がんかたうるふ この良き日に、祝福を(毛長・現パロ) 忍者ブログ
こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ケーキ作るアニキと鶴ちゃんが瞬間的に浮かんだので書いてみました。鶴姫視点の毛長現パロ。毛利と鶴ちゃん兄妹設定なので嫌いな方はリターンしてください。


書いた人:みっしー


 



 *****
 
 
「ケーキが作りたい。」
 それは突然の事だった。
 学校から帰ったばかりだった鶴姫に投げかけられた言葉。投げかけた当人は腕を組んでうーん、と考え込んでいるそぶりを見せる。年の離れた兄の恋人で鶴姫の同居人でもある彼は、元親という。彼女にとっては実の兄よりも兄らしく、また親代わりのような存在だった。
「作ればいいじゃないですか。」
「…材料がねぇ。」
 確かに、冷蔵庫の中には普通の食材はあるが、お菓子作りに適した材料があるかと言われれば、答えはノーだろう。小麦粉と砂糖、卵はあるがデコレーションの材料がない。作れるのであればその性格上すぐに手を付けているはずなので、恐らく今回作りたいのはデコレーションケーキなのだろう、と推測してみる。材料が無いのであればそれを買いに行けばいいのに、とも思うがこの青年にはそれが出来ない事情がある。買い物に行ってきてくれ、と言ってくれれば鶴姫はすぐにそれに応じるのに、変な所で遠慮するこの青年は、人にそういう事が頼めない。仕方ないなぁ、と思いながらもこの兄貴分には甘いという自覚のある鶴姫は、未だに困ったように腕を組んで唸る元親に声を掛ける。
「いいですよ。私がおつかいをしますから。なにがほしいんですか?」
「…いいのか?」
 驚いたような、申し訳ないようなそんな素振りはとてもではないが鶴姫より年上には見えなかった。
「いいから言ってるんですよ。」
 鶴姫が笑ってそう言うと、今度は破顔一笑と言わんばかりに顔全体で喜びの笑みを露わにする。
「ありがとな、鶴。」
 そうやって子供のように笑うこの人が、鶴姫は好きだった。
 
 
 
 鶴姫と兄の元就はかなり年の離れた兄妹だった。だから兄妹としての交流はほとんど無かったに等しい。ほとんど実家にも帰らない兄と同居するきっかけになったのは自身の進学だった。たまたま志望した高校が兄の住居の近くだったから、両親に同居を勧められ、兄もそれを承諾した。そうして、上京したその日に、彼と出会った。兄が拾ったという、彼に。
 
「家の前に野垂れ死にされても後味が悪い。」
 そういう理由でマンションの前で倒れていたところを兄に拾われた青年は、初めて会った鶴姫にも人見知りすることなく話しかけてきた。
「元親、っていうんだ。よろしくな。」
 実の兄が他者に与える、怜悧な印象とは全く異なる、明るい雰囲気。だけどその根底には深い何かを抱えているように鶴姫には思えた。同時に思ったのは、悪い人ではなさそうです、ということだった。どういう訳か昔から勘の良い鶴姫はその辺の勘が実に冴えていた。だからきっと、大丈夫だとそう思った。
「よろしくお願いします。」
 それから不思議な共同生活が始まったのだ。
 
 
 
「えーと、頼まれて買ってきたのは動物性の生クリームにいちご、無塩バターにお菓子用の小麦粉…どう見てもショートケーキ作る気満々ですね~。」
「当たりだ。」
 台所で並んで作業、と言いたい所だが体格の良い元親と並んで作業するのは大変なので食卓テーブルを使って二人で作業している。お菓子作りは計量が命、とは言わないまでも大事なのではかりとにらめっこしている最中である。卵は室温に戻っているし電動泡立て器、ケーキの焼き型など必要な道具は揃っている。スポンジを冷ましてからの作業になってしまうが兄の帰りは大体夜遅いのでとりあえずは間に合うはずだ。
 人を見た目で判断してはいけないと思ってはいるのだが、元親は見た目からすると全く料理などしないように見える。実際はかなり手慣れており、基本の料理からお菓子から何からかなり手際よく作る。同居をし始めの頃はそれに度肝を抜かれたものだ。本人はというと「昔は何も作れなかったんだ」と言うが、それがどれだけ前のことかはわからない。兄はというと何も言わずに黙ってみていたが、鶴姫は思った。兄は、この青年が料理することを見るのが好きなのかも知れない、と。兄の屈折した性格を知っていたが故に鶴姫は兄以上に兄を知っていると常々思っていた。もちろんそれは鶴姫から見た面、に限定はされるのだが。
 だから、驚いたのだ。彼を見るときの兄の目が、酷く優しいものだったから。
 
