こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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みっしさんと電話で
「あにきにふくきせる」
「じゃあわたしいしださんぬがせる」
「うひゃっほい」
「うひゃっほい」
という会話のはてに書いた短い物体。
親三ですよ、三親じゃありません、おまけにみっしさんが書いてる物ですらありません。
Twitterのアイコンを変えたら「うずみさんっぽくない」と言われてちょっとショックだった私です、前のアイコンがイメージぴったりだったらしい……
(書いた人 うずみ)
*****
大坂城は夏の盛り。
迫り来る徳川軍との決戦を控え、仮初めの城主である石田三成は常に城内をせわしなく歩き続けている。
眠る暇すら惜しい。
家康を討ち滅ぼすためにできることをしておかなければ。
自らを追い詰め、傷つけながら安住の地である大坂城でも三成は戦い続けていた。わずかな時間を見つけては兵の修練の指揮を執り、兵糧の確認や輸送も自ら確認しなければ納得しない。食事を取る時間すら削り、本来ならば皆が眠っている時間すらも剣の鍛錬の時間とする。
憎き仇の首を奪い、主君に捧げるために。
己の命を削っていることにすら満足を覚え、主から賜った陣羽織を身に纏って三成は剣を振るい続ける。剣を握る指先にすら汗が滴り、絶え間なく眦の横を汗が滑り落ちていく中。
人のいない大坂城の庭に響くのは荒い息づかいと刃が風を切る音のみ。
わずかでも剣が前に出るようになれば、その分家康の首に近づく。彼の首から赤き飛沫を吹き上げさせ、絶望の苦鳴を上げさせる。飢えを満たすことよりも、心地よい眠りに落ちることよりも。
今の三成には、それが一番大切なことだったのだ。
植えられていた芝草すら足の動きで削られ、周囲の枝葉が剣圧に負けて宙を舞う。そんな中、三成がその男の接近に気がつかなかったのは彼があまりにも堂々としすぎていたからなのだろう。
気配を隠すどころか、自らを主張しながら近づいてくる。
そんな相手に警戒する必要を自分は感じなかったのだろう。そう結論づけた三成は、真夜中だというのに爽やかな笑顔で自分に近づいてきた男を、きっと睨み付けた。
「何用だ、長曾我部」
「こんな時間までご苦労なことだと思ってな……無駄に剣振ってる暇があるなら、酒にでもつきあえよ」
「貴様……私の修練を無駄だというのか」
「ろくに寝ねえ、飯も喰わねえ。そんな体で動いたってな、ろくなことにならねえんだよ」
「私は秀吉様にあの男の首を捧げると誓ったのだ……貴様とて同じ思いを持っているはず。だというのに何故、私の思いがわからないというのだ」
肌を大きく露出させた、紫の戦装束。
徳川家康に愛する領地を踏みにじられ、部下たちを失うことになった哀れな片目の鬼が隣にいる。
同じ目標を持つのならば協力した方が互いに利がある。
そう言ってきた安芸の毛利元就の仲介の結果、彼、長曾我部元親と協力することになったのはまだ春の盛りの頃の話。それ以来彼は物資の輸送の報告などで、幾度も大坂城を訪問することになった。
顔を見せる度に三成には小さな土産と笑顔を、そして一軍の長としては大きな成果を。
彼が来る度に状況が好転し始め、三成の戦いは徐々に楽になっていく。優しくも大きな男にかつての友や主君の良き影を重ね、彼の勢いにのせられるがままに他者とつきあう機会も増えてきた三成だったが。
かつての友への復讐という自分と同じ物を抱えた男の、この澄み切った笑顔はどうしても好きになれなかった。
身を引き裂かれるほどの痛みを味わったというのに、どうして普通に笑えるのか。何もできなかった自分を悔やみ、常に攻められ続けているような気がしているというのに。
長曾我部元親は、自分を見て笑ってくれるのだ。
