こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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1.5終わりの後の話。
書き終わりました。
2のプロットができましたが……いつ使うんだこれ……
書き終わりました。
2のプロットができましたが……いつ使うんだこれ……
*****
大阪城の天守閣にある一室。
そこから派手な打撃音が響いてきたのは、竹千代が空から落ちて戻ってきてから数刻後のことだった。
「きゅ~! きゅきゅきゅ~!!!!
「今更ごめんなさいしても駄目! 怒られて逃げ出した挙げ句よその家に迷惑をかけるなんて………一体何を考えてるの!」
「きゅ~きゅきゅ~」
「出来心!? 佐吉君は君の事泣きながら探してたのに、そういうこと言うんだ……」
何故、どうして半兵衛は竹千代の言葉がわかる。
ぼろぼろと目から涙をこぼし、必死にごめんなさいと言い続けているらしい竹千代を見ながら家康が考えたのはそれだった。
半兵衛の膝の上にうつぶせで乗せられている竹千代の尻は、言葉の合間に叩かれ続けているのできっと服を脱いだら真っ赤になっているだろう。半兵衛の手も真っ赤になっているが、本気で怒っている彼はその手を止めるつもりはないらしい。
軍師として兵に指示を出す時よりも鋭く冷たい眼光のまま、全力で尻を平手で叩いている半兵衛の恐ろしさに家康だけでなく三成もかなり恐怖を抱いているようだった。
身をすくませながら自分が変わると言い出した三成だったが、基本的にちび達に甘い三成は手を抜いてしまう。そう一言の下切り捨てた半兵衛は、自らの手を痛めてまで厳しいお仕置きを続行しているのだった。
ちなみに秀吉は事前に部屋を追い出されているが、時折襖がゴトゴトと揺れるので外で様子をうかがっているのだろう。
戻ってきた竹千代が最初に所望したのはご飯だった。
そんないつもの調子の竹千代にほっとしたのは最初の内だけ。どこに行っていたのかを聞いてみれば、奥州で散々やらかしてきたそうで。
あまり物事を考えない竹千代からは事細かな情報を得ることはできなかったのだが、やったことを聞くだけでかなりの迷惑をかけたことがわかってしまう程の暴れぶり。挙げ句の果てに伊達家のちびを泣かせた(本人は何故か泣き出したと主張していたが)という事を聞いて、半兵衛の怒りは頂点に達したと言うわけだ。
「君がやったことでうちと伊達家の関係がおかしくなったらどうするの? それによそ様の子を泣かせる狸なんて、うちにはもういらないんだから! さっさと出て行くといいよ!」
『竹千代宿無』
「…………は、半兵衛様がそんなことをなさるわけが………」
「狸汁にして食べてもいいんだからね! それとも天ぷらにしてあげようか!?」
「きゅ~っ!」
三成の膝の上でがくがくと震える佐吉と、青ざめた顔で怒り狂う半兵衛を見守るしかない三成。そっと三成の肩を抱いてやるが、三成はそれに気がつく様子はない。
三成だって過去に何度かは半兵衛に叱られたことはあるのだろう。
だがそんな時でも半兵衛は手をあげることはなかっただろうし、素直に反省する三成は同じ原因で怒られないように努力したはずだから。だが脳天気な竹千代はそれがわからず、半兵衛の本気の怒りを受けることになってしまったわけで。
可哀想といえば可哀想なのだが、さすがに今回は自業自得だろう。大阪城内だけならまだしも、奥州まで行って迷惑をかけてきたのだ。さすがの半兵衛もこれから奥州への謝罪やら何やらで、相当苛々する日々を過ごすことになるのだろう。
だがそろそろ竹千代も、そして半兵衛の手も限界だ。三成が完全に場の雰囲気に飲まれている今、間に入ることができるのは自分だけだろう。
自分と同じ顔に竹千代が叩かれていると自分の尻まで痛んでくるような気がする。