 実の妹相手でも「子供の相手はしたくない」と本人の前でのたまった兄である。「訳の分からないうちは話したくない」として鶴姫が中学に入る頃まであまり会話しなかった兄である。その態度は日常生活でも遺憾なく発揮されていたようで、鶴姫が覚えている限り兄の友人というのはほんの数人で、恋人にしてもいなかったと思う。最も幼かった鶴姫にはわからなかっただけかもしれないが。
 いずれにせよ、兄である元就にしてはひどく珍しいな、と思った。その時は。
 
 
 
 元親は常温に戻しておいた卵を湯煎にかけて電動泡立て器で泡立てていく。鶴姫はその向かいで粉をふるっていた。これを怠るとケーキがぺしゃんこになってしまうのは経験上、よぉく知っていたので念入りに行う。泡立て器を手にする元親の表情は楽しげだ。わくわくとした、なんというかガキ大将のようなその表情を見ていると鶴姫自身からも笑みが零れる。
「本当に、おにさんはお菓子作りが好きですね。」
 
 おにさんとは、鶴姫なりの元親の呼び名である。お兄さんは兄である元就のこと。お兄さんがふたりというのはややこしいので一文字抜いておにさん、とした。
「おうよ。」
 意識を手元のボールに寄せつつも、鶴姫の呟きに答えを返してくれる当たり、話は聞いていたらしい。粉をふるいおえた鶴姫は焼き型に紙を敷いていなかったことを思い出し、慌てて作業を行う。ちょっとだけ昔のことを思い出しながら。
 
 元親は、家の外に出られない。
 俗に言う引きこもりである。元からそうだったのか、どういう経緯でそうなったのかはわからない。ただ、兄である元就が拾った時には既にそうだったらしい。自宅で保護した後から、彼は家の、正確には元就の部屋の外へ出られなくなった。外へ無理に出ようとすると耳鳴り、頭痛、めまいに襲われ身動きが出来なくなるらしい。最初は叩き出そうとした元就だったが、そのあんまりな様子を見かねて知人の精神科医を家に呼んだらしい。医師の診断は、PTSDとのことだった。身分証も持っていなかったことから、名前だけを手掛かりに元親の家族と出会い、その後凄まじいやりとりをした挙げ句、元親の籍を彼の実家の籍から、自分の、信用の置ける知人の籍に入れ直してもらったらしい。元の家族には絶対に彼に近寄らないよう言い含めて。
 
 これらは全て、鶴姫が同居していた頃には解決していた事態である。だからは全て、兄が断片的に語る事柄や、元親が稀に口にする言葉、そして兄の知人の言葉を元に鶴姫が推測しただけなので事実とは差異があるのかもしれない。
 だけれども、兄の友人であり自分も今では姉と慕う、弁護士である雑賀孫市が度々訪れたりして元親の様子を見に来たり、知人の大谷とその友人である石田三成、果ては元親の友人を名乗る徳川家康がやってくる様子を見る限り、あながち間違ってはいないようである。
 それを知ったとき、なんだか鶴姫は胸の中の何かがすとんと落ちた気がした。自分の中で何かの納得がいったからかもしれない。彼が抱える余りに深い何かを感じ取ったのは、間違いじゃなかったのだな、と改めて思ったものだ。
 
 
 
 案外短時間で焼き上がり、出来上がった生地を冷ましている間、元親は生地に塗るためのシロップ作りをしていた、そうして鶴姫はイチゴの一粒一粒を濡れ布巾で丁寧に磨く。そうしてヘタを取っていく。そして飾り用と中に挟むようとで分けていった。
「そういえばおにさん、なんでショートケーキだったんですか?」
「…あー…うん。」
 鍋に向かいながら歯切れの悪い返事をする元親に違和感を覚えながら鶴姫は再び尋ねる。
「なんでですか?」
 第三者から見るとひどく無邪気であろうその言葉は元親にとってはっくるしいものであろう。何せ、にげられないのだから。
「…言うまで聞くだろ。鶴。」
「はい。」
 はぁと溜息を吐く元親は渋々と口を開いた。
 
