こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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(現パロ・三親・年齢操作)
ジューンブライドにちなんで結婚に関連した現パロ元親受け話を書く自分得企画第一弾。決して今年に入って従兄弟の結婚式が多くてやけになったわけではない。幼稚園児みつなりくん5才と社会人アニキのお話。この時点で嫌な予感がした方はリターンプリーズ。ツイッタで結婚ネタを呟いたときに「三成は婚姻届がどこにあるかで躓きそう」というリプ頂いたことから発展した妄想。第二弾は毛長予定です。
書いた人:みっしー
ジューンブライドにちなんで結婚に関連した現パロ元親受け話を書く自分得企画第一弾。決して今年に入って従兄弟の結婚式が多くてやけになったわけではない。幼稚園児みつなりくん5才と社会人アニキのお話。この時点で嫌な予感がした方はリターンプリーズ。ツイッタで結婚ネタを呟いたときに「三成は婚姻届がどこにあるかで躓きそう」というリプ頂いたことから発展した妄想。第二弾は毛長予定です。
書いた人:みっしー
*****
「こんいんとどけとは、どこでもらえるものなのだ?」
それは、6月のある日の事。上杉保育園におけるお絵かきの時間のことだった。
年長のひまわり組の面々はそれぞれ好きな絵を描いて過ごしていたのだが、その最中、一人の子供がそれを口にした。
銀色の髪、切れ長の瞳、それでいて子供らしい丸みを帯びた頬。十人が見れば十人が美しい子供と評するであろうその子の名前は大谷三成といった。三成はその可愛らしい顔を歪めてうーんと必死に考え込んでいる。
「こんいんとどけ…?みつなりはむずかしいことばをしってるんだなぁ」
わしはしらなかったぞ、と朗らかな笑顔で言ったのは三成の隣で絵を描いていた徳川家康。ツンツンと坂だった黒髪がこれまた愛らしい幼児である。
「それがしもしりませぬ。…うまいのですか?」
きょとんとした様子で尋ねたのは家康と三成の間に座っていた真田幸村という名の幼児であった。茶色の髪に何故か赤いハチマキを巻いた彼は、やや古風な物言いが特徴的であった。
三成、家康、幸村。この3人はひまわり組の中でも特に仲が良く、いつも一緒に遊んでいる仲であった。そんな訳で家康と幸村からしてみれば仲良しの三成がそんなに困っている『こんいんとどけ』とはどんなものなのかが気になって仕方がなかった。
「なにゆえみつなりどのはこんいんとどけをしょもうするのですか?」
「うん。そういえばどうしてなんだ?」
二人の問いかけに三成はふむ、と腕を組んで呟く。可愛らしい容姿に似合わぬ重々しさだが、そこは幼児。何をやっても可愛く見えてしまう。
ちなみにひまわり組担任のかすが先生は、可愛い外見に似合わずとんでもない事をやらかしてしまう三人をマークはしていたが、この時は他の子供達に囲まれてしまい身動きが取れなかった。
そうしてようやく重々しい動きと共に三成が口を開く。
「そいとげたいひとがいるのだ。いっしょうそいとげるにはこんいんとどけがひつようらしいので、わたしはこんいんとどけがほしい」
子供らしさを全て兼ね備えた愛らしい容姿には似合わぬ重さ炸裂の発言であった。
三成が話したのは次のような事だった。
三成には父がいる。名前は大谷吉継。とある会社のお偉いさんである。そしてこの大谷には部下がいた。その部下の一人が、彼の思い人なのだという。
「せはたかく、ぎんいろのかみがひにあたるととてもうつくしくてな、ひごろはこうしつないんしょうなのだが、わたしがこえをかけるとめをほそめてわらってくれるのだ…とてもおおきくてとてもつよくていつもあそんでくれる。そしてぎょうぶにそうだんしたところ、それはこいだといわれたのだ」