それは三成も佐吉も同じなのか、尻を叩かれた竹千代が切なげな鳴き声を上げる度に小さく身を震わせ体をすくめていた。
「半兵衛……そろそろ終わりにせぬか? 竹千代も、もうわかったと思うのだが」
「何をわかったって言うの?」
「遊ぶのはいいが人が困ることをしない、それが男として目指さなければならない姿だ。竹千代、佐吉を守りたいのなら佐吉が頼りたいと思える男にならねばな」
「きゅ~?」
「儂も常にそうありたいと願っている。好きな相手を悲しませるようなことしてしまうのは、男として最低なことだと儂は思っているのだ。竹千代……お前はそんな最低な男になりたくはないだろう?」
「………きゅ~」
「ならば素直に謝ればいい。そしてもう同じ事をしなければいい」
家康に任せるかのように手を止めた半兵衛の膝から、竹千代を抱き取る。
そしてそのまま尻の状態を見るかのように自分の顔の近くまで抱き上げると、そのまま三成達には聞こえぬほど小さな声で、
「佐吉は奥州のちびに相当可愛がってもらっていたぞ………あの様子では佐吉の気持ちはそちらに移ったかもしれんな」
「………………きゅ……」
「お前の代わりに佐吉と一緒の布団で寝て、一緒に風呂に入って……ああそうだ、尻尾の毛も梳かしてもらっていたな」
「……………………………っ!」
旗色が悪くなりつつある今の状況について、簡潔に教えてやった。
佐吉の竹千代依存も相当な物だが、竹千代が好き勝手に遊びほうけていられるのは佐吉という存在があってなのだ。必ず佐吉は自分の味方になってくれる、自分だけを大好きでいてくれる。その思いがあるからこそ竹千代は好奇心の赴くままに前に進めることを、家康はちゃんとわかっていた。
その佐吉の心が自分から離れる可能性がある、それを知った竹千代の反応は見事としか言いようがなかった。
もそもそと体を動かして家康の腕から抜け出して飛び降りると、ちょこちょこと半兵衛の前へ移動し。
「きゅ~きゅ~」
それはもう見事な土下座をして見せたのだった。
この自由奔放なちびの土下座。
額をこすりつけてただひたすらに許しを請う姿に、鬼の軍師も毒気を抜かれたらしい。
「……本当に反省してる?」
「きゅ~きゅきゅ~!!!」
「ならいいんだけど、もし奥州が今回の謝罪に君の首を要求してきたら、僕は容赦なく君の首を切り落として奥州に送りつけるからね」
『半兵衛鬼畜』
「半兵衛様はやると言ったらやるお方だ………」
『首奥州尻尾佐吉希望』
「…………貴様にとって竹千代の価値は尻尾だけなのか………?」
「奥州には今回の被害分はおまけをつけで返さないといけないし……面倒だなあ。一応文でお詫びはしておくけど、近いうちに謝りに行かないとあとでこじれそうだし………」
「それでしたら私が!」
「…………三成君、伊達政宗って覚えてる?」
「伊達……………????」
戦場で地べたに這わせた相手を覚えていろと言っても、三成には無理な話。
向こうは相当三成を恨んでいるだろうが、勝った側は覚えていないものなのだ。
特に三成の場合は余計に。
首をひねっている三成の様子を見て、半兵衛の怒りも少しおさまってきたらしい。まだ土下座を続けている竹千代をちらりと一瞥し、困ったように笑ってみせる。
「とりあえず今日は許すけど、一つ罰を思いついたからそれはやってもらうよ」
『拷問』
「いやそこまでしないから」
『流刑』
「帰って来ちゃうからそれはだめ………そうだね、一日大谷君の小姓として大谷君のお手伝いをすること」
その言葉に、頭を畳に付けたままの竹千代の体がびくりと動いた。
竹千代にとって大谷善継は天敵とも言っていい存在だった。あの包帯だらけの体が怖いらしく、見るだけで逃げ出そうとする上に、大谷自身が家康似よく似ている上に悪戯ばかりする竹千代を心底嫌っていたのだから。
そんな二人が一日一緒。
