がんかたうるふ それは恋だと誰かが言った(現パロ・家親) 忍者ブログ
こちらはサークル「がんかたうるふ」のうずみとみっしの二人組が、ラッキードッグ1とばさらのこばなしを黙々と投下する場所です。
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現パロ家親コメディ…?
三成と毛利さんも出るよ。今回は頑張って毛長にしなかった…でもその代償か出番が増えたよ毛利さん。そしてアニキは出番が少なすぎて申し訳ない、そんな家親。
三成さんがフリーダム、毛利さんは最強、アニキはアホの子度高い、家康さんはキャラ崩壊。そんな愉快な関ヶ原と瀬戸内で良ければどうぞ。


書いた人:みっしー






 *****






 その日の夕方、高校2年生になったばかりの徳川家康は友と分かれ帰路に着き、一人で駅のホームにいた。夕方のホームは混み合い、家路を急ぐ人たちで賑わっていた。家康は損な中、自宅の最寄り駅への電車を待つための列に並んだ。電車が来るまであと数分。持っていた手帳でも確認するかと手帳を取り出したところ、手帳に付けていたボールペンが外れ、ころころと転がってしまう。あ、と思い急いで拾い上げようとした家康だが、彼が動くよりも先に、誰かの手がボールペンに触れた。
思わず視線を向ける。

 
手を伸ばしてくれたのは銀の髪、青い瞳、左目だけ眼帯で覆われた青年だった。


 その日本人離れした色彩に、思わず見惚れ、家康は一瞬動きを止める。
 だが青年はそんな家康に気がつかぬかのように、ペンを拾うと家康に向かって差し出した。
「壊れなくてよかったな。」

 そう言って笑った彼の顔は、家康の目に焼き付いて離れなかった。

 数日経った今でも、ずっと。






「…で、それを私に聞かせてどうしろというのだ貴様。簡潔に言え。」
「いや、三成は大谷殿どの関係もあり、顔が広いから知らぬか…と思って」
 今は高校の昼休み。教室の一角で共に昼食を摂っていた家康は、目の前に座る友である三成に尋ねる。だが、返ってきた答えは実に無慈悲なものだった。
「知らん。」
「…本当に知らんのかー?」
もぎゅもぎゅと昼食を食べながらも三成は頷き、そして言った。
「私は興味の無い人間の顔など覚えん。」
「そうだったな…。」
長年の友である石田三成は、人の顔と名前を覚えることがことごとく苦手な男でもある。そんな彼がよく見知った人間以外を記憶しているかというと答えはノーだ。ちなみに家康は幼・小・中・高と三成と同じ学校だが最初は「誰だ貴様」から始まり覚えてもらうには数年かかった尾言う記憶がある。

「駅で会ったのならばもう一度足を運ぶのが手っ取り早いのではないか?」
 黒塗りお重の弁当をようやく半分程度食べ進めながら三成は言う。ちなみに彼のお弁当は同居人である大谷吉継のお手製であり、全部食べなければそれはそれは恐ろしい事になるらしい。和食中心の色とりどりの豪華な弁当は食欲を誘うものである。元々は食が細い三成を心配して大谷が始めたことらしい。そのような理由で本来であれば小食の三成は彼としては非常に頑張って食べていた。「刑部の信頼を裏切るわけにはいかんのだ…」と言ってはいるが、高校入学当初よりは確実に食べる量が増えているので大谷殿の思惑は成功しているのだろうなぁ、と家康は思う。

「…行ったんだがな…丁度土日を挟んだせいか見つけられなかったんだ。」
 家康も本日の弁当として用意した購買の調理パン2個目を口に運ぶ。日頃は弁当を用意してもらっているが、たまに購買の味が食べたくなったので今日は弁当無しだ。定番人気の焼きそばパンのソースの染みた味が美味い、美味いがそれでも家康の悩みは尽きない。