全身が血で汚れ、髪の先にまで死臭がこびりついていても。しょうがないな、と言いながら常に自分を受け止めてくれる長曾我部の真意が三成にはわからなかった。
そう、彼の笑顔を静かに見つめては何度も同じ事を考えるくらいには。
「おい石田、そんなことしたらその刀……錆びちまうぞ」
振るい続けていた剣を地面へと刺し、長曾我部に向き直ろうとしていると彼にそんなことを言われてしまった。三成にとっては当たり前の行動だったのだが、長曾我部には奇異な行動に見えたのだろう。
再度刀を抜き、彼の目の前に刃をかざしながらゆっくりと説明してやる。
「刃こぼれが酷く、もう使い物にならぬ刀だ。私が酷使した故なのでな、折れるまで使い続けるつもりだ」
「刀は使い捨てにしても構わねえんだけどな……あんたは自分も使い捨てにしちまうつもりか?」
「どういう意味だ?」
「あんたもその刀と同じって事だ。自分の身を削って、目的が果たされたら折れちまってもいいって思ってるんだろ?」
「当たり前だ、私は豊臣軍と秀吉様のためだけに存在している。ならば秀吉様があの男に討たれた今、私にできるのは仇討ちだけ。そのためであれば、命すら捨てる覚悟だ」
「あんたのそういうところが、目が離せねえっていうか……」
腕を組み、大仰なため息をつきながら長曾我部は一人で頷き続けていた。
初めて出会った時から長曾我部は三成をまるで子どものように扱う。甘やかして大切にするような扱い方ではなく、物を知らぬ子どもに優しく言い含めて諭すように。
大切な存在を言葉で守るかのように。
長曾我部は三成に常に様々なことを話してくれる。時には遠くの海で起こった話だったり、瀬戸内の海を賭けて毛利と戦ったときのことであったり。しかし全く違う話をしている時でも、彼が三成に伝えようとすることは常に同じだった。
復讐で身を焼き尽くしてはいけない。
自らも復讐者として家康に刃を向けようとしているというのに、彼は常に三成にそう言い続けていた。普通の相手であれば憎い相手と戦う権利が欲しい故に三成を脱落させようとしていると考えるべき、だがこの男は本気で三成を案じているのだ。
家康との戦いが終わった後、新たなる人生を歩めるように。
彼が心の底からそう考えていてくれることを知ってしまっているから、三成は彼を本気で怒ることができなくなっていた。盟友である大谷とは違うが、彼も三成を大切に思ってくれている。
この男が言うのなら、少しは聞いてやろうか。
短い月日の間にそう考えるようになっていた三成だったが、手の甲で額の汗を拭っている間に長曾我部がその言葉を告げた瞬間。
彼への信頼を、一気に捨て去った。
「なあ……その陣羽織脱いじまわねえか?」
「な、何を言い出すのだ!?」
「いや、あんたを縛ってんのはそれじゃねえかって思ってな。だったら一度脱いじまったら少し考えも変わるんじゃねえのか?」
「断固拒否する! これは秀吉様が私にくださった大切な物だ!」
薄い藤色の陣羽織を、三成は常に側に置いていた。
たとえ夏の蒸し暑い夜気が身を舐め尽くしても、流れ出る汗で着物が体に張り付いても。自分の豊臣への思いをを繋ぐこの陣羽織を、手入れや入浴などの理由以外で体から離すつもりは毛頭無かった。
亡き秀吉や半兵衛との思い出が、この陣羽織には詰まっているのだ。
決して二人とも三成に優しいわけではなかった。だが功を上げれば褒め、失態を冒せば責任を取らされ。他の者と同じように遇される豊臣軍での日々は、秀吉の強さと王者としての姿を三成の心に刻み付けるには十分だった。
出自や性格故に遠巻きにされることが多かった三成。
自分でも一つの集団の中に居続けることを諦めていたというのに、秀吉はごく普通に向き合い、そして正確な評価を下してくれた。今でも秀吉の与えてくれた数々の言葉が支え、三成を支えてくれているように。
この陣羽織は忠誠の存在として、側にあるべきなのだ。