どこかうっとりとした様子で頬を紅潮させ照れたように言う三成の姿は大層可愛らしかった。ちなみに、ぎょうぶ、というのは彼の父親の事である。もろもろの事情により血が繋がっていないこの親子は互いを「三成」、「ぎょうぶ」と呼び合っている。とはいえこの親子、とても仲が良かった。知人から見て砂糖をぶっかけた上に更に黒蜜とメープルシロップを煮詰めた物をかけたぐらい甘いと評されるぐらいの物だったのだが、この場では割愛しておく。
「うつくしくてでっかくてつよいとはすごいな、そのひと!」
「うむ…すごいひとなのだ」
感嘆する家康に同意するように三成はうんうんと頷く。
「てさきがきようなひとでな、りょうりもうまいし、さいほうもやるし、てさぎょうでくになるものはないらしい」
「りょうりがうまいとは!それはよいよめごでございますな!」
ほほー、と「料理がうまい」という言葉に反応した幸村は感嘆の声を挙げる。幸村の興味の対象は八割以上が食べ物なので、これはいたしかたのないことである。
「よめ…そうだな。そういうことになるのか」
ふと何かを再確認するかのように三成はうむ、と小さく頷いた。
「わたしはそのひととそいとげたい。いっしょうかかってまもりぬくけついはある。…だがこんいんとどけがどうやったらもらえるのかわたしはわからぬ…。できればぎょうぶにはひみつにしておきたいのだ。ぎょうぶからあのひとにつたわるともかぎらんからな…」
むぅ、と唸る三成。家康と幸村は心配した面持ちでそれを見守る。ともだちである三成が困っているのなら、その力になりたい、そう思うのは二人にとっては当然のことだった。
「じゃあ、いっしょにさがそう!みつなり!」
「そうです!ともにさがせばきっとてがかりはあるはず!」
他意も何も無く、ただ友の助けになりたいという思いだけを込めて二人は三成を見つめる。子供らしい酷く純粋な気持ちを込めて。
「おまえたち…すまない。どうかたのむ」
二人に見つめられ、若干の気恥ずかしさを感じた三成は少しだけ照れながらも二人に対して頭を下げる。
そうしてここに、みつなりのためにこんいんとどけをさがしたい(家康命名)が結成されたのだった。
「ほいくえんにはあるものなのか?」
「あるとすればしょくいんしつかな」
「それかえんちょうしつでしょうか?」
お迎えが来るまでの自由時間、三成、家康、幸村は三人揃って帰り支度を終えた状態で園内を探索していた。黄色い帽子と青いスモックを身につけ黄色い鞄を肩にかけた三人の姿はさながらひよこがぴよぴよと鳴きながら移動しているかのようである。
そんな彼らの目的はただ一つ、婚姻届の捜索である。帰り際でざわざわしていることもあり三人が自由に歩いていても園内でのことなので気に留める人間はいなかった。特にこの三人の保護者はそれぞれお迎えに来る時間がいつも遅いのである意味延長保育の常連とも言えた。
「このえんにはけっこんしてるせんせいがいないからなぁ…いたらいろいろきけるのに」
そう家康は言う。この上杉保育園には主に三人の先生が居る。一人はひまわり組のかすが先生。もう一人はすみれ組のけいじ先生。もう一人はさくら組のなおえ先生だ。他にも各組のサブで何人か先生がいて、給食を作ってくれる栄養士さんがいる。だが、どういうわけか、全員結婚はしていなかった。
「せんせいたちはまだおしごとちゅうですのできけませぬな…えんちょうせんせいはひょっとしたらいらっしゃるかもしれませんが」
「うむ。ではまずえんちょうしつにいってみよう」
こうして三人は職員室の隣にある園長室をめざすことにしたのだった。
『園長室』と書かれたその場所は園児にとってはあまり馴染みのない場所である。紙で作られた美しいうさぎが貼られたその場所は上杉保育園園長、上杉謙信の仕事部屋である。年齢不詳の常に若々しい容貌に加えて性別不詳とも思われる美しい容姿を持つ園長は園児、保護者、近隣住民から羨望の眼差しで見られることが多い存在である。
「えんちょうせんせいはそういえばいくつなのだろうな?」
「かすがせんせいがこどものころにはすでにいらっしゃったときいたことがある」
「それがしはおやかたさまのおさなともだちだともききましたが…」
