こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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ぷちっとなつやすみ開幕です。
ちょっと長くなってしまいましたが、今後はこれの半分程度にする予定です。
(書いた人:みっし)
ちょっと長くなってしまいましたが、今後はこれの半分程度にする予定です。
(書いた人:みっし)
*****
奥州の夏~ちびたちのお手伝い~
季節は夏。
大坂より遙か北に位置する奥州にも、遅い夏は訪れていた。山深いこの地にも夏は来るのである。
「…めええええ…」
「…みいいいい…」
そして奥州のちびであるちびこじゅとちび宗はと言うと、暑さに耐えきれず部屋でのびていた。涼しい着物を作って貰ったとしても、双方団扇を手にしていたとしても、いくら普段はお日様が大好きだと言っても限度というものがあるものなのだ。しかもちびこじゅとちび宗は北国育ち。あまりに暑すぎるのは体が辛いのである。
毎日こうもお日様が高いと大好きな外に出るのも限界がある。
だけれども畑の手入れはしたい。
そう熱望したちびこじゅとちび宗はは小十郎と政宗を巻き込み、頑張って午前中に畑の水まきをしたのだった。しかし所詮、ちびこじゅとちび宗ははちび。政宗や小十郎とは異なり持てる水の量にも限界がある。
「これだけ暑いと、作物へ水分が行き渡りませぬな…」
作務衣に身を包み、頭にもてぬぐいを巻いた小十郎は柄杓を手に水を撒きながらそう呟く。
「水がねーと、悪影響になるんだったか?」
小十郎と同じく作務衣に身を包んだ政宗がぼやく。ちびたちと同じく北国育ちでありちび達以上に元より暑さに弱い彼は、半ば意地で畑に出ている。
『小十郎もちび達も出てるのに俺だけ出てないのは認めねぇ!!』
というのが本人の談なのだが何か間違っていると思ったのは小十郎だけだろう。
その一方でちびこじゅとちび宗はというと小十郎お手製のちび用柄杓を手にちょこまかと動いては水をやっている。頭には暑さ対策としててぬぐいをまいている。もっともちび宗はともかくちびこじゅはてぬぐいの隙間から頭の芽が出ておりなんとも言えずシュールなものになっているのだがきにしたそぶりは無い。顔を真っ赤にして必死に水まきを行っていた。
小十郎は、政宗の問いかけに頷き、そして答える。
「はい。育つ時に十分な水がありませんと、堅い実になってしまいますので…美味さが半減します。…まぁこの畑はちびこじゅも色々手を加えているので本来の旬で無い野菜も数多くあるために一言には言えないのですが…」
ちびこじゅとちび宗がはやく育ての舞(政宗命名)を踊ると小さな芽だったはずの作物はあっという間に実を収穫できる段階まで成長してしまう。本来の収穫時期を無視してだ。真冬であろうとも新鮮お野菜を育ててしまえる恐ろしい能力ではあるが、ちびたちは自分たちの能力の重要性に気がつかず、好物の金柑を頬張っていることが多い。
重々しくそう告げる小十郎の言葉を足元で聞いていたちび宗は、ふと動きを止めたかと思うと次の瞬間には顔を歪めて大泣きし始めた。
「…みいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
結果、瞬く間に雨雲がどこからともなく発生したかと思うと、その場にいた全員が逃げるまもなく畑の周辺のみに大雨が降るという珍事が起こった。
「ちび宗ええええええ!!泣くときは事前に言え!!とはいえ暑かったからグッジョブ!!」
雨には驚きながらも、暑さが苦手故に雨に打たれてハイテンションな政宗はちび宗を抱き上げて、その場でくるくる回り出す。端から見るとおかしい人である。色々と。
そしてちび宗はというと、雨か涙かわからぬぐらいに目元を濡らして泣いている。
「みいいいい…!!」