 
 
 それは元親が元就に拾われた日からかなり後の事。季節が一つ巡って、元親が正式に元就と一緒に暮らすことになった日の事だった。
「土産だ。」
「なんだ、これ?」
 テレビを見ながらでっかい体を縮めて部屋の隅に座っていた元親を見つけると手招きして箱を差し出す。
「…祝い事にはケーキだろう、と言われてな。」
 元親と元就が一緒に暮らす事になった件、もといその前のややこしい事のほとんどに元就の職場の同僚を駆り出す事態になったことは記憶に新しい。からかい半分かもしれないが、彼らなりに祝ってくれるつもりなのだろう、多分。
 
「ショートケーキ?」
「…しかないな。…あやつらは一体どのような基準で選んだというのだ…。」
 さして小さくない箱の中には数個のショートケーキが入っていた。
 箱の中身を覗き込んで毛利がげんなりした様子を見せる。だが、そこから先は案外素早かった。台所に立ち、お湯を沸かし始めたかと思うと皿の準備を始める。
「ティーバッグしかないが…仕方あるまい。」
 入れ方次第で美味くなると言う毛利は沸騰したお湯を前に手慣れた様子で紅茶を入れていく。元親は「おおー」と言いながら手を叩く。それだけ鮮やかな手際だったのだ。そんな元親を元就は、フッと笑うと「子供か」と呟いた。
「ショートケーキはお祝いの味…よし覚えた。」
「…いらんことは覚えんでも良い。」
 そう言って二人でケーキを食べたのだ。今でも忘れられない思い出だった。
 
 
 
 変な人間だと、元親は思っていた。いくら家の前に生き倒れていたからといって厄介事の塊のような自分を普通は抱え込まないだろう。挙げ句、使える限りの手を使って、彼は、元就は、元親の悩みを、憂いを無くしてしまった。
 どうして、とそう聞いたことがある。すると彼は言った。
「お前が気に入ったからだ。」
 いつものように自信満々なその言葉に、唖然としたことを覚えている。
「お前のやりたいこと、やれること、全部探していけばよい。…覚えておけ。お前を思う人間は、少なからずいるのだと言うことを。」
 どうして赤の他人の彼が、ここまで自分によくしてくれるのかが全く分からなかった。だけど同時に、嬉しくて、怖かった。自分は彼に期待されるような人間じゃない、だけども掛けてくれる言葉が、その思いが、触れた手が、全てが優しかった。
 
意地が悪いところもある。口が悪い所もある。だけれども、この人は、どうしようもないぐらい、優しい所もある人であることを知ったのだ。
 
 そうして、彼を、好きになった。
 
 
 
「…まさかショートケーキにした理由を聞いてのろけられるとは思っていませんでした…。」
「うわ!?ちげぇ!!これはだな…」
 色々話しているうちに自爆してしまった元親は慌てふためくがもう遅い。鶴姫の脳内にはちゃっかり記憶されてしまったのだから。
「お兄さんとおにさんが仲が良いのは十二分にわかりましたから、今度はデコレーションの準備をしちゃいましょう~。」
「ちょっ!人の話を聞け!!」
 
 ボウルに氷水を用意してその上に一回り小さいボウルを載せ、その中に生クリームを移す。そして適量の砂糖と入れると、鶴姫は電動泡立て器で勢いよく混ぜだした。後は適度な堅さにしてケーキに塗る用と絞り出すように分ければよい。
「おにさんはスポンジのカットしてくださいね。…大丈夫ですよ。誰にもいいませんから。」
 そう言って、茶目っ気たっぷりに笑う鶴姫を見て元親はやれやれと言わんばかりに項垂れる。
「お前、そういう所は確実に元就と似てるぞ…。」
「あらまぁ、それは失礼というんですよ!おにさん!私のどこがお兄さんと似てるというんですか!!少なくとも人間としてはお兄さんより私の方が可愛いです!」
「…うん、そういう所。」
 やや疲れた様子ながらも元親はケーキのカットを始めたのだった。
 
 
 