「手がかりは、声と、銀髪と、眼帯と…後は」
 そこまで言って家康はひときわ大きくため息を吐く。かと思うと自身の携帯電話を三成に見せて開く。

「…咄嗟に携帯で撮った後ろ姿の写真だけ……!!」
「…黙れ犯罪者。」

 どうやら咄嗟に撮った写真を待ち受けにしたらしく、すぐにその画像を見せられた三成はげんなりした表情を見せる。眼帯なのかは分からないが、確かに家康の携帯の待ち受けにはややぼけた画像ながらも銀髪で、黒い鞄を背負った青年の姿が写っていた。恐らくそれが家康の言う青年なのだということは三成にも理解できた。
「…無断で写真を撮るのは肖像権とやらの侵害ではないのか?…貴様はいつもいつも思い立っての行動が唐突過ぎる。むしろ写真を撮るよりも先に声を掛けた方が良かったのではないか?」
 三成の答えに家康はパンを齧りながら首を横に振る。
「いや、向こうも急いでいたらしくてな…ワシにペンを拾ってくれたすぐその後に時計を見るとすぐにいなくなってしまったんだ。」
 だから話しかける間もなく、咄嗟に取り出した携帯で拡大して撮影したらしい。正直言ってそっちのほうが手間がかかりそうなものだが、と話を聞いた三成は思ったが、突っ込まないことにした。

 それにしても、と着実に食べ進めた弁当を食べ終え、ご馳走様でした、と掌を合わせながら呟きながら三成は思う。
―家康がこうなると、色々と面倒だ。
 徳川家康という男は明るく面倒見の良い優等生だ。表向きは。
 その実他者に知られないように周囲の和を重んじ気を遣い、気を遣いすぎて自分でもよく分からなくなっている節がある。そして、それに本人は気がついていない。何とも厄介な性質だ。しかし、それだけ周囲を思う家康が自分の願望を素直に口に出せるのは良いことなのかもしれないとも三成は考える。
恐らくは、件の青年を見つけられるまであれやこれやと手を尽くすに違いない。それは別に構わない。三成自身が被害を被るものではないのだから。だが、その反面日常生活が疎かになり、そのツケが何故かいつも家康と行動を共にしている三成に向かってくる可能性が大いに考えられる。その状況を回避するためには、件の青年探しを手伝うしか、無いだろう。
 徳川家康は友として付き合う分には不足ない男だが、いかんせん癖が強かった。
 最も三成自身も癖が強い人間であることはあまり自覚していなかった。
彼は基本的に広く浅い人間関係よりも狭く深い人間関係を好むからである。家康は前者であり、同時に後者であると言うめんどくさい人物だった。想像ではあるが、家康の脳内には、無意識ながらもその青年を諦めるという選択肢が無いという事は長い付き合いで重々承知していた。

「…一つ聞きたいが、家康。貴様その男に会ったとして、何を言うのだ。礼か?」
 食後のお茶を飲みながら三成は、4個目のパンに手を付けた家康に声をかける。すると家康は、うーんと親指を顎に当てて考える素振りを見せると、言った。

「…告白?」
「…何故に疑問系なのだ貴様。」
 一度会っただけの、それも男に告白するというのはどうなんだ、と思いつつも、それが家康であるのならば仕方が無いかと三成は思う。この男は、その育ちゆえかどうかは知らないが、常識が通用しない。と三成は常々思っていた。
「…だってなぁ…初めてなんだ。あの笑顔が頭から離れないなんてなぁ…ワシだって考えたさ。考えても考えても結論は出なかった。ということはこれが一目ぼれというやつなのかと」
「今の説明でどうして、ということで括られるのかがわからん…」
 困ったように頬をかく家康だが、事情を聞かされても経緯が分からない三成とて、とても困っている。
「とにかく、ワシはあの青年と会って話したい!!…今言えるのはそれだけだ」
 そう言いきる家康は恐らく、駅にてその青年を探しに行くのだろう。だが、今の状態の家康を野放しにしては世間の皆様にご迷惑をかけるのではないだろうか、という疑念が三成の脳内に沸いていた。
「…私も着いて行く。」
「本当か!!三成が居てくれたら心強い!!」