ちびこじゅはというと小十郎に抱き上げられ、相変わらず渋い顔で眉間にしわを寄せながらもちび宗の言葉を代弁する。
「めぇめぇ」
「雨が少なくて美味しくないのが嫌だったみたいだと…?いやだからって突然過ぎるだろう…政宗様!!雨の中で踊らないでください!気が触れたかと思われますぞ!!…ちびこじゅ!?何か頭の葉が成長していないか!?大丈夫なのかそれ!?!そしてちび宗は泣き止め!」
小十郎が、沈痛な面持ちで周囲を怒鳴ったのは言うまでも無い。
片倉小十郎。通称竜の右目。
属性オカン、そしてなにより苦労性。ただし容姿は強面ヤクザ。
そうしてちび宗が完全に泣き止み、畑が水を吸った頃にはずぶ濡れの人間二人と、ちび二匹が誕生していたのである。
その後服を着替えて水分を拭き取られたかと思うと揃ってお湯が沸いた後の風呂にぶち込まれた上、あがったあとは小十郎からお説教された政宗は不服そうだがちび宗はぷるぷるしながらも泣かないように耐えていた。
「…みいいいいいい」
隠せ無い必死な声が漏れてはいたが。
ちびこじゅはというと突然の雨を浴びたせいか凄まじい勢いで伸びる頭の葉っぱに本人は困惑していたが、雨が止むと同時にバサッと抜け落ちた。全く痛くも無いらしく本人は首を傾げていた。
そのちびこじゅは今、小十郎の隣でちょこんと正座をして困ったようにちび宗を見ている。
「めー」
突然、雨を降らせたらびっくりするから駄目だよ。
そん意味合いの事を言っているらしく、ちび宗は目に涙を溜めてぷるぷるしながら頷いた。不服そうにあぐらをかいたでっかいほうの政宗とはえらい違いである。
こうして小十郎のお説教の元、一人と一匹にはとあるお触れが出されることになる。小十郎直筆の流暢な字で描かれたのは次のような言葉だった。
政宗様 雨の中踊ることを禁じます 厳禁です
ちび宗 突然泣き出さないように努力しよう
何か俺だけ厳しくないか、言い回し。
気のせいです。
そんなやりとりがでっかい方の間でされたとかされないとか。
それがお昼前の出来事。
そしてそんな事情もありちび二匹はとても、とても疲れていた。
政宗と小十郎は昼からの仕事に取りかかってしまっているし、他の人もお仕事中なので二匹はいつものように縁側に座って遊んでいた。最も暑さには耐えきれず伸びていたのが正直な話ではあるのだが。
「…みぃ」
「めぇ?…めー」
ふと思い立ったようにちびこじゅとちび宗は歩き出し、彼らが使わせて貰っている小十郎の部屋に向かう。おもしろいものあるかな、とはちび宗の談である。小十郎の部屋にはちび達からしてみれば使い方がわからないけれど、見ているだけで面白そうなものがたくさんある。
この時見つけたのは不思議な音が聞こえるものだった。
「めぇ?」
「みぃ?」
揃って耳を澄ませてみるとそれはどうやら、政宗達が兜を着けたり剣を持って行ったりするとき一緒に持って行く道具だった。
どういう作りかはまったくもってわからないが箱の中から人の声が聞こえてくる。非常にノリが良いその声を、わくわくしながら二匹は聞いていた。
「…めー」
「…みー」
何とも楽しげな言葉ばかりで聞いているちびこじゅやちび宗もにこにこしている。
こんな楽しいものがあったなんて!!
そうしてちびこじゅとちび宗は暑さも忘れて夢中になって聞き入っていた。
そうしてはがきが読まれたりしている中、ふと慌ただしい声がちびこじゅとちび宗の耳に入る。
『ここで緊急のおしらせです。本日ネギやゴボウが散乱しているという珍事件があり、周囲は混乱する人たちでごった返しております。現在原因を究明しておりますので、近隣の方は十分にご注意してください』
ちびこじゅとちび宗は顔を見合わせると、口を揃えていった。
「めー!」
「みー!」
ごぼう ねぎ さんらん
それは たいへん
おてつだい
お手伝い好きのちび達が、困っているならばお手伝いに行かなくてはと思ったのも無理は無い話である。ましてや野菜の事である。
野菜が困っているのならば尚更助けなくては!
