がんかたうるふ Hermony Loop 火曜日 午前中 忍者ブログ
こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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3回目です。







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BGM「The Blessing」 by WHITE-LIPS
tp://www.nicovideo.jp/watch/sm7618395
(みつけたので、よろしければどうぞ)









「Hermony Loop」  火曜日 昼






幹部会の日は、30分前には到着するようにしている。
今の幹部たちに限って離反や裏切りなどはあり得ないが、そのもしもが起こってしまわないよう、幹部同士の関係などを知っておくのも筆頭幹部の役割の一つ。イヴァンとジュリオがくだらない喧嘩を始めたり、ジャンが居眠りをしたり、皆の前なら怒られないだろうとルキーノが大量の請求書を持ってきたりするが。
それを受け流すことが出来なければ、有能だが個性的すぎる幹部連中をまとめることなど出来るわけがない。周囲から見ればベルナルドがその個性的すぎる幹部の筆頭なのだが、それは考えないことにしている。
かくしてきっかり30分前に会場となる、ホテルの最上階のいつもの部屋に到着すると、今日は何故かいつも遅刻寸前の人間がソファーに座ってくつろいでいた。二人がけのソファーに座っているのは、遅れて来るであろう大切な人のための席を確保するためだろう。
「おはようジャン、今日は珍しく早起きだね」
「よう、ベルナルド……今日は髪型が違うんだな」
「寝坊してしまってね、髪がひどいことになってしまって……誤魔化しているだけだ」
「可愛いって、今度からそれでいけよ」
「それは断らせてもらうよ、さすがに30過ぎてこれはないだろう」
耳の裏から首の付け根が引っ張られるような感触に顔をしかめながら、ジャンの向かい側のソファーに腰を下ろす。
髪を梳かさずに昨日は寝てしまったので、朝になったらクセのある髪が取り返しのつかないことになっていた。盛大に寝過ごしてしまったので再度シャワーを浴びる時間もなく、ルキーノに見られる程度まで直してもらいはしたのだが。派手に跳ねた後ろ髪だけはどうしようもならず、ルキーノの提案で後ろ髪だけまとめることにした。
耳横を流れる髪はできるだけ巻き込まず、ルキーノのボウタイでくくられた髪はそれなりの見栄えになってくれたが、昔からの部下にはずいぶん可愛らしい髪型ですねと苦笑され、ジャンにも可愛いといわれ。
口には出さないが、プライドはかなりズタズタに傷つけられていた。
頭をかき回したいところだが、せっかくルキーノがやってくれた髪型を壊すわけにもいかず。微妙にもやもやした気持ちをどこにぶつけようかと考えていると、ジャンの膝に置かれたある物に目がとまった。
「ジャン、それは?」
「ああこれか……ベルナルド、腹減ってるか?」
「朝食抜きできたから、多少食べたいとは思っているが……」
「後でみんなで食おうと思ってたけど、ベルナルドは特別な」
素早い動きでジャンが膝に置かれたバスケットから何かを取り出し、そのままこちらに放り投げてきた。慌ててそれを受け止めると、指に最初に感じたのは暖かい感触。
そして次に鼻に届いたのが、ふわりとした焼けた小麦の香りだった。
「パイ……か」
「ジュリオお手製のミートパイ……昨日も言ったけど中身はグランマお手製だから、安心して食ってくれ」
「コーヒーだのパイだの……ジュリオはカフェでも開く気か?」
「趣味なんだとさ。俺としてはあいつがいろいろなことに興味を持ってくれるのは嬉しいし、俺も美味いものが食えるからいいと思うけど」
「確かにいいことだな」
ジャンに目で笑いかけてから、ほんのり湯気を出している握り拳ほどの大きさのパイを口に運ぶ。口に入れた瞬間にトマトソースと一体になった大量の挽肉が口の中に広がり、それと歯ごたえがあるのに軽く感じるパイ生地が溶け合っていく。
朝からこんな重い物を食べたら後から胃にくるのはわかっているのに、食べ続けたくなる味わいがそこにはあった。
「美味いだろ?」
「あの人こそ店を開いたらいいんじゃないのか……これは確かに美味いな」
「グランマもう年だからな……パイ生地をこねるのはもう無理だとさ。だからジュリオに手伝わせてるんだけどな」
「楽しそうだな、ジュリオは」
「ああ、俺がヤキモチ焼くくらいにはな。俺がいなくてもグランマとメシ作ったり、近所のババアたちの買い物の荷物持ちしたり、んで大量のお菓子もらってきたり……ちょっと寂しいな、実際」
ジュリオにはジュリオの生活がある。
ボンドーネ家の当主なのだから忙しいのは当たり前だが、それでも自由になる時間は作ることが出来ているらしい。時代のカポとしての教育を一気に詰め込まれているジャンの方が、今は時間がとれないのではないだろうか。