そう言って満面の笑みを見せる家康に対して三成はこう思っていた。
…変な行いをしたら即刻に残滅してやろう。
そう思い、常に持ち歩いている愛用の竹刀に目を向けていたことに哀れ家康は全く気がついていなかったのだった。





 そうして放課後。
 家康と三成は二人で連れ立って学校の最寄駅に居た。二人は同じ駅を利用しているが、件の金曜日において三成は剣道部の部活に参加していたためその青年にはあっていなかったのだ。
「…この駅は乗り換え利用する人間も多いから、単純に1人を探すのは中々に至難の業だな」
「おまけに夕方は学生も多く利用するしな…」
 この界隈には公立、私立問わず学校が多い。夕方は帰宅時間と重なることもあり、利用する人間は一番多い時間帯かもしれなかった。
「見た感じ、高校か大学だと思うんだけどなぁ…」
「手がかりが少なすぎるからな…」
銀髪、眼帯、青い目の青年。
目立つ要素ではあるが、まさか一人ひとりに尋ねまわるわけにもいかない。とりあえず、改めて駅構内の見取り図でも見ようかと二人は移動を始めた。
 
 そうしてたどり着いた見取り図の前には先客が居た。
見取り図の前には小学生らしい少年が1人で佇んでいた。首からはキッズケータイを下げており、よくよく見るとこの駅の近くにある私立小学校の制服を身につけていた。少年は、何かを考え込んでいたようだが、二人の存在に気がつくとふと顔をあげる。
小柄で茶髪だが、整った顔立ちで将来有望らしい顔立ちをしている。
そうして二人に向かって口を開いた。
「ひとつ聞きたいのだが…こちらの駅では迷子の保護をした場合、呼び出しをして頂けるか知っているか?」
子供にしてはやけに古めかしい口調だがしっかりとしたその態度に目を見張る。
「ああ、確かしてもらえるはずだ。ここ、駅ビルも併設されてるからそっちで呼び出されるかもしれないけどな。」
家康が言うと子供はなるほど、と頷く。
「駅ビルがあるならばそっちかもしれぬ…すまなかった。礼を言う。」
 そう言うと軽くお辞儀をして少年は去っていった。

 
そうして二人が見取り図の前であれやこれや話していた。改めて見ると、かなり広い。
「毎日通学に使う駅だが…こうして見ると結構広いなぁ。」
「どこを中心に探す気だ?ホームか?改札か?」
 いずれにしろ難易度が高いことは間違いないだろう。この人混みからたった一人の人間を見つけ出すのだ。そもそも、その青年が毎日この駅を利用しているかもわからない。
だけれども、手がかりはそれしかないのだ。
家康が、己の運を信じて歩き始めたその時、背後から声が掛けられた。

「そなたらは先程の…助かった。礼を言うぞ。」
 後ろを振り向いた家康と、三成が見たのは先ほど会った、古風で、どこか尊大な態度の少年と彼に手を引かれているやや大柄な青年だった。

 銀髪に眼帯、そして青い目、更に眼鏡を掛けてはいるが、家康が言った特徴と合致した青年がそこにいた。

「…いたああああああああ!!」

 公衆の面前であることも忘れ、思わず興奮して青年を指差す家康だが、青年は思いっきり困惑した様子を見せる。

「…え!?え!?…元就、俺なんかした!?」
 その容貌に似合わない涙目で困り顔になる青年は手をつないでいる少年に助けを求める目線を送る。
「…まぁ大体想像は着く。…とりあえず、貴様は落ち着け。」
「うぎゃあっ!?」
 そう言うが早いか家康の脛を涼しい顔をして蹴り飛ばした。それは、実に鮮やかな手際だった。
「もももも元就!?」
自分よりも小さい少年に、縋る青年は目の前の光景が信じられないのか目をぱちぱちと瞬かせている。
「襲われたくなかったら大人しくしていろ、元親。」
元親、それが今現在で心底困ったような顔をした青年の名前らしい。そうして尊大な態度の小柄な少年は元就というそうだ。しゃがみ込んで痛みに耐える家康に、元就と呼ばれた少年は軽くかがんで目線を合わせる。そして言った。



