がんかたうるふ 月孤譚 その2 忍者ブログ
こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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とりあえずですが。



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 意識を取り戻した三成に政宗が提示した条件は二つだった。

 人質として伊達家に滞在すること。
 そのかわり徳川家康と刃を交える機会を提供する。

 その条件を聞き、わずかの逡巡もなく三成は自分の今後の処遇を受け入れた。
 内政に力を注ぎたい今の時期に、東軍の各武将の思惑に巻き込まれたくないというのが政宗の本音だろう。徳川家にとって西軍総大将などすぐに首を刎ねて抹消してしまいたい存在であろうが、家康本人にとっては大切な友人であるらしい。
 口数が少なく、過去のことを語りたがらない三成の話から予想すると、行き過ぎている上に思いっきり暑苦しい友情のようなものであったらしいが。
 それに恋愛感情という名前をつけるべきだということを、そういう面ではまだ幼い家康は気がつかなかったのだろう。早く気がついてくれていれば、二人の関係もこの国もこんなにこじれた状態にはならなかっただろうに。
 勝ち馬に乗った各大名の浅ましい様は見苦しいの一言に尽きる。
 徳川にごまをすり、自分の領土を守ろうとする者。虎の威を借りて領土拡大に勤しもうとする者。そのなかで最大の功労者とも言える伊達が沈黙を保っていることは、周囲の注目を浴びているようだが。
 竜は獅子の力を借りるべきではない、己の力で天を目指すべき。
 そう考えている政宗は、領地の見回りなどに余念がなかった。徳川との同盟がいつまで続くかわからないが、この間に自国を安定させ力をつけておきたいのだろう。そのためには、人質である三成にはちゃんと生き延びていてもらわなければ困るのだが……
「石田殿、食事には手をつけていただかないと」
「食いたいとは思わぬ、私に構うな。家康を殺せればいい……」
「家康殿に文を送りましたが、それが家康殿の手元に届くには数日はかかりましょう。食事も取らずにこの暑さのなかですごしていては、体を壊してしまいます」
「飯など数日食わなくとも死なぬ」
「伊達家が人質に無体な扱いをしていると思われては困ると申しているのです」
 三成の額にはいくつも汗の珠が浮いている。
 この暑さの中、わずかも休むことなく剣を振るっているのだ。滑るように、踊るようにわずかも止まることなくひらめく銀の光の美しさには小十郎も一瞬見とれたが、こんなことをあと半時も続けていたら倒れてしまうだろう。
 この人質、とにかく自分の体を大事にしない。
 食事は食べようとしないし、暇さえあれば伊達家の屋敷の裏にある森で兼の稽古に余念がない。家康を倒すために技を磨くという志は立派なのだろうが、それで己の体をいじめていては話にならない。何度か諫めては見たが、家康を倒した後の自分には生きている意味がない。だから何も必要がない、事が終われば死ぬだけだ。何の迷いもなくそう言い切る彼に、小十郎は昔の政宗を重ね始めていた。
 人の言うことを聞かず、自分の内の世界に閉じこもる。
 彼をこんな風にしたのが秀吉の死なのか、それともその後を共に過ごしてきた大谷なのかはわからない。だが、その気になれば大谷は彼を変えることだってできたはずなのだ。家康を殺した後に、彼が生きられるように希望を与えることができたのは、一番近しい大谷だったはず。
 それをしなかったのは、大谷が今の三成こそが美しいと思ったからなのか。
 政宗は十分立派に育った、苦境を自ら乗り越えるということを彼はちゃんと自分の力で行うことができる。幼い政宗の心を覆う分厚く重い殻を破壊した時、過去の自分はどうやっただろうか。
 とりあえずは政宗に相談すべきだろう、そう思いながら天から絶え間なく降り注ぐ陽光を遮るために額に手をかざしていると、聞こえ続けていた空気を切り裂く斬撃の音がぱたりとやんだ。
まさか倒れたのではと彼に目線を合わせると、急遽仕立てた藍染めの着流しを存分に陽光にさらし。天を仰ぐわけでもなく、かといって地を見つめるわけでもない。
 木々の隙間にいる誰かに話しかけるように、そっと口を開いた。
「………秀吉様………もうすぐです………」
 強い日の光に透けてしまいそうなほどの儚く淡い声が、立ち尽くしている彼の唇から漏れた。彼の髪を揺らす風も、木々から透ける黄金の矢のような日の光も、彼の心を慰めてくれることはない。

 ああ、これはもう自分だけでは無理だ。

 死を覚悟しているわけではない、彼の中では死はもう決定事項なのだ。
 自分たちがやったことは彼の死をわずかに引き延ばしだけ。家康が死んでも、彼が負けたとしても、彼は自分の命をここで燃やし尽くすつもりだ。
 だから食事も取る必要がない、今の生は余録だから。
 小十郎一人では、こんな存在を生かすことなどできるわけがない。長く生きるだけがいいことではないが、だが死に向かって歩むことが己の生だと決めつける人生など、何が面白いというのだろう。
 誰がこんな風に彼を育てた、彼の人生に関わってきた人間たちを恨みながら、小十郎は再度彼に食事を勧めるために重くなってしまった口を開いた。
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拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)


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ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。


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みっし

・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。



うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。

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