そう決意したちびこじゅとちび宗は一応素顔がわからないように顔を隠して庭に向かう。広い庭の片隅には、でっかい政宗も小十郎も気がついて居ないような抜け穴がいくつもある。ちびこじゅとちび宗は『ともだち』から教えて貰って色々知っているのだ。
「めぇめぇ」
「みぃみぃ」
そうして、大きな木のうろを見つけて立ち止まる。この場所こそが、ちびこじゅとちび宗の秘密の抜け穴だった。そうして彼らは恐れる様子も無く隠し穴に飛び込んでしまう。
小十郎の部屋に、あの音が出る道具のみを残して。
「ちび達がいねえええええええええええええ!!どこにいった小十郎!?」
「小十郎にも把握していることとしていないことがございます。政宗様。」
執務をある程度終えて、ちび達の様子をうかがいに来た政宗と小十郎が見たのはもぬけの殻となった部屋だった。がらくたでも引っ張り出していたのか、箱の一つが開けっ放しになっている。遊んでいる途中で突然居なくなったという雰囲気ではあるが、どうやら揃っていないような様子であることに小十郎は安堵し、政宗に伝える。
「…しかしちび宗も一緒であるのならば突発的に何かに巻き込まれたわけでは無いでしょう」
ちびこじゅだけならばともかく。
そう付け加えた小十郎に政宗は頷く。
それに対して政宗は苦い顔で頷いた。
「まぁ、そうだな…あいつだけならともかく」
あいつというのは他でも無い、目が死んだちびことちびこじゅの事を指す。
最もちびこじゅが悪くは無いということは重重に承知している。ただ、ちびこじゅは運が悪いというか苦労性というか何故か本人の意識しないようなことに巻き込まれてしまう傾向があるようで、過去数回にわたり目の前から消えている。
今回はその心配だけは無いのだろう。何せ泣き虫人見知りのちび宗が一緒だったのであるならば言うことはそんな事態に巻き込まれたが最後、城中に響き渡るような声で泣きわめくのは間違いないのだから。
しかし、さらわれたので無いのであればちびこじゅとちび宗は一体どこに行ったというのであろう。
「…畑…はねぇよな。さっき水は撒いたし」
大好きな畑と言えども、この暑さと午前中の疲れで結構へばっていたからいくら彼らといえども行ってはいないだろう。政宗は首を傾げる。
「抜け穴から外にでも出たのでしょうか…」
「…あいつら妙な友達増えたみたいだからな、この間すんげぇ馬鹿でかい猫に乗ってたぞ…」
『めぇー』
『みぃー』
そう言いながら化け物かと思うような巨大な猫に乗っていた姿を政宗は忘れない。そして猫は政宗を見るとキシシッと笑って居なくなってしまったが、ちび達は猫に向かってずっと手を降っていた。
その大きさからえさとして食べられそうになる割には色んな友達がいるようで人外の友が多い二人をいかにして探し出すか。
政宗腕を組んで考えだした瞬間。床に転がっていた奥州目安箱から緊急のおしらせが流れ始めた。
『先程、ねぎとごぼうが散乱していたとお伝えした奥州街道ですが、新たな情報が入りました。小さな人影が突然現れたかと思うと瞬く間にねぎとごぼうを積み直しているそうです…』
そこまで聞いたところで小十郎と政宗は顔を見合わせた。
「…小十郎!!馬だせ馬!!街道まで早駆けで行くぞ!!」
「はっ!!」
そんなことするのはうちのちびに間違いが無いという妙な確信を持って、二人は駆けだした。
嫌な予感は当たる。それは政宗がちび達と付き合うようになって痛感するようになったことでもあった。
そうしてたどり着いた街道で二人が目にしたのは周囲の人間に拝まれるちびこじゅとちび宗の姿だった。
何故か、顔には素顔が見えないようにほっかむりがされているが、あんなサイズでちょこちょこうごく二足歩行の生き物はいまだかってちびしか見たことが無い。