「…貴様。元親の付けている札をよく見てみろ。」
なにか逆らってはいけない空気を感じ取り、目の前の少年に言われたとおり、なんとか立ち上がって、元親と呼ばれた青年の胸に付けられたネームタグを見る。


 そこにははっきりとした字体で、私立○○小学校5年1組 長曾我部元親、と記されていた。


それはつまりどういうことかというと…。
「…小、学生…?」
 家康の呟きに、元親と呼ばれた青年と、元就と呼ばれた小柄な少年はゆっくりと頷き同意を見せた。

 銀髪で男前で明らかに180cmはありそうなこの青年が、小学生?


「………嘘だろおおおおおおおおおお!?」



衝撃のあまりその場で叫んだ家康を、背後から見ていた三成が止めたのは言うまでもない。

「…家康!!二回にも及び公衆の面前で叫ぶのはマナー違反だろう!!」

 そう言いながら竹刀でぶん殴るのはマナー違反ではなかろうかと家康は思ったが、とりあえずその場では頭を抑えるのが精一杯だった。

「…え…俺、本当に何かやったっけ?」
この状況が理解出来ず、困惑したままの元親。

「…折角だから、説明してやるか。」
何とも言えない表情で呟く元就はこの場を収拾すべく、動き始めた。





 青年改め少年の名前は長曾我部元親、と言うらしい。
 共にいた少年の名前は毛利元就。元親の友人であるらしい。
 ここで話すのも何だろう、という元就の案に従い、四人は元就に言われる通り、駅の近くにあった公園に足を踏み入れる。夕暮れの公園は時間が少々遅いためか、遊ぶ子供もおらず寂しげな様子を見せる。
「元親。我はこの男と話す故、あちらで待っていろ。くれぐれも誰かに着いて行くではないぞ。」
まるで親が子供に話すような口調で元就は自分よりもやや大柄な元親に言い聞かせる。
「おう!!わかった!!」
そう言うと元親は背負っていた鞄をベンチに置いて腕まくりすると砂場に走っていってしまった。
…ワイシャツでズボン姿なのは、学校指定の制服が入らないための特別処置らしい。本来は元就少年のように上下揃いの制服に身を包むべきらしいが、制服に準じた服装での登校ならば、ということで元親はクールビズでノーネクタイのサラリーマンのような格好で通学しているらしい。鞄も小学校のものはサイズが合わないので付属の学校のものを特別に使用しているとのことだった。
「石田とやらは元親に着いていてやってくれぬか?…悪さはせぬと思う故。」
「…別に構わないが…。家康、貴様興奮して変なことを抜かすなよ。すぐに残滅してくれる。」
 家康にとっては不吉極まりない言葉を残しながら、三成は元親の元に駆け寄っていった。
「…され、徳川とやら。そこに座るが良い。」
「…はい。」
 自分より遥かに年下でありながら、主導権を握る元就少年の言うままにベンチに座る家康であった。



 砂場でなにやら大作に勤しんでいる元親を、三成がすぐそばで見守っている。
 一方家康は、元就と共に少し離れた所にあるベンチに座ってそれを見ていた。にこにこと笑う元親のその表情はよく見ると無垢な子供そのものなのだがいかんせん体格でそうは見えない。家康の心中を察したかのように元就は口を開く。
「元親は、母が外国の方でな。そのためかここ数年で急成長し、あのようになったのだ。」
「…ということは昔は?」
 ここ数年、ということは以前は違ったのだろうか、と思い、尋ねた問いに元就は頷いた。
「うむ。我より小さいぐらいであったわ。…貴様なんだその顔は。」
 恐らくは150センチもないであろう元就少年よりも小さかったのに、何故そこまで急成長できるんだ…。
「…いや、成長期って怖いと思ってな…」
 そう言って家康はしみじみと頷く。
そういう家康も中学時代の成長期でかなり見た目も体格も変わった1人なのだが、周りにどれだけ衝撃を与えたのかは知るよしもなかった。
知らぬは本人ばかりなり、である。