 ひょっとしたら、この二人は、恋人同士なのだろうか。
 一緒に暮らし始めてすぐに鶴姫はそう思った。兄の元親を見る目がどう見ても普通ではない。そして元親も、それを拒否している様子は無い。即ち両思い。だとすると自分はカップルの間に入るお邪魔虫ではないか。これはどうしたら良いものか、鶴姫は必死になって考えた。こども電話相談室に「同居を始めた兄に一緒に暮らしている同性の恋人がいたらどうしたらよいのでしょう。」と電話をかけるぐらいには考えた。回答は落ち着いて周りの人にご相談を、だったが周りの人に相談出来ないから困っているのである。ならば、直接聞くのが早い。邪魔なら邪魔と言って欲しいものです。そう考えた鶴姫はその日の夜、呑気にリビングで過ごしていた元就と元親に問いかけた。
 
「お兄さんとおにさんは、おつきあいしてるんですか?」
「は!?」
「…鶴姫。そなたは一体どこでそんな事を耳にした?」
 傍から見てわかりやすいぐらいに狼狽する元親と、一見表情の変化がないので分かりづらいが相当焦っているらしい元就の、対照的な慌てぶりが目に付いた。そんな中「お兄さんも慌てることがあるんですねぇ」と呑気に思ったことは今でも覚えている。記憶の中の兄はいつでも何をやっていても鉄面日で表情を変えた記憶がない。そんな兄が表情を変えたということはやはり、やはりなのだろうか。
 
「もしおつきあいしてるなら聞きたいのです。私はこの家にいたら邪魔ですか?」
 そう言った途端、鶴姫の頭に激痛が走った。
「そんな戯れ言を誰がぬかすか。たわけが!」
「いたいですー…。」
 兄である元就が読んでいたハードカバーの分厚い本を背表紙で叩かれたのである。痛くないわけがない。即ち、痛い。半端無く痛い。両手で叩かれた箇所を抑える鶴姫をおろおろしながら元親が優しく触れる。
「大丈夫か鶴!?たんこぶできてねぇか!?…元就!!女の子になにすんだよアンタは!!」
「ふん…これぐらいで泣くような女を妹に持った覚えはない。」
 痛いことは痛いのだが、号泣するような痛みでもなかったのが幸いだった。少々腫れてしまうかもしれないが、いたしかたあるまい。
「…結局の所、おつきあいしているのですか?」
 恐る恐る鶴姫のたんこぶを確認している元親に上目使いで問うと元親は壊れかけのおもちゃのような非常にぎこちない動きを見せる。そうして目線だけで元就に助けを求める様子を見せた。元就は元就でこれ以上は不都合が生じると思ったのか、呆れながらも話し始めた。
「…そうだ。お前の言う通りだ。…いつから知った?」
「…そもそも何で気付いたのかが俺にはわかんねー…」
 項垂れる男二人の姿はかなり情けないものがあるがそれだけ衝撃的だったのだろう。気付かれる訳ないと思ったのだろうか。しかしあの親密そうな様子を見るに、そう思ってしまうのは無理もない事だと思うのだが、他の人は違うのだろうか。
「最初に、お兄さんがおにさんを見る目が、凄く優しかったんです。今まで見たこともないぐらい、すごく。だから、ひょっとして、もしかして、って思ったんです。」
 後は女の勘です。
 そう言った鶴姫に感服するように元就は言った。
「我が妹ながらたまげたな…それだけで、気がつくとは。」
「…俺、もう鶴の顔まともにみれねーよ…」
 でっかい体をぷるぷるさせながらリビングにあったクマのクッションで顔を覆う元親は普段の男前要素が皆無である。そんな元親をなんとか引っ張りだそうと元就はクッションを引っ張り、元親はそれを拒否する。コントのような場面であった。
「嫌だ嫌だ!恥ずかしい!めっちゃ恥ずかしい!無理!無理!」
「我が言ったのならば貴様も言わねば対等では無かろう。」
「横暴だあああああ!!」
 