一体どんな恐ろしい事態になるのか、半兵衛以外のその場にいる人間全員が恐怖に顔をしかめる中。
『刑部罰不明』
大谷に溺愛されている佐吉だけは、それの何が罰なのかがわからずに大きな目を見開いて考え込み続けていた。
大谷善継によって心身共ともにずたぼろにされた竹千代が三成の元に戻ってきたのはそれから数日後、家康が三河へ戻ってからのことだった。死ぬよりも辛い罰というのは、ああいうもののことをいうのだろう。一日だけという約束のはずだったのだが、半兵衛公認で竹千代を攻撃できる機会を逃す大谷ではなかった。
嫁いじめを楽しみとする姑の如く。
数日間にわたっていびり大会は繰り広げられたのだった。
原因が原因なので、泣きながら廊下のぞうきんがけや障子の桟を一つ一つ丁寧に掃除させられる竹千代を助けようとする人間は誰もおらず。むしろこの調子で綺麗に掃除してもらえたら大阪城が綺麗になっていい、そう考えていた者もいるだろう。
かくしてぴかぴかに磨かれた大阪城だったが、竹千代は相当疲れたらしい。ふらふらとした足取りに、ちゃんと食べているのに思いっきりこけた頬。
「戻ってきたか……よく頑張ったな」
「……きゅ……きゅきゅ……………」
『竹千代掃除人』
「それも今日で終わりだ。刑部の屁理屈でこんなに延びてしまったが……もう掃除はしなくていい」
昼下がりの心地よい日の差し込む自室で、三成と佐吉はその時思い思いに休息の時間を楽しんでいた。壁に背を預け書物を繰っている三成の横では、佐吉が半紙に落書きをしており。
木製の菓子鉢には、半兵衛にお裾分けしてもらった金柑が山盛りになっている。
疲れた上にお腹がすいていたのだろう。一目散に菓子鉢へと向かっていった竹千代は、脇目もふらずに両手で金柑を掴み無言でかぶりつき始めた。
「佐吉……貴様のおやつはないものと思え」
『大食漢斬滅』
「竹千代がいない間は、貴様が独り占めしていたのだ。これくらいは許してやれ」
『不満有』
大好きな金柑を竹千代に取られ、ぷうっと頬を膨らませた佐吉は手に持っている筆に更に力を込める。ぐりぐりと描き進めているのは、頭に葉っぱの生えた温厚そうなのだが目が死んでいる人のようなもの。
よほどこじゅが一緒にいた時間が楽しかったのだろう。
何かある度に野菜妖怪に会いたいと主張する佐吉を見ていると、今回の騒動にもちゃんと意味があったと三成は思っている。佐吉も竹千代も、色々な経験をして成長した。
佐吉は竹千代がいなくても夜眠れるようになったし。
竹千代は悪いことをすると痛い目に遭うということを身をもって理解した。
これでもう少し食欲がなくなってくれるとありがたいのだが、と思いながら無心に金柑をほおばり続ける竹千代に目をやると、おかしな事に気がついた。
「竹千代…………貴様………帯はどうした?」
「きゅ~~~??」
佐吉の尻尾が二本になったのと同時に、竹千代の腰に巻かれている見事な錦の帯も確か二本になったはず。だが今腰に巻かれている帯は………一本も存在していなかった。何に着替えても決して手放さなかった帯、それこそ風呂の時以外は必ず身につけていたというのに。
まさか奥州で落とした来たのか。
最初はそう考えたのだが、帰ってきた時にはちゃんと身につけていたのを三成は覚えている。佐吉は尻尾が増えた時に位が上がったと言っていた、ということは竹千代が帯を無くしたのはもしかして。
「佐吉、竹千代は位が下がったということなのか?」
『悪戯罰位剥奪』
「それは……貴様達の中ではどういう意味を持つ」
『底辺』
『最下層』
『最悪』
『存在斬滅同意義』
むすっとした顔のまま紙に次から次へと字を書いていく佐吉をよそに、竹千代は満面の笑顔で金柑を食べ続けている。
知らぬは本人ばかりなり、ということか。
彼らちびの世界の決まり事はよくわからないのだが、いいことをすると位が上がり、悪いことをすると位が下がるということは理解できた。そして佐吉は位を上げることを目標としているのに比べ、竹千代はそれを全然気にしていないことも。