あくまでそれらは噂の範疇を出ないものだ。むしろ躍起になって真相を明かそうとする人間は皆、常識では考えられないような恐ろしい目に遭って解明をあきらめるのだという噂まである。まぁともかく、美しく優しい上杉園長の年齢の話はタブーなのだということは子供ながらに彼らもうっすらと気がついていた。
そのような事情もあり、上杉園長は皆から慕われつつも恐れられていた。
園長室の扉は閉め切られていた。そのため外から様子をうかがうことは出来ない。三成が意を決してコンコン、とノックするが返事はない。
「…おるすなのだろうか」
「うーん?でもかえりのあいさつのときにはいたぞ?」
「たのもー!!うえすぎどのー!おたのみもうすー!!」
真田の渾身の大声にもドアが開く様子は見えない。
「…やはりおるすのようだな。ひをあらためてでなおすべきか」
少々しゅんとなった三成に家康と幸村はおろおろするが、かけるべき言葉が見つからない。そんな三人に声を掛ける人影があった。
「おい、お前らそこでなにやってんだ?」
見るからに強面と判断出来る厳つい顔つきとがっしりとした体格、そしてそれに似合わぬ黄色いひよこが書かれたエプロンと頭には三角巾を身につけた男。名前を片倉小十郎という。この上杉保育園の栄養士で主に園児達の給食やおやつを作っている。顔に似合わず料理は美味く、何だかんだと面倒見は良いので園児からは慕われていた。
「おお!かたくらどのではござらんか!おやつのごぼうちっぷすはたいへんびみでござった!」
「みつなりにとってじんせいのいちだいじなのだ!」
「えんちょうせんせいをごぞんじないか?」
たたみかけるように言われた言葉に片倉は眉根を寄せる。
「真田はまあ、ありがとよ。…石田の人生の一大事で園長が関わる…どういう事だ?」
全くもって意味が繋がらないのは当然だろう。各自が各自喋りたいことしか喋っていないのだから。とはいえ各々の声に順々に答えていく当たり、彼の律儀さが垣間見える。
「園長なら、さっき園庭の方にでてたが…なんでも花の手入れをするって行ってたから、まだいるんじゃないのか」
そんなに会いたいのなら、行ってみたらどうだ?
片倉の言葉に三人は顔を見合わせて笑みを浮かべる。
「かたくらどの!かんしゃいたす!あしたのきゅうしょくもたのしみでござる!」
「れいをいおう!ありがとう!」
「くろうをかける」
それぞれ頭を下げながらパタパタと駆けだして行ってしまった。
「なんだか訳がわからねぇ…解決したならいいんがな」
訳も分からず残された片倉は、まさに狐に摘まれたような感覚のまま、一人その場に取り残されていた。
園庭に行けば園長に会える。会ってこんいんとどけについてを聞くことが出来る。
だが、三成のその願いはたやすくも破られることになる。
「三成くん、ちょうど良い所に」
パタパタと駆けてきた三人のうち、三成に声をかけたのは担任のかすが先生だった。
「せんせい?どうかしたのか?」
小首を傾げる三成にかすが先生は言う。
「おうちの方のお仕事が長引きそうだから、今日は…毛利さんという方がこれからすぐお迎えに行くと電話があったんだ。あと二、三分とのことだからすぐに着くだろう」
瞬間三成は、その愛らしい顔を思いっきり不機嫌そうに歪めた。
「もうりか…」
そのあんまりにあんまりな様子に幸村は首を傾げる。
「もうりどのとは?あまりきいたことのないなですが」
「たしか、みつなりのちちうえのぶかだときいたぞ」
とはいえあまりきいたことがないなぁ、と家康は言った。
他人に懐くことが少ないとはいえ、同時に人への嫌悪を露わにすることが少ない三成には非常に珍しい表情だった。
「…うーん…どんな事情があるかはわからないが、今日のお迎えはその方らしい。準備は出来ているようだな」
帰り支度は済ませていた三成の姿を見てかすが先生は呟く。それに対して三成はこくこくと頷いた。
「もんだいはないぞ、せんせい」
「みつなり、だいじょうぶなのか?あまりとくいでないひとなのだろう?」
「むろん。とはいえぎょうぶがおむかえにこられないいじょうはしかたがない。…これでははなしをきくのはあしただな。…いえやす、ゆきむら、あしたもてつだってくれるか?」