「…めぇ?」
「みいいいいい…」
人見知りのちび宗はちびこじゅの影に隠れてぷるぷると震えている。ちびこじゅもわけがわからないというように眉根を寄せている。
なんだこれ。
なんだこの光景。
馬から降りた政宗は人垣をかき分けてちび達に近づこうとするも人の多さで進めない、
「おい、これはどういうことだ?」
隣に立つ男に問いかけたところ、次のような言葉が聞こえてきた。
曰く、ばらまかれた野菜により街道は確かに混乱していた。そこに現れたのが金色の乗り物に乗ったあの二人なのだという。二人は不思議な力を使うと、あっというまに散乱したネギとゴボウをひとまとめにしたらしい。
そして一人の老人がいった
これは神様のお使いに違いない、ありがたやありがたや…
どこからともなく言い出したそれに従い、二匹は拝まれているのだという。
「…神様…ねぇ」
確かに人間よりは神仏のそういった存在の方に近い生き物かも知れない。ただ政宗にとっては大事な同居人であるという意識の方が今となっては強かったが。
ちっちゃくて、不思議な、それでもかけがえのない存在。
まぁまずは人に囲まれて困惑しているちび達を回収しよう。そう決意して政宗は再度人混みをかき分ける事を決めたのだった。
「めー」
「…みいいいいいいい…」
無事に政宗の手によって回収されたちび達は、それぞれの馬に乗せられながら城まで戻る所だった。
「人がいっぱいでびっくりしたって?…お前行く前に気がつかなかったのか…?」
「み!」
「めぇ」
「お手伝いは大事。お手伝いは好き。でも人があんなにたくさんいるなんて思わなかった、と言っているようですね」
ちびこじゅと小十郎がよく似た表情をしてそう言う。
人見知りを克服したいのか悪化させたいのかよく訳のわからん奴だ、と想いながら政宗はふと気がついた事を口にした。
「お前らどうやってねぎとごぼうをあっという間に片付けちまったんだ?あいつらみんな驚いてたぞ?」
人間以上に小柄なちびの力でもってして、一体どのように片付けたというのだろう。するとちびこじゅとちび宗はきょとんとした様子を見せるがあ、思い出したように口を開く。
「みぃ」
「めぇ」
彼らにとっては何も変わったことは無いのかもしれない。だが、政宗と小十郎からするとそれは信じられないような言葉だった。
「…野菜にお願いして動いて貰ったといっていますが…」
「マジかよ…」
そうして政宗は想像する。
野菜が散乱したその街道を。そして突然現れた金色の乗り物(恐らく最近中の良い化け猫級の猫だろう)から飛び降りた(ほっかむりで)顔の見えない小さな人影。
そうして彼らが来るやいなや人の手を使わずに軽々動き出し、荷車に収まる野菜達。そしてそれを成し遂げた小さな生き物、ちび。
傍目に見ると信じられないような出来事を為したが故に、確かに神様のお使いとよばれても仕方が無いのかもしれない。
「…それをやったのはちびこじゅか?お前いつの間にそんなこと出来るようになったんだ?」
政宗が後ろにいるであろうちびこじゅに尋ねる。すると彼もちびこじゅも実に素直に答えてくれた。
「め?めー」
「みぃみぃ」
同様に話を聞いていたらしい小十郎が眉根を寄せて呟く。
「この間、大根収穫したときに試したら動いてくれたの、だと…」
「しかも足が生えてただと…」
収穫された端から歩いて荷車に乗る野菜。便利ではあるだろう。だが、なにかが違う。むしろ事情を知らない人間からすると恐怖だろう。
そんな事を思っているうちに城へとどんどん近づいていた。
それからすぐ、伊達家のちびには夏の間に克服するべき課題が言い渡された。
ちび宗の目標 突然泣くのは止めましょう
ちびこじゅの目標 野菜に動いて貰う場合はきちんと周りを確認してからにしましょう