気にしているのなら、なくなったことにすぐ気がつくはず。
またいいことをすれば取り戻せるはずなのだが、好奇心旺盛で注意散漫な竹千代が果たして位を上げることに集中できるかどうか。それは佐吉も気になっているらしく、こじゅの頭の葉っぱを無尽蔵に増やしながら、ちらちらと横目で竹千代を見つめ。
大きなため息をついている。
「困ったことになったな……家康の所の本田を借りて、奥州に行ってみるか。もしかしたら帯を落としてきているかもしれん」
『帯剥奪紛失否定』
「そういう名目ならば、貴様もこじゅに会えるだろう? 私も奥州に詫びに行かねばならない……あれを野放しにした責任は私にある」
『野菜妖怪再会熱烈希望』
伊達家にも正式に詫びを入れなければならないし、なにより佐吉をこじゅに会わせてやりたい。あの世話焼きで温厚なちびには、三成もずいぶんと助けられたのに満足に礼も言えていない。
書物を手に、横にいる佐吉に優しく笑いかけ。
暖かい日の光に眠気を誘われながら、三成は何度か目を瞬かせる。部屋の中で楽しそうにおもいおもいに時間を過ごすちびたち、彼らの楽しげな姿を見て。
長かった今回の騒動がようやく終わった、それを理解した三成は本を閉じ。
そして眠気に身を任せたまま、心地よい寝息を立て始めた。
________________________________________
書けました。
奥州お詫び行脚も……多分いつか書くのかなあ………
その時はきっとこじゅが右手にちび政宗、左手に佐吉でハーレム状態になるはずw そして保護者達は微妙な表情で、なんとか会話を成立させようと必死に……そんな話やだ
2が出るのかどうかわかりませんが……出るとしたら瀬戸内メインのちょこっとエロスな話になると思われます。
オクラの人には無理強いエロとかがよく似合うw
そこから派手な打撃音が響いてきたのは、竹千代が空から落ちて戻ってきてから数刻後のことだった。
「きゅ~! きゅきゅきゅ~!!!!
「今更ごめんなさいしても駄目! 怒られて逃げ出した挙げ句よその家に迷惑をかけるなんて………一体何を考えてるの!」
「きゅ~きゅきゅ~」
「出来心!? 佐吉君は君の事泣きながら探してたのに、そういうこと言うんだ……」
何故、どうして半兵衛は竹千代の言葉がわかる。
ぼろぼろと目から涙をこぼし、必死にごめんなさいと言い続けているらしい竹千代を見ながら家康が考えたのはそれだった。
半兵衛の膝の上にうつぶせで乗せられている竹千代の尻は、言葉の合間に叩かれ続けているのできっと服を脱いだら真っ赤になっているだろう。半兵衛の手も真っ赤になっているが、本気で怒っている彼はその手を止めるつもりはないらしい。
軍師として兵に指示を出す時よりも鋭く冷たい眼光のまま、全力で尻を平手で叩いている半兵衛の恐ろしさに家康だけでなく三成もかなり恐怖を抱いているようだった。
身をすくませながら自分が変わると言い出した三成だったが、基本的にちび達に甘い三成は手を抜いてしまう。そう一言の下切り捨てた半兵衛は、自らの手を痛めてまで厳しいお仕置きを続行しているのだった。
ちなみに秀吉は事前に部屋を追い出されているが、時折襖がゴトゴトと揺れるので外で様子をうかがっているのだろう。
戻ってきた竹千代が最初に所望したのはご飯だった。
そんないつもの調子の竹千代にほっとしたのは最初の内だけ。どこに行っていたのかを聞いてみれば、奥州で散々やらかしてきたそうで。
あまり物事を考えない竹千代からは事細かな情報を得ることはできなかったのだが、やったことを聞くだけでかなりの迷惑をかけたことがわかってしまう程の暴れぶり。挙げ句の果てに伊達家のちびを泣かせた(本人は何故か泣き出したと主張していたが)という事を聞いて、半兵衛の怒りは頂点に達したと言うわけだ。