諦めた様子を見せつつ、どこか不服そうな表情で三成は二人に問いかける。
「むろんだ!」
「よろこんで!」
いえやすとゆきむらの返答を聞くと、今度こそ三成は心底楽しそうに笑って、そして言った。
「ありがとう」と。
「浮かない顔だな」
「…きになることがあるのだ」
後部座席のチャイルドシートに座りながら三成は運転席で車を運転する男、毛利元就と話をしていた。
毛利元就は三成の父である大谷吉継の部下である。とある企業の孫会社としてコンピュータ関係のリース会社を営んでいる大谷の部下で、彼は主に営業を担当している。スーツ姿なのも恐らく営業帰りだからなのだろう。ちなみに歯に衣を着せぬ物言いと確かな目利きから営業成績はズバ抜けている、とは大谷の談である。
「ほう?きさまが気になることとはな、めずらしい」
バックミラー越しに三成の表情を見ているであろう毛利の小馬鹿にしたような笑みが声だけで判断出来てしまい三成は面白く無い気分で一杯になる。毛利のこういう所が三成は苦手だった。子供が得意でないと公言している通り、毛利は子供の扱いが不得手である。妙に達観している三成だから普通に接しているが、それ以外の子供であれば嫌がって近づかなくても不思議はない。それだけ毛利の雰囲気が、子供をというよりも人間自体を遠ざけていることにも関わっているのだが、それを指摘する人間はこの場にいない。
「わたしとてきになることぐらいはある。…もうりは、こんいんとどけがどこでもらえるものなのかはしっているか?」
三成にとってそれは答えが返ってくる事を期待しての発言ではなかった。毛利のことだから、鼻で笑って答えも返してくれないだろう、そう思っていた。だから、毛利から答えが返ってくる事事態、期待はしていなかったのだ。
「婚姻届?それならば市役所に行けばもらえるだろう。住民課にはあるはずだが。…貴様は一体、なにを気にしているんだ?」
その言葉は、今の三成にとって天啓に等しかった。求めていた物は、なんと市役所にあるのだという。後半の問いは全くもって三成の耳に届いていなかった。
「なんと…!しやくしょだと!?…しらなかった、れいをいうぞ、もうり!」
「…今のどこに礼を言われる要素があるのか我には全くわからぬ」
しやくしょ、じゅうみんか、こんいんとどけ
まるで魔法の言葉であるように、三成は口の中でずっとそれらを紡いでいた。
大谷が営む会社にたどり着き、毛利によってチャイルドシートのロックを外された三成は礼を言うと鞄を手に会社の中に小走りで駆けていく。警備員も会社の人間も皆、社長の息子である三成を見知っているため目を細めて見守る事はあれど、不審がる人間は誰も居なかった。
「ぎょうぶ!かえったぞ!」
「あいよくかえったな。みつなり。」
父である大谷が仕事をしているであろう部屋に飛び込んだ三成は、同時に大好きな人を見つけてその顔に満面の笑みを浮かべる。
「もとちか!」
「おう三成。おつかれさん」
作業服を纏った銀髪の青年は、三成を見つけると顔を綻ばせる。
「保育園楽しかったか?」と問いかけながらもしゃがみ込み、頭を撫でながら目線を合わせてくれるこの青年の名前は長曾我部元親という。
そして彼が件の思い人であった。
長曾我部元親が大谷が経営するこの会社にやってきたのは二年前の春のことだった。高専を卒業し、とある企業に就職した元親はひょんなことからその会社の孫会社に出向することになり、そこで大谷、ひいては三成と出会ったのだ。
営業の毛利とは異なり、元親はリース機器のメンテナンスを主な業務としている。常に作業服なのはそのためだ。
銀髪で強面で左目には眼帯という非常に目立つ容姿なので、出会った当初の三成は脅えた。これがうわさにきくやんきーなのか…!と。だが、元親自身が非常に面倒見がよく、また子供好きであったので、案外すぐに懐いてしまったという過去がある。元親自身の話を聞けば髪の毛は生まれつき、左目は色素が薄くて日光に弱いので眼帯で隠しているということだった。
「まぁそれでもやんちゃしていたのは事実らしいがのう」とは大谷の談である。
