こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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第二章「山猫、怨敵と再会するの段」スタート。
*****
彼を初めて見た時、孤独という闇に咲く月のようだと思った。
綺麗で、だけど人を近寄せず、特定の相手の側にいる時だけ光り輝くような笑顔を周囲に見せてくれる。
その姿は満ち欠けを繰り返す月のようで。
月に手が届かぬように、結局どれだけ頑張ってもその笑顔が自分の側で咲き誇ることはなかったのだが。彼はまだ生きていて、そしてもう一度出会うことができた。
ならば、いつかきっと自分だけのために笑ってくれる日が来るはず。
「石田殿、お行儀が悪いです」
「うるさい! これを喰わねば家康と戦わせぬと言ったのは貴様だろう!」
「ゆっくり召し上がって、食休みを取ってからにしていただかないと立ち会いをなさる政宗様のお体に障ります。食後に甘茶を用意させましたし……甘茶はお好きですか?」
「……昔は……半兵衛様につきあって飲んでいた」
「ではせっかく客人もいらっしゃったので、干し柿も用意いたしましょう」
「…………………………っ!」
「三成は干し柿が好きだったな。どれ、今度は儂が土産に持ってきてやろう」
「だ、誰が貴様からそんな物を受け取るか!」
「メシがまずくなる、お前ら黙って喰えよ」
男四人でむさくるしく握り飯を食べ続けるというのもおかしな状況だが。
結局政宗と小十郎の仲裁というか強制介入で伊達家の屋敷まで二人(忠勝は空中散歩に出かけた)揃って連行され、客人用の部屋で用意してあった握り飯を食べることになったのだが。
食事よりも何よりも、三成を見ることに忙しい。
最後に彼に会ったのはいつのことだっただろうか。上背がある割には細く感じる体は前よりも更に肉が落ちているし、元々あまり血色がいい方ではないのに更に青ざめた顔は幽鬼のようだ。
だがそれでも三成は綺麗だと思う。
媚びも諂いも、人の中で見にくいと思われる物は彼の中に一切存在しない。大切な物のために生きて、そして大切な存在のために己の人生を燃やし尽くす。潔いとも危なっかしいとも言われる生き方だが、家康はそんな彼の生き方を好ましく思っていた。
唯一言いたいことがあるとすれば。
「なあ三成」
「黙れ」
「せっかく会えたんだ、積もる話でも色々あるだろう?」
「私が聞きたいのは貴様の断末魔だけだ」
この調子で自分と話をしてくれないことだけか。
久しぶりの食事だと小十郎が言っていたが、三成は子供のように少量ずつかじり、そしてゆっくりと飲み下していく。食事を取りながら何か重要なことを考えているのだろうか、時折伏せられる睫が作る影が眦に艶のある影を与え、それが見惚れてしまうほどに美しかった。
もう会えないと思っていたし、配下の者に確認させ続けてはいたがあきらめていたのは事実だ。
西軍に参加しながら東軍にも影で取引を持ちかけていた毛利のように上手く立ち回ればいいのに、三成はそれをしない。そこが彼の魅力ではあるが、死ぬと決めた時彼はあっさり死んでしまうだろう。
今自分の横で食事を食べていること自体が、もう奇跡のようなもの。
その奇跡を起こしてくれた政宗に感謝しつつ、家康も政宗から分けてもらった大人の握り拳ほどある握り飯にかぶりついた。
「うん、これはうまいな。中に入っている野沢菜もちょうどいい塩加減だ」
「ありがとうございます」
「片倉殿が作ったのか?」
「政宗様の食べるものに毒を混ぜられてはいけませんので」
「そこまで気を遣う必要はないって言ってるんだがな」
にやついた顔をこちらに向けてくる政宗の前に、小十郎はちょうどいいタイミングで番茶を入れた湯飲みを置いてやる。相も変わらぬいい主従ぶりだと感心しながら横を見ると、こちらも相も変わらぬ小動物のような食べ方で三成がまだ握り飯に口を寄せていた。
その大きさは自分と政宗が食べている握り飯の半分ほどだというのに。
元々小食ではあったが、ここまで食べなくなっていたとは。
今度来る時は三成の好きな物を見繕って持ってこなければと思いながら、家康も目の前に置かれた番茶をすする。
「片倉」
「何でございましょう」
「全部食べたぞ、さっさと甘茶を持ってこい。そして……」
「家康殿との果たし合いでございますね。ですがまだ握り飯がもう一つ」
「こんなに食えるか!」
「では果たし合いはなしと言うことにさせていただきましょうか?」
一瞬顔が歪んだが、数個救護には三成は素直にもう一つの握り飯を食べ始めた。
「すごい物だな、よく三成にここまで言うことを聞かせられる」
「政宗様の幼い頃に比べましたら、まだ楽な方でございます。ここ数日で色々学ばせていただきましたし」
純粋な家康の感嘆の声に、小十郎は一礼を持って返すが、それで一気に機嫌が悪くなったのは政宗だった。小十郎を主らしく睨み付けはするが、当の本人は涼しい顔でそれを受け流している。