二匹のちびが、必死に特訓するのはこの後ことであった。
○はじまりはじまり
うずみさんの書くぷちっと話が楽しみです。によによするぐらいに
季節は夏。
大坂より遙か北に位置する奥州にも、遅い夏は訪れていた。山深いこの地にも夏は来るのである。
「…めええええ…」
「…みいいいい…」
そして奥州のちびであるちびこじゅとちび宗はと言うと、暑さに耐えきれず部屋でのびていた。涼しい着物を作って貰ったとしても、双方団扇を手にしていたとしても、いくら普段はお日様が大好きだと言っても限度というものがあるものなのだ。しかもちびこじゅとちび宗は北国育ち。あまりに暑すぎるのは体が辛いのである。
毎日こうもお日様が高いと大好きな外に出るのも限界がある。
だけれども畑の手入れはしたい。
そう熱望したちびこじゅとちび宗はは小十郎と政宗を巻き込み、頑張って午前中に畑の水まきをしたのだった。しかし所詮、ちびこじゅとちび宗ははちび。政宗や小十郎とは異なり持てる水の量にも限界がある。
「これだけ暑いと、作物へ水分が行き渡りませぬな…」
作務衣に身を包み、頭にもてぬぐいを巻いた小十郎は柄杓を手に水を撒きながらそう呟く。
「水がねーと、悪影響になるんだったか?」
小十郎と同じく作務衣に身を包んだ政宗がぼやく。ちびたちと同じく北国育ちでありちび達以上に元より暑さに弱い彼は、半ば意地で畑に出ている。
『小十郎もちび達も出てるのに俺だけ出てないのは認めねぇ!!』
というのが本人の談なのだが何か間違っていると思ったのは小十郎だけだろう。
その一方でちびこじゅとちび宗はというと小十郎お手製のちび用柄杓を手にちょこまかと動いては水をやっている。頭には暑さ対策としててぬぐいをまいている。もっともちび宗はともかくちびこじゅはてぬぐいの隙間から頭の芽が出ておりなんとも言えずシュールなものになっているのだがきにしたそぶりは無い。顔を真っ赤にして必死に水まきを行っていた。
小十郎は、政宗の問いかけに頷き、そして答える。
「はい。育つ時に十分な水がありませんと、堅い実になってしまいますので…美味さが半減します。…まぁこの畑はちびこじゅも色々手を加えているので本来の旬で無い野菜も数多くあるために一言には言えないのですが…」
ちびこじゅとちび宗がはやく育ての舞(政宗命名)を踊ると小さな芽だったはずの作物はあっという間に実を収穫できる段階まで成長してしまう。本来の収穫時期を無視してだ。真冬であろうとも新鮮お野菜を育ててしまえる恐ろしい能力ではあるが、ちびたちは自分たちの能力の重要性に気がつかず、好物の金柑を頬張っていることが多い。
重々しくそう告げる小十郎の言葉を足元で聞いていたちび宗は、ふと動きを止めたかと思うと次の瞬間には顔を歪めて大泣きし始めた。
「…みいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
結果、瞬く間に雨雲がどこからともなく発生したかと思うと、その場にいた全員が逃げるまもなく畑の周辺のみに大雨が降るという珍事が起こった。
「ちび宗ええええええ!!泣くときは事前に言え!!とはいえ暑かったからグッジョブ!!」
雨には驚きながらも、暑さが苦手故に雨に打たれてハイテンションな政宗はちび宗を抱き上げて、その場でくるくる回り出す。端から見るとおかしい人である。色々と。
そしてちび宗はというと、雨か涙かわからぬぐらいに目元を濡らして泣いている。
「みいいいい…!!」
ちびこじゅはというと小十郎に抱き上げられ、相変わらず渋い顔で眉間にしわを寄せながらもちび宗の言葉を代弁する。
「めぇめぇ」