遊ぶ事に熱中し過ぎて「仕事をしろ」と同僚の毛利からどやされることがあるぐらい、彼は三成とよく遊んでくれる。仕事柄手先が器用で大体のものは作れてしまう。そして料理も上手で、ある時などは大谷に代わって運動会のお弁当まで作ってくれた。思えばこの頃から三成は元親の事が好きだったに違いない。それから行事ごとのお弁当は元親の仕事になった。
「精神年齢が近いから波長が合うのだろう」と毛利には評された。それに対して元親は怒っていた。どうにも毛利と元親は仲が良くないらしく、それ以外にも喧嘩しては大谷に諫められているのを三成は見かけていた。
とはいえ三成にとって元親は優しくて、つよくて、きれいで、あこがれの、だいすきなひとなのだ。
それこそ一生を添い遂げたいと思うぐらいに。
「もとちか!わたしといっしょにいますぐしやくしょにいってくれ!」
「は…?どうした三成。市役所?」
三成に問われた元親は怪訝な表情のまま眉根を寄せる。
「そうだ!いますぐにいきたいのだ!」
「三成や、それは今すぐでなくてはならんものか?」
困り果てた表情の元親の助け船であるかのように父である大谷が声を掛ける。
「いますぐで、なおかつもとちかがいっしょでなければならんのだ!」
そう必死に訴える三成を見て、ふむ、と考え込む素振りを見せたかと思うと、大谷は元親に対して言った。
「長曾我部よ。三成に付いて行ってやれ」
「決断早っ!?あんた悩んでないだろ!?」
実にあっさりと結論を出した大谷に元親が叫ぶ。さもありなん、大谷は息子である三成をこよなく愛している。甘やかしているだけではなく、しつけももちろん行っているが、それでもやはり甘かった。
「滅多にわがままなぞ言わぬ三成の頼みよ。聞いてやりたいと思うのが親心であろう?そなたで無ければ叶わぬ話のようであるし…行ってやれ」
大谷の言葉に元親は、うっと言葉を失う。確かに三成はあまり子供らしいわがままを言わない子供である。それはここ数年側にいた元親がよく知っていた。
たまに要望を言ったかと思うと「えんそくのおべんとうにたこさんういんなというものをいれてはくれないか?」だったり「ぎょうぶのおしごとがおわるまでここでほんをよんでいてもいいか?」だったり挙げ句の果てに「ゆでたまごはたべもののなかでいちばんおいしいとおもうのだ」である。これには元親も泣いた。何というか聞くだけで切なくなる言葉である。大谷の料理下手を見かねて元親が三成の食事を作るようになったのもそれがきっかけだった。
育ちのせいか否かはわからぬが、無意識に人に遠慮しがちな子供である三成にとっては大事だと思われるその要望を無視できるほど、元親は人でなしではなかった。
「…俺が一緒に行ったらいいんだな?」
観念したようにそう言った元親に対して三成は全力で首を縦に振る。
「うむ!よろしくたのむ!」
花が綻んだような笑みを浮かべる三成を、大谷は目を細めて見守っていた。
「なんだったのだ…あやつらは…」
慌ただしく出て行ってしまった元親と三成に遅れること数分、毛利が大谷のいた部屋にやってきた。恐らバタバタしていた二人を間近で見たせいだろう。その顔は困惑に染まっていた。
「なに、三成が突然市役所に行きたいと言い出してな。長曾我部に付き合って貰ったのよ」
大谷にとってはごくごく自然に口からついて出た言葉だったのだ。だが、毛利は瞬間的に動きを止める。
「市役所だと…」
隙を見せない毛利には珍しいその態度を見逃す大谷ではない、すかさず問いを投げかける。
「ほう?そなた、三成が市役所に行きたいと言った理由に心当たりでもあるのか?」
この男がここまで狼狽するのは珍しい、そう考えながら大谷は毛利をじぃっと見つめる。
「いや…先ほど車の中で、婚姻届とはどこで手に入るのか、と口にしていたので市役所に行けばもらえるだろうとは伝えたのだが…」
「なるほどなぁ…合点がいったわ」
にやりと、決して息子の前ではしないであろう猫の様な笑みを浮かべる。したたかで狡猾なその笑みを彼が息子に見せることは決してしないであろう。そして大谷はその笑みを浮かべたまま、未だに疑念の表情を浮かべる毛利に言った。
