こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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続きです。
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「それでは、よろしいですか?」
竜の右目の声に、二人の体が軽く沈んだ。
石田三成という男の戦い方は、ある意味特殊とも言えた。
有り余る膂力であの長刀を振り回しているわけではない、居合いのように一瞬の早さと破壊力を重視しているわけでもない。一度の斬撃で最大の打撃を相手に与えることを通常は重視するのだが、三成の場合は普通の人間にとっての一撃の間に何度も相手を刃で切り刻むのだ。
圧倒的な速度と、それを支える移動力。
そして常に戦の流れを理解し、最良な行動を取ることができる判断力。
今の己にとって最適な行動を取るのではなく、数手先を読みその都度自分の動きを修正できる将は滅多にいない。政宗が彼に一度不覚を取り、地に墜とされた理由もわかる。最適な間合いと位置取りを行ってから、常に最高の一撃を与えようとしてくる武将がこれほど恐ろしいとは。
半兵衛の教育は三成をここまで完成させていたのか。
三成の正確に急所を狙ってくる刃を捌きながら、家康は背筋に震えが走るのを止められなかった。恐怖に近い物もあるが、半分以上は勿論武者震いのため。
「三成、お前はすごいのだな!」
「黙れ!」
叫びと共に家康ぬ受け止められた刃ごと後ろに引き、次の瞬間には家康の背後の移動し今度は首筋を狙ってくる。体をねじってそれをかわせば体勢を崩し、次の一撃で三成にとどめを刺されてしまうだろう。
誰との戦いではわずかな失態が死に繋がる。
戦の先陣を切りこんな戦い方をしていれば、それは凶王とも呼ばれるようになるだろう。本来なら家康もとっくに首を切り離されていてもおかしくないのだが、いくつか家康にとって有利な点があった。
一つは三成の着ている服。
戦装束姿ではなく、動きやすさと通気性を重視した野良着であるが故に、刀を振り回す際のバランスが上手くとれないのだろう。それによって多少ではあるが、彼の一撃は精度を欠いていた。
そしてもう一つはここが伊達家の庭であるということ。
昨日色々ありすぎまして、と小十郎は言っていたが砂利があちこちにばらまかれ石灯籠は倒れ、庭の木々は枝を地面に落としている空間では三成自慢の脚力も殺されがちになってしまう。まずは自分にとって最適な足場を見つけることを優先とするために、どうしても判断が数瞬だが遅れてしまうのだ。
「楽しいな、三成!」
「秀吉様の仇! 貴様の首を秀吉様の墓所に供えるのが私の望みだ!」
「すまんが、それはまだ許してはやれぬ」
「家康……っ!」
一瞬だけふれあう刃と拳。
次の瞬間には三成から離れ、そしてすぐに銀の牙となって襲いかかってくる。家康はそれを待ち構え、ただ受け止めるだけ。
彼の憎悪、悲しみ、自分はそれを受け止めなければならない。
それが自分を切り裂く刃の形であろうと、命を奪われる危険を常に感じることになったとしても。どれだけ時間がかかろうと、大切な友人である三成ともう一度和解したい。
それが家康の今最大の望みであった。
赤く染まっていく空と、その光に染まる三成。
「………………綺麗だな……」
「貴様!」
縁側に座って状況を見守っている伊達の主従の事なんてもう気にならなかった。
今日の夜中までには三河に戻ると言ってある、忠勝もそろそろ迎えに来る頃だろう。だが少しでも長く、空の紅に染まりながら自分を見つめる三成を見ていたい。
暑くなり始めた体を冷やすかのように吹いてくる秋風に髪を揺らし、紅潮した頬と燃え上がるような瞳をこちらに向けてくる三成に、家康は素直にこう伝える。
「やはり三成は強いな……こんなに楽しい戦いは久しぶりだ」
「貴様を喜ばせるために私はこうしているわけではない! さっさと貴様の首を私によこせ」
「儂の首を秀吉の墓に供えてどうする? そんなもの、秀吉が喜ぶと思うのか?」
「秀吉様と呼べ!」
会話の合間にも、三成の攻撃はやむことがない。
肩を狙ったと思えば次には空いた脇腹を、背に軽く刃を流したと思ったら呼吸する間もなく目を狙われる。拳だけで捌くのが難しくなり、必然的に家康も足で回避するようになっていくが、それこそが三成の思う壺なのもわかってはいた。
家康が自分に優位な位置取りをしようとまごつく合間こそが三成の狙い目。
だが家康にとってもそれは狙い目であった。家康が動くようになれば、必然的に三成の判断材料は増え、運動量は増していく。疲労が増せば剣速も三成自身の動きも鈍ってくるはず。
