こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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1章終わりです。
*****
薄青の空を横切るアキアカネの鮮やかな色合いが目に心地よい。
その鮮やかな赤にも自分の野菜は負けないと思っているが、そろそろ冬に向けての準備を始めなければならないだろう。一夏休ませた土地に作物を植える準備を始め、次に休ませる土地を選定し。
春までの間に一度土を起こし、堆肥も混ぜ込んでおかなければならない。
良い野菜を作るには手間を惜しまず、常に気を配る必要があるのだ。戦にかまけて今年は昨年ほど良い野菜はとれなかったが、政宗が喜んで食べてくれるくらいの質と量は維持できた。
日の光を受けてつやつやと輝く茄子を丁寧にもぎ、互いにふれあって傷つかぬように考えながらざるに収めていると、下の方がらひそひそと話し声。
「…………さっさと認めろ…………小十郎の頭はまだ健在だ」
「貴様は物を知らない。あの頭は近いうちに禿げる…………官兵衛と同じだ………」
あの二人はまた人の毛髪を肴に盛り上がっているのか。
「政宗様、石田殿。ずいぶん口は盛んに動いているようですが、手の方がそれと同じくらい動いているのでしょうか?」
「ま、まあそれなりには……な?」
「こちらは大体抜き終わったぞ、これで仕事は終わりだな」
「雑草は表面だけ抜けばいいというものではございません、根までしっかりと処分していただきます」
「………………ちっ!」
地面を這いつくばる三成の露骨な舌打ちが聞こえたが、完全に無視して今度は政宗の方に目をやる。こちらは日頃罰として散々小十郎の手伝いをさせられているからか、渡しておいた鎌を駆使して綺麗に根までほじくり返して駆除しているようだ。
昼過ぎに起きてきた政宗を引きずり、骨が浮きそうなほどにやせ細った三成を半ば威圧する形で自分の畑まで連れてきて。当然のごとく不平を口にする二人を黙らせたのは、小十郎の恫喝にも近い『お願い』だった。
庭を壊した分、労働で返しやがれ。
ヤクザ……もとい本気で怒った小十郎の恐ろしさを知り尽くしている政宗と、野生の勘らしき物で逆らってはいけないことを察知した三成は素直に従い。かくして二人は夏の終わりの最後の暑さの中、だらだらと汗を流しながら雑草と戦うことになっているのだった。
そのおかげで奇妙な連帯感のような物が生まれつつあるのはよいことだが、その源が自分の頭髪というのは多少どころじゃなく気になるが。時にからかいながらではあるが、政宗は不慣れな三成に鎌の扱い方を教えてやったりと妙に甲斐甲斐しい。
昨日見ていてすぐにわかったが政宗はきっと。
「政宗様……少し遅いですが昼食にいたしましょうか」
「後数刻で日が沈むぜ」
「本来ならもう少し早い時間に食べる予定だったのですが……派手に寝坊してくださった方がおいででしたので」
「そりゃ悪かったな……おい石田、メシだ」
「…………いらん」
「オレの言ったこと覚えてないのか?」
「今はいらん、ということだ! この根を切り刻むまでは………」
時折口から家康という単語が漏れているが、あえて政宗と目配せして聞かなかったことにする。長い間腰をかがめていたからだろう、体を伸ばしながら立ち上がった政宗の額には大粒の汗が浮いている。
「政宗様、汗が……」
「thank you……気が利くな」
「政宗様のお体のことですから」
「小十郎……」
首に巻いていた手ぬぐい引っ張り、政宗の汗をぬぐうと自然と体が密着する形となる。
真剣な表情で太い根と格闘している三成は、この状況には気がついていない。気がつかれぬよう、わずかに吹く風に紛れるような声で言葉を重ねる。
「今晩政宗様のお部屋にお邪魔してもよろしいでしょうか?」
「大歓迎だ。さすがに今日はでかい山猫も入ってこないだろうよ」
「山猫ではなく……『弟』なのではないですか?」
「…………あんなかわいげのない弟、いらん」
「随分、可愛がっておられるようですが?」
生来政宗は家族との縁が薄い。小十郎は父や兄の代わりになれるように力を尽くしたが、弟にだけはなってやることができなかった。それ故か政宗は長男なのに末っ子気質というか、長男なら持ち備えていそうな慎重さは彼の中で重視されていない。それが三成が来てからという物は、政宗なりに彼の処遇に心を砕き何かを教えようとしているのだ。