それでも家に帰れば互いがその場にいたという痕跡がある。
それを励みに互いに頑張っているのだろうが、ジャンにしてみれば自分がいない間にジュリオがどんどん交友関係を広げていくのは、かなり寂しい物なのだろう。互いに一緒にいて世界を広げていくのではなく、ジュリオが一人でおっかなびっくり人の中へと飛び込んでいく。
それを守ることも見ることも出来ない今の状況は、ジャンにとってはたして幸せなのだろうか。
そんな疑惑を持ちながら、ベルナルドはミートパイにかぶりつく。
今の言葉を聞かなかったことにはできないが、聞いていても興味がなかったふりくらいはできる。バスケットがジュリオであるかのように大切そうに撫でさするジャンを見ないようにして、ベルナルドはわざと明るく声をかけた。
「そういえばイヴァンを見なかったか?」
「イヴァン? 今日はそーいや昼からお嬢のラクロスの応援だとさ」
「…………大変そうだな、今日はやめておくか」
「市長選の話だろ? 幹部会の最中にぱぱっとまとめてやれよ。あいつ、仕事の話を後回しにされるとブチ切れるって」
「そうだな。ボスに任されたんだ、ちゃんと話をしておかないとな」
今はまだここにいない、律儀極まりない性格故時間を計算して現れる最年少幹部。彼とジュリオの仲の悪さはいつ殺し合ってもおかしくないほどだったのだが、クリスマスの一件を境に急速に仲が良くなっていった。
まだ私生活でも一緒に行動するというほどではないが、それでも刑務所に入れられる前の事を考えたら、嘘のような状況だ。本人たちの部下が一番驚きつつ歓迎しているのは、互いに協力し合うことの大切さを身をもって理解したからだろう。
GDの抗争中、イヴァンの兵隊たちがいなければあの難局を乗り越えることはできなかった。
血統にこだわっていても何も生まれないことを知ってしまえば、人の心の垣根なんてあっという間に消えてしまう。イヴァンとジュリオのように、部下たちの心も少しずつだが近づいていっている。
それはきっと、ボスが一番望んだものだろう。
「そういやオヤジから連絡は?」
「いや、いつもの通りだ」
「便りがないのがいい証拠ってやつか、オヤジらしいな」
日曜日まで帰ってこないと言っていたが、さて今度はどこでどんなことをしてくるのやら。そのフォローをやらされると思うとため息が出そうになるが、ジャンの手前それはこらえておく。
それでもボスがいなければ今日の幹部会は早く終わらせることが出来るだろう。それが終わったら、適当に食事を皆で楽しんで、それから仕事を部下に割り振って。
少し休みを取らせてもらおうか。
自分に出来る市長選の仕込みが終わった今、GDの急襲でもない限りはベルナルドの仕事は通常のものだけ。日頃嫌になるほど働いているのだ、たまにはゆっくり休んでも責められないはず。
ジャンとの会話を楽しみ、分けてもらったパイで胃を満たし。
優雅な時間を過ごしていると、慌ただしい足音が一つとそれを追うようなのんびりとした足音が部屋へと一気に迫ってきた。部下たちが止めないということは、きっと幹部の誰かだろう。
足音から推察するにイヴァンとジュリオか。
「オ、オレは遅れてなんかいねえからな!」
「……………すいません……遅れました……」
「遅れたなんて言うんじゃねーよ! 誤魔化せば俺らの勝ちだ」
「遅刻は……勝ち負けじゃない……」
「イヴァン……ジュリオ……残念な知らせだが……お前たちそんなことを言わなければ遅刻したなんて事に気がついてなかったんだが…………」
「な、なんだと!?」
「イヴァンが入り口で……ロザーリアに捕まってしまって……遅れました」
心底申し訳なさそうなジュリオだが、どう考えても彼に非はない。もちろん、イヴァンにもあまりないわけだが、ここは心を鬼にして二人に厳しくするべきだろう。
「イヴァン、ジュリオ……遅刻の罰として、そうだな……今日の昼食はお前たち二人のおごりって事でどうだ?」
「あぁ!? 俺たち二人?」
「違います……二人じゃないです……」
「そういや、ルキーノがまだか。あいつ、なにやってんだか」
ジャンの言葉で、全員がその事実に改めて気がつかされた。
いつもなら適当な時刻にやってきて、必ずベルナルドの側にいるというのに。連絡もなしに遅刻なんて、あの男がするわけがない。
それは他の幹部たちもわかっていたようで、次から次へとルキーノの安否を心配する声が飛んでくる。
「なんかあったのかよ……あいつ」
「オレの部下をまわすか?」
「いや、その必要はない。まずはルキーノの部下にどこにいるかを聞くのが先だろう。俺たちが慌てたら、GDの奴らにつけ込まれる」
「ですが……連絡がないのが……気になります」
「お前たちは気をもみすぎだ」
強めの声でまだ若い幹部たちを押さえ込む。
ルキーノが連絡をよこさないことなんで、昔はしょっちゅうだった。その度に年長の幹部たちに怒られ、彼は彼なりに成長していったのだ。昔のクセが今でてきたっておかしくはないのだ、こちらが無駄に慌てる必要はない。