「三成はな、長曾我部に結婚を申し込むつもりなのよ」
「はぁ?何を馬鹿な事。大体男同士は結婚できぬだろうが」
呆れたように呟く毛利に対して大谷はその笑みを深くする。
「そう。結婚はできん。あの子はそれを知らん。…だが、一生を添い遂げたいという決意を伝えることはできるじゃろ。…長曾我部にな」
その名に反応するように毛利は大きく瞳を瞬かせ、それを見た大谷はまた笑う。大谷は知っていた。喧嘩ばかりしていた一方で、目の前の男が長曾我部の事を決して憎からず思っていた事を。最も長曾我部本人はただただ喧嘩を売られているようにしか感じていなかったのだろうけども。
「いやはや愉快愉快…このままなら鳶に油揚げをかっ攫われるのう、おぬし」
楽しげに笑う大谷をギッと鋭い目線のまま毛利は睨む。
「貴様…自分の息子を同性愛者に仕立て上げる気か?」
その問いに対して大谷は、表情を改めると先ほどまでとは違う、柔らかな笑みで言った。
「我はあの子が幸せならばそれでよい。男であれ女であれ、あの子が共に生きたいと思う存在と添い遂げてくれればそれでよい。…それだけの権利があの子にはある」
そう言う大谷の顔は、紛れもなくただ一人の父親としての顔をしていた。
「こんいんとどけをいちまいたのむ!」
「は、婚姻届…ですか?」
「三成?お前なにする気だ?」
「きまっている!わたしともとちかのこんいんとどけをかくのだ!」
「……はあああああああああ!?なにいってんだ三成!?」
「わたしはほんきだぞ!!」
(どうしようこの人達。どう対応すべきかなぁ…)
夕方の市役所、住民課の窓口を担当していた立花宗茂は突然現れた銀髪で作業着の青年と銀髪の幼児を前に困惑していた。
子供はまだ結婚できませんという事実を伝えるべきか、そもそも男同士は結婚できませんと伝えるべきか…と内心宗茂は頭を抱えていた。
(嫌だなー…変なこと言ったら絡まれそうで…こういう対処は奥の方が得意なのになぁ)
きっと家で自分の帰りを待っているであろう奥を思いながら、今は口出しをしない方が良いと判断した宗茂はとりあえず口を閉じることにした。
願わくば、さっさと事態が収拾してくれることを願って。
「いいか三成。日本じゃ結婚できるのは女なら16歳以上。男なら18才以上じゃないと駄目なんだ。…あともっというとな、同性同士は結婚できないんだ。」
がしっと三成の肩を掴んで説明する元親に対し三成は小首を傾げる。慌ててしまってはいけない。自分の方が遙かに年上なのだから、落ち着かなくては。そう考えながら深呼吸をし、じぃっと目の前の三成りを見つめる。
「…どうせいどうしは、けっこんできない?」
わけがわからない、という感じそのままに呟く三成頷きながら言葉を続ける。
「俺とお前は、たとえお前が18才になっても、結婚することは出来ないんだ。」
その瞬間の三成は、きょとんとしたようなというべきか、ぽかんとしたような表情を浮かべていた。だが、その刹那慌てたように口を開く。
「で、ではもとちかをよめにするというわたしのねがいは!?」
「は…?いや、多分…無理だろう、それ…」
色々と突っ込みたい所はあったが困惑した表情で元親は伝える。一体この幼子は自分をなんだとおもっているのだろう、と思いながら。
三成はあー、だのうー、だの言いながら言葉に困っているようだったがやがて意を決したように口を開く。
「こんいんとどけがだせないのはわかった。だがつたえたいことがある」
「?どうした?」
かがんだ元親と丁度目線が合う位置にいる三成は、じっと元親を見つめたかと思うとその左手を小さな両手で握りしめて、言った。
「わたしはもとちかがすきだ。だから、いっしょうをそいとげてほしい。よめとして!」
「へ…」
それは元親にとって、寝耳に水のような言葉だった。
可愛い弟分だと思っていた幼子と一緒に市役所まで来たかと思うとプロポーズされていたました。嫁として。
「…いや、まてまて。三成。お前はまだ若い。若いって言うか幼い。だからまだ時間はあるから考え直せ!」
三成の言葉が信じられない元親は首を横に振って言う。当然の反応だろう。だが、三成は諦めなかった。
