こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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神様の松永さん、彼の花嫁に指名された高校生の元親と、松永さんの眷属である毛玉な関ヶ原(毛玉ヶ原)のゆかいでぐだぐだなお話。今回は元親の従兄弟である元就を巡る話。とりあえず一区切り。
○今回の話までが6月謹言にて発行予定の「神様の花嫁」に収録になります。続きはイベント準備が終わってからぼちぼち投下したいところ。松親なのに全然松親らしいシーンがないので書き下ろしはイチャイチャさせたいです。そのうち修正するかもしれません~。
書いた人:みっしー
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それは、毛玉とお使いに行った日から少しだけ後の話。
夏休みを一週間後に控えたこの日、元親には気になることがあった。
それは、ここ最近の元就の動向だった。神様である松永と眷属の毛玉、佐吉と竹千代が隣に引っ越してきてからどうにも様子がおかしい。元就がおかしいのは常日頃のことだとしても今回はどうにも見たことが無い感じなのだ。
元親と元就の部屋は家の二階にあり、階段から見て手前が元親の部屋、奥が元就の部屋になっている。基本的には寝るときと課題やっている時以外はリビングで過ごしていたような元就がほとんど部屋から出てこないのだ。最も元親自身も、松永が隣に引っ越してきてから何かと手伝いに行かされる事が多いので顔を合わさないだけかもしれないのだが。
それにしたっておかしいと元親は思う。何故ならば時を同じくして長曾我部家には元就宛ての通販が大量に届くようになったのだから。それはよく知られた通販サイトの箱であったり全然聞いたことのない会社の箱であったりとばらばらだったが宛名は揃って毛利元就様、となっていた。本人にそれとなく聞いてみたいが、藪から蛇をつつくような、寝た子を起こしてしまうような怖さもあり元親からは言い出せない。そして一番怖いのは夜な夜な聞こえてくる人の声なのか分からぬが、時折念仏のような何かが聞こえる。
おまけに最近の元就は寝不足なのか常にやつれている。その上目だけは力があり血走っているものだから怖すぎる。登下校は相変わらず元親と一緒だが、帰って来るなり部屋に籠もってしまっている。ひょっとして本当にあいつ何かに取り憑かれているんじゃないかと思い、母のお使いがてら行ったお隣で神様に相談してみた
だが、返ってきたのは否定の言葉だった。
「君の従兄弟殿は、別段なにも取り憑かれていないよ。」
「うん いない」
「ない ないね」
リビングのソファに優雅に座りながらも、お裾分けという名目で持ってきた野菜の煮物をそれぞれ一かけずつつまみながら松永、佐吉、竹千代が順に言った。「おいしい」「おいしい」といいながらぴょこんと耳と尻尾が飛び出した佐吉と竹千代は「残りは夕飯の時に頂きなさい」と言われこくこくと頷く。松永の料理も美味しいらしいが基本的に食べ盛りの彼らは長曾我部家のお裾分けを喜んで食べた。美味しいと素直に感激する余り耳が飛び出したのはご愛敬だ。
苦笑しながらそんな彼らの正面に座るも、元親はどうにも釈然としない気持ちが残る。
憮然としたその表情から元親の内心を汲んだらしい松永は、ふむ、と呟き、自慢の髭に手をやって言った。
「…君の従兄弟殿は、色々と複雑なものを抱えているのだろうね。」
「元就が?」
元親の問いかけに松永はゆっくりと頷いた。
「以前言ったように、人間というものは陰陽の微妙なバランスで成り立っているものだ。そしてそれらの調和こそが私の役目だ。」
「いんもだいじ」
「ようもだいじ」
未だに消えぬ耳と尻尾をぴょこぴょこ動かしながら佐吉と竹千代が同意するように頷く。
「清濁併せ持ってこその人間だからねぇ…だけれども、時に偏り過ぎた人間は、そのバランスを崩すのだよ。」
そんな二人を左右に従え、満足げな笑みを浮かべながら松永は続ける。
「ほそいのまっくろ」
「いんのきまっくろ」
確かに、先日そのような事を説明された気がする。
「陰の気があふれ出そうな人間からは陰の気を摂取させてもらって、陽の気があふれ出そうな人間からは陽の気を摂取させてもらう…とはいえ多いのは前者なのだがね。」
「たべたらわすれる」
「しばらくふえない」