なのに、どうしてこんなに胸が騒ぐのだろう。

自分だけではない、唇を噛みしめて何かに耐えているジャン、汚い言葉を交えながら部下を動かすと主張するイヴァン、表情は動かさないが手をまだ脱いでいないコートのポケットに入れているジュリオ。
そして不安を押さえ込むために、必要以上に語気が荒くなる自分。
「まずはお前たちが落ち着かなくてどうする! たかがちょっと連絡をよこさないくらいでそこまで慌てるな、さっさと座れ! 先に始めておくぞ」
「でもよ……一応でも探しておいたほうがいいんじゃねえか?」
「だからイヴァン、お前は……」

「心配することないさ、ご本人様の到着だ」

その声に、その場にいた全員がただ一人の名を呼んだ。
「ルキーノ! お前は連絡もせずにどこをうろついていたんだ! 遅れるなら遅れると先に連絡しろ、どれだけ心配したと思ってるんだ」
「やっぱ心配してたんだ……素直じゃないよな……」
「ジャン、口を慎め」
思わず立ち上がってからジャンを睨み付ける。
普段はジャンにこんな話し方をすることはないのだが、余程不安だったのだろう。立ち上がった瞬間に意識が一瞬回ったようにすら感じてしまった。
安堵と、そして連絡しなかった事への怒りで。
斜に構えた粋な立ち方、ダブルのスーツを着こなすことのできる立派な体格。そして頬の傷をわずかに隠すように流れる赤毛も朝別れた時と変わらないのだが、何故かルキーノの顔から彼特有の覇気のような物が一切消滅していた。
「ルキーノ、何かあったのか?」
「悪いが……俺は幹部会を欠席させてもらう」
「どういうことだよ? せっかく来たのに、またどっかに行くのか?」
「ジャン、悪いがお前の継承式には出られないかもしれないな……」
「ルキーノ、お前はいきなり何を言い出すん…………」
力のない笑みをジャンに向けるルキーノを問い詰めようとした時、音もなくルキーノが開けていたドアが、室内に風を運ぶほど強く開け放たれた。
そこにいたのは、今日は参加しないと言っていたはずの元筆頭幹部と、彼の部下たち。ジャンや孫娘の前では好々爺であり続けていた彼が、今日はマフィアの顧問としての厳しい表情を露わにしている。
「カヴァッリ顧問! 今日は参加されないはずでは……」
「そうも言ってはおれなくなった。ルキーノ、儂が今日ここに来た理由はわかっているな」
「わかってますよ……ちょうど今幹部会に参加出来ないって伝えていたところでしてね」
「それならば話は早いな。すまんがしばらくの間、お前を拘束させてもらうぞ」
老いたが、筆頭幹部をやっていた頃と変わらぬ強い眼差しがルキーノだけを射貫いている。向けられていない他の幹部たちも、声を出すことすら出来ずに事の成り行きを見守っていた。
何故カヴァッリ顧問は現れたのか、そして何故いきなりルキーノを拘束するなどと言い出したのか。
カヴァッリ顧問の後ろに控えていた彼の私兵が、全く抵抗しないルキーノの両腕を抱え、連れて行こうとしている。

何が起こっているのか。

ルキーノが何をしたのか。

そんなことはどうでも良かった。
「顧問! お待ちください!」
足早に駆け寄り、ルキーノを捕らえる男たちへ向かって手を伸ばす。どんな理由があろうと、相手が誰であろうと。
この男を素直に渡す気なんてなかった。
「今は私が筆頭幹部です、このような越権行為を目の前で行われて許すわけにいかないのは理解していただけるでしょうか? まずは何があったのか、それを説明してからにしてもらいましょうか、この男に触れるのは」
「それはそうじゃな……確かにお前の面目を潰す行為だった。それは素直に詫びておこう、だが……」

理由を聞けばお前は退くか?

嗄れてはいるがよく通る声と杖が床を叩く音。それが、ベルナルドにとって悪夢のような時間の始まりを告げた。









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ようやく本編スタートです。

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色々説明






拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)


注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨


ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。


書いている人


みっし

・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。



うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。

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ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。

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