「雨が少なくて美味しくないのが嫌だったみたいだと…?いやだからって突然過ぎるだろう…政宗様!!雨の中で踊らないでください!気が触れたかと思われますぞ!!…ちびこじゅ!?何か頭の葉が成長していないか!?大丈夫なのかそれ!?!そしてちび宗は泣き止め!」
小十郎が、沈痛な面持ちで周囲を怒鳴ったのは言うまでも無い。
片倉小十郎。通称竜の右目。
属性オカン、そしてなにより苦労性。ただし容姿は強面ヤクザ。
そうしてちび宗が完全に泣き止み、畑が水を吸った頃にはずぶ濡れの人間二人と、ちび二匹が誕生していたのである。
その後服を着替えて水分を拭き取られたかと思うと揃ってお湯が沸いた後の風呂にぶち込まれた上、あがったあとは小十郎からお説教された政宗は不服そうだがちび宗はぷるぷるしながらも泣かないように耐えていた。
「…みいいいいいい」
隠せ無い必死な声が漏れてはいたが。
ちびこじゅはというと突然の雨を浴びたせいか凄まじい勢いで伸びる頭の葉っぱに本人は困惑していたが、雨が止むと同時にバサッと抜け落ちた。全く痛くも無いらしく本人は首を傾げていた。
そのちびこじゅは今、小十郎の隣でちょこんと正座をして困ったようにちび宗を見ている。
「めー」
突然、雨を降らせたらびっくりするから駄目だよ。
そん意味合いの事を言っているらしく、ちび宗は目に涙を溜めてぷるぷるしながら頷いた。不服そうにあぐらをかいたでっかいほうの政宗とはえらい違いである。
こうして小十郎のお説教の元、一人と一匹にはとあるお触れが出されることになる。小十郎直筆の流暢な字で描かれたのは次のような言葉だった。
政宗様 雨の中踊ることを禁じます 厳禁です
ちび宗 突然泣き出さないように努力しよう
何か俺だけ厳しくないか、言い回し。
気のせいです。
そんなやりとりがでっかい方の間でされたとかされないとか。
それがお昼前の出来事。
そしてそんな事情もありちび二匹はとても、とても疲れていた。
政宗と小十郎は昼からの仕事に取りかかってしまっているし、他の人もお仕事中なので二匹はいつものように縁側に座って遊んでいた。最も暑さには耐えきれず伸びていたのが正直な話ではあるのだが。
「…みぃ」
「めぇ?…めー」
ふと思い立ったようにちびこじゅとちび宗は歩き出し、彼らが使わせて貰っている小十郎の部屋に向かう。おもしろいものあるかな、とはちび宗の談である。小十郎の部屋にはちび達からしてみれば使い方がわからないけれど、見ているだけで面白そうなものがたくさんある。
この時見つけたのは不思議な音が聞こえるものだった。
「めぇ?」
「みぃ?」
揃って耳を澄ませてみるとそれはどうやら、政宗達が兜を着けたり剣を持って行ったりするとき一緒に持って行く道具だった。
どういう作りかはまったくもってわからないが箱の中から人の声が聞こえてくる。非常にノリが良いその声を、わくわくしながら二匹は聞いていた。
「…めー」
「…みー」
何とも楽しげな言葉ばかりで聞いているちびこじゅやちび宗もにこにこしている。
こんな楽しいものがあったなんて!!
そうしてちびこじゅとちび宗は暑さも忘れて夢中になって聞き入っていた。
そうしてはがきが読まれたりしている中、ふと慌ただしい声がちびこじゅとちび宗の耳に入る。
『ここで緊急のおしらせです。本日ネギやゴボウが散乱しているという珍事件があり、周囲は混乱する人たちでごった返しております。現在原因を究明しておりますので、近隣の方は十分にご注意してください』
ちびこじゅとちび宗は顔を見合わせると、口を揃えていった。
「めー!」
「みー!」
ごぼう ねぎ さんらん
それは たいへん
おてつだい
お手伝い好きのちび達が、困っているならばお手伝いに行かなくてはと思ったのも無理は無い話である。ましてや野菜の事である。
野菜が困っているのならば尚更助けなくては!