じたばたと落ち着き無く足をぶらつかせる佐吉と竹千代は会話の内容さえ除けば相変わらず可愛らしい幼児だ。相も変わらず頬が緩んでしまうのも仕方がない、はずだ。
人間が誰しも持っている陰の気と陽の気を調整すること。
そしてそれを食べるのが佐吉と竹千代の仕事。
それを食べられた人間は、食べられた前後の記憶を失う、とのはずだった。
「…そのはずなのだがねぇ…。君の従兄弟殿は例外のようなんだ。」
そう言いながら松永は珍しい物憂げな表情を見せる。座っているのに飽きたらしい佐吉と竹千代は、向かい合って座っていた元親の足をよじのぼり始めた。どうやら競争を始めたらしい。
「元就が例外って…なんでそうなるんだよ…?」
足元に上る佐吉と竹千代と遊びつつも、未だに松永が何を言いたいのかしっくり来ない元親がそう問いかけると、松永はじぃっと元親を見つめ、仕方がないね、と前置きして言った。
「…根拠は無いのだがねぇ…彼の陰の気、異常な早さで増えてきているようなんだよ。」
そうしてソファによじ登ったらしい二人は元親の左右に別れ、元親の左には佐吉が、右には竹千代がちょこんと座り、追い打ちを掛けるかのように言う。
「ほそいのげきれあ!!」
「ほそいのちょうれあ!!」
まるでカードゲームのレアカードを見つけた少年のように瞳をキラキラさせて佐吉と竹千代は元親に伝える。だが、レアだからといってそれはありがたい物だろうか。いやむしろ、ありがたくはないことではないだろうか。
わなわなと震えた末に勢いよく立ち上がり、そして元親は叫んだ。
「…そんなレアいらねえええええええええ!!」
松永邸のリビングに、元親の絶叫が響いたのは、無理もない話だった。
普通の人間は「食べて」しまえば、偏り過ぎた陰の気と共に食べられる前後の記憶は消える。だが元就の場合はどういう訳か食べられてしまった後も、完全に記憶が消えては居ないらしい。松永や佐吉と竹千代の事をうっすらとでも覚えていたのがその証拠だと松永は言う。そうして、今現在においても元就の陰の気は着実に嫌な方向に増え続けているらしい。
「…あれだけ根深いものを抱えた人間も珍しいものだよ。…本当に、ね。」
ふぅ、とほうじ茶を飲みながら一息吐く松永を見ていた元親はふと、あることに気がつく。
「なぁ、元就がそんなに陰の気だかなんだかが増えるのって…俺のせいか…?」
覚えている限り、幼少期は真面目で責任感が強かっただけの元就は、現在のように元親が誰かと関わる事を病的なまでに拒否し、元親自身を束縛しようとまではしなかった。昔は本当に優しくて、頼れる従兄弟だったのだ。
だからかもしれない。変わってしまった彼をどこか恐れると同時に昔に戻ってくれはしないかと思ってしまうのは。少なくとも、自分が神隠しに遭わなければ彼はそうはならなかったのではないかと元親は今でも思うのだ。
だが、元親の考えを読んだかのように、松永は首を横に振って否定した。
「それはない。君の失踪がきっかけかもしれないが…今の彼になる素養は昔からあったはずだ。」
三つ子の魂百まで、と言うだろう?と松永は続ける。そして言った。
「私が君と出会わず、あの事件が起こらなかったとしても、彼は成長したらきっとあれだ…ヤンデレとやらに目覚めていたはずだよ。人間の本質なんてそう簡単に変わるわけはないのだから全く持って君が気に病む必要はない。」
「…それ全然フォローになってないし!!というかどこでヤンデレとか覚えんだよ!?神様ってどこまで人間の知識もってんの?」
平然と言い放った松永に思わず元親は突っ込むが全く動じずに茶を啜っている。
「まつながはしゅみ」
「しゅみにんげんかんさつ」
ようやく耳と尻尾が消えた二人は左右に分かれて元親にくっつきながらも忙しなく体を動かしていた。どうやら暇を持て余しているらしい。そうしてきゃっきゃと楽しげな声を上げながら元親の髪の毛を触って遊んでいる。そんなに楽しいか、それ。とは思うものの楽しげな二人を前にやめろとは言い難い。隙あらば、自分を食べようとしている人外だとは頭では分かっているのだがなんだかんだで元親はこのご一行にほだされつつある自分に気がついていた
そして松永はそんな元親を見透かしたかのようににっこりと、ある意味胡散臭さを隠さずに笑う。どうにも松永の掌の上で転がされているような気がして面白く無いのだが、どうしてやろうかと思っていたところ、くいっとシャツの裾を引っ張られ、よくよく見ると佐吉と竹千代が何か期待に満ちた目で見つめており、そうして元親と目が遭うや否や矢継ぎ早に語り始める。。
「かみさまおとなり」