口にも顔にも出さないが、きっと政宗は拾ってきた手間のかかる『弟』を構いたくてしかたがないのだろう。
戦はよいものではない、民も大地も疲弊させる。
だが此度の大戦は、確実に政宗を成長させてくれた。
「知るか」
「小十郎はうれしく思っております………石田様、もうそろそろよろしいでしょう? おにぎりしかございませんが、とりあえず休憩にいたしましょう」
「………貴様らはそんなにべたべたと……暑くないのか?」
「政宗様だけは別でございますので」
ついと首を背けながら唇を尖らせる三成にしれっと言葉を返すと、隣で政宗の顔がわずかに赤く染まった。確かに図体のでかい大人の男同士が密着している姿を見せられるのはいい気分ではないだろうが、伊達家に滞在している以上慣れてもらわなくては。
伊達家のためではなく政宗と自分のためにも。
「……いいだろう、喰ってやる」
不本意そうなのは、雑草の処理が途中だったからかそれとも人の言うことを聞きたくなかったからかはわからない。だが、三成は自らの意志で食べると口にした。昨夜、ずっと庭に立ち尽くし彼は何かを理解し、そして何かを誓ったのだろう。
見守る小十郎の前で動いた口は果たして。
秀吉様と言ったのか、それとも誰か別な人物の名を呼んだのか。
できればそれが別な人物の名であればいいと祈りながら、小十郎は政宗の眠りを守りながら三成を見つめ続けたのだ。朝になってこけた頬と青ざめた顔色で、だが幾分すっきりとした表情を見せてくれた時は政宗共々ほっとしたが。
彼の人生の終着がどこにあるにせよ、満足する生を歩んでもらえればいいのだが。三成に揶揄されれ恥ずかしくなったのか、畑の脇に置いてあった包みから竹皮に包まれたおにぎりの包みを出し、政宗が三成に手渡している。
政宗用は大きな包み、三成用はそれより遙かに小さな包み。
急に大量に食べては体が持たないので、大きさに差をつけたが政宗はちゃんとそれを理解したらしい。
「日陰に行って喰えよ」
「それくらいわかってる! 地の利を考えて動くのは兵法の基本だ」
「だったらメシを食うことも兵法の基本だって事くらいは覚えとけ。メシを食わなきゃ生きていけないんだよ」
言葉ではいがみ合ってるが、二人とも結構楽しそうではあった。
さて自分も休憩しようか、そう思いながら小十郎は三成が時折見つめる空をじっと見る。
白くたなびく雲が日ごとに薄くなっていく、こんな強く輝く空は来年までお預けかと思いながら天から絶え間なく降り注ぐ陽光を遮るために額に手をかざしていると、指の隙間からそれが見えた。
「あれ……は?」
「どうした?」
「いえ、空になにやら大きな影が」
「どこかの忍びが空飛んでんだろうよ。オレの領地に入り込んできてるんだ、覚悟はできてるんだろうよ」
「いえ、忍びの忍具にしても大きすぎます。あれはもしや……」
警戒したのか、小十郎の側へ戻ってきた政宗の背を守れる位置に移動し。小十郎は頭に浮かんだ一つの考えについて整理し始める。
あれだけの大きさで、あれだけの早さで飛べる忍具などまずあり得ない。
早馬を駆使すれば、徳川家に送った此度の剣についての書状は今朝には届いているかもしれない。
そして、徳川には馬よりも早くそれを飛べる最強の武将がいたはず。
「早すぎだ……おい石田、屋敷に戻るぞ!」
「いきなりなんだ! 私はこれからこれを喰おうと………っ!」
政宗もほぼ同時にそれに気がついたのだろう。
多分状況を理解できていない(そしてそうあって欲しい)三成の手を掴み、屋敷へと引きずっていこうとし。
「み~つ~な~りぃぃぃぃぃっ!!!!!」
天を裂く轟音と共に、降ってきた巨大な何かに視界を遮られた。
それが戦国最強本田忠勝であり、取る物もとりあえず全力で三成に会いに来た家康を乗せてきたのは、鋼に包まれた巨体ごしに聞こえる会話で十分察することができる。
「三成、生きていてくれたのだな!」
「家康……よくものうのうと私の前に顔を出せたな……」
「お前の屍が見つからないというから、きっと生きていてくれると信じてはいたが。またお前と話ができて、儂は嬉しいぞ」
「秀吉様の仇!」
「オイ待て! それで家康をぶった斬ったら、小十郎に殺されるぞ! その前に米がもったいない!」
「じゃあ私は何で家康を切れと! 秀吉様……どうか私にこの男を断罪する刃を……」
「握り飯持って言う言葉じゃないだろ……とりあえずさっさと帰るぞ」
「なんだ、これからメシか? 儂も朝から何も喰ってなくてな」
「秀吉様、ひでよしさまぁぁぁっ!」
向こう側では何が繰り広げられている?