するはずだったのだが。
「見事な物ですな……政宗様」
「オレとやった時と早さが違うな、アイツの相手は家康だけって事かよ」
「政宗様も随分と手加減なさっていたようでしたが?」
「だが……まずいな」
「ええ」
のんびりと並んで茶をすする伊達主従が感服するほどに、三成の速度は衰えなかった。
わずかの隙も作らず、また家康の隙を巧妙に狙い。さすがの家康もこれはまずいかと思い始めた頃、それは唐突に訪れた。
「………ひでよし……さま………」
「三成!?」
こちらに食らいつきそうな勢いで見つめていた目と、首筋に咄嗟に添えた手がなければ家康の首を一撃にして刎ねていたであろう刃から力が抜けた。次の瞬間には密着していた三成の体も大きく傾ぎ、地へと落ちていこうとした体を、家康はようやくのことで受け止める。
「……………っと」
脇から手を回し、三成の体を支え。
そしてその体の軽さに唖然とした。
昔は冗談で抱きついたこともあったが、その時に感じた彼の重みと今の彼の重みでは明らかに差がありすぎたのだ。まるで魂の一部が抜けてしまったかのような軽さ、そして先ほどまでの顔の赤みは消え失せ、今にも黄泉路へと連れ去られそうな青い顔に地のような赤い光が重なり。
家康は強く三成を引き寄せ、己の熱を分け与えるかのようにその体を強くかき抱いた。
「やっぱりか……小十郎」
「承知いたしました」
阿吽の呼吸で政宗がこちらに、そして小十郎が三成を休ませるための部屋の用意をするために屋敷の中へ入っていく。
「さっさと運ぶぞ」
「三成は相当弱っていたのか?」
「アンタを殺して秀吉の墓に首を供えたら、すぐに後を追うつもりだったようだからな。喰うことも寝ることも、二の次だったんだろ?」
「死ぬだと? そんなこと、儂がさせん」
「だったらせいぜいこいつの生きる意味になってやることだな。それはアンタの仕事で、オレの仕事はアンタがいない間に石田の面倒を見ることだ」
Are you ok?
聞き慣れない言葉、だが確実に脅しを込めた声で政宗は耳元に囁いてくる。
ぐったりと力の抜けだ三成の体を強く抱きしめながら、家康はどこか冷ややかに感じる政宗の視線を浴びながら立ち尽くすことしかできなかった。
竜の右目の声に、二人の体が軽く沈んだ。
石田三成という男の戦い方は、ある意味特殊とも言えた。
有り余る膂力であの長刀を振り回しているわけではない、居合いのように一瞬の早さと破壊力を重視しているわけでもない。一度の斬撃で最大の打撃を相手に与えることを通常は重視するのだが、三成の場合は普通の人間にとっての一撃の間に何度も相手を刃で切り刻むのだ。
圧倒的な速度と、それを支える移動力。
そして常に戦の流れを理解し、最良な行動を取ることができる判断力。
今の己にとって最適な行動を取るのではなく、数手先を読みその都度自分の動きを修正できる将は滅多にいない。政宗が彼に一度不覚を取り、地に墜とされた理由もわかる。最適な間合いと位置取りを行ってから、常に最高の一撃を与えようとしてくる武将がこれほど恐ろしいとは。
半兵衛の教育は三成をここまで完成させていたのか。
三成の正確に急所を狙ってくる刃を捌きながら、家康は背筋に震えが走るのを止められなかった。恐怖に近い物もあるが、半分以上は勿論武者震いのため。
「三成、お前はすごいのだな!」
「黙れ!」
叫びと共に家康ぬ受け止められた刃ごと後ろに引き、次の瞬間には家康の背後の移動し今度は首筋を狙ってくる。体をねじってそれをかわせば体勢を崩し、次の一撃で三成にとどめを刺されてしまうだろう。
誰との戦いではわずかな失態が死に繋がる。
戦の先陣を切りこんな戦い方をしていれば、それは凶王とも呼ばれるようになるだろう。本来なら家康もとっくに首を切り離されていてもおかしくないのだが、いくつか家康にとって有利な点があった。
一つは三成の着ている服。
戦装束姿ではなく、動きやすさと通気性を重視した野良着であるが故に、刀を振り回す際のバランスが上手くとれないのだろう。それによって多少ではあるが、彼の一撃は精度を欠いていた。
そしてもう一つはここが伊達家の庭であるということ。
昨日色々ありすぎまして、と小十郎は言っていたが砂利があちこちにばらまかれ石灯籠は倒れ、庭の木々は枝を地面に落としている空間では三成自慢の脚力も殺されがちになってしまう。まずは自分にとって最適な足場を見つけることを優先とするために、どうしても判断が数瞬だが遅れてしまうのだ。
「楽しいな、三成!」
「秀吉様の仇! 貴様の首を秀吉様の墓所に供えるのが私の望みだ!」
「すまんが、それはまだ許してはやれぬ」
「家康……っ!」
一瞬だけふれあう刃と拳。