そう決意したちびこじゅとちび宗は一応素顔がわからないように顔を隠して庭に向かう。広い庭の片隅には、でっかい政宗も小十郎も気がついて居ないような抜け穴がいくつもある。ちびこじゅとちび宗は『ともだち』から教えて貰って色々知っているのだ。
「めぇめぇ」
「みぃみぃ」
そうして、大きな木のうろを見つけて立ち止まる。この場所こそが、ちびこじゅとちび宗の秘密の抜け穴だった。そうして彼らは恐れる様子も無く隠し穴に飛び込んでしまう。
小十郎の部屋に、あの音が出る道具のみを残して。
「ちび達がいねえええええええええええええ!!どこにいった小十郎!?」
「小十郎にも把握していることとしていないことがございます。政宗様。」
執務をある程度終えて、ちび達の様子をうかがいに来た政宗と小十郎が見たのはもぬけの殻となった部屋だった。がらくたでも引っ張り出していたのか、箱の一つが開けっ放しになっている。遊んでいる途中で突然居なくなったという雰囲気ではあるが、どうやら揃っていないような様子であることに小十郎は安堵し、政宗に伝える。
「…しかしちび宗も一緒であるのならば突発的に何かに巻き込まれたわけでは無いでしょう」
ちびこじゅだけならばともかく。
そう付け加えた小十郎に政宗は頷く。
それに対して政宗は苦い顔で頷いた。
「まぁ、そうだな…あいつだけならともかく」
あいつというのは他でも無い、目が死んだちびことちびこじゅの事を指す。
最もちびこじゅが悪くは無いということは重重に承知している。ただ、ちびこじゅは運が悪いというか苦労性というか何故か本人の意識しないようなことに巻き込まれてしまう傾向があるようで、過去数回にわたり目の前から消えている。
今回はその心配だけは無いのだろう。何せ泣き虫人見知りのちび宗が一緒だったのであるならば言うことはそんな事態に巻き込まれたが最後、城中に響き渡るような声で泣きわめくのは間違いないのだから。
しかし、さらわれたので無いのであればちびこじゅとちび宗は一体どこに行ったというのであろう。
「…畑…はねぇよな。さっき水は撒いたし」
大好きな畑と言えども、この暑さと午前中の疲れで結構へばっていたからいくら彼らといえども行ってはいないだろう。政宗は首を傾げる。
「抜け穴から外にでも出たのでしょうか…」
「…あいつら妙な友達増えたみたいだからな、この間すんげぇ馬鹿でかい猫に乗ってたぞ…」
『めぇー』
『みぃー』
そう言いながら化け物かと思うような巨大な猫に乗っていた姿を政宗は忘れない。そして猫は政宗を見るとキシシッと笑って居なくなってしまったが、ちび達は猫に向かってずっと手を降っていた。
その大きさからえさとして食べられそうになる割には色んな友達がいるようで人外の友が多い二人をいかにして探し出すか。
政宗腕を組んで考えだした瞬間。床に転がっていた奥州目安箱から緊急のおしらせが流れ始めた。
『先程、ねぎとごぼうが散乱していたとお伝えした奥州街道ですが、新たな情報が入りました。小さな人影が突然現れたかと思うと瞬く間にねぎとごぼうを積み直しているそうです…』
そこまで聞いたところで小十郎と政宗は顔を見合わせた。
「…小十郎!!馬だせ馬!!街道まで早駆けで行くぞ!!」
「はっ!!」
そんなことするのはうちのちびに間違いが無いという妙な確信を持って、二人は駆けだした。
嫌な予感は当たる。それは政宗がちび達と付き合うようになって痛感するようになったことでもあった。
そうしてたどり着いた街道で二人が目にしたのは周囲の人間に拝まれるちびこじゅとちび宗の姿だった。
何故か、顔には素顔が見えないようにほっかむりがされているが、あんなサイズでちょこちょこうごく二足歩行の生き物はいまだかってちびしか見たことが無い。
「…めぇ?」
「みいいいいい…」
人見知りのちび宗はちびこじゅの影に隠れてぷるぷると震えている。ちびこじゅもわけがわからないというように眉根を寄せている。
なんだこれ。
なんだこの光景。
馬から降りた政宗は人垣をかき分けてちび達に近づこうとするも人の多さで進めない、
「おい、これはどういうことだ?」
隣に立つ男に問いかけたところ、次のような言葉が聞こえてきた。
曰く、ばらまかれた野菜により街道は確かに混乱していた。そこに現れたのが金色の乗り物に乗ったあの二人なのだという。二人は不思議な力を使うと、あっというまに散乱したネギとゴボウをひとまとめにしたらしい。