暑さのために流れていた汗が冷や汗に変わりつつある中、ようやくぎしぎしと鳴る体を起こした巨体がこちらに向かって頭を下げてきた。
「…………………………」
「これはどうもご丁寧に……」
社交辞令で挨拶を返しながら、政宗の言葉ではないが早すぎるという言葉が脳を何度もよぎる。
三成はようやく失った物について、心の整理を始めたばかりなのだ。
せめてあと数日でいい、失った存在を心の中で受け入れて葬る時間を彼に与えたかった。勝者だからといってその時間すら奪うのか、一瞬そう考えはしたが。
その権利があるからこそ勝者なのだ。
忠勝の巨体の隙間。
そこから見える三成はやせ衰え、黄泉路に片足を突っ込んでいるような顔色の悪さではあったが。
その目だけはそれこそ山猫のようにぎらぎらと輝いていた。
________________________________________
1章これにて終了。
続きはぼちぼちアップです、真田主従登場の3章まではスローペースでちくちくと進みます。3章は多分「山猫、赤い虎の子にじゃれつかれる」のはず。
BGM「Wild flower」 by superfly
その鮮やかな赤にも自分の野菜は負けないと思っているが、そろそろ冬に向けての準備を始めなければならないだろう。一夏休ませた土地に作物を植える準備を始め、次に休ませる土地を選定し。
春までの間に一度土を起こし、堆肥も混ぜ込んでおかなければならない。
良い野菜を作るには手間を惜しまず、常に気を配る必要があるのだ。戦にかまけて今年は昨年ほど良い野菜はとれなかったが、政宗が喜んで食べてくれるくらいの質と量は維持できた。
日の光を受けてつやつやと輝く茄子を丁寧にもぎ、互いにふれあって傷つかぬように考えながらざるに収めていると、下の方がらひそひそと話し声。
「…………さっさと認めろ…………小十郎の頭はまだ健在だ」
「貴様は物を知らない。あの頭は近いうちに禿げる…………官兵衛と同じだ………」
あの二人はまた人の毛髪を肴に盛り上がっているのか。
「政宗様、石田殿。ずいぶん口は盛んに動いているようですが、手の方がそれと同じくらい動いているのでしょうか?」
「ま、まあそれなりには……な?」
「こちらは大体抜き終わったぞ、これで仕事は終わりだな」
「雑草は表面だけ抜けばいいというものではございません、根までしっかりと処分していただきます」
「………………ちっ!」
地面を這いつくばる三成の露骨な舌打ちが聞こえたが、完全に無視して今度は政宗の方に目をやる。こちらは日頃罰として散々小十郎の手伝いをさせられているからか、渡しておいた鎌を駆使して綺麗に根までほじくり返して駆除しているようだ。
昼過ぎに起きてきた政宗を引きずり、骨が浮きそうなほどにやせ細った三成を半ば威圧する形で自分の畑まで連れてきて。当然のごとく不平を口にする二人を黙らせたのは、小十郎の恫喝にも近い『お願い』だった。
庭を壊した分、労働で返しやがれ。
ヤクザ……もとい本気で怒った小十郎の恐ろしさを知り尽くしている政宗と、野生の勘らしき物で逆らってはいけないことを察知した三成は素直に従い。かくして二人は夏の終わりの最後の暑さの中、だらだらと汗を流しながら雑草と戦うことになっているのだった。
そのおかげで奇妙な連帯感のような物が生まれつつあるのはよいことだが、その源が自分の頭髪というのは多少どころじゃなく気になるが。時にからかいながらではあるが、政宗は不慣れな三成に鎌の扱い方を教えてやったりと妙に甲斐甲斐しい。
昨日見ていてすぐにわかったが政宗はきっと。
「政宗様……少し遅いですが昼食にいたしましょうか」
「後数刻で日が沈むぜ」
「本来ならもう少し早い時間に食べる予定だったのですが……派手に寝坊してくださった方がおいででしたので」