それを長曾我部に見せるかのように、刀から手を離して自分の身体を軽く抱く。硬く鋭い陣羽織の感触が手に触れ僅かな痛みを与えてくるが、それすらも偉大なる主君の与えてくれた試練として受け入れる。
長曾我部元親が現れるまで、三成は復讐と忠誠で満たされていた。
しかし今はどうだろう、彼の言葉で心を乱される己を恥じ。盟友である大谷に指摘されるほどに、優しい言葉に動揺することが多くなった。
この男を排除すれば、また自分は憎しみのみで動くことができるようになるのだろうか。
「……長曾我部」
「なんだ? 脱ぐ気になったか?」
「ない、しかし……貴様に聞きたいことが一つある」
「俺はあんたに聞きたいことが山のようにあるけどな。で、何を聞きたい?」
「何故、貴様は笑う?」
雲の遮られぬ澄んだ月の光の下、三成は以前からの疑問を彼にぶつける。
部下を殺され、共であると信じていた男に裏切られたというのに。普通に笑いながら過ごすことができるこの男は頭がおかしい、または狂ってしまっているのでは。
そう思ったこともあったが、今なら違うとわかる。
長曾我部は四国を守るという責務を投げ出せるような、心の脆い男ではない。ならば彼には笑う意味があり、そうしなければいけない理由があるのだ。
自分の忠誠の証である陣羽織を脱げと言うのなら、彼に笑う意味を聞いてもいい。
悩みと塾講の果てにそんな結論に達した三成は、足を一歩前に出して長曾我部に詰め寄った。しかし優しい海の男は体を引くことなく、むしろ三成を暑い夜風から守るかのように腕をこちらに差し伸べてくる。
隻眼の男はその腕の中に三成を招き入れるが、決して触れてこようとはしない。彼の態度に疑問を感じながら、僅かに高い彼の目を見つめていると。
曇りのない片方の眼が、ほんのわずかだけ悲しみに沈んだ。
「俺は今のあんたとは違う……この戦が終わった後も四国を守らなきゃいけねえ。平気な顔して笑ってる主人と、落ち込んで酒ばかり飲んでる主人……あんたならどっちを信じる?」
「秀吉様は酒色に溺れるようなことなど無かった」
「そうだろうな、あの男は見せなかっただろうよ。俺だってわかってることを、一度はこの国を手に入れかけた奴がわからないわけがねえ。でもな、誰だって弱みを見せたいときがある……だがそれを許されねえ立場になっちまうと、弱音の吐き方もわからなくなっちまうんだ。俺はあんたをそうしたくない、俺や……死んじまった豊臣秀吉みてえにはな」
「私は秀吉様への忠義に殉ずるつもりだ、そのためであれば……」
それ以上言うな。
その言葉と共に、長曾我部の手が三成の背に触れてくる。
肌を炙るかのような熱気よりも更に熱い手の感触に驚く間もなく抱き寄せられ、一気に彼の胸の中に閉じ込められた。彼の素の肌が着物越しに自分を愛おしむ感触に身を固くしながらも、久しぶりの安堵に近いものを感じていると。
「仇討ちのために身を削るっていうなら、俺がいくらでも協力してやる。だけどな、死ぬのだけはやめてくれ」
「……では……私はどうすればいいのだ……? 秀吉様も半兵衛様も、もういない……刑部とていずれは私を置いて先に秀吉様の元へと逝ってしまうだろう……ならば……」
「あんたみたいな不器用な奴はな、時間をかけてじっくり考えりゃいいんだよ。その時間くらいは、俺がいくらでも作ってやる」
「それは貴様が家康を討つということか? あれの首級を秀吉様に捧げるのは、私の責務だ! たとえ貴様であろうと……」
「家康をやり合うのは早い者勝ち、そう決めただろ? 俺が言ってるのは、そこから先の時間だ……ほら、見てみろよ」
顎をしゃくって、長曾我部は月の輝く濃紺の空を指し示す。
雲一つ無い空には一つ一つが強く煌めく宝玉のような星の数々。そして彼らの光を邪魔することなく、地上に影を刻み込むために光る半円の月。
人の心を惹きつける天の輝きに魅入られ、小さく息を吐きながら見つめていると。