切れる側近だとは思っていたが、公私にわたりここまで親密だと色々大変だろう。そう思い同情を込めて政宗を見るが、政宗自信はあまり気にしていないらしい。三成も全く気にせずに食事を続行しているので、これが伊達家の日常なのだろう。
人の家を知るには一緒に食事をしなければ。
また一つ大きな事を学ばせてもらった満足感に胸をいっぱいにしていると、横からの鋭い視線に気がつく。豊臣に身を寄せていた頃よく彼には見つめられていたが、それとは全く質の違う。
敵意と殺意と憎しみが綯い交ぜになった、冷たい氷のような眼差し。
「貴様……何故のうのうと私の隣にいる」
「三成の隣にいたいから、ではダメか?」
「秀吉様を殺したくせに! 私をこれ以上挑発するな!」
「秀吉を殺したことに関しては、儂は間違ったことをしたと思っていない」
「…………き、貴様………っ!」
「秀吉をあのままにしておけば、この国は近い将来滅んでいた。儂はそのために動いたつもりだ」
「貴様に秀吉様と……半兵衛様のお心がわかるわけなかろう! それとも貴様は神にでもなったつもりか?」
「儂はそんなに偉い物ではない。だからこそ絆の力を信じているのだ」
「世迷い言を」
吐き捨てるようにい放ち、三成はまた食事を再開する。
部屋の前を時折通り過ぎる伊達家の家臣たちがその姿を見ては口元をほころばせ、足早でどこかへ去っていくのは三成が食事を食べたことを報告するためなのか。三成が伊達家で周囲の人間たちに心配されていることに喜びを感じながら、家康は自らの中にある思いを改めて誓いとして確認する。
三成の憎しみは受け止める。
その上で彼ともう一度話し合う。
時間はかかるだろう、だがこれなら大丈夫。
これだけ心配してくれる人間がいるのだ、きっと三成を守ってくれる。自分がいなくても、三成はきっとここで幸せに暮らせるはずだ。
「っ?」
「徳川殿?」
「オイどうした?」
「いや、なんでもない。ちょっと胸がこう、ちくりとな」
ちくんと胸に針を刺されたような痛み。
それがなんなのか、その時家康には当然わかるわけがなく。
痛みには、嫉妬という名前がついていたことを彼が知るのは当分先の話となる。
_______________________________________
ようやく石田さんのご飯を食べさせてあげられて、よかったなあと……
BGM「ぜったいきっとすき」 by Mink
綺麗で、だけど人を近寄せず、特定の相手の側にいる時だけ光り輝くような笑顔を周囲に見せてくれる。
その姿は満ち欠けを繰り返す月のようで。
月に手が届かぬように、結局どれだけ頑張ってもその笑顔が自分の側で咲き誇ることはなかったのだが。彼はまだ生きていて、そしてもう一度出会うことができた。
ならば、いつかきっと自分だけのために笑ってくれる日が来るはず。
「石田殿、お行儀が悪いです」
「うるさい! これを喰わねば家康と戦わせぬと言ったのは貴様だろう!」
「ゆっくり召し上がって、食休みを取ってからにしていただかないと立ち会いをなさる政宗様のお体に障ります。食後に甘茶を用意させましたし……甘茶はお好きですか?」
「……昔は……半兵衛様につきあって飲んでいた」
「ではせっかく客人もいらっしゃったので、干し柿も用意いたしましょう」
「…………………………っ!」
「三成は干し柿が好きだったな。どれ、今度は儂が土産に持ってきてやろう」
「だ、誰が貴様からそんな物を受け取るか!」
「メシがまずくなる、お前ら黙って喰えよ」
男四人でむさくるしく握り飯を食べ続けるというのもおかしな状況だが。
結局政宗と小十郎の仲裁というか強制介入で伊達家の屋敷まで二人(忠勝は空中散歩に出かけた)揃って連行され、客人用の部屋で用意してあった握り飯を食べることになったのだが。
食事よりも何よりも、三成を見ることに忙しい。
最後に彼に会ったのはいつのことだっただろうか。上背がある割には細く感じる体は前よりも更に肉が落ちているし、元々あまり血色がいい方ではないのに更に青ざめた顔は幽鬼のようだ。
だがそれでも三成は綺麗だと思う。
媚びも諂いも、人の中で見にくいと思われる物は彼の中に一切存在しない。大切な物のために生きて、そして大切な存在のために己の人生を燃やし尽くす。潔いとも危なっかしいとも言われる生き方だが、家康はそんな彼の生き方を好ましく思っていた。
唯一言いたいことがあるとすれば。
「なあ三成」
「黙れ」
「せっかく会えたんだ、積もる話でも色々あるだろう?」
「私が聞きたいのは貴様の断末魔だけだ」
この調子で自分と話をしてくれないことだけか。
久しぶりの食事だと小十郎が言っていたが、三成は子供のように少量ずつかじり、そしてゆっくりと飲み下していく。食事を取りながら何か重要なことを考えているのだろうか、時折伏せられる睫が作る影が眦に艶のある影を与え、それが見惚れてしまうほどに美しかった。
もう会えないと思っていたし、配下の者に確認させ続けてはいたがあきらめていたのは事実だ。