「そりゃ悪かったな……おい石田、メシだ」
「…………いらん」
「オレの言ったこと覚えてないのか?」
「今はいらん、ということだ! この根を切り刻むまでは………」
時折口から家康という単語が漏れているが、あえて政宗と目配せして聞かなかったことにする。長い間腰をかがめていたからだろう、体を伸ばしながら立ち上がった政宗の額には大粒の汗が浮いている。
「政宗様、汗が……」
「thank you……気が利くな」
「政宗様のお体のことですから」
「小十郎……」
首に巻いていた手ぬぐい引っ張り、政宗の汗をぬぐうと自然と体が密着する形となる。
真剣な表情で太い根と格闘している三成は、この状況には気がついていない。気がつかれぬよう、わずかに吹く風に紛れるような声で言葉を重ねる。
「今晩政宗様のお部屋にお邪魔してもよろしいでしょうか?」
「大歓迎だ。さすがに今日はでかい山猫も入ってこないだろうよ」
「山猫ではなく……『弟』なのではないですか?」
「…………あんなかわいげのない弟、いらん」
「随分、可愛がっておられるようですが?」
生来政宗は家族との縁が薄い。小十郎は父や兄の代わりになれるように力を尽くしたが、弟にだけはなってやることができなかった。それ故か政宗は長男なのに末っ子気質というか、長男なら持ち備えていそうな慎重さは彼の中で重視されていない。それが三成が来てからという物は、政宗なりに彼の処遇に心を砕き何かを教えようとしているのだ。
口にも顔にも出さないが、きっと政宗は拾ってきた手間のかかる『弟』を構いたくてしかたがないのだろう。
戦はよいものではない、民も大地も疲弊させる。
だが此度の大戦は、確実に政宗を成長させてくれた。
「知るか」
「小十郎はうれしく思っております………石田様、もうそろそろよろしいでしょう? おにぎりしかございませんが、とりあえず休憩にいたしましょう」
「………貴様らはそんなにべたべたと……暑くないのか?」
「政宗様だけは別でございますので」
ついと首を背けながら唇を尖らせる三成にしれっと言葉を返すと、隣で政宗の顔がわずかに赤く染まった。確かに図体のでかい大人の男同士が密着している姿を見せられるのはいい気分ではないだろうが、伊達家に滞在している以上慣れてもらわなくては。
伊達家のためではなく政宗と自分のためにも。
「……いいだろう、喰ってやる」
不本意そうなのは、雑草の処理が途中だったからかそれとも人の言うことを聞きたくなかったからかはわからない。だが、三成は自らの意志で食べると口にした。昨夜、ずっと庭に立ち尽くし彼は何かを理解し、そして何かを誓ったのだろう。
見守る小十郎の前で動いた口は果たして。
秀吉様と言ったのか、それとも誰か別な人物の名を呼んだのか。
できればそれが別な人物の名であればいいと祈りながら、小十郎は政宗の眠りを守りながら三成を見つめ続けたのだ。朝になってこけた頬と青ざめた顔色で、だが幾分すっきりとした表情を見せてくれた時は政宗共々ほっとしたが。
彼の人生の終着がどこにあるにせよ、満足する生を歩んでもらえればいいのだが。三成に揶揄されれ恥ずかしくなったのか、畑の脇に置いてあった包みから竹皮に包まれたおにぎりの包みを出し、政宗が三成に手渡している。
政宗用は大きな包み、三成用はそれより遙かに小さな包み。
急に大量に食べては体が持たないので、大きさに差をつけたが政宗はちゃんとそれを理解したらしい。
「日陰に行って喰えよ」
「それくらいわかってる! 地の利を考えて動くのは兵法の基本だ」
「だったらメシを食うことも兵法の基本だって事くらいは覚えとけ。メシを食わなきゃ生きていけないんだよ」
言葉ではいがみ合ってるが、二人とも結構楽しそうではあった。