肩に当てられた手が、陣羽織をするりと肩から外してしまっていた。
「……き、貴様……」
「軽くなっただろ? 忠義だの憎悪だの……面倒なものをいつも身につけてる必要はねえんだよ。たまには全部脱いじまって、休めばいい」
長曾我部は三成の陣羽織を優しく手で支えながら、下に置くように落としている。
なので陣羽織に傷はついていないだろうし、そのまま奪いとるつもりもないらしい。肌から離れているが決して遠くに行ったわけではない、己の忠義の証。
しかし長曾我部は、三成が思っているのと全く違う表現でそれのことを口にした。
「ようやく脱がしてやれたな……あんたを縛り付けてるそいつを」
「私は望んでこれを身につけている、縛り付けられてなどいない」
「ならあんたは自分で自分を縛り付けてたんだな。やっぱり脱がして正解じゃねえか」
先程まで僅かに浮かんでいた悲しみではなく、曇りのない喜びが三成を包み込む。
それを見て彼が心底喜んでいることと、自分の姿を悲観的に捕らえていたことを三成は知る。そういえば以前であればあの程度では脱げなかった陣羽織だったというのに、今は肩を軽々と滑って落ちていってしまうのだ。
それだけ自分の身体から肉が落ちてしまっているということなのだろう。
尊敬すべき存在から賜った、大切な武具。それを満足に身につけられない状態になってしまった自分は、不忠を体現した存在になってしまったのでは。
ふとそんな恐怖に近い疑問に囚われていた三成だったが、自分の肩を後ろから支える男はそんな三成ごと包み込んでくれた。
「そんな重苦しい物は脱いじまって、まずはちゃんと飯を食って肉を付けてくれ。せっかくの綺麗な陣羽織……合わなくなっちまったら勿体ないぜ?」
「貴様は、私の陣羽織姿を好まないのではないのか?」
「戦場に立つあんたは好きだ、綺麗だしな。戦の最中にあんたを見た時は、夜桜の化身か何かと思っちまったくらいだ。だけどな、こんなところでまで一人で戦をする必要はねえよ」
綺麗、という言葉で心臓が跳ねる。
他の人間に言われたらくだらない戯れ言だと思うが、長曾我部は常に自分に真っ直ぐに向き合ってくれた。嘘をつかない男がいうのなら、きっと彼にとって自分は綺麗な存在なのだろう。
ならば、自分を好もしく思ってくれているらしい彼の思いを裏切らないように。
「貴様は私の敵ではないな?」
「最初からそう言ってる」
「この城内では、私の陣羽織を貴様に預ける。私が望む時に最良の状態で前に差し出せ」
「……最高に綺麗なあんたのために、ぴかぴかに磨いておいてやるよ」
『裏切り』を好まない三成は、自分が相手を裏切ることも許さない。
だからそっと彼の胸元に手をやり、彼の上衣に手を触れさせる。常に手入れが行き届いている彼の戦装束を見ていれば、三成の陣羽織も大切に扱ってくれるだろうことは推察できる。
だから自分の忠義と戦意の象徴を彼に。
この城に彼といる間は預け、最後の戦への準備を進める。それが今の自分がすべきことなのだろうと考え直した三成は、自分の全身へと目線を流す長曾我部の小さなつぶやきを聞き逃さなかった。
「夜桜の妖から、花びらを剥がしちまった気分だな……」
「私が妖だというのか!?」
「そういう意味じゃねえよ! もう少し色っぽい方向で物を考えろって」
「私に色気を求めるな! 半兵衛様ですら匙を投げたのだ!」
「威張るとこじゃねえだろ、それ……」
顔を見合わせた後、こぼれるのは楽しげな笑い声だった。
後に長曾我部がこの時三成に本気で惚れたと周囲に惚気るようになるのは、石田三成を将とする豊臣家の残党が徳川家を討ち滅ぼし。
全てを終えた後の話であった。
<了>
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
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