「…最も見た目が変わったからと言って、元親自身が変わった訳では無い。近寄ってくる馬鹿の対処に、我が手を焼くだけよ。」
あやつに言っても理解する方が困難よ、と呟く元就少年に家康は軽く衝撃を受ける。
口調も態度も、考え方も、全てが小学生離れしている。強いて言うならば体格だけが小学生らしく見えるこの少年は一体何者なのだろうか。
 家康がそんな事を考えているのを知ってか知らずか、元就少年は再び話を続ける。
「…幼い頃はその容貌からさらわれかけ、変質者に声を掛けられそうになり、変態教師に手を出されそうになったこと数回…最近では痴女に襲われかけること、変態男にも襲われかけること数回…。今回もその手合いかと思ったのだが…違うようだな。」
しれっと言うが中々凄い事を聞いた気がする、と家康は思う。
「ワシが言うのも何だが…それ、ワシが聞いても良いことなのか?」
家康の答えに元就は「うむ」と頷く。
「貴様が本当に元親を襲いたいだけの変態ならば我のセンサーに反応しないはずはない。ということは少しは話が通じるということだ。」
センサーって何だ?と思うが怖いので家康は口を挟めない。

―さいきんのしょうがくせいっていろいろこわい。

そう思いながらも気を取り直して家康は元就に尋ねる。
「…元就殿と元親は、その、親しいのか?」
 小柄で一見するとひ弱に見える元就だが、実際には彼の行動は逞しすぎる。というか完全に保護者である。一体何があってそうなったというのであろうか。そんな事もあり、年少者ではあるが、敬意を表して殿と付けることにした家康である。
家康の疑問に元就は淡々と答え始めた。
「我とあやつは家が隣の幼なじみだ。学年が同じだったこともあり、幼い頃からいつも一緒に行動していた。それが今でも続いているだけの事よ。…最も危機意識の無いあやつのためにあれこれはしているがな。」
―あれこれって何なんだ…。
「…あれは今も昔も自分が人からどう見られているかなど全く意識していない。本当に恐ろしい男よ…。」
 噂の主は砂場で三成と一緒に無邪気に遊んでいる。よくよく見ると見守っていた三成が参戦して大穴を掘っている。しかもその表情は妙に誇らしげだ。家康は己の友がよく分からなくなった。
「…好きか嫌いかと言われたら間違いなく、我が元親に抱く感情は好意に値するだろう。だけれども、あまりに長く居すぎるがゆえに、それが家族愛なのか友愛なのか恋愛なのか、最早我には分からぬ。」
さらっと元就は言うが、いずれにしろ小学生が考える感情としては重すぎやしないか、と家康は思う。言いはしないが。
そして元就は続ける。
「…確かなのは、あやつに幸せで居て欲しいと思う心よ。それだけは揺るがぬ。」
そして、と元就は言う。
「…我の目の黒いうちは、認めた相手しか近づけさせぬわ。」
にやりと笑った元就の表情は、綺麗だったが、やっぱりどうみても悪人面だった。
やっぱり最近の小学生は怖い、もとい毛利殿が怖いと本当に心のそこから改めて思った家康だった。