「君がやったことでうちと伊達家の関係がおかしくなったらどうするの? それによそ様の子を泣かせる狸なんて、うちにはもういらないんだから! さっさと出て行くといいよ!」
『竹千代宿無』
「…………は、半兵衛様がそんなことをなさるわけが………」
「狸汁にして食べてもいいんだからね! それとも天ぷらにしてあげようか!?」
「きゅ~っ!」
三成の膝の上でがくがくと震える佐吉と、青ざめた顔で怒り狂う半兵衛を見守るしかない三成。そっと三成の肩を抱いてやるが、三成はそれに気がつく様子はない。
三成だって過去に何度かは半兵衛に叱られたことはあるのだろう。
だがそんな時でも半兵衛は手をあげることはなかっただろうし、素直に反省する三成は同じ原因で怒られないように努力したはずだから。だが脳天気な竹千代はそれがわからず、半兵衛の本気の怒りを受けることになってしまったわけで。
可哀想といえば可哀想なのだが、さすがに今回は自業自得だろう。大阪城内だけならまだしも、奥州まで行って迷惑をかけてきたのだ。さすがの半兵衛もこれから奥州への謝罪やら何やらで、相当苛々する日々を過ごすことになるのだろう。
だがそろそろ竹千代も、そして半兵衛の手も限界だ。三成が完全に場の雰囲気に飲まれている今、間に入ることができるのは自分だけだろう。
自分と同じ顔に竹千代が叩かれていると自分の尻まで痛んでくるような気がする。
それは三成も佐吉も同じなのか、尻を叩かれた竹千代が切なげな鳴き声を上げる度に小さく身を震わせ体をすくめていた。
「半兵衛……そろそろ終わりにせぬか? 竹千代も、もうわかったと思うのだが」
「何をわかったって言うの?」
「遊ぶのはいいが人が困ることをしない、それが男として目指さなければならない姿だ。竹千代、佐吉を守りたいのなら佐吉が頼りたいと思える男にならねばな」
「きゅ~?」
「儂も常にそうありたいと願っている。好きな相手を悲しませるようなことしてしまうのは、男として最低なことだと儂は思っているのだ。竹千代……お前はそんな最低な男になりたくはないだろう?」
「………きゅ~」
「ならば素直に謝ればいい。そしてもう同じ事をしなければいい」
家康に任せるかのように手を止めた半兵衛の膝から、竹千代を抱き取る。
そしてそのまま尻の状態を見るかのように自分の顔の近くまで抱き上げると、そのまま三成達には聞こえぬほど小さな声で、
「佐吉は奥州のちびに相当可愛がってもらっていたぞ………あの様子では佐吉の気持ちはそちらに移ったかもしれんな」
「………………きゅ……」
「お前の代わりに佐吉と一緒の布団で寝て、一緒に風呂に入って……ああそうだ、尻尾の毛も梳かしてもらっていたな」
「……………………………っ!」
旗色が悪くなりつつある今の状況について、簡潔に教えてやった。
佐吉の竹千代依存も相当な物だが、竹千代が好き勝手に遊びほうけていられるのは佐吉という存在があってなのだ。必ず佐吉は自分の味方になってくれる、自分だけを大好きでいてくれる。その思いがあるからこそ竹千代は好奇心の赴くままに前に進めることを、家康はちゃんとわかっていた。
その佐吉の心が自分から離れる可能性がある、それを知った竹千代の反応は見事としか言いようがなかった。
もそもそと体を動かして家康の腕から抜け出して飛び降りると、ちょこちょこと半兵衛の前へ移動し。
「きゅ~きゅ~」
それはもう見事な土下座をして見せたのだった。
この自由奔放なちびの土下座。
額をこすりつけてただひたすらに許しを請う姿に、鬼の軍師も毒気を抜かれたらしい。
「……本当に反省してる?」
「きゅ~きゅきゅ~!!!」
「ならいいんだけど、もし奥州が今回の謝罪に君の首を要求してきたら、僕は容赦なく君の首を切り落として奥州に送りつけるからね」
『半兵衛鬼畜』