「うんきこうじょう」
「よいことづくめ」
「だから もとちか」
「はやく よめいり」
「もとむ よめいり」
「かもん よめいり」
楽しそうに足元で小躍りする佐吉と竹千代を見ていると軽いめまいに襲われる。
「…後半嫁入りに関してだけしか話してねーだろうが!!」
ぺしっとちび二人の頭に軽くチョップする。
「あう」
「おう」
双方頭を抑えてうーっと唸るが痛くは無いようであり、むしろ不満げにむくれている。
「だからお前達は調子に乗って急かしてはいけないと言っているだろう?」
やれやれといった様子で、気がつけば松永が元親の隣に移動していた。さりげなく密着する辺りこのオッサンは何者だと元親は思う。ただの神様ではあるのだが。
「でもほんとう」
「うんきこうじょうほんとう」
まだ少々不満げな様子を見せる彼らだが、主たる松永の手前少しは大人しくしている。
「運気向上って…そんなに良い事ばっかり起こるのか??」
ちび二人の頭を撫でてやりながら元親は隣に座る松永に問う。
「まぁある程度だがね、偏り過ぎるとそれこそ陰陽のバランスが崩れてしまうから…人間で言うとささやかな幸せのお裾分けぐらいにしかならないと思うがね。」
ささやかな幸せ、と聞いた所でふと元親は動きを止め、そして顔を青くしてがくがくと震えだした。
「…まさか母さんが最近出世して夜勤のない部署に異動になったり、俺が英語の小テストで一か八か鉛筆ころがしたら全問当たってたり、スーパーで魚のアラが大量に買えたり、
見切り品コーナーで俺の好きなプリンが売ってたのもその恩恵…!?…いつでも欲しい見切り品が買えるとか恩恵ってすげぇな!!」
神様パワーすげぇこえぇと驚愕の表情を見せる元親に、松永はなんとも言えない複雑な表情を見せる。
「…前半はともかく、後半は関係あるものかね…?」
魚のアラと見切り品のプリンまではさすがの松永も責任が持てない。
むしろ後半の方にありがたみを感じているらしい元親に「…人間は、やっぱり不思議な生き物だねぇ…。」
と感嘆と共に若干の呆れた様子を見せて呟いた。
神様とて、まだまだ世の中知らない事はあるものだ。
結局それからぐだぐだと過ごした後、元親は帰宅した。
お裾分けに行っただけなのに結構な時間を過ごしてしまったが、どういう理由かお隣の松永さんに全幅の信頼を寄せる母からは特に咎められはしなかった。これも神様パワーの恩恵か、と思いながら珍しく家族が揃っての夕飯を食べ終えた。両親はその後揃ってウォーキングに行って来る、と言いながら出かけてしまい、家には元就と元親のみが残された。そして双方自室に戻り、元親は課題に一応手を付けるもののさっぱり捗らない。
心配するような事にはならないよ、と松永は言い、毛玉も「だいじょうぶ」「しなないから」とフォローしてくれているのだかなんだかわからない言葉を残してくれたが、気になるものは気になる。
「あー…もう…悩むほうがめんどくせー!!」
悩んでうだうだしているよりは行動してしまったほうがまだ楽だ。そう考えた元親は自室を出て、自室の隣にある元就の部屋のドアをノックする。
返答は、無い。
「…元就?いるんだろ?」
声をかけながら再びノックするが、いずれにしろ答えは返ってこなかった。
「…元就?」
元親は、意を決し、ドアノブに手をかける。鍵はかかっておらず、すんなりと開いた。
「…うわあああああああああああああああああ!?」
「…騒がしいぞ、貴様。」
そうして入った部屋の中は元親の想像を軽く超えていた。部屋の至るところにお札、お札、お札、そして謎の紙細工が乱舞する。何も知らなければホラー映画の舞台じゃないのかと疑いたくなるような部屋においても元就は平然といつものように佇んでいた。
「全く…入る前にノックしろと言っていたであろうが。」
仕方が無い奴だ、と言わんばかりの態度を取られ、さすがの元親もむっとして反論する。
「ノックしたけどお前が気づかなかったんだろうが…!!…それより何だよこの部屋は!?ホラー映画かよ!?」
喚くように元就に対して言い放つ。明るい部屋の中で見ても怖いのだから暗闇でこれを見たときの衝撃は半端ないものだろう。だが、元就はそれに対して平然としたまま、言葉を返す。
「ホラー映画の再現ではない。」
「じゃあなんだっつーんだよ!!」
あまりに取り澄ました元就の態度が気に入らず、半ば噛み付くような態度の元親に対し、まるで鼻で笑うように元就はこう言った。
「ただの魔よけだ。」
「魔よけ…?」