次の瞬間には三成から離れ、そしてすぐに銀の牙となって襲いかかってくる。家康はそれを待ち構え、ただ受け止めるだけ。
彼の憎悪、悲しみ、自分はそれを受け止めなければならない。
それが自分を切り裂く刃の形であろうと、命を奪われる危険を常に感じることになったとしても。どれだけ時間がかかろうと、大切な友人である三成ともう一度和解したい。
それが家康の今最大の望みであった。
赤く染まっていく空と、その光に染まる三成。
「………………綺麗だな……」
「貴様!」
縁側に座って状況を見守っている伊達の主従の事なんてもう気にならなかった。
今日の夜中までには三河に戻ると言ってある、忠勝もそろそろ迎えに来る頃だろう。だが少しでも長く、空の紅に染まりながら自分を見つめる三成を見ていたい。
暑くなり始めた体を冷やすかのように吹いてくる秋風に髪を揺らし、紅潮した頬と燃え上がるような瞳をこちらに向けてくる三成に、家康は素直にこう伝える。
「やはり三成は強いな……こんなに楽しい戦いは久しぶりだ」
「貴様を喜ばせるために私はこうしているわけではない! さっさと貴様の首を私によこせ」
「儂の首を秀吉の墓に供えてどうする? そんなもの、秀吉が喜ぶと思うのか?」
「秀吉様と呼べ!」
会話の合間にも、三成の攻撃はやむことがない。
肩を狙ったと思えば次には空いた脇腹を、背に軽く刃を流したと思ったら呼吸する間もなく目を狙われる。拳だけで捌くのが難しくなり、必然的に家康も足で回避するようになっていくが、それこそが三成の思う壺なのもわかってはいた。
家康が自分に優位な位置取りをしようとまごつく合間こそが三成の狙い目。
だが家康にとってもそれは狙い目であった。家康が動くようになれば、必然的に三成の判断材料は増え、運動量は増していく。疲労が増せば剣速も三成自身の動きも鈍ってくるはず。
するはずだったのだが。
「見事な物ですな……政宗様」
「オレとやった時と早さが違うな、アイツの相手は家康だけって事かよ」
「政宗様も随分と手加減なさっていたようでしたが?」
「だが……まずいな」
「ええ」
のんびりと並んで茶をすする伊達主従が感服するほどに、三成の速度は衰えなかった。
わずかの隙も作らず、また家康の隙を巧妙に狙い。さすがの家康もこれはまずいかと思い始めた頃、それは唐突に訪れた。
「………ひでよし……さま………」
「三成!?」
こちらに食らいつきそうな勢いで見つめていた目と、首筋に咄嗟に添えた手がなければ家康の首を一撃にして刎ねていたであろう刃から力が抜けた。次の瞬間には密着していた三成の体も大きく傾ぎ、地へと落ちていこうとした体を、家康はようやくのことで受け止める。
「……………っと」
脇から手を回し、三成の体を支え。
そしてその体の軽さに唖然とした。
昔は冗談で抱きついたこともあったが、その時に感じた彼の重みと今の彼の重みでは明らかに差がありすぎたのだ。まるで魂の一部が抜けてしまったかのような軽さ、そして先ほどまでの顔の赤みは消え失せ、今にも黄泉路へと連れ去られそうな青い顔に地のような赤い光が重なり。
家康は強く三成を引き寄せ、己の熱を分け与えるかのようにその体を強くかき抱いた。
「やっぱりか……小十郎」
「承知いたしました」
阿吽の呼吸で政宗がこちらに、そして小十郎が三成を休ませるための部屋の用意をするために屋敷の中へ入っていく。
「さっさと運ぶぞ」
「三成は相当弱っていたのか?」
「アンタを殺して秀吉の墓に首を供えたら、すぐに後を追うつもりだったようだからな。喰うことも寝ることも、二の次だったんだろ?」
「死ぬだと? そんなこと、儂がさせん」
「だったらせいぜいこいつの生きる意味になってやることだな。それはアンタの仕事で、オレの仕事はアンタがいない間に石田の面倒を見ることだ」
Are you ok?
聞き慣れない言葉、だが確実に脅しを込めた声で政宗は耳元に囁いてくる。
ぐったりと力の抜けだ三成の体を強く抱きしめながら、家康はどこか冷ややかに感じる政宗の視線を浴びながら立ち尽くすことしかできなかった。
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
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ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。
ツイッターは基本鍵をかけていますが、フォロー申請してくださったらフォローさせていただきます。
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