「半兵衛様はやると言ったらやるお方だ………」
『首奥州尻尾佐吉希望』
「…………貴様にとって竹千代の価値は尻尾だけなのか………?」
「奥州には今回の被害分はおまけをつけで返さないといけないし……面倒だなあ。一応文でお詫びはしておくけど、近いうちに謝りに行かないとあとでこじれそうだし………」
「それでしたら私が!」
「…………三成君、伊達政宗って覚えてる?」
「伊達……………????」
戦場で地べたに這わせた相手を覚えていろと言っても、三成には無理な話。
向こうは相当三成を恨んでいるだろうが、勝った側は覚えていないものなのだ。
特に三成の場合は余計に。
首をひねっている三成の様子を見て、半兵衛の怒りも少しおさまってきたらしい。まだ土下座を続けている竹千代をちらりと一瞥し、困ったように笑ってみせる。
「とりあえず今日は許すけど、一つ罰を思いついたからそれはやってもらうよ」
『拷問』
「いやそこまでしないから」
『流刑』
「帰って来ちゃうからそれはだめ………そうだね、一日大谷君の小姓として大谷君のお手伝いをすること」
その言葉に、頭を畳に付けたままの竹千代の体がびくりと動いた。
竹千代にとって大谷善継は天敵とも言っていい存在だった。あの包帯だらけの体が怖いらしく、見るだけで逃げ出そうとする上に、大谷自身が家康似よく似ている上に悪戯ばかりする竹千代を心底嫌っていたのだから。
そんな二人が一日一緒。
一体どんな恐ろしい事態になるのか、半兵衛以外のその場にいる人間全員が恐怖に顔をしかめる中。
『刑部罰不明』
大谷に溺愛されている佐吉だけは、それの何が罰なのかがわからずに大きな目を見開いて考え込み続けていた。
大谷善継によって心身共ともにずたぼろにされた竹千代が三成の元に戻ってきたのはそれから数日後、家康が三河へ戻ってからのことだった。死ぬよりも辛い罰というのは、ああいうもののことをいうのだろう。一日だけという約束のはずだったのだが、半兵衛公認で竹千代を攻撃できる機会を逃す大谷ではなかった。
嫁いじめを楽しみとする姑の如く。
数日間にわたっていびり大会は繰り広げられたのだった。
原因が原因なので、泣きながら廊下のぞうきんがけや障子の桟を一つ一つ丁寧に掃除させられる竹千代を助けようとする人間は誰もおらず。むしろこの調子で綺麗に掃除してもらえたら大阪城が綺麗になっていい、そう考えていた者もいるだろう。
かくしてぴかぴかに磨かれた大阪城だったが、竹千代は相当疲れたらしい。ふらふらとした足取りに、ちゃんと食べているのに思いっきりこけた頬。
「戻ってきたか……よく頑張ったな」
「……きゅ……きゅきゅ……………」
『竹千代掃除人』
「それも今日で終わりだ。刑部の屁理屈でこんなに延びてしまったが……もう掃除はしなくていい」
昼下がりの心地よい日の差し込む自室で、三成と佐吉はその時思い思いに休息の時間を楽しんでいた。壁に背を預け書物を繰っている三成の横では、佐吉が半紙に落書きをしており。
木製の菓子鉢には、半兵衛にお裾分けしてもらった金柑が山盛りになっている。
疲れた上にお腹がすいていたのだろう。一目散に菓子鉢へと向かっていった竹千代は、脇目もふらずに両手で金柑を掴み無言でかぶりつき始めた。
「佐吉……貴様のおやつはないものと思え」
『大食漢斬滅』
「竹千代がいない間は、貴様が独り占めしていたのだ。これくらいは許してやれ」
『不満有』
大好きな金柑を竹千代に取られ、ぷうっと頬を膨らませた佐吉は手に持っている筆に更に力を込める。ぐりぐりと描き進めているのは、頭に葉っぱの生えた温厚そうなのだが目が死んでいる人のようなもの。
よほどこじゅが一緒にいた時間が楽しかったのだろう。
何かある度に野菜妖怪に会いたいと主張する佐吉を見ていると、今回の騒動にもちゃんと意味があったと三成は思っている。佐吉も竹千代も、色々な経験をして成長した。