真面目で冗談の通じぬ従兄弟の口から発された言葉とは俄かに信じられずに元親は眉根を寄せる。ふふん、と自信満々な元就から語られた言葉はこれまた元親を困惑させるには十分なものだった。
元就曰く、隣に引っ越してきた松永一家がどうにも怪しい、と思いあれやこれや考えた結果、直接対決は望ましくないと思い、色々な情報を求めていたところ、霊的な、良くない存在であるとすれば魔よけのお守りならば害にならないし良いのではないかと思ったらしい。傍から聞くと色々突っ込みどころが満載だが話している元就自身が、違和感を全くといっていいほど感じていない
元親は続きを促した。
それによると通販で西洋のお守りやら魔よけに良いという銀細工やら有名神社のお守りやら様々なものを購入し、魔よけやお守りに関しての資料を集めていたらしい。しかも家の周りには塩を撒いていたらしい。どうりで元就の部屋に不似合いな瀬戸のほんじおの大袋が置いてあるわけだ。ほんじおも、まさか魔よけに使われるために購入されたとは思うまい。寝不足気味だったのは寝る間を惜しんで購入した資料を読んでいたからだという理由が判明した。
元就の言葉を呆れながらも聴き終えた元親はどうにも引っかかるものを感じていた。確かに、幽霊とか、俗に言うあやかしと言う存在はそれでも効果があるのかもしれない。だが、松永と眷属である毛玉達は、それらとは決定的に違うことがある。それは、松永が神様であり、毛玉達は神様の眷属であるということだ。
(…逆に喜ぶんじゃないのか…)
お札や護符がどれだけ効果があるのかわからないが、清められた空気は神様やその眷属にとってこの上ない環境ではないか、とおぼろげな知識しかない頭で元親は考える。そもそも神様がいるせいかこの近所は空気が異常に澄んでいて、まず邪な存在が一切居ない。これは元親も、松永から霊だのなんだのが見えるオプションを付けられた左目で見たので間違い無い事実だ。学校周辺は何やかんやと霊的なものがいたりする。それは俗に言う低級霊だと松永に教えられた。
低級霊すら存在しないこの近所は一体どんな場所なのだろう。
とりあえず左目だけで見たこの近所はキラキラしていてとても綺麗だ。そのうち最近話題のパワースポットとやらに取り上げられても仕方が無いなぁ…と元親は思い始めていた。
「…しかしなぁ…お前やること極端すぎるだろ。何この部屋。母さんが見たら卒倒まではしないだろうけどびびるぞ。」
お札に自作らしいお守りの紙細工が張り巡らされたこの部屋を見たらまずその人間の精神を疑うだろう。残念ながら今の元就が精神的に健全かと言われたら微妙なものもあるがそれは仕方が無い。日常生活は送ることができているのだから、まだ健全な方だと元親は自分を無理やり納得させる。
「うむ……やはり目立つか。」
今まで目立つと思っていなかったのか…という事実に愕然としつつも元親は頷く。
「…これだけやったから少しは効果があると思うのだが…まぁよいそのうち外す。」
「そのうちじゃなくてすぐ外せよ…。」
変なところでものぐさな従兄弟の発言におもわず元親はガクリとうな垂れる。そうして元就は「…そういえば」と何かを思い出したかのように机に駆け寄り、そして何かを取り出した。
「貴様のものだ。返すぞ。」
それは祖母からもらったあの数珠だった。
松永と再会したあの日に糸が切れてしまった、あの数珠。
どうして元就が持っているのだろう。いやそれよりもどうして切れていたはずの糸が直っているのだろう。
「なんで元就がこれを…?いやそもそも…これ糸が切れてなかったか?」
元親の問いに元就はゆっくり頷く。
「…確かに我が見つけた時は切れていた。新しい糸に通しただけだが…ばらばらにしておくよりは良いだろう。」
どことなく気恥ずかしそうな様子に見えるのは元親の気のせいではないはずだ。
「…ありがとう。」
無事に手元に戻った数珠を見て、思わず笑みが零れるがそれを見た元就はなんとも怪訝な顔をする。
「貴様に素直に礼を言われるのも不思議な感じだがな。…大事にしろよ。それは今となっては、ばあさまの形見なのだから。」
「そうだな…。」
元就は元親以上に祖母を慕っていた。だからだろうか。祖母が遺したものをとてもとても大事にしていた。この数珠とて例外ではない。二人でお揃いのお守りとして祖母がくれたもの。元就だけではなく、元親にとっても大事なお守りだった。
その晩、元親は夢を見た。
夢の中で子供の頃の自分と祖母が話をしている。
数珠にまつわるなにかだったが詳しくは思い出せない。