「元就ー!!見ろよ!!草むらででっかいバッタ見つけたぞ!!」
 いつの間にか砂遊びを終えたらしくきらきらしながらバッタを捕まえてくる元親を見て家康は思った。
―あ、本当に小学生なんだ、と。
「いるか?」
「いらぬ。そなたの家とて飼えぬのだから離すが良い。」
「…ちぇー…まぁ、そっか。」
 そう言いながらも素直に言うことを聞き、再び草むらにバッタを放しに行く。友人と言うよりも親子のような関係だな、と家康は思った。すると家康の言わんとしていることが分かったのか、元就は口を開く。
「友としてより、親子のようだと言わんばかりの顔をしているな…貴様。」
「…そんなに顔に出ていたのか」
 家康の答えに元就はフッと笑った。
「貴様は上手く隠しているつもりかもしれぬが、バレておるわ。…まぁ言わんとしていることもわからんでもない。確かに、我と元親の距離は友と呼ぶには、些か近すぎるものだからな。…あれは昔から両親が多忙でな。隣家である我の家に預けられる事が多かったのだ。目があのようになってからは尚のこと、一人で置いておくには不安とのことでな。」
「目?…左目か?」
 眼帯で覆われた元親の左目を思い出す。うぬ、と元就は同意するように頷いた。
「幼い頃に病を得たのだ。…眼球はあるが、視力はない。残った右目もここ数年で視力が落ちたので眼鏡を掛けているのだ。」
「眼鏡…あれ?…でも先週の金曜日は掛けてなかったが…」
駅のホームで元親と会った時の事を思い出す。確かに、眼鏡は掛けていなかった。
「…それは金曜日の体育の授業であやつが眼鏡を壊したからだ。…我は学校で用事があったので同行できず、一人で眼鏡屋に行ったはずだ。…貴様と会ったのは恐らくその帰りだろう。今日は新しい眼鏡を受け取った帰りだ。そして、あやつはふらふらと迷子になっておったのだ。」
「…なるほど。」
 それで、あの日は眼鏡を掛けていなかったのか。
そこまで言ったところで元就は、ふぅと息を吐く。そうしている姿は普通の小学生と変わりないのに言動や行動が小学生離れしているなぁ、本当に、と家康はしみじみ思う。
そうして、元就は言葉を続ける。
「先ほども言ったが、今まで元親に言い寄った人間は数あれど、我のセンサーに反応しなかった人間は貴様だけだ。」
「…はぁ…?」
褒められているのか貶されてるのかよくわからないが、ここで逆らう方が色々マズイ気がして家康は大人しく話しを聞き続ける。
「もーとーなーりー!!見ろよー!!三成にーちゃんが手伝ってくれたからすんげー落とし穴が掘れたぞ!!」
「…久々に全力を出してしまった…」
だが、実に良い笑顔で掛けてくる元親と、やり遂げた感満載の三成によって元就の言葉は遮られた。
「…元親。大作を作ったのは分かるが、後で埋めておけ。通報されるとやっかいだ。」
「うん?わかった。」
「石田とやらもすまなかった。礼を言う。」
「大した事はしていない。」
本当に自分の穴掘り欲を満たしただけなんじゃないかと思えるほど良い表情をした三成。
家康は 三成の 意外な一面を 知った。
―あんなに穴掘り好きだとは知らなかった。うん。

 そうしているうちに、ふと家康は元親と目が合う。そうして、何かに気がついたかのように、あ!と一声上げると家康に言った。
「まだなまえいってなかった。おれは長曾我部元親。いま5年生。」
そう言って笑う彼はやはり綺麗で、でも事情を知った今となっては可愛らしくも思えて大いに家康を困惑させる。
「えーと…あんたが家康にーちゃん?金曜日、ぼんやりとしか見えなかったから覚えてねーんだ。ごめんな。」
しゅんとした様子を見せる元親が、なんというか叱られしょんぼりした大型犬に見えてきて、とうとう自分の感情が抑えられなくなった家康は言った。

「…ワシと!!付き合ってくれ!!」
がしっと元親の右手を両手で握りしめ、家康は言った。

―い、勢いで告白してしまった…!!
 言った端から冷静になっていく自分が憎らしい。三成などは唖然とした表情で家康を見つめ、元就は意外にも落ち着いて静観している。そうして言われた当人である元親は、訳が分からないというように目を瞬かせてた。

―気まずい…激しく気まずいぞ!!
 判決を言い渡される被告人とはこのような気分なのではなかろうかと思いながら、内心冷や汗ものの家康に「えーっと」と元親は言う。
「…俺、そういうのよくわかんねー」
「…だ、だろうな…。」