 まるで子供のように意地になる兄など、初めて見た。むしろ兄がこんな振る舞いを見せる相手がいることが意外で、だけれども嬉しかった。家族の前でさえ一線を崩さない兄が、元親の前では素の顔を見せている。少しだけ悔しい。それが自分達の力ではないことが。だけどそれ以上に嬉しかった。だけど家族はどう思うか分からない。だけど鶴姫は両親に告げるつもりは今の所は無かった。
 人の恋路を邪魔する者は馬に蹴られて死んでしまえ、そう言うではないか。
 ならば自分は邪魔をしない。それを隠す共犯者になろう。兄と、元親が幸せに暮らせるのであれば、それでよい。そして何故か二人に対しての嫌悪はほとんど無かった。むしろあの兄がそういう対象にしたいという人間がいたことに驚いていた。
 
 どうかどうか、幸せに。
 
「…秘密です。」
 未だにクッションを取る取らないで攻防繰り広げる元就と元親に鶴姫が声を掛けたのはそのすぐ後の事だった。
 
 
 
 デコレーションはあっさり終わってしまい、二人で後片付けと夕食の支度をする。冷やしたケーキは食後に食べるのだ。なんと素敵なデザートだろうと鶴姫は今からうっとりしており、元親はそんな彼女を見て苦笑する。
「…悪かったな。突然ケーキを作りたいなんて言って。」
「いえいえ、楽しかったから良いですよ。」
 自分の力では屋外に出られない元親は日頃はこの家でトレーダーとして暮らしている。空いている一室に元就のもらい物のパソコンを集めては日がなモニターとにらめっこしている。馬鹿のようにもうけもしないが、損もしていないらしい。意外とやるようだ、とは兄である元就の談である。今日は恐らくそれに熱中し過ぎて気がついたら夕方になっていたのようだ。そして鶴姫の帰宅でようやく自分がやりたかったことを思い出したらしい。なんともつめが甘い行動ではあるが、理詰めで動くおにさんはおにさんじゃないです、とも鶴姫は思っているのでこれはこれでいいのでしょう、と判断した。
 
「ショートケーキはお祝いの味、ですか…。」
「俺の中で、勝手に決めてるだけだけどな。」
 かつて兄と元親が交わした会話。今でも彼の中に息づくそれは、きっと大事なものなのだろう。
 
 そう話しているとガチャリと玄関のドアが開く音が聞こえてくる。
「あれ?元就か?」
「お仕事早く終わったみたいですね。」
 言うが早いが足音はリビングに近づき、そしてドアを開けた。
「お前達、何をしてるんだ?」
 仲良く台所に並んで立つ鶴姫と元親を見て怪訝な顔をする。
「おかえりなさい、お兄さん。」
「おかえり元就。今日はお祝いだぜ!」
「…訳が分からんぞ…。」
 いぶかしげな兄に対して「まぁまぁ」と言いながら元親は近づいていく。そういえば、何のお祝いなんだかは自分も聞いていないのだが、まぁ大丈夫だろう。
「…きっと、お兄さんはわかってますよ。」
 
幼い頃は、正直兄が怖かった。何をしたいのか、何を考えているのかが分からなくて、距離を置いていた。だから正直、一緒に暮らすことが決まっても最初は憂鬱だったのだ。なにをしゃべったらよいのだろうと不安だった。
 それを壊してくれたのが、元親だった。彼の前では自分も気兼ねなく話せたし、兄自身も元親の前では不思議といつもより感情が豊かだった。
 楽しかった。今でも、楽しい。兄と、おにさんと暮らすこの日々は。
 
 
 きっと自分がこの家を出ても、二人は暮らすのだろう。おにさんは少しずつ外に出る訓練をしている。挫けても絶対に諦めずに少しずつ、少しずつ、前に進もうとするおにさんは凄いと鶴姫は思う。そうして、それを支えようと決意した兄は凄いなと、改めて思うのだ。
 互いが支え合い、二人は日々を過ごしていく。きっとお互いが生きる限り、ずっと。
 
どうか、この日々が少しでも長く続きますように。 願わくば、彼らに祝福を。
 
 それが、私の願いです。












○鶴ちゃんと兄貴がきゃっきゃうふふしてたら可愛い。
PR
[521] [517] [515] [513] [512] [511] [510] [509] [508] [506] [505]
色々説明






拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)


注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨


ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。


書いている人


みっし

・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。



うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。

ついったのフォローは下 のアイコンから。




ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。

ツイッターは基本鍵をかけていますが、フォロー申請してくださったらフォローさせていただきます。
カウンター
忍者ブログ / [PR]
/ Template by Z.Zone