だけれども、祖母が話す言葉に『神様の花嫁』という言葉があったことだけは夢から目覚めても覚えていた。
翌日、登校前のゴミ捨ての為に近くのゴミステーションを訪れた元親と元就はそこで松永達と会った。
「おはようございます。」
「…おはようございます。」
ごく普通に挨拶をする元親と、不機嫌さを隠しもしない元就の対照的な挨拶を見ても松永はいつもと変わらぬ優雅な振る舞いだった。
「やぁ、おはよう。今日は実に清清しい良い日だねぇ。」
その足元では二人で力を合わせてゴミ袋を持つ、もとい引きずる佐吉と竹千代の姿があった。
「きらきらきれい」
「おひさまきれい」
楽しげに笑う二人は今日も元気だ。相変わらず着用しているTシャツが「爆ぜろ」、「燃え尽きろ」など謎の言葉が書かれているのが気にかかるが。そして二人の言葉に同意するように松永は頷く。何ゆえ平日の朝っぱらから和服を着ているのか分からないが悔しいほど似合っている。
「本当にここしばらくは本当に過ごしやすいねぇ…なんというか、空気が浄化されているような清清しさだよ。うん。」
松永は本当に気分が良いようで振りまく空気が無駄にきらきらしている。おっさんときらきら、ミスマッチだな…と元親は思ったが黙っていることにする。
「…ちっ…失敗したか…」
自分の背後から小声で呟く元就の言葉を聴かなかったことにしたいと思いつつ、元親は若干張り付いた笑みを浮かべる。
ああ、やっぱり元就の狙う効果とは逆効果だったんだな…とぼんやり思う。そうして松永や毛玉達は、なんとなく元就がやっていることに気がついていたのか、と思った。確かに、元就が死ぬようなことではなかった。内容はどうあれ、それに一番、安堵した。
「ああ、そうそう。最近小耳に挟んだのだがね、自作の魔よけというものはかえって良くないものを呼び込むから自作は辞めた方が良いらしい。」
立ち去ろうとする元親と元就を前に、突然松永が発した言葉に対して元就も、元親も目を見開く。
「…それが、なにか。」
だがあくまで平然とした様子を崩さぬ元就はそう言葉を返す。
「自作で無ければ、名のある神社から買ってくるのが良いらしい。最も効果の有無は不明だが。」
松永はいつもと同じように、楽しげに話を続ける。
「何が言いたい…?」
元就は、端正な顔はいつもと変わらず、ぎろりと松永を睨みつけるように鋭い視線を向ける。だが松永はそんな視線など意に介した様子もなく、逆に笑って受け流す。
「…何、ただの世間話だよ。ただの、ね。」
それは全てを理解した上で、元就を挑発しているだけのように元親には見えた。
意外に短気な元就はこの空気に対して苛立ちを隠せなくなり、松永を改めて睨みつけると静かな怒りを漂わせて、言った。
「…やはり貴様は存在自体が気に入らん…!!」
「…奇遇だね。私もだよ。」
記憶があろうが無かろうが元就にとって、元親に近づく松永が気に入らない存在であることは変わりなく、松永にとっても、未だに自分の嫁候補である元親を想い続ける元就は邪魔な存在でしかなく、単純に言うと二人は物凄く相性が悪かった。
今ここに神様対人間の構図が出来上がった。
最も神様が圧倒的有利であり、神様の花嫁を巡っての争いであることは言うまでも無い。
「きらきら きれい」
「きらきら たのしい」
「…お前ら楽しそうだなぁ…。」
そうして空気を読まずにはしゃぐ二人とかがんで目線を合わせていた元親は、未だに険悪な雰囲気をこじらせつつある二人にどう声をかけるべきか考えあぐねていた。とはいえ登校時間も迫ってきていることからそろそろ終わらせなくてはならない。
一日一日を平穏に過ごせればそれでよい、元親はあの事件の後からずっとそう思っていた。だけど今となって元親はこうも思うのだ。
平穏に、それ以上に楽しく過ごせますように、と。
神様とその眷属である彼らと、騒がしくも楽しい日々が送れますように、と願うのだ。
きっとこれからも、ずっと。
ありえないことだって起こるのだ。
だって松永は神様で、自分は彼の花嫁(候補)なのだから。
そして願わくは、元就が心安らかに過ごせるようになることを願って、とりあえずは未だににらみ合っている元就と松永を引き剥がすべく動き始めた。
それは、あと数日で夏休みとなる、とある日の朝のことだった。
○無理矢理まとめた感が半端ない。
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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