そして一人の老人がいった
これは神様のお使いに違いない、ありがたやありがたや…
どこからともなく言い出したそれに従い、二匹は拝まれているのだという。
「…神様…ねぇ」
確かに人間よりは神仏のそういった存在の方に近い生き物かも知れない。ただ政宗にとっては大事な同居人であるという意識の方が今となっては強かったが。
ちっちゃくて、不思議な、それでもかけがえのない存在。
まぁまずは人に囲まれて困惑しているちび達を回収しよう。そう決意して政宗は再度人混みをかき分ける事を決めたのだった。
「めー」
「…みいいいいいいい…」
無事に政宗の手によって回収されたちび達は、それぞれの馬に乗せられながら城まで戻る所だった。
「人がいっぱいでびっくりしたって?…お前行く前に気がつかなかったのか…?」
「み!」
「めぇ」
「お手伝いは大事。お手伝いは好き。でも人があんなにたくさんいるなんて思わなかった、と言っているようですね」
ちびこじゅと小十郎がよく似た表情をしてそう言う。
人見知りを克服したいのか悪化させたいのかよく訳のわからん奴だ、と想いながら政宗はふと気がついた事を口にした。
「お前らどうやってねぎとごぼうをあっという間に片付けちまったんだ?あいつらみんな驚いてたぞ?」
人間以上に小柄なちびの力でもってして、一体どのように片付けたというのだろう。するとちびこじゅとちび宗はきょとんとした様子を見せるがあ、思い出したように口を開く。
「みぃ」
「めぇ」
彼らにとっては何も変わったことは無いのかもしれない。だが、政宗と小十郎からするとそれは信じられないような言葉だった。
「…野菜にお願いして動いて貰ったといっていますが…」
「マジかよ…」
そうして政宗は想像する。
野菜が散乱したその街道を。そして突然現れた金色の乗り物(恐らく最近中の良い化け猫級の猫だろう)から飛び降りた(ほっかむりで)顔の見えない小さな人影。
そうして彼らが来るやいなや人の手を使わずに軽々動き出し、荷車に収まる野菜達。そしてそれを成し遂げた小さな生き物、ちび。
傍目に見ると信じられないような出来事を為したが故に、確かに神様のお使いとよばれても仕方が無いのかもしれない。
「…それをやったのはちびこじゅか?お前いつの間にそんなこと出来るようになったんだ?」
政宗が後ろにいるであろうちびこじゅに尋ねる。すると彼もちびこじゅも実に素直に答えてくれた。
「め?めー」
「みぃみぃ」
同様に話を聞いていたらしい小十郎が眉根を寄せて呟く。
「この間、大根収穫したときに試したら動いてくれたの、だと…」
「しかも足が生えてただと…」
収穫された端から歩いて荷車に乗る野菜。便利ではあるだろう。だが、なにかが違う。むしろ事情を知らない人間からすると恐怖だろう。
そんな事を思っているうちに城へとどんどん近づいていた。
それからすぐ、伊達家のちびには夏の間に克服するべき課題が言い渡された。
ちび宗の目標 突然泣くのは止めましょう
ちびこじゅの目標 野菜に動いて貰う場合はきちんと周りを確認してからにしましょう
二匹のちびが、必死に特訓するのはこの後ことであった。
○はじまりはじまり
うずみさんの書くぷちっと話が楽しみです。によによするぐらいに
PR
色々説明
拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)
注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨
ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。
書いている人
みっし
・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。
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うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。ついったのフォローは下 のアイコンから。
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ばさら垢できました
こんな二人で、ここを更新しております。
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