「わたしはなんにちもかんがえた!なにをやってももとちかのかおがちらついて、ぎょうぶにそうだんしてようやくこれがこいだとしった!」
もう一度、ぎゅっと元親の左手を握りしめたかと思うと三成は小首を傾げて言った。
「…もとちかは、わたしのことがきらいか?」
大変に可愛らしい幼子が小首を傾げて自分を見上げている。これを嫌いだと言い切れるような鬼畜は毛利ぐらいだろう、と犬猿の仲の同僚を思いながら、元親はゆっくりと首を横に振る。
「嫌いじゃねぇ。お前のことは好きだよ。…でも、そういう好きとは違うんだ。」
幼子とはいえ、必死に考えてくれた三成に自分も本気で答えなければ失礼だろう。例えそれが彼の望む言葉で無くても。…だから、お人好しと言われるのかもしれない。
元親の言葉を聞いた三成はしばし言葉を止めたかと思うと、改めて元親を見つめて言う。
「たしかに、わたしはまだまだおさない。もとちかからそうおもわれなくてもしかたがないのだろう。…だが、わたしがもとちかをすきなのはほんとうなのだ」
その言葉に分かっている、という意思を込めて元親は頷く。冗談を言うような子供じゃないことはよく知っている。
「だから、これはしょうらいのよやくにしておく」
「よやく…?」
三成の口から出てきた言葉がいまいち信じられない元親は確認するようにそれを口にする。そうして三成は満面の笑みで頷き、言った。
「わたしが18さいになったそのとき、もういちどおなじことばをいおう。そのときもとちかがわたしのことをおもっているのなら、そのときはこたえてほしいのだ!」
「三成…」
呆然と呟く元親に対し三成は「わたしはほんきだぞ!」と力強く宣言する。
誰かをからかうような物言いをする子じゃない。この子は本気だ。本当に、元親の事を思っているから、告白しているのだ。ならば、自分が出来ることはなんだろう?考えてみればそれは実にたやすいことだった。
「…そうだな。待ってるよ」
三成が18才になるまであと13年ある。その頃の元親は恐らく三十路も中盤にさしかかった年齢になるだろう。その頃にはさしもの彼も、こんな約束を忘れているに違いない。だけれども、今この瞬間、本気で伝えてくれる彼をないがしろにすることは出来ない。だけれどもその気持ちに答えることも出来ない。だから「待ってる」とだけ伝えた。捉えようによってはずるい言葉であろうそれを、三成は頷き、了承の意を示した。
そうして元親の顔に急に近づいたかと思うと、元親は自分の頬にとても柔らかい感触が伝わったことに気がつく。
気がつけば元親は自身の頬を三成にキスされていた。
「へ……」
ここは市役所である。夕方とはいえ公共の場である。
ただ、幸か不幸か近くには目の前のプチ修羅場からなんとか目をそらそうとしている住民課の立花しかいなかった。だが、そんな事など知らない三成は呆気に取られている元親に対して自信満々な振る舞いで言った。
「これはせんやくのあかしだ!」
そういって笑う姿はとても5歳児には見えなかった。
「…えええええええええええ!?」
市役所であることも忘れ、叫びだした元親を誰が咎められようか。この時になって元親は、自分が約束をした相手はとんでもない幼児だったのではないかということに思い至ったのだ。
それから十数年後のこと。
「元親。まさか約束を忘れてはいまいだろうな?」
「おおおお落ち着け!?話せば分かる!?っていうか本当に覚えてるのかよ!!」
「当然だ!私は自分の言ったことに責任は持つ男だ!」
すっかり成長した三成が、真っ赤な薔薇の花束を持って、これまた少々渋みを増した元親に結婚を迫るのはそう遠くない未来の話だった。
○年下攻めが好きです。
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色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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