西軍に参加しながら東軍にも影で取引を持ちかけていた毛利のように上手く立ち回ればいいのに、三成はそれをしない。そこが彼の魅力ではあるが、死ぬと決めた時彼はあっさり死んでしまうだろう。
今自分の横で食事を食べていること自体が、もう奇跡のようなもの。
その奇跡を起こしてくれた政宗に感謝しつつ、家康も政宗から分けてもらった大人の握り拳ほどある握り飯にかぶりついた。
「うん、これはうまいな。中に入っている野沢菜もちょうどいい塩加減だ」
「ありがとうございます」
「片倉殿が作ったのか?」
「政宗様の食べるものに毒を混ぜられてはいけませんので」
「そこまで気を遣う必要はないって言ってるんだがな」
にやついた顔をこちらに向けてくる政宗の前に、小十郎はちょうどいいタイミングで番茶を入れた湯飲みを置いてやる。相も変わらぬいい主従ぶりだと感心しながら横を見ると、こちらも相も変わらぬ小動物のような食べ方で三成がまだ握り飯に口を寄せていた。
その大きさは自分と政宗が食べている握り飯の半分ほどだというのに。
元々小食ではあったが、ここまで食べなくなっていたとは。
今度来る時は三成の好きな物を見繕って持ってこなければと思いながら、家康も目の前に置かれた番茶をすする。
「片倉」
「何でございましょう」
「全部食べたぞ、さっさと甘茶を持ってこい。そして……」
「家康殿との果たし合いでございますね。ですがまだ握り飯がもう一つ」
「こんなに食えるか!」
「では果たし合いはなしと言うことにさせていただきましょうか?」
一瞬顔が歪んだが、数個救護には三成は素直にもう一つの握り飯を食べ始めた。
「すごい物だな、よく三成にここまで言うことを聞かせられる」
「政宗様の幼い頃に比べましたら、まだ楽な方でございます。ここ数日で色々学ばせていただきましたし」
純粋な家康の感嘆の声に、小十郎は一礼を持って返すが、それで一気に機嫌が悪くなったのは政宗だった。小十郎を主らしく睨み付けはするが、当の本人は涼しい顔でそれを受け流している。
切れる側近だとは思っていたが、公私にわたりここまで親密だと色々大変だろう。そう思い同情を込めて政宗を見るが、政宗自信はあまり気にしていないらしい。三成も全く気にせずに食事を続行しているので、これが伊達家の日常なのだろう。
人の家を知るには一緒に食事をしなければ。
また一つ大きな事を学ばせてもらった満足感に胸をいっぱいにしていると、横からの鋭い視線に気がつく。豊臣に身を寄せていた頃よく彼には見つめられていたが、それとは全く質の違う。
敵意と殺意と憎しみが綯い交ぜになった、冷たい氷のような眼差し。
「貴様……何故のうのうと私の隣にいる」
「三成の隣にいたいから、ではダメか?」
「秀吉様を殺したくせに! 私をこれ以上挑発するな!」
「秀吉を殺したことに関しては、儂は間違ったことをしたと思っていない」
「…………き、貴様………っ!」
「秀吉をあのままにしておけば、この国は近い将来滅んでいた。儂はそのために動いたつもりだ」
「貴様に秀吉様と……半兵衛様のお心がわかるわけなかろう! それとも貴様は神にでもなったつもりか?」
「儂はそんなに偉い物ではない。だからこそ絆の力を信じているのだ」
「世迷い言を」
吐き捨てるようにい放ち、三成はまた食事を再開する。
部屋の前を時折通り過ぎる伊達家の家臣たちがその姿を見ては口元をほころばせ、足早でどこかへ去っていくのは三成が食事を食べたことを報告するためなのか。三成が伊達家で周囲の人間たちに心配されていることに喜びを感じながら、家康は自らの中にある思いを改めて誓いとして確認する。
三成の憎しみは受け止める。
その上で彼ともう一度話し合う。
時間はかかるだろう、だがこれなら大丈夫。
これだけ心配してくれる人間がいるのだ、きっと三成を守ってくれる。自分がいなくても、三成はきっとここで幸せに暮らせるはずだ。
「っ?」
「徳川殿?」
「オイどうした?」
「いや、なんでもない。ちょっと胸がこう、ちくりとな」
ちくんと胸に針を刺されたような痛み。
それがなんなのか、その時家康には当然わかるわけがなく。
痛みには、嫉妬という名前がついていたことを彼が知るのは当分先の話となる。
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ようやく石田さんのご飯を食べさせてあげられて、よかったなあと……
BGM「ぜったいきっとすき」 by Mink
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
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ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。
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