さて自分も休憩しようか、そう思いながら小十郎は三成が時折見つめる空をじっと見る。
白くたなびく雲が日ごとに薄くなっていく、こんな強く輝く空は来年までお預けかと思いながら天から絶え間なく降り注ぐ陽光を遮るために額に手をかざしていると、指の隙間からそれが見えた。
「あれ……は?」
「どうした?」
「いえ、空になにやら大きな影が」
「どこかの忍びが空飛んでんだろうよ。オレの領地に入り込んできてるんだ、覚悟はできてるんだろうよ」
「いえ、忍びの忍具にしても大きすぎます。あれはもしや……」
警戒したのか、小十郎の側へ戻ってきた政宗の背を守れる位置に移動し。小十郎は頭に浮かんだ一つの考えについて整理し始める。
あれだけの大きさで、あれだけの早さで飛べる忍具などまずあり得ない。
早馬を駆使すれば、徳川家に送った此度の剣についての書状は今朝には届いているかもしれない。
そして、徳川には馬よりも早くそれを飛べる最強の武将がいたはず。
「早すぎだ……おい石田、屋敷に戻るぞ!」
「いきなりなんだ! 私はこれからこれを喰おうと………っ!」
政宗もほぼ同時にそれに気がついたのだろう。
多分状況を理解できていない(そしてそうあって欲しい)三成の手を掴み、屋敷へと引きずっていこうとし。
「み~つ~な~りぃぃぃぃぃっ!!!!!」
天を裂く轟音と共に、降ってきた巨大な何かに視界を遮られた。
それが戦国最強本田忠勝であり、取る物もとりあえず全力で三成に会いに来た家康を乗せてきたのは、鋼に包まれた巨体ごしに聞こえる会話で十分察することができる。
「三成、生きていてくれたのだな!」
「家康……よくものうのうと私の前に顔を出せたな……」
「お前の屍が見つからないというから、きっと生きていてくれると信じてはいたが。またお前と話ができて、儂は嬉しいぞ」
「秀吉様の仇!」
「オイ待て! それで家康をぶった斬ったら、小十郎に殺されるぞ! その前に米がもったいない!」
「じゃあ私は何で家康を切れと! 秀吉様……どうか私にこの男を断罪する刃を……」
「握り飯持って言う言葉じゃないだろ……とりあえずさっさと帰るぞ」
「なんだ、これからメシか? 儂も朝から何も喰ってなくてな」
「秀吉様、ひでよしさまぁぁぁっ!」
向こう側では何が繰り広げられている?
暑さのために流れていた汗が冷や汗に変わりつつある中、ようやくぎしぎしと鳴る体を起こした巨体がこちらに向かって頭を下げてきた。
「…………………………」
「これはどうもご丁寧に……」
社交辞令で挨拶を返しながら、政宗の言葉ではないが早すぎるという言葉が脳を何度もよぎる。
三成はようやく失った物について、心の整理を始めたばかりなのだ。
せめてあと数日でいい、失った存在を心の中で受け入れて葬る時間を彼に与えたかった。勝者だからといってその時間すら奪うのか、一瞬そう考えはしたが。
その権利があるからこそ勝者なのだ。
忠勝の巨体の隙間。
そこから見える三成はやせ衰え、黄泉路に片足を突っ込んでいるような顔色の悪さではあったが。
その目だけはそれこそ山猫のようにぎらぎらと輝いていた。
________________________________________
1章これにて終了。
続きはぼちぼちアップです、真田主従登場の3章まではスローペースでちくちくと進みます。3章は多分「山猫、赤い虎の子にじゃれつかれる」のはず。
BGM「Wild flower」 by superfly
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
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