「苦しいではないか!」
「今日は一緒に寝させていただいてもよろしいでしょうか、石田殿」
「またか……」
「しばらく石田殿と共に湯につかる事もしておりませんし、拙者は佐助がおらぬとどうも寝付きが悪く……」
「勝手にしろ!」
「ありがとうございます! 拙者、感激いたしております」
「だから私の首を絞めるなっ! 殺す気か!」
 無邪気にほほえみながら体をすり寄せてくる幸村を邪険に扱っている三成だが、顔は思ったほどは嫌っていない。むしろ隣の家康の方が呆然を通り越した果てに、憎悪に近い眼差しを向けているように見えるのは気のせいだろうか。
 それにしても。
 絶妙な間で幸村は三成に言葉をかけ、少なくとも先ほどの家康の発言を忘れさせることに成功している。昔の周囲の思いを鑑みる前に数百歩先へと行ってしまっていた幸村には、こんな細やかな気配りはできなかっただろう。
 戦は人を大きくするというが。
 彼はその恩恵を最も多く受け、若き君主としての道を歩み始めたようだ。
 それと同時に政宗の脳裏に、あることが思い浮かぶ。

 この男は何をしに来た?

 三成に会いに来た、佐助がいなくて寂しい。
 その理屈はわかるが、それだけで己が家の重鎮を簡単に旅に出すだろうか、あの武田家が。これが彼にとって修行の意味があると信玄が判断した、最初はそう考えていた政宗だったが。
 この男は伊達家に三成の様子を見に来ただけではなく、もしかして。
「三成殿~」
 細い体を後ろから抱きしめながらじゃれつく幸村の顔からは、企ての影などはわずかも感じられない。だが何らかの目的を持って彼はここに来たのだ。
 彼の三成を見る目に宿るのは、子供のような甘えだけではない。若武者としての威厳も、それに見合う心の強さも彼の瞳にはちゃんと宿っていたのだから。












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あれと長時間つきあえば、そりゃあしらい方も上手くなるわな。
と思いながら、幸三もおいしいよなあと考える今日この頃。


BGM「タマシイレボリューション」 BY superfly
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色々説明






拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)


注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨


ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。


書いている人


みっし

・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。



うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。

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ばさら垢できました
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