佐吉は竹千代がいなくても夜眠れるようになったし。
竹千代は悪いことをすると痛い目に遭うということを身をもって理解した。
これでもう少し食欲がなくなってくれるとありがたいのだが、と思いながら無心に金柑をほおばり続ける竹千代に目をやると、おかしな事に気がついた。
「竹千代…………貴様………帯はどうした?」
「きゅ~~~??」
佐吉の尻尾が二本になったのと同時に、竹千代の腰に巻かれている見事な錦の帯も確か二本になったはず。だが今腰に巻かれている帯は………一本も存在していなかった。何に着替えても決して手放さなかった帯、それこそ風呂の時以外は必ず身につけていたというのに。
まさか奥州で落とした来たのか。
最初はそう考えたのだが、帰ってきた時にはちゃんと身につけていたのを三成は覚えている。佐吉は尻尾が増えた時に位が上がったと言っていた、ということは竹千代が帯を無くしたのはもしかして。
「佐吉、竹千代は位が下がったということなのか?」
『悪戯罰位剥奪』
「それは……貴様達の中ではどういう意味を持つ」
『底辺』
『最下層』
『最悪』
『存在斬滅同意義』
むすっとした顔のまま紙に次から次へと字を書いていく佐吉をよそに、竹千代は満面の笑顔で金柑を食べ続けている。
知らぬは本人ばかりなり、ということか。
彼らちびの世界の決まり事はよくわからないのだが、いいことをすると位が上がり、悪いことをすると位が下がるということは理解できた。そして佐吉は位を上げることを目標としているのに比べ、竹千代はそれを全然気にしていないことも。
気にしているのなら、なくなったことにすぐ気がつくはず。
またいいことをすれば取り戻せるはずなのだが、好奇心旺盛で注意散漫な竹千代が果たして位を上げることに集中できるかどうか。それは佐吉も気になっているらしく、こじゅの頭の葉っぱを無尽蔵に増やしながら、ちらちらと横目で竹千代を見つめ。
大きなため息をついている。
「困ったことになったな……家康の所の本田を借りて、奥州に行ってみるか。もしかしたら帯を落としてきているかもしれん」
『帯剥奪紛失否定』
「そういう名目ならば、貴様もこじゅに会えるだろう? 私も奥州に詫びに行かねばならない……あれを野放しにした責任は私にある」
『野菜妖怪再会熱烈希望』
伊達家にも正式に詫びを入れなければならないし、なにより佐吉をこじゅに会わせてやりたい。あの世話焼きで温厚なちびには、三成もずいぶんと助けられたのに満足に礼も言えていない。
書物を手に、横にいる佐吉に優しく笑いかけ。
暖かい日の光に眠気を誘われながら、三成は何度か目を瞬かせる。部屋の中で楽しそうにおもいおもいに時間を過ごすちびたち、彼らの楽しげな姿を見て。
長かった今回の騒動がようやく終わった、それを理解した三成は本を閉じ。
そして眠気に身を任せたまま、心地よい寝息を立て始めた。
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書けました。
奥州お詫び行脚も……多分いつか書くのかなあ………
その時はきっとこじゅが右手にちび政宗、左手に佐吉でハーレム状態になるはずw そして保護者達は微妙な表情で、なんとか会話を成立させようと必死に……そんな話やだ
2が出るのかどうかわかりませんが……出るとしたら瀬戸内メインのちょこっとエロスな話になると思われます。
オクラの人には無理強いエロとかがよく似合うw
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
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こんな二人で、ここを更新しております。
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