 よく考えてみれば相手は小学生。しかも話を聞くに、色恋沙汰には相当疎いらしい。そもそも男に告白されて素直にうなずける人間の方が珍しい。
―ワシ、これ最初から詰んでいないか?
そう考えた時、「でも」と元親の言葉が続く。

「でもあんた、悪い人じゃ無さそうだし…そういうのよくわかんねーけど、ともだちになってくれるか?。」
 そう言って二カッと歯を見せて笑う元親少年は年相応ではないけれどもやっぱり綺麗で、家康にとってはお日様のような輝きを見せたのだ。

 そうして答えを聞いた瞬間の家康が脳内でガッツポーズをしていたのは言うまでもない。





「…友が犯罪者になった時はどのように反応したら良いのだ刑部ううううううう!!!!」
「三成!!頼むから大谷殿にはかけるな!!いやかけないでくださいおねがいします!!」
 友の突然の告白とその経過に混乱し、咄嗟に持っていた携帯で同居人である大谷にメールしようとする三成を必死で止める家康。


「…まだだ…まだデートなど元親には早いわ。小学生には公園で遊ぶので十分よ。…そもそも二人きりのデートなど認めぬわ。…覚悟しておけよ、徳川家康。」
「?なー?元就なんでそんなに楽しそうなんだ?」
今後の展開を想定し、邪悪な笑みを浮かべる元就と、自分の発言がこのような混乱を招いたと言うことには一切気がつかない元親がそこにいた。




わずか数時間の喜劇を見れば人はそれを笑うかもしれない。
茶番劇だと言う者もいるかもしれない。



だけれども、いずれにしろ、それは恋だと誰かが言った。


これはそんな始まりの物語なのだ。












○小姑毛利さんが楽しい。アニキはこの後すくすく成長して190越えます。頑張れ家康。

PR
[495] [494] [493] [491] [490] [489] [488] [487] [486] [484] [483]
色々説明






拍手現在豊臣家転生パロ中学生編入ってます
(現在2本 家三 チカナリです)


注意事項
・フリーリンクじゃないです、基本的にはリンクはお断りしています
・ひっそりこっそりが信条なので、黙々と
・捏造、not公式のこばなしが多いので、スルー推奨


ラキドでは幹部全員を溺愛しておりますが、ベルナルドとイヴァンは特に偏愛。ばさらは家三とか奥州の愉快な仲間達と毛長がメインです。うずみさんが現在官三とか官佐にずっぽりとはまり中。
基本は、愛想のかけらもない「ネット怖い~」の書き手が二人で色々書いている場所です。


書いている人


みっし

・生真面目で堅物でムキムキな男性と一見そうじゃなくても根は真面目極まり ないキャラをこよなく愛している、がんかたうるふの片割れ。編み物とお菓子作りが趣味という、第三者曰く可愛らしい一面を持つ反面、パニクると踊ったり、オロオロしだして周囲は見ていて楽しいらしい。荒ぶる舞は、職場の名物だったりする……らしい。
イヴァンちゃんと片倉さんとシズちゃんとスカイハイさんと陛下を思いっきり愛している。好きなアニメは銀魂と最近はFate/zero。型月ファンというよりは元から虚淵ファンでうずみさんからオススメされまくった末にようやっと手を付けて完読した。ライダー組おいしいです。エクシリアではダントツで陛下が好き。陛下が使用可能になる完全版があるなら複数買いしても構わないとのたまう日々。バサラの好きキャラは片倉さん一強だったはずなのに最近はアニキも熱い。かっちり着込むキャラがすきだったはずなのにいきなり露出度が高いキャラを好きになったのは何故か悩む日々。二次元の向かう愛と同じぐらい甥っ子への愛を叫んでいる気がしてならない。



うずみ
・相方を愛しすぎている変な人。趣味は畑仕事に漬け物作り、好きな物は不幸属性の美人(男女問わず)。ばさらでは石田さんと黒田さんをこよなく愛していたり、赤い子めんこいにゃぁとたまに叫んでいる。

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